ロックロックこんにちは! PIRATES of the 10RIBBEAN 泉大津フェニックス その2
16時50分、熊井吾郎とDJ SHUHOのトラックに乗って、KREVAがはっぴを羽織ってステージに登場!
すぐに曲が始まるかと思ったら、訥々と喋り続けるKREVA。このステージで最高のライブを見せたいと語る。
「去年のロックロックに出させてもらったとき、最前列のお客さんが座ってた(笑)。でも、俺の力不足だなって、思った」
等々のエピソードも、まあ面白い話なんだけど、ライブ前の語りにしては明らかに長い。なかなか曲にいかないな、と思っていたら、ついにかまし始めるKREVA。
「今日はここでスペシャルなことをします。後ろで観てる人たち、そこの屋台に並んでる人たち、皆さん、絶対に前に来ておいた方がいい。そういうものすごいことを、ここで俺が起こします」
ざわめき始める客席。一体なにが始まるのかという期待感に包まれる。
「ほんとだぜ。もちろん、俺だけの力じゃできない。それは分かってる。最高のバンドを今日はゲストに呼んでます。ほんとに絶対に前に来ておいた方がいいよ。凄いことが起こるから」
と余裕のKREVA。観てるこっちがそんなに強気で大丈夫なのかと思ってしまう。Mummy-Dとかヒップホップ畑の大物を連れてきたって、絶対盛り上がらない客層なのに。でも、バンドって、一体? と、そういえばKREVA前のサウンドチェックでギターが鳴らされていたことに気付く。まさか。
「じゃあ、呼ぶぜ。最高のバンド、スピッツ!!」
一瞬、耳を疑ってしまった。そして一気にざわめきが会場全体に湧き起こる中、スピッツのメンバーが登場。
そして会場大熱狂のなかで鳴らされたのは、チェリー
マサムネくんが「君をわすれない~♪」と歌うとそれに続いて「そう、俺も忘れない・・・」と言った感じで8小節くらいのKREVAのラップが入ってくるという構成。もう驚きと興奮に満ち溢れる会場の熱気が凄かった。
そして
「今日の日を特別な思い出にしてほしいと思って、次はこの曲を。メモリーズ!」
と言って続いてはメモリーズ。ビシッとタイトなバンドの演奏と、MPCから放たれる打ち込みのビートがかっこよく絡まるスペシャルなアップチューンでさらに会場は熱狂の嵐。途中で歌詞を間違え「やべ、間違えた!」と叫ぶKREVA。
このセッションが出来たことへの感激を口にしたあと、スピッツにもコメントを求めるKREVA。
「俺たちも、ヒップホップの人とやるのは初めてだったから・・・ひとつまた大人になったような感じで、楽しかったです」
とマサムネくんが言って、ステージを去るスピッツ。驚きの素敵コラボはここで終了。

17時過ぎ、KREVAのライブはここから開始。
「緊張して、歌詞が飛んでしまいました(笑)。まあこのリベンジはいつかカラオケボックスでやります。一人で(笑)」
「遠くの方から、もう手に持った焼きそばとかこぼしながら走ってくるヤツが見えたぞ!」
と楽しそうなKREVA。
「こっから俺の曲をやってくんだけど、やっぱりスピッツで最高に盛り上がったあとだし、一人になって盛り下がりそうでちょっと心配」
との謙虚なMCがとてもスピッツファンと思われる観客に受けていた。上手いこと自分のペースに乗せていくのはさすが。
その流れで、国民的行事の最後のサビの合唱を丁寧にレクチャーしてから国民的行事。耳なじみのあるクラシックの旋律をネタにしたアップチューンで盛り上げ、最後の全体での合唱もレクチャーの成果ありだった。
さらにHava a nice day!のアッパーなビートで乗せていき、SONOMIが登場しての一人じゃないのよ涙止れよ でリスナー一人一人の孤独と向き合った優しく真摯なミディアムポップチューンで、魅せていく。
「君の瞳は何を見てるの? 何を恐れ何に怯えるの? 行き場のない悲しみなら いらない 涙止れよ」
そして、CUEZEROが登場してのDAN DA DANWAR WAR ZONEで手拍子を起こさせてまたアゲアゲに。ほんとに乗せ方がうまい。
そしてちょこまかと2人で走ってステージ左端に移動しては歓声を煽り、右端に移動しては歓声を煽り、
「これで俺らが真ん中行ったら、すげえんじゃね。歴史変わるんじゃね」
と言いつつステージ中央で大歓声を浴びる、という演出で会場全体を一気に掌握。
CUEZEROの去ったステージで話し出すKREVA。
「ありがとう。ここにいるたくさんの人には申し訳ないけど、俺のファンだけに一言感謝の言葉を言わせてください。いつもほんとうにありがとう。よく見えるよ」
と、グッズのタオルを掲げるファンへ話す。
ライブ後半は、最高のポップチューン音色、歌とラップをどこまでも自然に融合し、ロングヒットとなったアンセムスタートで、会場の心を鷲づかみに。
「ホントは後悔しないよう 君にぶちまけたいのさ何もかも でもしない何も 幸せを祈るだけ」
「言うことはもうない何も もうというよりもともとないのかも そうだ第2章を今ここで始めよう スタート・・・」
そしてラストチューンは夏の終わりにふさわしい切なくも心を弾ませるポップチューン、イッサイガッサイ。最後の恒例のアドリブでのラップもやっぱり心に響く。音源をあまり聴いたことのない人にも、すっと心に音が入り込んでいったであろう最高ライブはここで終了。

