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COUNTDOWN JAPAN 0607 31日 レポート その2
100sの15分前からMOONで行われているAPOGEEも観たくてしょうがなかったけれども、ここは潔く今回のフェスで個人的最重要アクトである100sに備えて、Tシャツを物販で購入した100sTに着替えて早めにEARTH STAGEへ。
OZツアーから1年以上ぶりのライブ、一体どんなモードでどんな選曲で挑んでくれるのか、期待が高まる。

21時、100s
ビジョンに次のアクトとして100sの名前が表示されると大歓声が沸きあがる。そんな中、なんともコミカルなBGMに乗っかって100s登場!みな軽い歩調で、中村くんや池ちゃんは会場を煽りながら飛び跳ねるようにしてアピール。
もうこの時点からOZの重厚で緊張感のある雰囲気とはまるで違う世界観を見せ付ける。完全なモードチェンジ。
ちなみにコミカルなBGMは「ガンバ」というフレーズが出てきたので100sが子供のころ好きだったんであろうアニメ「ガンバの冒険」の主題歌とかだったっぽい。僕は超分厚い小説版を小さいころ読んだことしかないけれど、冒険小説の傑作だった(余談)。
「100s(ひゃくしき)です!盛り上がっていってください!」
との中村くんの挨拶でライブスタート。そして1曲目はキャノンボール !!
イントロから怒号のような歓声、掲げられる腕、波打つ会場。「死ぬように生きていたくはない」「そこで愛が待つゆえに 僕は行く」というどこまでも簡潔なメッセージを躍動するバンド・サウンドに乗っけて叫ぶ、シンプルにして最高のロック・チューン。100sというバンドの結成のきっかけでもあり、バンドの名刺代わりであり、最もこの大観衆にアピールするだろう1曲でライブはスタート。
「こんばんは!100sです!もうあと少しで2006年も終わっちゃうよ。みんなやり残したことはありませんか? 俺たちはあります! 今作っている新曲たちをみんなにまだ聴いてもらってない!(会場拍手) 今日は新曲たちを聴かせたくてきました!」
と中村。期待はしていたけど、こうしてそれを宣言してくれるのが嬉しい。
「じゃあ次の曲・・・エース!」
と言ってA。またもアグレッシブなロック・チューンにして100sの代表的なアップ・チューンを。今のバンドのスタンスが、コア向けでない、オープンな状態であることが明確に伝わってくる。キレッキレなギターリフを奏でるギタリスト2人がめちゃくちゃカッコいい。「だろう だろう だろう なぁ みんな」の大合唱。
続いて新曲なぁ、未来(CDJオフィシャルより)。OZツアーを経てよりくっきりとクリアになったバンドアンサンブルが映えるアップ・チューン。相変わらず一聴しても歌詞は分からないけれど、メロディが綺麗で心にスッと入ってくる感じがした。
そしてしばらくの静寂。ふわふわとしたキーボードの音色がしばらく続いたあと、静かにイントロのギターが鳴り出しセブンスターへ。切実で真摯な、溢れるほどの願いと決意の感情に満ちた、温かいミディアムチューン。
見たい、見たい、見たい、見たい。
無茶な言い分だって? もう、いい。
本当の冒険を、見たい、見たい、見たい。
いたい、いたい、いたい、いたい?
そりゃ、そうだよ、当然、痛い。
心に本当でいたい・・・、約束だもんな。

「次のシングル曲です。希望」
というような中村くんの言葉があったような。
で、新曲希望へ。開放的で伸び伸びとしたサウンドとどこまでも飛翔するような爽快なメロディ。優しく心地いいポップ・ソング。バンドの再始動(本人達は休みなく制作してただろうけど)1発目にふさわしい感じがする文字通り希望に満ち溢れたような力強い1曲。
さらにいきるもの。アルバム「OZ」の中でシリアスな「扉の向こうに」「Oz Ⅲ」のあとの「光は光」のそのあとに配置された爽快なアップテンポのポップ・チューン。池ちゃんの曲間の煽りは年々アグレッシブになっている気がする。乱暴者で最高なアフロ。
そしてなんと1,2,3!中村一義名義の曲たちはどの曲も重要で素晴らしい曲ばかりだけれど、やっぱりこの曲は特別感がある。ダイナミックなブレイクビーツはライブで聴くとまた格別。素晴らしかった。
「最後にもう1曲新曲をやります。百年と書いて”ももとせ”と言います」
との中村くんの言葉からこのライブ3曲目となる未発表の新曲ももとせ。これも前2曲と同様のシンプルなバンドサウンドによるミディアムチューンだった。ダイナミックなギターがちょっとだけ新世界と似ていた気も。フラットで優しいメロディラインに乗って断片的に聞き取れる言葉たちを聴いているだけでグッとくるものがある。なんだか切ない名曲だった。
アンセム・新曲を交互に乱れ打ったようなスペシャルなライブはももとせでしっとりと終了。

