small changes vol.3 名古屋APOLLO THEATER
とにもかくにもお目当てのバンド、STANの出番が後半だとの情報(STAN BBSの49発言)を得ていたので、開演に遅れてもいいかな、と思いつつ、結局なんとか開演時間ぴったりに会場入り。

うーん、観客少ない・・・。
ここのところSTANを観たのがROCK IN JAPANのWING TENTとこの会場で行われたRe:mixだったのだけど、ROCK IN JAPANは大バコのライブハウス並みの会場がそこそこ埋まっていたし、Re:mixはこのアポロシアターがぎっしりだったので、そのギャップにクラッとくる。
開演時間を過ぎてもライブが始まらないので端から数えてみてしまった。この時点でスタッフかも、というグレーゾーンも含めて40くらい。

初STANだった5月のUP-SETよりはコンマいくつくらい多い印象。
2年くらい前のアナログフィッシュの名古屋ライブもこれほどじゃないながら少なかった。そのときは、ライブハウス行きまくってます、みたいな客層がわりといたけど、こちらはスカートにヒールで手さげの小さいカバンを持った女性とかが後方にちょこちょこいて、全体的にもライブハウス好きばかりという感じでもなかった。

ひな壇上の中央になんとなく陣取る。ひな壇の最前も埋まっていないし、ステージ前も埋まっていないので実質1列目感があった。・・・なんだか痛快だ。

1組目はてるる・・・という3ピース。バンド名からして京都のはんなりしたバンドなのでは、との予想は短絡的過ぎた。
縦ノリのハードなサウンドの曲もあれば、幻想的な世界観もあったりして、曲の幅が広く、演奏もしっかりしていたと思う。
とても上手いバンドという印象だけど、メロディと言葉が弱い気がしてしまった。

2組目はBRIAN RIANという今回出演のなかでは唯一の名古屋のバンド。
ボーカルがハンドマイクといういまどき珍しいすかしたロックンロールのスタイルで、テンションの高い爆音ライブを繰り広げる。多分そうとう若いんだろうな、という気迫とまとまりなさ。ハードロックとかグランジが好きなのでは、という感じの熱唱とパフォーマンス。
多分、持ち時間は他より短めだっただろうけど、そのがむしゃらっぷりが楽しめた。そーゆーのって、ロックのライブには意外と重要なのだと思う。

3組目はDOES。STAN以外では唯一曲を知っているバンド、といってもメジャーデビュー曲の「明日は来るのか」しかしらないけれど。
九州出身のバンドらしくのっけから方言全開のゆるいトークで和ませ、メロディアスなフォークロック調の曲を披露。やっぱりボーカルが独特な声質で気持ちがいい。
「名古屋は内気な人が多いのか。まだ酒入っとらんの」
「メジャーデビューって・・・大変ですよ」
とか、軽ーい口調で話すボーカルのキャラクタがとてもよかった。ラストに披露された明日は来るのかのようにソリッドな曲調は少なめで、次のシングルになるという赤いサンデイなどは浮遊感のあるポップなサウンドメイクで、多面的な魅力のあるバンドだと思った。

と、3組のライブが終わると残されたアクトはSTANのみ。
DOESが終了するとすぐにステージに登場して自らセッティングし音を確かめる3人。おそらく本人たちが選曲しただろうBGMに乗ってノリノリで音を確かめるKYG。KYGは一旦袖に引っ込んだものの、なんとなくずっとベースを構えてグニグニと動いている今西の後ろに周り込んで、二人で2人羽織りのようにしてBGMに合わせてベースを演奏して遊びだす。その間も49はドラムのセッティングをじっくりと。
ここまではバンド間の時間がとても短かったけど、STANはきっちり時間がとられてたようで、一応このイベントのメインということなんだろう。

