Re:mix 2006 その2
地下にあるアポロシアターから地上へ出てきて、さてMO'SOMEへ、と行こうとして道端の機材車が目に止まる。そこで荷物を運び出している見覚えがある3人組。
それはアナログフィッシュでした。
下岡氏は茶色のニットを被り、斉藤氏はキャップ、佐々木氏はハット。斉藤氏はハーフパンツ。それぞれがギターケース等の荷物を持ち、佐々木氏にいたってはステージ衣装のスーツが入ってると思われるクリーニングしたての荷物も。
「あーやっぱりクリーニングとか出すんだ。ライブ続くと次の公演に間に合わないだろうし、何着か予備があるんだろうな」と思いました。ステージに立つスターの裏の現実を観てしまった、というほどのショックは別になかったけど親近感が増しました。
数分間ガン見してしまいましたが、他の方数名がするように声援を送ることもせず、関係者入り口に消えていくまで見送ってダイアモンドホールへ向かうことに。

そして5階のダイアモンドホールにたどり着くと、ちょうど目の前の関係者用のエレベーターが開き、出てきた見覚えがある3人組。
それはアナログフィッシュでした。
おおっと思っていると、フロアから去っていく3人。

会場に入るものの、MO'SOME TONEBENDERのライブはすでに中盤で、当然びっしりの観客に会場内にもギリギリは入れるレベル。まだイベントは長丁場で後半もあるし、空腹を感じたため、ここは早めの食事休憩といこう、と思いフロアを出る。

そしてダイアモンドホールを出て階段を下りようとしたとき、なにかの気配を感じて後ろを振り向くと、僕についてくるように階段を下りようとする見覚えのある3人組。
それはアナログフィッシュでした。
え?と思ってちょっと固まると、3人も後方に振り向き、係りの人にアーティストはエレベーターで的な注意を受けて戻っていきました。短時間に3度アナログと遭遇とは。びっくりでした。

食事を取りおえ、まったりと長い休憩を取り、19時過ぎに会場へ戻り、休憩・物販スペースを物色し、さきほど目をつけていたチケットを購入。先行販売のため整理番号が早い早い。

そしてPOLYSICS待ちでダイアモンドホールのフロアに入ると、その場に座り込んでライブを待つおびただしい数の人、人、人。若手の勢いのあるバンドのライブアクトがこれだけ立て続けに行われる長丁場のライブ、相当消耗してぐったりの人も多かったもよう。
しかしPOLYSICSが登場し、
「行くぞ!ラスト8曲!!」
とハヤシが叫ぶと一気に湧き上がるフロア。一瞬にしてもの凄い盛り上がり。
カジャカジャグーでひとしきり壊れたように踊り狂って、このへんでキャプテンストライダムに向かうため、フロアを出る。

アポロは入場規制もありえるので、開演の大分前に行って、かなり後方ながら観やすい位置に陣取る。思えばキャプテンストライダムのライブは初。なんだかもう何度か観てる気がするくらい妙に親近感のあるバンドだ。
ステージでは音チェックをメンバー自身でしていた。僕がよく観るバンドで自ら音チェックをしているバンドというとアナログフィッシュとSTANで、どちらもセッションしまくるタイプ(その内容は大分違う)だけど、このバンドはそれぞれが音を確かめている感じだった。それぞれのバンドでいろいろなかたちがある。
なんだか憎めない顔をしたサポートのギタリストがマイクチェックをしていて
「ヘイ、ヘーイ。ヘイ。アー」
と普通にやってるな、と思わせておいて
「ヘイ、へ・・イェエエ~~イ!!」
とおもむろにいきなりをテンション上げて、片手でガッツポーズを突き上げながら叫ぶ。会場爆笑。
その後、他のメンバーがステージを降り、一人残った永友くんが同じことを3、4回、しつこいほど繰り返すので場内は笑いの渦に。

しばらくして定刻になりキャプテンストライダムが再び登場。
「みなさん、今日のことを絵日記に書きましょー!」
と叫ぶ永友くん。梅田くんも手拍子で煽ったり、とにかく最初から陽性で開かれた、エンターテインメントな立ち振る舞いが楽しい。
ヤルキレスフランクフルトと、ゴリッとしたサウンドにどこまでもポップなメロが乗る感じがとても心地いい。永友くんの熱いけどすっきりとした歌いっぷりがとてもいい。
MCでは、サポートのギタリストも含めて全員で絶妙な掛け合いをしていて、仲が良さそうでとてもいい空気感。夏の思い出話では菊住くんが実家に帰ったら母親の部屋にペ・ヨンジュンのポスターが貼ってあった、という話を。
「ショックでしたよ。別にペ・ヨンジュンが好きとか嫌いとかじゃないですよ。ただ、、自分の母親の部屋にポスターが貼ってあるのは、ねえ」
とかなんとか言ってました。
後半はマウンテン・ア・ゴーゴー・ツーやU・I・R・O(ウイロー)のコール&レスポンスで盛り上げ最後はやはり最強ダンスチューンキミトベ
どこまでも観客を楽しませるツボを知っていて、全力で尽力するというちょっとGOING UNDER GROUNDのライブにも似た印象の最高ライブはここで終了。かなりギュウギュウのアポロが熱く盛り上がった。