とにかくその劇的なモードチェンジが印象的だった。
OZのあのモードからもう全然別の次元へ行っていた。キャノンボール、Aを冒頭に配置しているところからしても意識的なこの変貌っぷりは、でも新曲3曲を聴いた感じからするととても自然なものだったんだと思う。とにかく風通しよく優しく穏やかで光の溢れる季節を迎えようとしているんだろう。
今から予想するのもどうかとは思うけど、次作は中村くんの表現の変遷でいけばやっぱり金字塔、ERA、OZの流れではなく、太陽、100sの流れの先に位置するものになりそうな気がする。正直この2枚のアルバムがめちゃくちゃに好きな僕としてはとても待ち遠しい。

そんな100s素敵ライブを終え、しばし休憩。このあとのノンストップな連続ライブに備えて急いで食事を。

22時15分、木村カエラ
それでもライブ始まりには余裕で間に合い、会場最後方からこの稀代のポップ・アイコンを眺めることに。
「2006」の”00”が目の部分になったサングラスをかけたファンキーないでたちでカエラ登場。1曲目はTREE CLIMBERS。この大舞台でなんでここまでと思うくらい伸び伸びとしたパフォーマンスと力強い歌唱。
「もう少しで今年終わっちゃうよ。みんななんでこんなとこにいるの? 暇だねー」
と昨年のCDJで観たときと全く変わっていない歯に衣着せぬMCが凄い。
「いやそうじゃないよね。ここにいられることが最高なんだよね」
とのそのあとのフォローに少しの成長を感じてみたり。
続いてリルラ リルハ。ビートの効いたミディアムチューン。、まだリリースされて1年半程度だろうにみんなのうた的定番感が素晴らしい。
そして最新曲Snowdome。初めて聴いたけれど、これまでのどの曲よりもポップで歌メロがはっきりしていて、歌謡テイスト。これが広く受け入れられるようならまだまだこの人の躍進は続くと思う。
この辺でアナログフィッシュのためにCOSMOへ。

会場外にもサウンドチェックの音が聞こえる。
入っていくと、すでに斉藤が音チェックにステージへ上がっていた。しばらくして佐々木が登場。さらには下岡も。
MOONからCOSMOへ、微妙な昇進をしてもここは変わらないんだなと。
アンセムのサビをがっつりアカペラで披露したり、3人で音を合わせて夕暮れLOWを披露し拍手喝采を浴びていた。

