CCCDについて
ここでいつか書きたいな、とずっと思っていたのがCCCDについての話です。

今年の前半くらいに着うたフル等の音楽配信を含めた音楽業界の売上が久しぶりに前年を上回った、というようなニュースを耳にした気がしたことと(もの凄く曖昧情報ですいません)、最近のアジカンゴッチ日記にて9月7,11日分で詳しく言及していたのをみて、今書いておこうと思いました。


振り返ると多分、4年位前だったと思います。
90年代半ばのミリオンヒット連発の全盛期を経て、90年代後半のベスト盤によるターボも尽きて売上の減少に歯止めがきかなかった音楽業界が、その主な要因の一つでもあったCD-Rの普及による一般層のCDコピーの急増を防止しようと考え出されたのがCCCDだった。
CCCDとはコピーコントロールCDの略称で、音源データをPCに取り込めないよう複製制御データを入れたディスクの総称。





CCCDは世界的な音楽業界の流れだったけれど、国内で率先して採用したのはエイベックスだった。おそらく2002年の初頭。
僕の印象としてもCCCDが流通し初めのころはエイベックスがなにかを頑張って不正コピーに対抗してるんだ、凄いな、という感じだった。半年くらいすると、東芝EMIやSONYなど他の大手も続々とリリースを開始。最盛期だとレコード店の新譜棚の半分以上にCCCDマークが付いていた印象がある。

CDをレンタルしてきてCD-Rに複製することは、僕も当時からやっていたことで、確かにCCCDの動きが出てくる少し前から、一気に一般的なリスナーに広がっていたところだったと思う。それができなくなるCCCDという存在には正直なところ、多少不便を感じたけれど、海外での大量の海賊盤流出のニュース等を聞いていると、そのままなにもメーカーが対策をせず、企業が弱体化していくよりはずっといいと思っていました。

ただ、すぐにCCCDは熱心な音楽ファンの非難の的になっていった。
その一番大きな理由はCDプレイヤーでの再生をメーカーが保証していないことで、CCCDはもともとオーディオCDの規格外であるため、CDプレイヤーでの再生に問題がある場合があることが商品にも明記されていました。
また、コピー防止のためにいわゆるバグのようなデータを入れているため、レコーディング時のマスタリングした音と、CCCDとして商品になったものの音との違いが大きく、アーティストの意図しない音の感触で作品が世に出てしまうことに、音にこだわる一部のアーティストからの反発もあった。
かなり急ごしらえでコピーコントロール技術が確立しないままに見切り発車してしまったことが原因だったもようで、さすがに今は大分改善されているのだと思う。

当時は、CCCDでのリリースを行ったアーティストの公式BBSが抗議の声で紛糾して、閉鎖される、ということが日常茶飯事になったりしていて、見ていてほんとにやるせない感じがあった。
それと同時に、ライトなリスナーの中にはCCCDは購入して、そうでない普通のCDは今までどおりレンタルしてコピーしよう、という動きも当然あり、そちらの方がおそらく多数派であったと思う。その意味ではメーカー側のこの対策には意味も効果もあったといえる。

個人的な思い出話を挙げると、まずは2004年奥田民生ソロデビュー10周年のシングル3部作がCCCDだった。
音楽ファンの抗議への配慮からか、CCCDに加えて音源データのみが入ったDVD盤とアナログ盤が同時発売され、リスナーは3種からメディアを選べる仕様でのリリースが行われた。僕はDVD盤と再生プレイヤーもないけれどアナログ盤を3シングルとも購入した。
特別CCCDに対する強い反発があったわけではないけれど、僕は当時バイト代をはたいて買ったDENONのミニコンポが、万が一にも壊れることが恐かったからそうした。ただ、好きなアーティストのCDを購入してCDプレイヤーで聴く、という当たり前のことができないことが、とても虚しかった。
そしてシングル3部作のあとには2年ぶりのオリジナルアルバム「LION」のリリースが控えていた。リリース直前までこれもCCCDとのアナウンスがされていたけれど、それと同時に公式のBBSではHit&Runの原田さん(今はHit&Runとして独立して取締役に。凄いぞ、すいか泥棒め)の「ソニーといろいろぎりぎりまで話し合いをしています」という内容の書き込みもあり、SACDというソニーのCDより断然高音質でコピー不可な規格でのリリースもアナウンスされたりした。
結果的には、交渉は実を結び、「LION」はCD規格でのリリースが行われた(SACDも)。
安価なSACDプレイヤーの購入を検討していたこちらとしては、理不尽な出費がなくなってホッとした、というのが正直な気持ちだった。

