アナログフィッシュ コウタロウ・オータム・コレクション ライヴジョントポール ジョンデイ 京都磔磔
よくよく思い返してみると、ワンマンライブ2daysに両日参加したことなんて、今まで一度もなかった。
というか、このジョントポールに関してはこの2回のライブがそれぞれ同じバンドとは思えないほど披露される曲に表現の違いがありつつ、演奏のアンサンブルや歌声のハーモニーは紛れもなく一つのバンドとして同一であり、なんだかよくわからないけれど、どう考えてもワンマン2daysではないし、別バンドのライブに2日連続で参加してるわけでももちろんなく、独特なものがある。
「ジョントポール」というライブに参加した、としか言いようがないものなんだと思うし、その独自性がアナログフィッシュだな、とも思う。

ポールデイにもらった缶バッジを身につけ、昨夕と同じ順番で入場。
当然、前日同様かなり後方になってしまったけれど、前日の反省を生かし、ぐっとジョン側の壁際に移動したところ、なんとかポールの姿も確認できそうな位置につけた。

ポールデイは次々にビートルズの曲がかかっていたけれど、ジョンデイは全くの無音。そういえば前回のジョンデイは蝉の声で始まったんだった、と回想したり。

そんなこんなで客電が消え、ライブが始まった。



主役である下岡を先頭に階段を下りてステージへ上がる3人。
佐々木が特別煽らなかったのは今日の主役ではないから自粛したのだろうか。

いつもどおり軽い会話を交わしたあとドカーンと3人で音を出し、ライブスタート。
テキサス
イントロのギターに驚き混じりの歓声が沸く。どこまでもディープでサイケなこのスローチューンでいきなり深い深い世界へ会場全体を連れて行く。曲終盤のキラキラと輝くような希望を感じさせる展開が美しい。
公平なワールド
個人的には前回のジョンデイ以来。ポップなメロディにシビアでシニカルな言葉を乗せ、聴き手の価値観を揺さぶるメッセージを突き刺すロックチューン。下岡の表現の核には「想像すること」があると思うけれど、それが最近の作品では「想像力を持って現実を見ること」に緩やかに移行しているように感じる。それはアジカン後藤にも通じる世界だ。今の時代のヒリヒリとした感覚を鳴らすロックにどんどん近づいている。強力な1曲だと思う。
バタフライ
イントロでもうどうしようかというくらいにテンションが上がってしまう。前2曲のどっぷりディープな世界を持ちながら後半劇的に無理なくアガっていく超名曲。下岡の歌いっぷりも演奏も素晴らしかった。
3曲通して歌のない部分で下岡がうっすら笑ってたのが印象的だった。

長い長い拍手のあと、佐々木が挨拶していたと思う。
ジョンデイなのに下岡は全体的に言葉数が少ない感じがした。次の曲への音チェックに集中している感じで、前回のジョンデイもそんな感じだったことを思い出す。

ハーメルン
またまた立て続けの濃いセットにフロアからも感嘆の声が上がったけれど、ここで下岡に異変が。歌いだしからまったくピッチがずれてしまっていて、自ら演奏を止める。なかなかない事態に驚いたけど、2回目は問題なく。
そして
「このあいだ作った、出来立ての曲をやります。夢の国」
との説明から
夢の国
「迷子の迷子の夢の国~」という、ある有名な童謡が思い出されるような歌詞(というかメロディまで似ている)で、牧歌的な雰囲気を醸し出すポップチューン。が、その内容は全ての幻想や希望的観測を打ち砕くようなアナーキーな破壊衝動を感じさせる、恐ろしいものだった。最近の作風よろしく耳障りがポップでやさしいだけに、その表現しているものとの落差に背筋が凍る。
これが最新型の下岡作品。音楽的にポップになったことで、よりそのディープな表現が深まるとは。嬉しいショックだった。
Queen
さらにこのサイケデリックでディープなミディアムチューンにどこまでも音の中に沈みこむような心地いいライブ空間が作り上げられる。圧巻。

この辺だったか、客席から「リンゴー!」という小さい歓声が飛び、斉藤が
「(凄い勢いで前のめりになり)はいはい!・・・今聞き逃さなかったよ、俺は。凄い嬉しい。耳栓してたのに気づいちゃったからね!」
と異様にはしゃいでいた。