KREVA終わりでスタンディングゾーンを離れ、またご飯タイム。
なかなかの行列で、自分のシートゾーンに戻ってくるころにはMr.Childrenのライブはとっくに始まり、未来が終わり、2曲目innocent worldの真っ最中だった。シートゾーンの後ろの隅の隅まで会場全体の歓喜が爆発したような盛り上がり。
MCではとにかくにこにこと笑顔が弾ける桜井くん。濃いピンクのシャツが似合いすぎ。
「夕暮れのすごくいい時間をいただきまして、感謝しています。ここから見える感じ、凄いよ」
ステージ後方を指差す桜井。シートゾーンで振り向いて上空を観てみると、日が沈みかけ、ピンクともオレンジとも紫ともつかない思わず息を飲むほど綺麗な夕景が広がっていた。
「こんな広くて爽やかな空が似合う曲を」
といってほころびsignを歌ってくれた。歌い終わってにっこりと笑いながら沈む夕日を指差す桜井くん。
中盤ではthe pillowsのストレンジカメレオンも披露。アグレッシブなアップチューンが熱く、素晴らしかった。
そして後半は、スローなアレンジで始まってサウンドが爆発していく終わりなき旅で始まり、Worlds endそして最新のポップチューン箒星と名曲の連打で圧巻の盛り上がりだった。

ミスチル終わりでスタンディング・ゾーンに移動。相変わらずの悲惨な状態のなか、サイドのきつきつな中を進んでいくと、センター前のぽっかりと空いたゾーンに出ることが出来た。スタンディング・ゾーンに入ろうとする人、出ようとする大量の人、そしてシートを敷いて食事まで取っている人がサイドの入り口あたりでバッティングして大変な混雑を起こしているおかげで、多くの人がスタンディング・ゾーン内まで入るのを諦めた結果、妙に真ん中のスペースがスカスカになってしまっていた。
このへんも、ちょっとオペレーションに問題があったと思う。

