アナログフィッシュ ハルコ・スプリング・コレクションライヴ・ジョントポール ジョン・デイ 新宿ロフト
直前になって、仕事の休みが取れることになったため、ライブ前日にダメもとで譲ってもらえる人を探したところ、もの凄い幸運ですんなり見つかり、この日を迎えることになった。

思えば関東圏でライブを観ること自体が初体験。どのバンドのツアーでも公演数も集客も断トツな言わばライブ玄人の地域、どんな感じなのかとそれも興味深かった。

新宿の街を散策しつつ、ライブハウスをまずは下見。
新宿を歩くのも初めてだったけれど、なんだかもの凄く雑多で騒々しく、そして怪しい街だ。根が田舎者なのでなんだか怖い。
新宿ロフトはうらぶれた路地に面した雑居ビルの地下にあった。

ソールドアウトだけあって、入場も多少混雑しつつ会場入り。バーのような雰囲気のあるフロア。
下岡側5列目くらいに陣取る。

ライブ前にこれだけわくわくするのも久しぶりだ。
単なるアナログフィッシュのワンマンではなく、今回は下岡ボーカル曲オンリーというありえない趣向のライブなのだ。まったく予測が付かない。いったい何が待ち受けるのか、バンドメンバーにだって、実際やってみないとわからない要素がたくさんあるだろう。

期待と不安が入り混じった高揚の中、ライブが始まった。


※この先ライブ内容が詳細に語られています。一夜かぎりのライブなのでMore機能は使いませんが、ご注意ください。


いろいろな種類の蝉やその他動物の鳴き声が入ったSEが少しずつ少しずつ音量を上げていく。なんとなく田舎の夏、というイメージのSEが目いっぱいの音量になってきたところでステージが暗転し、3人が登場。
のどかないなかのしずかなもぐら
SEの雰囲気に連なるようにタイトルどおりまさしくのどかなイントロから始まるこのスローロックナンバーでライブは始まった。前の京都でこの曲の主人公が上京した感じが最新シングル「Living in the City」と言っていたけれど、その辺の流れも意識されてそうな選曲だ。曲後半になるにしたがって、のどかさの中で募る焦燥や狂気が爆発していく様がいつ聴いても圧巻。
心なしかいつも以上に下岡の歌が強い印象。
ハーメルン
さらに下岡ワールドの深層を掘り下げるようにミディアムチューンが続く。不穏な世界観がフロアを支配していく。
鰯(新曲)
そして未発表の最新曲へ。怯えているように弱々しいA・Bメロからそれでも少しだけ力強く飛翔し、「朝も昼も夜も」と生活の中の決意を歌うシリアスでポップな1曲。ここのところの街を俯瞰で観る視点とちょっと違う「魚の目をした青年」の個人的な心情が語られているところも新鮮。
「魚の目をした青年は 夜中にひっそり爪を研ぐのさ」
キッスツアーとトミノコウジと今回で都合3回この曲を聴けたけれど、聴くたびに胸が震える。ドラマチックだけど、このバンドにしてはとてもシンプルな曲構成も相まって、まっすぐに心に届く。名曲。

「アナログフィッシュのライブ、ジョン・デイへようこそ」
と、まずは斉藤が口を開き、佐々木と口々に観客へ挨拶を。
「下岡さん、というかジョンがまだ一言もしゃべってませんね。下岡さん」
とやおら下岡に振る斉藤。
「あ、どうも。・・・てかさ、ビートルズに思い入れがある人から見たらさ、俺がジョンとかいうのって腹立たしいもんなのかな。どうなの健ちゃん」
「ん・・・ちょっと(と親指と人差し指で小さな隙間を表現)」
と返す佐々木。
観客爆笑。
「嘘です!すみません」
別にそこで謝る必要はないんではないかと。

テキサス
さらに沈み込むようなディープさとメロディの強さが印象的なスローチューンで、ずぶずぶと下岡ディープゾーンへさらに引きずり込まれていく。
バタフライ
さらにディープでアグレッシブなロックチューンのあと
「公平なワールドという新曲をやります」
という下岡の紹介から次の曲へ。
公平なワールド(新曲)
ここにきて初披露(多分)の新曲。これも曲構成的にはシンプルでまっすぐな歌もの。タイトルのとおり「公平なワールド」ってなんだろう、ということをリスナーにざっくりと突きつける「BGM」や「Living in the City」にも似た問いかける1曲。街の中にある、世界の中にある、大切ななにかを探し続ける下岡の最近のテーマがここにも連綿と息づいていた。抜群にロックだ。
「僕らが寝てる間に 地球の裏側でなにが起きてるか知ってる?」
「公平なワールド 公平なワールド このワールドは 公平なワールドかい?」