そしてライブ終了と共にかなりハケていく観客。
このぐらいのハコはキャプテンストライダムにとっても、アナログフィッシュにとっても、全然小さいだろうけれど、それでもこうして観客がごっそり入れ替わって、開演前に到着すれば十分観られる状況になるのは、ダイアモンドのアクトも後半より強力なメンツになっているからだし、出演バンド数が多いことによる観客の多様性が生まれていることもあると思う。その辺の計算が、このイベントはめちゃくちゃよくできている。

夏フェスなんかに行っていても「こんなにいいバンドが今ここでやってるのに、なんで別のステージに行くかな」とか前は思っていたけど、今は逆にその価値観の多様性を理解できてきて、逆にそれを信じて行動したりするし、それが感じられることが一つの楽しみになってもいる。
自分的に音源を聴いていて評価が今ひとつだったバンドも、ライブを観て、そこでの観客の盛り上がり方やポイントを見ていると、途端にそのよさが分かったりもするし。
その辺がワンマンとはやっぱり全然違うし、複数ステージ・複数組登場するこのイベントもそういう楽しみ方を提供してくれるものだと思った。

アナログフィッシュ、本番前のサウンドチェックには今回は珍しく斉藤のみしか出てこず、ベースとギターはスタッフによるチェックが行われていた。
ほぼ定刻にアナログフィッシュの面々がステージに登場。佐々木がステージ前方までせり出してきて変顔で煽る煽る。怖い。
そしていきなりHello前のお約束セッションでスタート。いきなりこの曲でスタートするとは思わなかった。一気に湧き上がるフロア。
「ハロ――――!!」
下岡のシャウトからHello。最初から演奏のテンションは最高で、勢いよく音をぶつけてくる。さらにBGMスピードと、ここのところの鉄壁のセットで畳み掛ける。スピードの間奏での下岡佐々木のスクラムは、もう定番なのだろうか。
このへんでMC。
「こんばんは。アナログフィッシュです」
と斉藤。
少し間を置いて
「こんばんは。アナログフィッシュです」
と斉藤。
さらに少し間を置いて
「こんばんは。アナログフィッシュです」
と斉藤。
なぜか3回繰り返す。
そして名古屋でのライブは久しぶりであること、次のライブは「ROCKS」のイベントであることなどなどをまったりとトーク。
「それじゃ、次はLiving in the cityという曲をやります」
との下岡の言葉からLiving in the city。温かく穏やかなイントロからもう最高だった。今ここで生きているということ、生活をしているということをシビアに見つめながらも肯定的にとらえたその世界観は、今まで誰も表現したことのないものだ。画期的だけれど、今まで無かったのが不思議なくらい普遍的な楽曲。「イージュー★ライダー」や「LIFE」のようにエバーグリーンな僕らの歌的な大きさを感じる。
「Living in a city 退屈さ今日も」
「僕らは今日も 暮らし続けるのさ」
そして最新シングルアンセム。狂おしいほどの葛藤や焦燥をどう消化するか、というのが佐々木のずっと変わらないテーマだと思うけれど、この曲はこれまでの作品の中でももっともタフに穏やかに歌うことでその答えを探し続ける決意を歌っている。
「ハミングが溶け出す 地球の午後 Say hello 悲しみもためらいも 追い越せる様に 歌を唄う」
「僕の体を駆け巡った 世界を彩るメッセージを 探してるよいつも 探してるよいつも」
そしてここでMC。今年に入ってからずっとレコーディングをしていて、それももう終了したことが語られる。
「多分、11月か12月には出ると思うので、ぜひ買って聴いてください」
と下岡。
そして新曲をやります、というような前置きからmagic
曲紹介からもの凄くテンションが上がってしまった。昨年末から未発表の新曲をガンガン披露していたけれど、そのほとんどを一度は耳にしていたのに、1曲だけ聴けていなかったのがこのmagicだった。
曲調は明るく開放的なアップテンポ。「ちっちゃなころに間違った魔法にかかって」と歌われる歌詞はQueenやハーメルンに通じる白昼夢のような幻想感もあり、イワシのような物語性もあり。とにかく曲の展開を追いながら聴いてるだけで笑みがこぼれる最高のポップチューン。メロディもアレンジもとても心地よかった。こんな曲を聴いてしまうと、まだまだこのバンドへの期待が無限大に広がってしまう。
また、演奏のアンサンブルと歌唱の細やかなニュアンスに集中力を研ぎ澄ませている感じも素晴らしかった。最近のライブでは、特に冒頭の3曲のように勢いや盛り上げ重視の曲の場合、細やかなこだわりよりざっくりとドライブ感を重視していると思うので、このピリピリするくらいの音のせめぎ合う感じが嬉しかった。
そしてラストは世界は幻。このライブ唯一のスローチューンは、会場の空気を一変させ、そのずっしりとしたロックの快感で魅了する。佐々木の力強い歌声が胸を震わせる。
短時間の中で、このバンドのいろいろな魅力を凝縮してみせたような最高ライブはここで終了。

