吉井和哉のマル秘おセンチ日記
イエローモンキー本?
ロビン本?
いえ、これは
吉井和哉本です

このエッセイは当時イエローモンキーのボーカルだった吉井和哉が92年秋から96年春までの3年余にわたって雑誌連載していた文章を単行本化したものだ。
帯にもあるようにイエローモンキーというバンドがほとんど無名だった時代から堂々たる「死んだら新聞に載るようなロック・スター」になっていく過程で綴られている。

これをROCK IN JAPANのロッキング・オン ライブラリで発見して思わず購入しました。高校の頃あまりお金がなく、ほとんど全部立ち読みしていたのだけどやっぱり手元に欲しくなってしまったので。

ここには吉井和哉の多くの構成要素が密に詰め込まれている。トレードマークであった寒い親父ギャグ、無駄にエロ過ぎる言葉使い、洋楽ロックバカ、イエローモンキー、生活にドラマを見出すロマン、社会問題への関心、父親、自問自答、涙、闘争心、等々、溢れる創作意欲や一つ一つのライブ・レコーディングを命懸けでこなす日々の緊張感が、文章を小気味よく、ときにサイケデリックにドライブさせ、そこから一人の人間の多面的な魅力を放出している。

毎年恒例のイエローモンキー杯ボーリング大会での下手すぎる吉井の心のうちを描きながら投げられる渾身の1投の行方なんてそこらの映画のクライマックスよりずっと気になるし、連載している雑誌ロッキング・オン ジャパンをその連載でバッシングした妙な本気さは鳥肌がたつほど微笑ましい。吉井は歌詞だけとっても恐ろしくぶっ飛んだ才能があるわけだけど、それはかなり初期からこういった文章でも十二分に発揮されていたわけだ。

iPod miniを聴きながら夢中になって読みふけった。かかっているのは「MOTHER OF ALL THE BEST」のDISC-1。RIJ直後だったこともあって頭の中に浮んできたのは、ロックフェスで演奏するイエローモンキーの姿だった。フェスで彼らのライブを観られたら最高だろうな、と何の気なしに思い、想像を巡らせてしまったのだ。

しばらくしてどうしようもなく苦しくなった。悲しくもなった。

どうしていないんだろう。
どうしていまこの楽曲はデジタルでしか鳴らないんだろう。
悔しいよ。だってこんなバンド他にいないじゃないか。
泥臭くかっこいいホンモノのロックスターだったのに。
ダークでまっすぐで血まみれのキラキラ輝くバンドだったのに。
「JAM」がこれから一切鳴らなくていいわけない。
「楽園」が響き渡るライブハウスがないなんて嘘だろ。
代わりなんていない。似た存在なんてない。
かけがえがない大切で重要なロックが歩みをとめてしまうなんて、嘘だ。

上に書いた何倍ものもやもやとして鬱屈した想いが溢れ出た。どこかでしっかりとせきとめていたはずだったけれど、ついうっかりといった調子でぽろぽろと。

やっぱりイエローモンキーは特別だった。それは認めなきゃいかんと思った次第。

とにかくエッセイとしてめちゃくちゃおもしろいです、この本。音楽ともバンドとも切り離してみてもおもしろエッセイとしてレベル高い。今も吉井はオフィシャルで月一コラムを書いているけど、文筆業もたまには希望したい。
やっぱりホンモノは考えていることも日常で起こったことへの解釈も、一味違うという話。

もちろん吉井和哉の新譜も切実に待ってます。
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by kngordinaries | 2005-08-24 02:22 | 本、雑誌、マンガ


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