ACIDMAN "Tour equal"名古屋ダイアモンドホール レポート
他に似たバンドがいない、という意味では最近のバンドの中では群を抜いてユニークなバンドACIDMAN。それはこのバンドの伝えたいことが独特であることと大きく関係している。メジャーファーストアルバムで「太陽と空を抱いた 世界にほんの少しの 明かりを灯せるだろうか」と歌ったバンドは、最新アルバム「equal」で、「あらゆる色の生命を イコールで繋ぐ」という思想を軸に世界や宇宙を見通した壮大なサウンドを鳴らした。この作品がどうライブで表現されるのか、想像できないまま今日が来てしまった。

ダイアモンドホールはぎっしり人で埋まっていた。6:4くらいで男性が多いのに少し驚いた。ちらほら中学生くらいに見える人もいて年齢層は若い。

「0=ALL」
「equal」の1曲目をSEに3人がステージに登場。

「FREAK OUT」
これもアルバムの曲順どおり。世界に対する大きな疑問と緊迫した現状認識から発せられる警告のような言葉を、勢いのあるサウンドに乗せてさけぶ。このバンドはフェスなどでも何度か聴いているけど、本当に演奏が安定していて上手い。

「swayed」
ACIDMANはクラブミュージックなんかにも影響を受けていたりするのか、ビートの刻みが体内感覚としてめちゃくちゃ細かく鳴っている。それはベース、サトマの小刻みに上に飛び跳ねるパフォーマンスから端的に伝わってくる。観客を上手く音にのせてくれる。中村一義、くるり、SUPERCAR、デビュー時期は違うけれど世代が近いこうしたアーティスト達と共通した感覚だ。のっけからフロアがはねるはねる。

「降る秋」「波、白く」「アイソトープ」「アレグロ」
少しのMC(ドラム一悟のみ)をはさみながらハイテンションな楽曲が続く。観客のテンションも最高潮を維持し続けている。ベース、サトマの演奏姿のかっこよさはなんだ!?

「イコール」
MCがあり一旦落ち着いたところでこのツアーのメインテーマともいえるこの曲。ステージ後方には全面にブラインドのようなものがかかっていて、曲に合わせて幾何学模様のような美しいCGや生き物のシルエットの映像が写されているのだけれど、この曲のときは緑を基調にした幻想的な映像で、落ち着いた曲調のなかに確固たる意思が伝わってきた。
「今、イコールで繋いで 今、イコールの世界へ 刻む今日と 果てを包んで」

「赤橙」「リピート」
名曲連発の中盤。「赤橙」の歌詞は曖昧な比喩に終始しているのだけど、いつもジンとしてしまう。「少年」に自分を重ねているのかもしれない。多くの人にとって大切な曲なんじゃないかと思う。
このバンドはスケールの大きな世界をシビアな目線で綴っているのに、ネガティブさを感じさせない強さがある。「リピート」は「何を手に入れた?」と同じことのくり返しの世界を唄っているのに光を感じさせる不思議な力がある。

「彩-SAI-(前編)」「彩-SAI-(後編)」
変幻自在の音で気持ちよく観客を乗せていく。静かなのに刺激的で、体が反応する感じ。バンドの持つ表現のスキルの高さに感動。

ここでMC。一悟の名古屋美味いもの話に、大木も参加して二人で美味いものを挙げていき、客席に「他になにかあった?」とふるとすかさず答える観客。
大木「誰だ!いま、あんかけスパっていったやつは!(怒)」
・・・どうやらあんかけスパを忌み嫌っている様子。他のメンバーも同じらしくひとしきりあんかけスパ批判をする。
大木「大体なんであんをパスタにかけんの?」
と、根源的な問いかけまで。

「暁を残して」「migration 10 64」「colors of the wind」「風、冴ゆる」「飛行」
終盤、深いテーマと気持ちのいいアップテンポの共存した曲が続く。新旧織り交ぜているけど、それぞれがぞれぞれに魅力的で違和感なく聴ける。「飛行」は圧巻の盛り上がりだった。

ここで締めくくりのMC。
大木「『あらゆる色の生命を イコールで繋ぐ』、なんて大層なこといってるように聴こえるかもしんないけど、本当にあらゆる生命は小さな素粒子で出来ていて、少しずつちがって色々な生命になっていて――」と、シリアスなトーンで言葉を探しながら語る。
大木「――そんな風に考えるとさ、ここに生きていることが、当たり前のことに感謝するようになれると思うんだ」
そう、とんでもなく壮大なスケールの楽曲たちのメッセージとは、つまりリアルな日常をリアルに手助けする価値観の提示なのだ、とふと気付かせられたような気がした。
大木「楽しい時間はあっという間っていうけどさ。本当にそうらしいよ。特殊相対性理論、アインシュタインくんが言ってたよ。こないだ、飲み屋で。・・・メールで」

「cps」「廻る、巡る、その核へ」
本編ラストはアルバムのラスト曲。10分に及ぶ大作。完全にノイズと化したギターの爆音に規則的にリズムを刻むドラムが絡み、とんでもない音世界が繰り広げられた。
衝撃のなか本編終了。

アンコールでてきてすぐ言葉が上手くでてこず
「ニホンゴムズカシイネ!」
と外タレぶる大木。
そしてなかなか、というかずっと喋っていなかったサトマにサトマコールが起こるとサトマも
「ワタシモニホンゴシャベレマセン」
結局、サトマは最後までほとんど喋らなかった。

「造花が笑う」「Your Song」
本編ラストの重厚さから180度方向転換。爆発的に盛り上がる観客。モッシュが巻き起こる。ちらほらとダイブも観られた。全体的に歌詞を一緒に口ずさんでいる人が多かったけれど、このときは歌ってない人を探すのが難しいほどの大合唱!本編でバンドと観客のいいコミュニケーションがとれたからこその、はじけっぷりだった。最高の汗にまみれてライブは終了。

なんだか色々なことを考えさせられる瞬間も、無心で音を楽しめる瞬間もある不思議なライブだった。
実は連れに誘われてついて行ったライブで、一応3枚のアルバムは聴いていたけれどそんなに期待はしていなかった。でも結果、上記のとおり最高に刺激的なライブでもうACIDMANファンです。ていうかサトマに夢中です(男ですが)。

あと一つ、「equal」でなんだか一個答えというか到達点に達した感があるので、これからどんな楽曲が生まれるかがとても楽しみ。より音楽にいくのか、ハードになるのか、ポップになるのか。僕としては「equalで繋ぐ」という答えに留まらずもっともっと真理を探って、迷って、繰り返して、闘っていってほしいと思う。ここに安住するにはまだ早い。
「そして少年は一握りの オレンジ色の砂を蒔いた 黄金色に輝く音を いつか奏でよう」




※セットリストはかなりあやしいので参考にしないでください。
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by kngordinaries | 2004-11-24 01:42 | ライブ


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