4組目、STAN
STAN'S HOUSEULTRAMAGNECTICSTANSともう定番の流れとなった爆音ロックチューンの連打で押していく。グルーヴィーで刺激的なリズムとフリーキーな言葉の連射が最高にかっこいい。いつも出だしの勢いには圧倒されてしまうけれど、すぐにその細かいリズムが体に染み込んでグワーッと底のほうから体温が上がっていく。
いつもより音圧が弱めな感じがしたけれど、このほうがよりそれぞれの音がよく聴き取れるし、速いビートの中で性急だけど確かなアンサンブルが感じられて気持ちいい。いや、演奏ががっちりしたから聴きやすく感じたのかもしれないけれど。
「こんなん ありえなくない? こんなん 見た事ないよ ヤバイ ヤバイ STAN マジヤバイ」
演奏終わってすぐKYGが口を開く。
「昨日から次々にありえないことが起こってます。フリーダウンロード!メジャーなのに!ざまーみろ」
そしてDolphin Dance。イントロのリフからぐわっと体内の熱が上がる魅惑のポップチューン。「もしかしたら君のなかにもあるかもよ」の「君」を「君ら」と歌っていた。
この曲だったか、ワイヤレスベースを操った今西がステージからフロアに降り立って、しばし踊り弾き倒す一幕が最高だった。もちろんそれはフロアがスカスカだから出来たことなのだけど・・・。あと今西といえば、ところどころKYGや49が曲のメインになるところでは手のひらを上にして片腕をそちらに向けてお辞儀して、そのまま硬直したりしていた。相変わらず目を奪うなぞの動き。
「前の方、少しだけ盛りあがってっけど、後ろの方、全然動いてないね。・・・・まあ、そういう状況なれてるけど!」
そしてJAPANISTAN。3つの音があうんの呼吸でシンプルに絡まっていくイントロが好きすぎる。極度の高温なのか極度の低温なのか、ヒリヒリと麻痺するようなサウンド。シリアスな名曲。
「あ(と言った瞬間イントロのドラム炸裂)――これフリーダウンロードの曲」
KYGが次の曲名言おうとしたっぽいけど、49が演奏スタートし、手短な説明から愛に逆らうなへ。脳内をかき回されるような抜群のリフとふわりと飛翔するようなグルーヴのイントロを抜けると、至極穏やかで落ち着いたメロディに乗ってKYGの温かい歌声が響く。
「愛を知ってる そんな気がしている」
大体ちょうど24時間前にフリーダウンロードしてこの時点で30回以上ヘビロテしたこの名曲。大サビの「全て忘れて 休めよ 背伸びして 深呼吸」という歌詞にはほんとにやられた。恐ろしいほど平易な労わりの言葉、ダサいくらいに日常的な、微熱程度の暖かな言葉を、これだけ劇的なロックのグルーヴの中で歌い上げられると、もうなんか、崩壊する。あふれ出る。そして前進できるんだ、と思う。
あと2曲、というようなMCを挟み、THE SONGへ。すでに普遍的な名曲感が漂っているポップチューン。ここでも「君に伝えたいよ」の「君」を「君ら」に変えていた。
そして立て続けにI Know。本質とはなにか、という問いかけにも感じられる全てのステレオタイプを否定する言葉の連射とファンクな陽性のリズムが最高に心地いい。この倒錯的な表現は、分かりやすくロックの本質を射抜いているわけなのだけど。
「おわりー。はよ、うちに帰れー!」
とKYGが吐き捨ててライブは終了。
もしかしたらアンコールの予定もあったのかな、と思ったけれど、まだこの状況の中では実際できないだろう。12月の名古屋ワンマンどうなるんだろう。


今回のライブでハッとするような発見は特になかった。あったのは、基本的なライブの精度のレベルアップだと思う。
なんだか一つ一つの音が心地よく聞こえ、ステージ上のたたずまいもアドリブ的な動きが自然に行われていて、その微妙なんだけど確実な変化はとても観客としてアガるものだった。
バンドのキャパを超えるくらいの楽曲の精度の高さや、バンドの内包する可能性を感じて嬉しくなる、という批評的な観点からの楽しさはもちろん今回も無尽蔵に沸いてきたのだけれど、それ以上にこの場で発せられているこの音に直でやられている感じ、ダイレクトにライブを受け止められる感じが強かった。これはSTANライブでは僕にとっては初めてかもしれない。

ここが着火点。今、導火線の火はパチパチと音を立ててダイナマイトに向かっている、そんなイメージ(妄想)。
つまり今はまだ導火線のパチパチとした火花にアチアチ言ってる段階(暴走)。

あとちょっと思ったのが、前半2曲のトグロを巻くグルーヴで圧倒し、優しいポップチューンやシリアスな名曲で痺れさせ、また「I Know」で圧倒する、という最近の構成は、まったくもって見事なツンデレである、ということ。時代にフィットしてる。(それがどーした)

まあ結論的には理屈ぬきでも理屈ありでも最高に楽しいライブだったということだ、と思う。








ですが・・・ライブ翌日のミュージック・スクエアというラジオ番組にゲストでSTANが出ていて、そこで「あゆ」というライブでは昔からの定番らしい「I Know」収録の最新曲が聴けて、もうぶっ飛びました。STAN!! そうなのかと。それもありなのかと。いや、というかそんなところまでもうすでにずっと前から持ってるワザだったのかと。

ULTRAMAGNECTICSTANSを初めて聴いたとき以来の衝撃。The Whoの再来かと。いやー笑った。

とにかく何から何までが今のSTANは面白すぎる。自分でも驚くほどにハマリ込んでいます。

次は10.29triangle#2@ロックンロール。「I Know」発売直後、今まで観たライブより長く観られるとのことで、今からワクワクが止まりません。STANマジヤバイ。
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by kngordinaries | 2006-10-06 11:54 | ライブ


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