GOING UNDER GROUND TOUR “ORION” 名古屋ダイアモンドホール
ワンマンライブとしては去年の6月以来の7ヶ月ぶりとなるこのバンドのライブ。
毎年かなりの本数のツアーを行っているバンドだし、僕は頻繁に参加しているのでこれだけ間があくことは珍しい。とても久しぶりな気分でずっと楽しみにしていた。

開場時間ちょうどに会場の列に並びに行く。
ダイアモンドホールはいつも番号が悪い印象があるのだけど、今回はわりと良番で400番台だった。行ってみるとちょうど階段下の外に並ばなければいけないところだった。
ちょうど角になるところにいて一緒に参加予定の連れが遅れていて一人だったせいか、あとから詰めかける人たちのほとんどに番号を聞かれ、軽くみんなの案内役みたいな状態に。しかしGOINGライブに来る人たちは律儀だ。ほとんどの人がきっちり細かく番号を確かめ合って並んでいる。

会場入りしてロッカーに上着と荷物を詰め込みフロアに入る。まだ前5列程度しか埋まっていない。いつも真ん中かいっさんよりの位置で観ているので今回はナカザ&よういっさん側に陣取ってみた。

客層は10代後半から20代が中心ではあるけど、30~40代くらいの男性も少なくなかった。漏れ聞こえる会話や服装とかから見てもライブなれていなさそうな人がとても多い。
ダイアモンドホールは埋まりきってはいないけれど、こういう普段ライブに行かない層をごっそりライブハウスに呼び込めるバンドが今このバンド以外にどれだけいるだろうか。

そんなこんなを思いながら開演を待っていると、会場に流れる音楽のボリュームが上がっていき客電が消え、ライブは始まった。


※この先、公演中のライブ内容について数々のネタバレがあります。ご注意ください。





暗めの照明の中、5人がステージに登場!
CDJではかかとの骨にひびが入ったため、車椅子で登場したボーカル松本素生も普通に歩いて登場したことに驚きつつ、ほっとした。

STAND BY ME
高まる期待を爆発させるのにふさわしいキーボードのイントロからライブが始まる。疾走するアンサンブル、松本素生の歌声も最初から力強い。
「重ねた年月が僕たちを離してゆく所です」
と悲しい現実をまっすぐな歌声で歌いだすこの曲はこのバンドのど真ん中の最新アンセムだ。後半に向かうにしたがって感情があふれ出していく構成にいつもジンとしてしまう。
グラフィティ
そして今度は一気にこのバンドの長年の定番アンセムへ。張り裂けそうなセンチメンタルを乗せて疾走する蒼い衝動。フロアは一気に熱を増していく。
ムサシノ天使の詩
優しくポップなアップチューンのこの曲に、あたたまった会場に心地いい揺れが広がる。「STAND BY ME」のカップリングのこの曲はカップリングに名曲が目白押しなこのバンドにおいても5本の指に入ると思う。羽根をもがれた天使が叫ぶ願いというモチーフに松本素生の稀有な作家性が炸裂したポップソング。
「もう、ずっと待っていた 飛び立つ日を
飛べない天使を誰かが笑う声」
「深い闇に咲いた光 凍る心を溶かす声
『歌の続きを聞かせてよ』 僕らきっとよく似てるよ」

ここでドラムの演奏が続く中、軽くMC。
「お久しぶりです。名古屋!」
「今日はもう明日東京に帰るだけだからとことんやりますよ!」
松本素生の強い宣言が飛び出しここで演奏がストップ。