アポロシアターのアクトはアナログフィッシュでラスト、そうなかなか大役を仰せつかっていたのだ。この最高のライブに当然、アンコールの拍手が巻き起こる。
と、なにやら中央にマイクスタンドを持ってきたりいろいろとセッティングを開始するスタッフ。佐々木弾語りか、アコースティックか、とこの後の展開に期待がつのる。

そして再び3人がステージへ。
「ありがとうございまーす!」
と佐々木。
「じゃあ、ここで3人でアカペラを披露したいと思います」
と下岡を横目で見ながら斉藤。観客、戸惑い気味に拍手。
「・・・そんな目で観ながら言うから、どうしようかと思ったよ(笑)」
と下岡。どうやらジョークだったもよう。
「じゃあ健ちゃん」
と佐々木にふる下岡。
「はい、え・・・僕らこの前、キャプテンストライダムと対バンを回っていて、一緒にセッションをしたりしていたんですけど、今日このイベントでもこの前がキャプテンストライダムだっていうことで・・・ちょうどいいんじゃないか、という話になったんです」
と佐々木。会場大拍手。
「えっと、じゃあキャプテンストライダムです!」
そしてキャプテンストライダムの3人が登場!会場大拍手。
「ちょうどいいって(笑)」
と永友。そして会場を煽って観客全員で「ちょーどいい!」コールを。
「皆さん、今日のこのアンコールのことを絵日記に書きましょー!」
と永友。さすがにライブの盛り上げはアナログより全然上手。すでに場を掌握している。そして
「このメンバーで、みんな誰でも知ってる名曲をやります!」
との言葉からギター下岡、ベース梅田、ドラム斉藤の演奏で始まった曲は、なんとPUFFYの渚にまつわるエトセトラ
会場中、笑顔笑顔の最高セッション。大きな盛り上がりをみせてアポロシアターでのライブは全て終了。

大きな満足感に浸りつつ、もうこのまま帰ろうかとちょっと思ったものの、the pillowsを覗きにダイアモンドホールへ。途中、物販・チケットスペースへ寄る。
数組のバンドのグッズに対して一人の販売員、みたいな中、STANグッズの前にはSTANTシャツを着た明らかにSTANグッズのためだけにいるおじさんがいた。STANの出番の時間から考えてももう購入者はいないだろうに、その頑張りに心の中で拍手。
チケット売り場を見ると、さきほど購入したチケットが先行分はもう売り切れたようで、さっき買っておいてよかった、と胸をなでおろす。

そしてthe pillows
かなり長いキャリアがあること、多くのミュージシャンに愛されてること、ドラムがO.P.KINGのしんちゃんであること、そして長いキャリアの中で今が一番状況が盛り上がっているというとても幸福なバンドであること、等々いろいろ知ってることはあるのに、一度もちゃんと曲を聴いたことがなかったこのバンド。
ぎっしり埋まったフロアの一番後ろで観たけれど、もの凄く真っ当に素晴らしかった。
がっちりと固まった熱く上手い演奏と、卓越したメロディーと、まっすぐ突き刺さるボーカルの歌声。必要以上にラウドでも速くもないけれど、十分に衝動的で攻撃的。それでいてポップ。
中盤のMCでは今度のミスチルとの対バンについても
「俺らにとっても、まあ厳しい戦いになると思うんだけど(笑)、みんなもチケット取るの大変だと思うし」
とここで一人の観客から「もう取ったよ」との声。
「え?もう?どうやって」
と聞く山中。それにちゃんと答えようと話す観客に山中が
「うん・・うんって誰だよ、お前!」
会場笑。いい感じにフレンドリーだけど遠慮なく乱暴で、そこがよかった。
これは一度ちゃんと聴いてみないと、と思いつつアンコールまでしっかり観てしまった。
時間は22時15分、開演から7時間以上に渡って行われた長丁場のライブイベントはここで全て終了。


いやもうお腹いっぱい。多数のロックバンドのライブをこれでもかと堪能できた素敵イベントでした。
出演者数やタイムテーブルの組み方や会場の動線、スタッフオペレーション等々もとても慎重に考えられていて、素晴らしかった。
ただ、これも上手くイベントが進行した要因ではあるけど、ある程度ジャンルが限定されていた感があって、そこはもう少し広げても楽しかったかな、と思った。倉橋ヨエコくらいしかロックバンド以外がいなかったし、パンク・エモ系もポストロック系もなしというのは、少し狭すぎる気がちょっとした。
あと今回ばかりは名古屋という土地柄にも感謝感謝。当然だけどこの規模でこういうイベントは東京や大阪では絶対に出来ないし、逆に地方都市でもしかり。妙に観客の客層が偏ることもなく、遠征組も多かったけど、夏休みの楽しみできた風の学生や、お祭りごとだからという感じで普段ライブを見なそうな感じの人もかなり見受けられたし。


まあ結論としては、もうなにがなんでも来年もやってください、ということです。出来れば次は土日で!(←自分勝手)
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by kngordinaries | 2006-08-27 23:29 | ライブ


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