「俺らこの日のために江古田の地下のスタジオに1週間こもって、練習してきました。今日はその成果がお見せできて、楽しんでもらえればと思ってます」
と下岡。ここで足元のエフェクターを押し間違えたのかビビーっと変な爆音を出す下岡。
「おお!」
と目をパチクリさせる下岡。
すかさず斉藤
「これが成果です」
会場笑。
「うるさいよ!」
と下岡。
これはあとでもう1回繰り返され
「成果その2」
と言われていた。

続いて下岡が曲紹介。
「じゃあちょっと初めての試みをやります。ラジオ」
ラジオ(下岡ボーカル)
驚きの歓声が上がる中、始まる下岡版「ラジオ」。これが意外とはまっていて楽しい。ところどころ佐々木版とメロが違うのは、アレンジか間違いか。
さらに下岡が
「ここでスペシャルゲストボーカルに登場してもらいます。斉藤州一郎!」
「人の曲ですけど、1曲歌わせてもらいます」
と斉藤。
うららか(斉藤ボーカル)
さらに驚きの展開に客席が戸惑っているあいだに斉藤ボーカルが歌いだす。歌謡テイスト溢れる「うららか~」という下岡&佐々木のコーラスも愉快な1曲。あとで知ったところでは大瀧詠一の曲のカバーとのこと。
曲が終わって下岡が口を開く。
「楽しいですね。まあ・・・ここは飛び道具ゾーンなんでね、なんでもやります」
「(俺は)飛び道具かよ!」
と見事な斉藤の突っ込みを受けてました。
「今日はジョントポールということなんで、俺が上京したてのころに作った『ジョン』という曲をやってみたいと思います」
との下岡MCから
ジョン(過去曲)
ちょっと弾き語りチックなミディアムチューン。しかし下岡の無限大の脳内宇宙を感じさせるような世界観はしっかりとある、ディープな1曲だった。

ここで飛び道具ゾーンは終了し、MC。
「お前透けてるよ!」
と斉藤が佐々木の汗でびしょ濡れの姿をみて言う。
「ほんとだ。俺も思った。ポール、透けてるヨ(微妙に外人風)」
と下岡。
「オゥ!ホントだ(同じく)」
と返す佐々木。会場笑。
続いて語りだす下岡。
「今日は暑かったですね。昨日の夜パソコンで今日のSEのせみの声とか延々と作ってる時に(とキーボードをカタカタする動作をみせつつ)あぁ~、明日もうちょっと暑くなればいいのにな~、と思ってたらほんとになりましたね。・・・でも、やっぱり暑いのは、やだね(笑)」
と自分でオチをつける。
「今日、30度越えたらしいですよ」
と佐々木。
「(佐々木の尋常じゃない汗の量は)でもそのせいじゃないだろ、絶対」
と斉藤。
「うん、俺もそう思う」
と下岡。会場納得。

ナイトライダー ナイトライダー2
ハードボイルドでロックテイストの強い下岡の連作が連続で披露され、静かに熱く盛り上がるフロア。『2』が終わり、下岡がボソッと次の曲紹介。
「スリー」
会場内のそこここで戸惑いが広がる。まさかまさか・・・。
ナイトライダー3
曲が始まると明らかに歌詞でも夜の街を走ってるというような言葉が登場し、紛れもなく「3」であることが分かる。「ヘッドライト テールランプ ヘッドライト テールランプ」というリフレインは佐々木と斉藤がコーラスで。前2作に比べてさらに開放的なサビが印象的。

暗転するステージでしゃかりきにガッツポーズを繰り返す下岡。拍手する観客。
「やったー。3までやったぞ。やった!・・・調子に乗って3まで作りやがって!(観客爆笑) て思う人もいると思う。俺も思うし(笑)」
といつになく興奮した面持ちでジョークを飛ばす下岡。
「スリーまでできたので、この機会に皆さんに聴いてもらおうと思って」
さらに下岡が語る。
「俺が最近つくる曲には街についていろんな角度からみてる曲が多いんだけど、ほんとに(街には)いろんなものがあって・・・。たとえば俺、ケミカルジーンズは履かないのね。それは俺がテレビとか観たり本で読んだりして知ったことじゃなくて、(街にいたら)ケミカルジーンズは履かないほうがいいってことが分かるんだよな。そういうところがあるんだよ、街には」
とわけの分からない、でも少しだけ伝わるものがある言葉に場内笑。
「じゃあ、街関係の曲をまとめてやります」