とここでリンゴコーナー。
「今日は日曜日なんで、日曜日にぴったりの曲をやります」
Sunday Morning
ヴェルヴェット・アンダーグラウンドの1stの1曲目に収録の曲であり、どこまでも美しいメロディが印象的なポップチューン。
「うちの2番目の姉が誕生日にヴェルヴェット・アンダーグラウンドの5枚組をプレゼントしてくれたんですけど、最初にこの曲の入ったアルバムを聴いて・・・結局それしか聴いてません。アルバムはやっぱり一枚ずつ買うべきだと思いました」
と微妙にお姉さんがかわいそうなエピソードを。
「そしてそんな1枚になってほしいアルバムが出ますね」
的な上手いつなぎで「ROCK IS HARMONY」の話へ。ポールデイもそうだったけれど、初回盤に付いてくるDVDが、相当おすすめなもようで、特に下岡が力説していた。
あ、あとジャケットがまたもの凄くいいんだとこれも力説。

海へ出た
magicのカップリングとなる1曲。予想通り「出かけた」を彷彿とさせるようなダイナミックな演奏が心地いいミディアムチューン。メロディもどこまで行ってしまうのかというほどぐんぐんと飛翔し、壮大な世界観を感じさせる大作だった。
Iwashi
伸びやかでポップなメロディが印象的なアップチューン。約1年前からライブ会場でのみ何度か聴いている曲だけれど、やはりちょっと特別な魅力を感じさせる。「魚の目をした青年」という下岡自身を投影したとしか思えない主人公の、普通の日常と繊細なその心情を、ことさらな主張を込めずに歌い上げる普通といえば普通の曲なのだろうけれど、そこから見えるフラットなこの世界がとても大切に感じられる不思議と感動的な1曲だと思う。
「ROCK IS HARMONY」のラストチューンに配されているのも納得。きっと多くの人に愛される曲になると思う。

この辺だったか、昨日に引き続きタオルネタを持ち出す斉藤。
「今日もこのタオルを持ってきました。(会場笑) これ昨日と同じやつじゃないですよ。ちゃんと新しいやつを持ってきました。(会場大拍手) 3枚組だと安かったので。(会場笑)」
ラジオDJの成果か、今回のジョントポールでは斉藤MCの上達振りがとても感じられた。
とそれを冷たい目で見ていた下岡が、
「いつからお前、タオルで拍手取れるようになったの」
「え。・・・今日からかな」
と斉藤。会場和む。
「今日、バッジちゃんと付けてきましたか? ・・・一部付けてない人もいるみたいですね」
と会場に話しかける斉藤。
番号はメンバー直筆で100まで下岡、200まで佐々木、そして315までをじゃんけんで負けた斉藤が書いたとのこと。
「ときどきいたずらしてるんでね。ただ番号書くだけじゃなくて、ときどきなにか書いてあるんでよく見てみてください。あ、251番持ってる人いますか?(誰も答えない)恥ずかしいかな。ちょっとおもしろいこと書いてあるので見てみてください」
ちなみに終演後に食い入るように確認しましたが、僕のは普通でした。番号遅めだったので斉藤直筆。

Living in the City
イントロから胸が弾むキラキラのポップチューン。ライブ後半に向けて一気にギアを上げてきたようで、とても心地いい。
City
さらに人を食ったようなイントロのハーモニーからひねくれポップチューンが大炸裂。「シティ」の一言の長めに取られた間が、じらしているようで心憎い。跳ねるようなリズムとコロコロと表情を変えるカラフルなギターが、最高だった。
そして
「Do you still need BGM?」「No thank you!」
の定番のコール&レスポンスをちょっと言い方を変えたりして数回繰り返し、最強のライブアンセムへ。
BGM
一気に熱が爆発するフロア。掲げられる腕。下岡はこの曲を作って以降の2年でどんどん新しい世界を切り開いているのに、全然褪せない。最高のダンスチューン。
Town
さらに大名曲を立て続けに。イントロのサウンドが鳴っただけでグッと胸の奥にくるものがある。何度聴いてもその曲のフォルムの美しさに放つメッセージの正しさに感情が溢れる。
曲が終わっても比較的長く拍手が鳴りやまず、次の曲に入るのを待つ3人。そしてようやく静まったところで演奏スタート。
夕暮れ
もうどうにかなってしまいそうだ。この3曲の連続は恐ろしい。天才下岡の中でも珠玉といっていい曲の連打に蕩けた。イントロのコーラスから堰を切ったように爆発する演奏、そして不穏なラストの1節まで、素晴らしかった。
SIM CITY
本編ラストチューンはまたも発売前のアルバムからの1曲。ゆったりとしたパートや激しいパートなど、いろんな要素がせめぎあう楽しいポップチューン。
心地いい盛り上がりのなか、本編はここで終了。