素生が一人ジャラーンとギターを鳴らす。なにが始まるのかと思ったら・・・
「さびしんぼう この街ではいつも~♪」
弾き語りのような感じでさびしんぼうを歌いはじめる素生。会場から大歓声が巻き起こる。
「切ないリズムをかかえたままで~♪」
ここでバンドの演奏が重なり曲が始まる。素生が叫ぶ。
「名古屋のさびしんぼう、会いに来たよ!」
これだ。この気恥ずかしいまでの真摯さがこのバンドのライブの真髄だ。
アルバム「ホーム」の冒頭を飾るこのアップチューンは、その甘酸っぱいタイトルとは正反対に、成長して人や場所へ依存しなくなることで、逆に大切な感情の温度を失いつつあると自覚した青年の嘆きを歌った悲痛で切実な内省の歌だ。
そういえばこのツアーの告知広告でのキャッチフレーズは「拝啓、さびしんぼう様」。バンドがこのライブで伝えたいものが、なんだか分かる気がする。
曲が終わり大歓声に包まれる中、ドラムのきびきびとしたリズムがスタート。このテンポ感だけで次の曲が分かってしまう。
ここで素生が一人一人メンバー紹介をしていったのだけど、よういっさんがなぜか紹介されず。(いいのか)
サイドカー
心地いいリズムと松本・中澤・河野の3MCが楽しいミディアムチューン。柔らかくあたたかい雰囲気に包まれる会場。
そして
「去年ずっとレコーディングしていたんですが、そこで生まれた新曲を聴いてください」
とのMCから
Happy Birthday
ポップなアレンジと伸びやかなメロディがどこまでも爽快で明快なメッセージを届ける未発表の最新ポップチューン。
「僕たちは 何度でも生まれ変われる」
と軽やかに告げるこのポップの万能感。バンドにとっても大きな成長を遂げた曲なんじゃないだろうか。重力なんてお構いなしに羽ばたいているような力強さ。

ここで松本素生のMC。
「今日、社長と2人でお伊勢さんにお参りに行ってきましたよ。俺とうちの社長は神社マニアでとにかく神社が大好きなんですよ。いや歴史的なものとか深いことはよくわかんないけど、なんていうの、あの心が洗われるような雰囲気がたまらないわけ。お守り売ってるところの前でこれもいい、あれもいいで大変ですよ。ショッピング感覚ではしゃいじゃって」
観客失笑。
「そこでね。GOING UNDER GROUNDの松本素生さんですよね、ってカップルに言われて、まさか伊勢神宮でうちらの音楽聴いてる人に出会えると思わなかったから嬉しかった!しかもその人たち思春期のブルースとか桜が咲いたらとかのインディーズのころから聴いてたって。凄くない?」
会場拍手。
「でも彼らは今日のライブ来てないんだけどね(笑)。ライブ来ますか?って聞いたら、行かないですって(笑)」
と見事なオチが炸裂。
そして曲へ。
「懐かしい曲を聴いてください」

ランブル
イントロのキーボードの音色がギュッと胸を締め付ける。会場から湧き上がる拍手。歌いだす素生の歌声はこれ以上なく感情がこもっている。
このランブルもさびしんぼうも収録された2nd「ホーム」の内省感とファンタジックな世界は「かよわきエナジー」の若さや蒼さや穢れなさのその先の表現へバンドが向かうための重要なポイントだったし、過渡期的なぎりぎりの感情を詰め込んだ曲たちはライブの要所にしっかりと根付いていると思う。
トゥモロウズソング
静まり返った会場へキーボードのエフェクトが鳴り響き歌いだされる優しくダンサブルなミディアムチューン。言葉の一つ一つがきっちり届く。
同じ月をみてた
イントロの突き進むようなドラムの演奏にグッと心を掴まれる。熱を増していくバンドサウンドと孤独と出会いを歌う歌声が観客を静かに熱くさせる。静かに熱を増す演奏が圧巻だった。

ここでMC。
「知ってる人も知らない人もいると思うけど、年末にさっき演奏した新曲Happy BirthdayのPV撮影をしたときに足のかかとの骨にひびが入る怪我をしちゃって」
と怪我について語り始める松本素生。
「久しぶりにがっつりバンドが演奏してるシーンを撮っていたんだけど、もう一つひねりというかね、パンチの効いた、パンチ効かせたカットが欲しいな、と思って。始め俺バク転するって言ってたんですよ。これでも昔は身軽なデブで有名だったんで。名古屋とかでは分からないよ。埼玉の桶川ではほんとに有名だったの」
「通ってた校区だけのな」
とナカザがつっ込む。さらに話をすすめる素生。
「ここは一つこんな俺でも、こんなダサくてかっこ悪い俺でも、身軽に飛べるってことを、こんなに自由に空を舞えるってことをみせたくて」
観客笑。
「で、現場に用意されたマットを見たら全然薄っぺらいの。これはまずいんじゃねえかと思って急遽前宙にすることにしたんですよ。で、気合入れて本番で飛んだら、足のかかとから着地して怪我したんだっけな」
「お前背中から落ちたじゃねえか」
と再びナカザ。
「そうだ。背中から落ちてなぜかかかとにひびが・・・。あの映像使ってほしいな。使わなきゃ報われない・・・。そんな見所があるPVも楽しみにしててください」
と締めて次のパートへ。

