奥田民生 Cheap Trip 2006
待望にもほどがある。奥田民生の6年ぶりのツアーライブDVDというものは。

前作は2000年のGOLDBLENDツアーのときのものだった。
それ以降、OTは2枚のオリジナルアルバムと1枚のミニアルバムをリリースし、さらには車ソングとライブ音源の編集盤、O.P.KINGとしての活動、THE BAND HAS NO NAMEとしての活動、広島市民球場でのひとり股旅スペシャル、それに伴う銀幕デビューをしてダンスの才能開花(?)、PUFFY・木村カエラへの楽曲提供、等々、これでもまだまだ全然書ききれないほどの活動を繰り広げた。

98年あたりからまったりとしたライブの雰囲気が定着していたらしいOTが一気にギアを挙げ、「荒野を行く」や「トロフィー」の歌詞を例に上げるまでもなくGOZというバンドとして完成をみたのが「GOLDBLEND」ツアーだったんだろうと思う。その熱さ、輝きはDVDにしっかり刻み込まれている。

そこから「The Standard」「custom」という超名曲を軸に展開したOSTC、演奏・ライブ感重視の方向に一気に振れた傑作ロックンロールアルバム「E」を携えスーツ姿で魅了したE、未発表の新曲を次々に披露し人ばっかという究極の飛び道具も飛び出したOT10、と1ツアー1ツアーが音楽的アイデアと遊び心に富んだ充実の内容で展開しつづけた。
夏フェスにでまくりそこでもツアーで培ったスキルを存分に発揮するものだから、フェスの守護神などともてはやされ、いつのまにか日本のロックを背負ってるかのような大物扱いをされるまでに至った。OTの巨大な才能を思えば当然といえば当然の話(←愚かなファン心理)。
その全てにおいて順調なOTのミュージシャンとしての歩みはつまりはGOZというバンドの歩みだった。

2005年初頭、新バンドMTR&Yによるミニアルバム「comp」のリリースとツアー“MTR&Y 05”が決定。
ことさらに声高なアナウンスはしなかったものの、これはOT史上においてもの凄く、とてつもなく、いやもうそれはそれはビッグ・バンをも凌ぐ衝撃的な出来事であったのだ、今思えば。いや、このDVDを観れば、か。

というわけでやっと本題に戻ってきたけれど、今作は単に待望というよりは10年間パーマネントなバンドとして活動してきたGOZを休止して、昨年結成した新バンドMTR&Yの初ライブDVDとしてとても興味深いものになっている。

当たり前だけれど別物のバンドのライブになっている。
これまでのツアーやフェス等でのライブでも音の面の変化ははっきりと伝わってきていたけれど、実際ステージ上のOTのたたずまい、メンバーと交わす視線、ギターを弾きながら歌うスタイルまでかなり変化していることが映像を通すととてもわかりやすく伝わってくる。

しかも重要なのは、それをOTがとても高いテンションで楽しんでやっていることなのだ。
確かにGOZとは完全に別物のバンドになっているけれど、これも確実にOTのロックDNAの中にあったスタイルだからだ。それはレコーディングでのNYやLAのバンドでの音源や、Beautiful Songsで披露した3ピースや、O.P.KING等で少しずつリスナーにも披露されていたもので、このバンドでついに全開になってほとばしっている。

新曲「KYAISUIYOKUMASTER」のグルーヴはどうだ。
「快楽ギター」の出だしのロックンロールな演出のかっこよさを観ろ。
「トリッパー」のOTのギターにバンドの音が重なる瞬間なんて鳥肌ものだ。

MTR&Yとしてライブを始めてまだ1年に満たないときの映像でこれだ。
十分に磐石なミュージシャンとしてのサクセスを踏み外してでもOTが掴みたかったものはこれだとはっきり伝わってくる。
簡単に言って、とんでもなくかっこいい。

もうすぐシングル「トリッパー」から9ヶ月ぶりのシングルが届く。
このDVDにも収録されている「MANY」と「KYAISUIYOKUMASTER」だ。
きっとここから次のアルバムへ向けて展開されていくんだろう。もしかしたらもう出来ているのかもしれない。
その前に夏フェスも待っているし、41歳のOTにますます期待せずにはいられない。
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by kngordinaries | 2006-07-11 02:04 | 音楽


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