19時ごろ、奥田民生がゆるやかに登場。
1曲目は愛のために。OTのソロデビュー曲だということもあるけれど、個人的にOTとの出会いの曲でもあるため、いろんな思いが巡る。このメロディーとこの歌声にもうどれだけの力をもらってきただろう。
もの凄くリラックスしつつグルーヴィーなOTの歌声は、ここまでの熱狂ライブで会場に充満した熱を暗くなり始めた空に解き放つかのように平熱で穏やか。
「こんばんはー。こんな感じでやってくんで、えータラタラと(笑)、やっていくので。適当に聴いてください。あの、曲のね、最初とか最後に拍手だけしてもらえれば、お!なんか盛り上がってるな、という、いい感じになりますんで。ふは(吹き出す)」
「ほんとに凄いメンツが揃ってるイベントで・・・なぜわたくしがこの位置にいるのかと。それはミスチルとスピッツの機材が多すぎて、セッティングに時間がかかるからです。僕はギターだけで簡単なんで」
「楽屋裏はスターたちの火花が散ってますから」
とかもう、MCもこれほどステージ上でリラックスしてる人みたことない、くらいの究極レベルのものになっていてほんとに痛快。
そしてさんざんゆるゆるな空気になったところで、リズムボックスを鳴らして渚にまつわるエトセトラへ。RIJFのときは初聴きだったし偶然かと思ったんですが、これイントロが意図的に御免ライダーになってますね。OTファンにのみ通用するユーモア。RIJFに続きここでも間奏とアウトロのドラムパターンONの瞬間で盛り上がる。
曲中に
「これが一番盛り上がる曲です」
と大暴露。どこまでもゆるーい空気と、キリッとした演奏と、大きな歌に吸い込まれる。
「今年出した新曲をやります」
と言って、MANY。久しぶりに曲の中の展開が広がるメロディアスな新曲は、タイム感が大きく、バンドサウンドでも最高にかっこいいけれど、こんな野外の大会場での弾語りにもよく似合う。
続いての雪が降る町では会場のそこここで驚きの声が。完全に季節感を無視しながら、曲の素晴らしさは変わらない。
そしてCUSTOM。どのライブでも、そこまでどんなライブを展開していても、その全ての理由はこれなんだよ、というOTの活動全般へのアンサーソングとなってるこの曲だけは、OTの歌声も演奏もなんのてらいもなく熱く強い。
「誰か 誰か 見てて くれないか 誰か 誰か 聞いて くれないか 声が 音が 空に 浮かんで 届け 届け 響け そう響け」
「山と 海と 飛び越え 鳴らせ 彼方へ 飛ばせ 届いてる?」
奥田民生の圧倒的な歌と演奏が、泉大津の夜空に響き渡った。
「・・・全然時間の感覚が分かりません!何分やってんのか。あと何分?」
とステージ袖のスタッフに聞くOT。
「なるほどね。あと3曲くらいか」
と、先の展開を言ってしまう。
続いては軽やかなイントロから歓声が上がる働く男!曲中で「知ってる?」「知ってる?」と何度か繰り返すOT。そして曲が終わり「懐メロでした」と一言。
「あと何分?・・・2曲行けるかな。じゃああと2曲」
心の中で言ってほしいくらいの本音トークのあと鳴らされたのはさすらい、そしてイージュー★ライダーという鉄壁のアンセム連発で会場全体でシンガロングして、伸び伸びゆったりながらも重厚で芳醇なOTの弾語りライブはここで終了。

どこまでもリラックスしたOTのそのたたずまいは、今年のRIJFの弾語りからも打ち出していたスタイルで、今回さらにその方向に振り切っていたことで、意識的にそういうライブ空間を作ろうとしていることが感じられた。
実際に何曲も、アレンジを工夫したり、グルーヴを大切にしつつ、声の限りに歌うライブに挑むのにそこまでリラックスできるわけがない。でもそこが、OTの目指すところで、その穏やかで平熱なたたずまいがライブ全体を通してなんとなく大きなメッセージになって観客に届いていくような、そんなライブを理想として設定しているんだろうと感じた。
しかしほんと、OTほどリラックスしたステージングができるミュージシャンは他に居ないわけで、とても気持ちのいい空間だった。