タッシ 
定番のサビ大合唱の前にメンバーそれぞれの独唱披露!素生はハンドマイクでステージ袖の方に移動し、盛り上げ役になり、まずはいっさんがアコギを弾きつつセンターマイクで歌う。続いてよういっさんはなんとラップ!「名古屋」とか「手羽先」といったご当地の言葉をいれながらなかなか上手い!最後は「セイホー!」「ホー!」から「騒げー!」までのステレオタイプなヒップホップのコール&レスポンスで盛り上がる。丈さんはリズムを途切れさせないようにしながらドラム演奏を素生にスイッチしてセンターに出てきて歌声披露。そしてナカザ。
「うちのバンドのセクシー隊長!照明さんセクシーなのを彼に当ててあげてください。思いっきりムーディーな歌を聞かせてくれますよ」
との素生のあおりからほんとに妖艶な照明がナカザを照らす。そしてステージ中央前方のへりに腰掛けて最前の観客の熱狂の前で吐息まじりにハンドマイクで歌うナカザ。
「よっ!No.1ホスト!」
との素生のひやかしも気にせず、後半には軽やかに前列の観客と次々に握手を交わし最後は手を銃のかたちにしてバン!と宙を撃ち抜いてみせた。ナカザファンは失神寸前だろう凄い演出。
そして今度はみんなの声で、というあおりから会場全体で合唱。
「わくわくするのは どきどきしながら はらはらするから きみとぼくとで」
熱く合唱を繰り返しテンポがだんだんと極限まで速くなっていき、最後はゆったりとした演奏に戻りタッシ合唱団終了、かと思いきや・・。
「世界ーのやーまちゃーん~♪」
と「きみとーぼくーとで~♪」のリズムで歌う松本素生。場内騒然&爆笑。さらに
「俺はー食べー飽きた~♪ 今日はービールを~♪ 死ぬほーど飲ーむぞ~♪」
と綺麗にオチをつけて大爆笑でタッシ終了。会場全体でシンガロングしまくる今の彼らのライブスタイルの起源といってもいいこの曲は今に至っても成長していて、やはり最強にして最高だった。
サムネイル
場内の満足した空気を突き破るような爽快なギターリフが鳴り響き、最新作h.o.p.sのラストを飾る名曲へ。気持ちよく飛び跳ねるフロア。
このメリハリある展開が抜群に心地よかった。

ここでMC。
「いいね!いい感じだよ!今日の俺、最高ですよ。やっぱり音楽はいいですよ」
と熱く叫ぶように言い放つ松本素生。
「年末にね、怪我したあとに千葉の幕張のイベントでライブがあったんですよ。俺、怪我してるし凄く不安なままでステージに上がったのね。でも、そんなの全然関係ないんだよ!関係なかった、音楽の前では。最高のほんとにいいライブが出来て、ほんとに楽しかった。全然痛みなんて感じなかったし」
と熱っぽく語る。そしてもっともっと熱く盛り上がっていこうと客席を煽って次のパートへ。

センチメントエクスプレス
性急に刻まれるビートが切ない感情を後押しするライブアンセム。ダイナミックな曲展開に一気に湧き上がるフロア。
そして
「もっともっと行こう!踊るスペースはありますか!足を上げるスペースはありますか!」
ステップ
お決まりのMCからこのダンスチューンが鳴らされると一気に飛び跳ねるフロア。ぐんぐんとヒートアップしていく会場。
そして
「次はうちの王子に歌ってもらいます!」
とのMCから王子がジャカジャーンとギターを掻き鳴らす。その王子のお顔には2006の「00」がレンズになっていて縁が赤いド派手なサングラスをおかけあそばせている。ファンキーだ。
「へーいへいへいナカザ!」のコール&レスポンスから王子がサングラスを客席に投げ捨て曲が始まる。
ショートバケイション
さらに熱気を増して爆発的に盛り上がる会場。伸びやかなナカザの歌声も素生のギターソロも熱い。
その熱狂冷めやらぬなか、つぶやくようにしかしはっきりと素生が言う。
「全ての少年たちへ」
ボーイズライフ
行進していくような力強いリズム。
「永遠みたいな季節を信じて こぼれた涙で前が 見えなくなった時は強く手をつなごう」
歌いだしから心を熱くする少年の決意を歌ったこの曲にやられた。
「けがれないココロで全てをながめた 宇宙の果てまで届いちゃう口笛」
トワイライト
そして鳴らされる決定版アンセム。イントロでは当然のごとく歓声が挙がり、素生がこちらに委ねてくるサビでは大合唱。熱くあたたかい盛り上がりを見せたライブは会場全部が泣き笑いの感情を爆発させて終了。