その直後の04年11月。レミオロメンのメジャー1stアルバム「朝顔」がCCCDでリリースされた。僕の当時チェックしていたバンドのサイトの中で、このときのレミオロメンのサイトの荒れ方は一番ひどかった。なぜそんなことになったかというと、店頭に並ぶまでCCCDでのリリースだというアナウンスが全くなかったからだ。
多分それと同日、TRICERATOPSの「ジュエル」というシングルもCCCDでリリースされた。こちらもリリースぎりぎりまでアナウンスがなかった。このときはリリースの数日後に、和田唱がコメントを出して、自分達も詳しく知らなかったこと、次からはCDでのリリースとするようビクターと直接話し合ったことが報告され、沈静化した。

他にも自分の好きなバンド・アーティストの作品がCCCDでのリリースであったことは、数多くあったし、それは音楽リスナーにも、もちろんアーティストとその関係者にも、いろんなストレスを生んだと思う。
僕の好きなアーティスト周りの状況しか分からないけれど、この04年後半あたりが、レコード会社の強気の姿勢とリスナーの忍耐の臨界点で、OTやレミオロメンやトライセラと同じような話はそれこそ無数にあり、また音楽配信方面でもっと発展的な展望が業界全体に見え始め、緊張した状況は緩和されていった。

ゴッチは日記の中で、CCCDでのリリースを決めたレコード会社に反発できなかった自分を卑下しているけれど、僕はアーティストがそんなふうに発言する必要はないと思う。
CCCD騒動についての音楽関係者のインタビューに載っていたけれど、ソニーまでCCCDについての詳細な説明を直接求めたアーティストは奥田民生と他は数えるほどしかいなかったと言う。それだけ奥田民生は深く関心を持っていたわけで、そうでなければ「CCCD」という言葉をCCCDシングルのジャケットデザインに入れ込むような皮肉たっぷりのユーモアをきかせるわけがなかった。
そんなOTでも、ソニーと決別してまで抗おうとすることは微塵も考えなかっただろう。
というか、リリースされるものの形態が、何年も育まれてきたスタッフとの関係性よりも大事なわけがない。そんなの外側の話だし一時の考えの相違で壊していいものなわけがない、と思う。


そして音楽業界は今、景気が上向きらしい。
CDの売上は依然絶不調だ。90年代後半にオリコンチャート好きだった僕が言うのだから間違いない。ではなんで好景気かっていうのは、誰でもご存知のとおり、音楽配信がビジネスとして軌道に乗って、それの利益配分構造が整理されてブラッシュアップされてきたからだろう。音楽の新しい楽しみ方が技術的に可能になり、リスナーがそれを望めばそこにはビジネスチャンスが生まれて、結果的にみんな幸せ、というエンタテインメントの基本構図。
またちょっと筋から逸れるけど、リスナーの嗜好の細分化とそれぞれのマニア化もあって、それはどうみても音源が数千枚しか売れてないロックバンドが全国各地のライブハウスにそれなりに人を集めたり、毎日のご飯が食べることができたりしてるという10年前ではあまりなかっただろう状態が多くあることからも、感じられる。

なんだか勢いに乗って音楽業界についてまで語ってしまいましたが、そのへん全然分かってません。適当なことを書きました。


がしかし、CCCD問題は、リスナーの意識にも、レコード会社にも、アーティストにも、かなりの影響を与えたし、いい意味でそれぞれが回顧して反省していくことで今後への課題も見つかる、大きな機会だったことは間違いないような気がしないでもないわけです。
以上、結局まとまらず。
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by kngordinaries | 2006-09-14 01:21 | 音楽


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