19時55分を過ぎたころ、越前屋俵太が少々まじめに、この10年間続いてきた素敵イベント「ロックロックこんにちは!」について語り、最後のアクトであり、主催であるバンドスピッツを紹介。
1曲目の俺のすべての歌い出しから鳥肌モノだった。マサムネくんの澄み切ってはいないけど、もの凄く透明度の高い歌声が野外の大会場に響く。
けもの道青い車と気持ちのいい演奏が続く。いつもより少々アグレッシブな演奏に、このバンドのこのイベントへの気合を感じた。
このへんでMC。
「今日は俺たちもびっくりするくらいとても豪華なメンツが出てもらえて。あの、メインディッシュは終わった感じがしてるんですけど(笑)、 とっておきのデザートというか、俺が嫌いな言葉で言うとスウィーツみたいな感じで楽しんでってください」
「ミスチルのステージを観てたら動きまくっていて、俺も動かなきゃダメかな、と思って、1曲目でやってみたんですけど、すぐに疲れて(笑)。でも民生さんのステージを観てたら動かなくてもいいのかなと」
とマサムネくん。こんな風に別のアクトのことが話題にあがったりするMCが多いところが、普通の夏フェスとは違うところだと思う。そうとう舞台裏も楽しいんではなかろうかと想像。
そして最新シングルのラブソング魔法のコトバなどを披露。
大昔の曲と説明して恋のうたも披露。
このへんでゲストのPUFFYが登場。10年前、スピッツと奥田民生とPUFFYとミスチルが偶然同じ飲み屋で出会って飲んだ、という話などを披露。マサムネくんは場を回すことに不慣れなのか、非常にたどたどしく、告知もいかにも告知をします、という雰囲気で告知。そして
「俺が提供した愛のしるしをやるんですが、演奏がスピッツのバージョンでやったらどうなるか、というのを聞いてください」
との言葉から愛のしるし。スピッツのゴツゴツと太い演奏とPUFFYの空中へ歌声を放射するような歌唱が相まってとても心地いい。
さらに東京I'm on my wayで、お祭り的な大きな盛り上がりをみせ、ここでPUFFYはステージを去っていった。もう少しこのセッションを観ていたかった。
スピッツのライブ後半はみそか8823スターゲイザーと、どの曲も熱い演奏と涼しげな歌声が圧倒的なライブ空間を作り上げていて、最高に気持ちよい空間が広がっていた。
そしてアンコール。ラストに鳴らされた曲は、空も飛べるはず。誰もが笑顔で口ずさめるこの最高のアンセムでこの日の10周年のロックロックのアクトはすべて終了。

スクリーンにスタッフロールが流れ、それが終わった瞬間。
会場後方から花火が打ちあがる。無数のキラキラした花火が、夜空を彩って、この最高なライブの終演を告げる。

ほんとに夢のようなラインナップのライブだったと思う。なんでこんなイベントができたのか。
それはスピッツが毎年毎年アイデアを凝らして10年間ずっと続けてきたこの楽しいイベントの10周年に出られるなら、とか、その盛り上がりに自分たちが一役買えるなら、ということが出演を決める大きな動機になったアクトがきっと多くいたからだろう。
時々あけすけな発言をするアーティストたちが言っていることだけど、フェスやイベント出演はほんとにギャラが少なく、予算内でやりくりすることすら大変だったりするらしい。そんな中で、もっと大規模な夏フェスを抑えて今年一番とも言える豪華メンツを揃えられたという事実は、このイベントのこの10年間の意味を教えてくれていると思う。

アジカンのnanoやミスチルのap、そして今年は桑田佳祐までも、単体アーティスト主導のイベントがたくさん生まれているけれど、このイベントはそれらよりずっと先んじて、大きな財産を得てきている、と感じた。

個々のアクトでいうと、個人的にはもう吉井和哉がとにかく素晴らしかった。この場でのライブ自体も良かったけれど、ここからの次の表現の可能性をもの凄く感じさせてくれて最高だった。
そして今回は、明らかにKREVAが勝ったと思う。勝ったという言葉はあれだけど、スピッツとのコラボもあり、エンタテインメントとして高性能なパフォーマンスも精度をさらに上げ、よりエモーショナルにシームレスに初聴きの人にも伝わるポップでスタンダードなライブに進化していた。
レミオロメンの驚くべき成長も、OTのさらに道を極めた弾語りも、まあ上げればキリがないくらい見所がいっぱいのイベントで、最高だった。

ただ、そんな最高アクトとは逆に運営面の問題は深刻なものがあったと思う。
普段ライブハウスやアリーナでやっているイベントが、その客層を連れて、大物バンドの客層も呼び込んできて、野外で夏フェスよりのルールを採用したこと自体に少々無理があった、と思うけれど、それでもここでこうオペレーションすればもうちょっとスムーズにストレスなく進行するのにな、と思ってしまう現場の問題も多々あったわけで。


来年以降はまたいつもの規模に戻っていくだろうけど、この先もまだまだ続いてほしいし、そしてまたいつかこんな総決算となるような大イベントも観てみたい。
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by kngordinaries | 2006-09-07 00:12 | ライブ


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