アンコールの熱い拍手に3人が再び登場。
ナイトライダー2
イントロで歓声が上がるハードボイルドな世界観で疾走する素晴らしいロックチューンなのだけど、ここで出だしの「ヘッドライトテールランプヘッドライトテールランプ・・・」の部分で下岡がピッチを変に外してしまっていた。ちょっと喉が疲れてしまってるようにも思えたけれど、1回のライブでミスを連発するのは珍しい。
出かけた
壮大なサウンドスペクタクルで日常のささいな1シーンを描き、聴き手の心を大きく揺さぶるロックチューン。ここでアンコール終了。

熱い熱いアンコールの拍手の中、3度3人がステージへ。
「ここまでやってきて、次のシングルをやってないことに気付きました」
と半笑いで言う下岡。
「ほんとに今気付いたの?それ」
と突っ込む斉藤。会場笑。
「まあいいじゃない。じゃあ最後、magic」
magic
この曲では、前半で下岡が一度軽く歌詞を飛ばしてしまい、1度演奏が止ってしまった。「大丈夫?」と声をかける斉藤。「ほんとにごめん」と謝る下岡。少々盛り下がり気味のフロアの空気を察知したのか、佐々木がステージ前方にせり出してきてぐるぐると腕を回して盛り上げ、演奏を再スタート。一気に再び盛り上がるステージとフロア。
鳴ってる音の一つ一つが心地いい最高のポップチューン。「I miss you」と繰り返すサビがなぜか切なさを醸し出していて、そこにハマッてしまうと、もうこの魔法から逃れられない。とにかく聴いているだけで体が動いてしまう強引さを持っていて、最高だった。
ここで2度目のアンコールも終了。
メンバーそれぞれが感謝を言いながらステージを後にする。
「またジョントポールに来てください」
という下岡の言葉を、僕は聴き逃さなかった。
ジョントポール@京都磔磔という2夜のライブはこれで全て終了。

とにかく圧倒的だった。新たな楽曲はどこまでも完成度高く、心を震わすものばかり。
特に「公平なワールド」、そして初披露だと思われる「夢の国」という新曲たちにはこれまでのメルヘンやファンタジーの中に潜ませた狂気を越える、圧倒的な苛立ちと破壊衝動にも近い攻撃性が感じられた。まだまだ下岡は恐ろしい速度で表現を進化させている。
Helloはなかったものの、ほぼベストの選曲と言ってもいい贅沢なセットだったと思う。

前回のジョンデイは全体的にそのディープな表現に飲み込まれっぱなしで、ぐわっと盛り上がるのはラストのHello、BGMくらいでかなりコアなライブという印象だったけれど、今回は前半の「バタフライ」や後半の「Living in the City」からの流れ、そして「magic」など、「明るい感じ」を出していくのがテーマだったという今年のこのバンドらしく、バランスのいいものになっていたと思う。

3人のアンサンブルやハーモニーはやっぱりこのバンドの一番の魅力であるし、それは普段のアナログライブで堪能しまくっているけれど、今回のジョントポールではセットリストからして、2人のソングライターの表現欲求が存分に生かされてることが感じられるもので、それが嬉しかったし、とても興味深かった。

最後にステージに残していった言葉どおり、またジョントポールが開催されることを願ってやまない。
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by kngordinaries | 2006-10-18 22:23 | ライブ


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