23時、アナログフィッシュ
FLAMING LIPSのYeahYeahYeah Songがかかり3人がステージに登場!
音を鳴らし始めると下岡が口を開く。
「ハローハローハロー、アナログフィッシュです」
そしてなんといきなり
「Do you still need BGM?」(下岡)
「ノー!サンキュー!」(観客)
のコール&レスポンスへ。何回も繰り返し、叫ぶ下岡。下岡のテンションが最初っからこうも高いのはちょっと珍しい気がする。
そして1曲目はHello。もう2年以上前のリリース曲だけれど、今のこのバンドのモードにもリンクするメッセージを持った、というか、ずっとリンクし続けそうな重要曲にして最高のポップチューンでいきなりの盛り上がり。
続いてはアンセム。佐々木の力強い歌声とミュージシャンとしての想いを乗せた言葉が突き刺さる名曲。これまでとても綺麗に歌いこなすことが多かった佐々木が、最近歌メロ以外の部分でハミングやアドリブのシャウトを入れたりするようになっていて、この曲はそういう部分ののりしろが多くてとてもよかった。さらに自由な歌を聴かせていってほしい。
そしてmagic。イントロから曲間のアレンジからもうアイデアがぎっしり詰まった極上のポップ・ソングが楽しすぎる。曲後半どんどん勢いを増す演奏と、それなのに不思議と強まっていく切なさがこの曲の肝だと思う。素晴らしかった。
続いては
「スピード!」
との佐々木のシャウトからスピード。アグレッシブな中盤の演奏では下岡がドラムセットの壇上に上がって、佐々木と向き合って熱くプレイ。
KISSの楽曲とROCK IS HARMONYの楽曲がバランスよく配されていて嬉しい。そしてここにきて両ソングライターの作品のクオリティが拮抗していいところがほんとに凄いと思う。
続いてはSIM CITY。まったりとした導入から爆発するサビまでの流れ、そして脳内世界そのまんまのような幻想的な世界が描き出されていく。演奏によって自在に変わるリズムが最高だった。
そしてマテンロー。歌声がどこまでも伸びやかでどこか切ないメロディをもったスケール感のあるポップチューン。
「このままルールを無視してカウントダウンまでやってしまうのもありだと思うんだけど、僕らはそういうロックンロールなバンドじゃないんで。小心者なので。法令順守なロック・バンドなんで、時間通りに終わろうと思います」
「だからもう少しでライブは終わるんだけど、来年は1月21日に渋谷AXでワンマンライブがあります!ここにいる人たちが大体来てくれることを想定してるので(会場笑)、楽しみたい人はAXに来て下さい。また楽しもう」
などなど下岡がほとんど一人しゃべりで。もともと下岡は佐々木をいじるか、連絡事項か、本当に言いたいことしかMCで話さない印象があったし、今もその印象に変わりはないんだけど、きっと今は言葉に落としこめるくらい”伝えたいこと”がクリアになって、またその想いもどんどんつよくなってきているんだろう。そんな感じはこの次の発言でより強く感じられた。
「最後になるんだけど、ちっともこの世界が公平じゃないように感じていて・・・それがどうしても我慢できんくて。みんなでこの曲で楽しんで公平なワールドにしていこう」
とかなんとなくそんなことを言っていたような気がする(記憶曖昧)。
そしてジョントポールと同じくMTRからキーボードの音が流れて公平なワールドへ。イントロでの歓声から早くもこの曲が観客から熱い支持を受けているのが分かる。
そしてこの曲での下岡の歌唱・パフォーマンスが凄かった。マイクスタンドをぐるぐると動かし、ときにハンドマイクになりながら、眉間にシワを寄せ、地団駄を踏みながら叫ぶように言葉を放射していく。表現者としてのギアが上がっているのが強く感じられた。
いや、ライブ冒頭のテンションや、ドラムセットへ上がってのギタープレイ等もそんなモードチェンジの発露だったんだと思う。
最後に口々にありがとう、という言葉を残してステージを去るメンバー。ここで今年最後のアナログフィッシュのライブは終了。

ROCK IS HARMONYをリリースして、ようやく今のアナログフィッシュをフェスという場でも全開で出せている感じがして、とても爽快なライブだった。
その中でも楽曲としてのスキルアップだけでなく、佐々木の歌い方の変化や、下岡の表現衝動の変化など、パフォーマンスにも進化が観られ、それらがより開かれた分かりやすいライブに結実していることが素晴らしかったと思う。

それにしてもこのライブでの公平なワールドは出色の素晴らしさだった。
より冷静な批評性と生活の中で感じるこの世界への違和感や怒り、それらを特別大仰にもより暗黒にもせず、そのままに音楽に変換できているこの曲は、結果的にアナログフィッシュ史上でみても最もポップな部類の楽曲になっているし、街や自分の身の回りの世界というこれまでの楽曲の領域を飛び出し、一気に国境を越えた世界=ワールドへ向けた曲としてしっかりとした手応えが感じられるものになった。
これまでの楽曲にも内在していた社会性がくっきり浮かび上がり、それと同時にロックの獰猛さとどうしようもない衝動までが一気に噴出しているのだ。
この楽曲には無限の可能性が内在している。それはこのバンドをさらにさらに高みへ、広い地平へ誘うものだと思う。その一端がこのライブの最後に、この年の最後に観られたことが嬉しかった。


さて、この素敵ライブに、会場では熱い熱いアンコールを求める拍手が巻き起こり、時間的にも予定のライブ終了予定の23時45分まで5分以上残っていてなんとかもう1曲披露してくれそうでもあり、できれば僕もそこに参加したかったところだけれど、ロックスターの年越しライブはどうしてもオープニングから観なければ!というところで断腸の思いでCOSMOを後にし、急いでEARTHへ。



長くなってきたので、また続きます。あとはこの日は吉井和哉のカウントダウンライブを残すのみなんですが。1日分まで書き終わるのはいつになるか・・・。
by kngordinaries | 2007-01-07 20:09 | ライブ


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