フジファブリック MONONOKE JACARANDA TOUR 浜松FORCE
まさか地元浜松でフジファブリックのワンマンライブが観られるとは思いもしなかった。

まずそうポンポンとロックバンドがツアーに来る場所ではない。最近はくるりとか本数多めにツアーを行うバンドは来てくれるようになってきているようだけど。まずライブをしてくれることが奇跡。

そして、その奇跡のチケット発売日に、僕は寝坊した。これはアホすぎる。せっかくライブがあってもチケットがないのでは意味がない。発売開始から15分後に起きてすぐ電話をかけたもののSOLD OUT。

しかし、自業自得の悲しみの中にいるところに差し伸べられた救いの光。
ここにチケットが取れなかったことを恨みがましく書いていたのを見かけてくれてしかもそのライブの余りチケットを持っている、というこれまた天文学的に確率の低い奇跡のお方が現れメールをいただきました。
かくしてチケットは我が手中に。奇跡。

mikiさんありがとうございます!

というわけで地元浜松まで納車したての愛車で高速を飛ばして行ってきました。


※ここから現在ツアー中の公演についてネタバレがいろいろとあります。セットリストも自信ないながらもありますのでご注意ください。



懐かしい。浜松FORCEは僕の人生で初めて足を踏み入れたライブハウスだ。
高校一年の夏になる少し前くらいに、友達のライブを観に行ったのだった。そのときのことはあまり覚えていない。ただ、バンドメンバーが客の合間を縫ってステージに上がっていくようなもの凄く狭いところだったという記憶だけ鮮明。あと生まれて初めてかも、という大きな音で耳が痛かったことだけ。

といっても実際はそのころから外装も内装も大幅に改装されて面影はほとんどなかったのだけど。
狭さは相変わらずで、フロアは入り口通路あたりまで満遍なく埋まっていた。客層は男女比8:2くらいで女性がかなり多い。わりと若い人が多い感じもした。

客電が落ち、5人がステージに登場!やはり昔と違ってステージへ上がる通路が出来ていた。
1曲目はモノノケハカランダ。いきなりアップチューンで飛ばしてくる。志村の歌声もガツンと強く響いていて、観客もいきなり前倒しそうになる勢いだ。
「獣の俺 轟け! もうモノノケ ノケノケ!」
さらにTAIFUのイントロが鳴り響くと一気に盛り上がりは最高潮へ。歌詞からなにから奇妙な味わいに満ちているのに、なぜかスタンダードなロックを感じる名曲にして迷曲。和を感じるギターから、もやもやとしたまま突き進むようなどしゃめしゃな勢いから、全てが今のこのバンドの最新モードの礎になっているようだと思った。熱い。
そして不穏なキーボードからビリビリしびれるようなギターリフで一気に世界に引きずり込む地平線を越えてへ。フジファブリックの作り出した完全オリジナルな王道ソング3連発にまいった。ここまで個性を推しだしながらこれだけシーンにすんなりと受け入れられようとしている若手バンドが他にどれだけいるだろうか。

ここでMC。盛り上がりの高さもさることながら、ライブハウスの狭さ、空調の弱さからか早くも酸欠気味な会場。
「こんばんは。フジファブリックです!浜松!熱いですね。フジファブリックは静岡県初上陸です。浜松!熱いですね」
全然熱くなさそうにひょうひょうとした声で志村が挨拶。
このツアー4本目であること、GO FOR THE SUNも並行して行っていることなどを言っていたような。

※早くもこの辺から曲順・曲目自信なし。

Sunny Morningでさらに軽やかに疾走するバンド。この軽さダイナミズムは1st「フジファブリック」にはなかったものだ。「銀河」「虹」で獲得した新たな表現も、すでに十分咀嚼されている印象。涼しげな志村の歌が心地いい。
追ってけ 追ってけは原曲よりテンポが早く、あの間の気持ち悪さがかなり薄れていた。勿体無いようでもあり、ちょっと違った表情が見えた。
「ギターの山内くんが作った曲です」との紹介から披露された幻想的なメロウチューン水飴と綿飴ではキーボード金澤くんがホースのような楽器を振り回しヒュンヒュンと不思議な音を作り出していた。この音、音源にも入ってるんですが、カーステで聴いてると救急車がとおってるのかと勘違いします(個人的に)。
「ほら水飴 混ぜたらあげるよ love you、嘘だよ 綿飴をちょうだい」
唇のソレはやはりかなり毛色の違う感触だった。恐ろしくカラフルでポップなのに、なんだか落ち着かない気持ち悪さ。またまた新たな世界。