熱い拍手だけでなく「アンコール!」「松本!」「ゴーイング!」といったいろんな言葉の熱いコールがあったアンコールの呼びかけに答え、5人が再び登場!
ここでのMCで素生に対するナカザの返事が
「小力っぽくない?」
と素生に言われ、客席からの「切れてんの?」の声に
「切れてないっすよ」
となかなか似てるナカザの小力が炸裂!場内爆笑。
「もうさ、やめようぜ。学生の飲み会のノリじゃん。・・俺は嫌いじゃないけど」
と照れ笑いのナカザ。
ここで次のシングル&アルバムとツアーでまた名古屋に来ること、それは6月17日名古屋ダイアモンドホールであること等々を告知。ツアー絶対行きます。
「グッバイベイビーという新曲を聴いてください」
グッバイベイビー
これがとてもポップで、なおかつとてもダイナミックな展開のある最高の曲だった。「エンドロール」「ストーリー」等々、映画をモチーフにしたような歌詞も聴き取れたけれど、「トワイライト」や「センチメントエクスプレス」に通じる世界があったような。
こんな曲が収録されるアルバムはどんなことになっているのか、期待が募った。
ハートビート
ここでこの最強アンセムでまたまた大合唱!が、今回は出来るだけ小さい声でささやくように歌って、というリクエストで会場中が静まる中かすかなささやき声のサビが鳴り響いた。もの凄く異様な、でも秘密を共有しているようなとてもくすぐったく楽しい演出だった。
ここで大団円でアンコール終了。

すぐに客電が付き、場内BGMが流れ出したけれど、ほとんどの観客は熱くアンコールを送っている。公演終了のアナウンスもなかったのでありそうな雰囲気。

そして熱いアンコールに答えて3度ステージに5人が登場!
松本素生のTシャツには彼の顔がでかでかとプリントされ、真ん中には「RICE IS DRINK!!」の文字がデザインされている。
「これファンの方からもらって、着させてもらいました!ここに来てるらしいんだけど、いるかな?」
最前列のある女性が答える。
「おお!なんて名前?近藤さん?ありがとう、近藤さん。コンちゃん。着るよ!もちろん」
などと1対1での会話も微笑ましい。
そして名古屋の地下鉄はアナウンスが何ヶ国語も流れるのにビックリした、という話からよういっさんのポルトガル語での自己紹介も飛び出したり、
「あの曲やっちゃう?」
という素生の適当MCから「あの曲ってなんだよ」とまわりに追い詰められた素生により「死んだはずだよ お富さん~♪」という有名な民謡(すいません。曲名わからず)を一節披露したり、和やかな雑談ムードが広がる。ステージも客席も笑顔笑顔。

この最高のライブの締めくくりは「その10メートル先を抱きしめたいだけ」と歌うこの曲。爽快なアップチューンでライブはここでついに終了。

いやー、最高だった。言うことなし、大満足の最高ライブだった。
CDJでのライブは素生本人にとっても大きかったことがこの日のMCでよく分かったし、実際そのパフォーマンスは以前以上におセンチに熱くさらに自由に音楽を楽しむ感じになっていた。

バンド全体の雰囲気・演奏もとてもまとまりがあって、どの曲も輝くような魅力があったし、盛り上がる曲、聴かせる曲、大合唱する曲、踊る曲、とメリハリがあって、・・・とにかく最高。(アホか)

そしてHappy Birthday、グッバイベイビーという披露された新曲たちがとてもよかった。評価の高かったポップな「h.o.p.s」をさらに進化させたようなポップ感に胸が踊った。これらを収録した新作、そして3~7月に予定されているという超ロングツアーで、バンドはどうなっていくのか、期待が天井知らずに高まっている。

ライブ中、もっともっとと煽る松本素生の熱さは、CDJ以前のライブには観られなかったように思う。その熱さはきっとバンドをいい方向に転がしてくれるはずだ。

まあその前に、この日の最高のライブにとにかくひたすらに感謝します。ありがとうGOING UNDER GROUND。

石原聡の一日一善、「1月9日 名古屋だみゃ〜」にトラックバックさせていただきました!
いっさん、最高のライブをありがとう!
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by kngordinaries | 2006-01-09 20:34 | ライブ


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