シムシティ(新曲)
「僕は街を作ろう」という下岡らしい歌詞も印象的なリズムチェンジや転調が連続するダンサブルなロックチューン。
シティ(新曲)
さらに「パーパーパー♪」というコーラスも印象的なこの曲はもうライブではお馴染み。

曲が終わり、静まる会場。斉藤が口をパクパクさせ、何かを佐々木に伝えようとしている風。佐々木、それに一生懸命にうなづく・・・・が。
「すいません、ぜんっぜん分かりません!」
多分斉藤も伝える気がなかったと思われます。
ここで下岡が曲紹介。
「5月にシングル『Living in the City』が出ます。凄いいい感じに出来たと思ってるのでぜひ聴いて、買ってください。じゃあ最後『Living in the City』」
Living in the City
イントロから開放的で穏やかなサウンドが心地いい。このバンドにとっても新鮮で新しい一歩となる1曲だと思う。シビアな問題意識と、それでも生活することを肯定的にとらえた世界観が正しいし、優しい1曲。
ここで本編終了。

アンコールで登場し、下岡が口を開く。
「ジョン・デイということで、俺昔のCDとかいろいろ聴き返してこの曲久しぶりにやろうかな、とか考えて、となると流れ的にこうで構成はこうで・・・とか考えてくと、ああ!もういいや!とか思ってしまって。今は新曲がどんどん出来ていて、それを早く聴かせたいと思っているので、こんな新曲ばっかりの感じになりました。それで楽しんでもらえてたなら、嬉しいです」
とニッコリと笑う下岡。いつも飄々としてるこの人もこの日のライブには相当なプレッシャーを感じていたのかも、とふと思った。
「じゃあ最後くらいはお祭りな感じで。Hello」
Hello
始まった演奏がどこかおかしいと思ったらギターの音が出てなかった模様。それでも演奏を続けるよう2人に指示する下岡。そして
「ビックリした」
と一言言ったあとで叫ぶ。
「ハロー――――!!」
一気に波打ち前方に押し寄せる観客。掲げられる腕、腕、腕。
どうしようもなく毎回熱く盛り上がる最高のライブアンセム。さらに
「Do you still need BGM?」「No thank you!」
のコール&レスポンスが3回繰り返され、そのたびに裏返ったよな声で叫ぶ下岡。
BGM
さらに観客が前方に押し寄せ軽くモッシュ状態でめちゃくちゃな盛り上がりに。
最高の盛り上がりの中アンコールも終了。

熱冷めやらないフロアからのアンコールに答え、3度3人がステージに登場!
斉藤が
「ありがとう!う!」
と「う」を強調して佐々木に振る。
「う・・・(物凄く戸惑う)・・・・馬!(元気よく)」
会場失笑。
「今のはしりとりがしたかったんじゃなくて、『ございます!』って言ってほしかったんだと思うよ。ありがと、馬!ってギャグだから。ありがと、馬!(笑)」
との下岡の解説にうなづく斉藤。
3人が3人ともちょっとおかしな人たちだということがよく分かる光景。
「明日はポール・デイなので、あの、よろしくお願いします!」
と佐々木。
会場から「ポール!」「ポール!」とのコールが沸き起こるがうまく返せない佐々木氏。
「ぐだぐだじゃん。もっと上手く合わせないとポ ポール ポポールみたいになってたじゃん」
と下岡が佐々木を叱る。
「アンコールありがとう。じゃあほんとに最後の曲。君の住む町はどんな感じ、僕の住む町はこんな感じ。Town」
Town
最後にきてこの超名曲。ただ、下岡氏の喉が限界にきていたようで、いつものめくるめくような世界は展開されていなかった。お疲れ、ジョン。

様々な趣向もあり、イベントライブとしてのおもしろみがたっぷり詰まったいいライブだった。といっても、本人たち特に下岡にとってはかなり試練でもあったと思うし、緊張感もあるものになっていたと思う。

おそらく初披露だった「公平なワールド」「ナイトライダー3」はさらに次回作に期待を募らせるだけのすばらしい曲だった。

面白い企画で楽しませながら、新しい曲を凄いスピードで作り上げながら、今もバンドがバキバキと音を立てながら変化していってるということがよく分かる素敵ライブだった。
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by kngordinaries | 2006-05-04 14:46 | ライブ


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