MCでは志村からこの県でしかありえない話題が。
「ここ浜松は静岡県ですよね。僕は山梨県人なんですが、静岡県の方に言いたいことがあります」
こう言われたらほとんどの静岡県民はピンとくる。会場から笑いが起こる。
「山梨と静岡と言ったら分かりますよね。富士山、あれは静岡のものか山梨のものかってことですよ」
と志村。
「なんかニュースみたいだよね。竹島問題みたいな」
と金澤。
ここから志村が長々と自説を。曰く「山頂に境界線がある」。曰く「山梨の富士吉田(志村の出身地)から見る富士山はとても綺麗だ」。曰く「山梨のイベントに来た静岡育ちのイエローモンキーの吉井さんは静岡のものだとステージで言っていた」。
で、結論は「でも吉井さんはステージの最後に両方のものだと言ってたんですよ。・・・俺もそう思います」とのことで。

茜色の夕日はやはりとてつもないセンチメンタルを抱えている。その失意の世界の切り取り方は実に見事だし、曲が前半から後半に向かっていく展開とその流れに合致した詩のストーリーは感動的すぎる。言ってしまえば自己陶酔的なのだけど、そこを通過して見えていく景色を描写する俯瞰の視点の湿り気が、ほどよく蒼く、ほどよく強い。散文的なのに感情の流れが苦しいくらいリアルに伝わってくる。名曲。
「茜色の夕日眺めてたら 少し思い出すものがありました」
「東京の空の星は見えないと聞かされていたけど 見えないこともないんだな そんなことを思っていたんだ」
サボテンレコードでは志村が歌詞を間違え素知らぬ顔をすればいいのに「あっ裏返った!いや、裏返ったわけじゃないか」とびっくりするほど素で独り言を言ってまた歌に戻っていくという暴挙に出ていた。

MCでは金澤くんが肺の調子が悪く病院に行った話しを、したのだけどいまいちなんの病気なんだか程度は軽いのか重いのか、詳細が伝わらず観客が微妙な空気に。
「その病院の待合室で変なおじさんがいてさ、ずっと無視してたらいきなり『死ね!』って言われたの。凄いでしょ」
と金澤。
「変な人もいるもんだよねー。病院で死ねって。言っちゃいけないよね~」
と妙に楽しげに返す志村がおもしろい。

後半は銀河マリアとアマゾネスダンス2000といった新旧織り交ぜたアップチューンでさらに飛ばしていく。狭い会場は沸騰寸前で、天井からぽたぽたとしずくが落ちてくるほどだった。演奏は全体的に原曲より走り気味ながら迫力と余裕を感じるものだった。
本編ラストチューンは陽炎どちらかというとミディアムチューンのこの曲はかなりテンポアップしたアレンジで、気持ちのいい盛り上がりを見せて本編は終了。

とにかく熱いライブだった。思った以上にアグレッシブなライブにバンドのモードチェンジがかなり進んでいることを感じた。

熱いアンコールに答えて5人がステージに再登場!
あっけらかんと明るい曲調が新鮮なBirthdayが披露され、ラストチューンは!この突き抜けるようなポップと途方もない決意とその新しくも王道なフォルムは、他では観られない貴重な発明品だ。それぞれのソロも披露され、熱く盛り上がりライブは終了。

全体的に勢いがよく、いままさに転がりまくっているバンドであることが分かりやすく伝わってきた。
ただ、ミディアムテンポの曲をテンポアップしているものが多くかったのはちょっと気になった。ゆったり聴かせる曲と盛り上がる曲がきっちりメリハリがあるといいと思った。

正直なところ、ロック界隈で大絶賛の「FAB FOX」は個人的にはそんなに名盤だとは思っていない。名曲は多いし、とても独特な雰囲気と冒険が詰まった良作ではあると思うけれど、バンドの変化のまだ途中のようで、メッセージも1枚のアルバムとしてのまとまりもないように感じるからだ。
しかし、以前との変化のない1st「フジファブリック」の続編のような作品だった場合、僕はそれを愛聴するし、名盤だと思うけれど、それ以上の傑作がこのバンドから出てくることをほぼ絶望すると思う。

「FAB FOX」は「フジファブリック」で完成度の高い作品を送り出したバンドにまだまだ信じられないくらいの可能性があることを示した作品だと思う。ライブにもそれは表れていて、ある意味去年CDJで観たライブの方が完成度は高かったのに、今回の方がスリリングで「凄いもの観た」という感覚の強いものだった。

フジファブリックにしか出来ない表現はきっとたくさんある。それをこれからできるだけ多く、強く、かたちにして提示してくれることを願ってるし、期待している。
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by kngordinaries | 2005-11-20 23:25 | ライブ


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