アナログフィッシュ TOUR is HARMONY 名古屋クラブクアトロ
待望のアナログフィッシュのワンマンライブ。
思えば普通のワンマンライブとしては(ジョントポールは普通じゃないとします)、去年の4月の京都磔磔以来。といってもあれも未発表曲中心の特殊なライブだったわけで。となるとちょうど1年前の1月の名古屋以来か。というかライブの度に違った表情を魅せるバンドだから毎回新鮮なんだよな(脱線)。

事前に観客が並ぶパルコの階段のところの整理番号の札をチェック。
前回の去年の1月のときは「№200~」のあとがもう「当日券の方」だったのだけど、今回は「№250~」まで出ていました。凄い微妙な成長だコレ。

開演30分前くらいに会場入り。
フライヤーに4月の対バンツアーの会場限定先行予約が入ってるんでは、としげしげとチェックするが、当てが外れる。なんだか印象としては1月より人が少ないような、と思いつつロッカーに荷物を入れ、やや下岡側の6,7列目くらいに陣取る。結果的には開演直前には結構びっしりと人が埋まっていた気がする。
この会場はわりとステージが高くドラムまでしっかり見えるのが嬉しい。

ぐいぐいと期待感が高まる中、開演10分過ぎてかなり待ちきれなくなったところでライブは始まった。

※この先公演中のライブ内容について容赦ないネタバレがあります。ご注意ください。





客電が落ち会場が拍手に包まれる中、CDJに引き続きFLAMING LIPSのYeahYeahYeah Songにのって3人がステージに登場!
暗めな照明の中で下岡のニット帽がやけに光り輝いているな、と思ったら赤の間に白が入っていてその部分がブラックライトに当たって発光して見えているもよう。紅白のニットて。おめでたいな。

のっけからハイテンションで手拍子を煽る佐々木。そして
「あけましておめでとう!アナログフィッシュです」
のライブ第一声は下岡。そして演奏が始まる。
1曲目はLiving in the City。温かみの溢れる演奏とポップなメロディー。平熱だけど心地いい音空間が自然に広がっていく。2番の出だしで歌詞を飛ばす下岡。しかしそのあとからの演奏の盛り上がりが素晴らしく、1曲目にして最高。
そして
「パ――」「パ――」「パ――」
の3つの声のみのイントロが発せられた瞬間、一人テンションが思いっきり上がってしまった。3つの声がピタッと止って、一瞬の静寂。下岡がニヤリとした表情でつぶやくように口を開く。
「シティ」
City。去年アルバムが出るまでの間、何回Living in the Cityとこの曲を繰り返し聴いたことか。無邪気な遊び心に満ちていて、溢れるほどポップで、しかし「ヘッドフォンをして耳を塞いだら 目の前の世界は映画になるけど 君の話してる声が聴こえん!」との歌詞の一節に顕著なとおり、カジュアルな装いの中にもメッセージ性を持っている、つまり最高に強靭なポップチューン。
そして次の曲のイントロのギターが鳴り、会場から拍手が湧き起こると佐々木が、もっともっとというように煽る。笑う下岡。そして始まったのは最新シングルMagic。うん、最高。
ライブ冒頭にしてぐんぐんと熱が上がっていくフロア。けしてガツンと拳を上げるような熱気ではないけれど、会場全体がジャストな演奏と心が弾むメロディ、そして柔らかく切なくそして優しい歌、そんな魔法にかかってしまったようだ(ベタな言い回しですみません)。

「楽しんでる? (会場大歓声) 僕らは凄く楽しんでるよ!」
とひと盛り上がりのあと、一息ついてからテンション高く話し始めたのは斉藤。その間に早くも汗だくの佐々木氏はジャケットを脱ぐ。いつもながら早すぎ。
「アルバムがね、ROCK IS HARMONYが出てもうどれくらいになるかね。・・・えーとまあ2ヶ月くらいかな。(と佐々木にふる。佐々木無言でうなずく) で、今回はTOUR IS HARMONYということなので、・・・そのアルバムの曲ばっかりやります!」
会場拍手。
「そんな感じだよね。健ちゃん」
と斉藤が佐々木に振ると、それまでうつむいてチューニングしていたようだった佐々木がいきなりシャキッとして前を向き口を開く。

「素敵な夜にしよう!ガールフレンド!」
で、ガールフレンドに気持ちよく流れ込む。このバンドにしては珍しくこのMCは決め打ちだったもよう。ようやく披露された佐々木曲は、まさに佐々木らしい超メロディアスなキュートでポップなミディアムチューン。歌声がどこまでも気持ちよく伸び、3声のハーモニーの魅力も存分に味わえる、切なくもスイートなラブソング。
続いてはイントロのベースラインが印象的なTickt To Rideへ。ここでさっきの新作の曲ばかりやるという斉藤MCをいきなり覆す過去曲が披露されたことに「ええぇ!?」と思った人は多かったのではなかろうかと。しかし、中盤から原曲以上にラウドなアレンジになっていき、曲間のインプロでは3人の音が激しく絡み合い、もの凄いうねりを産んでいく展開がすばらしすぎるので問題なし。圧倒的に心地よく、痺れるほど刺激的でヤバイ、このバンドのディープサイドの真骨頂。
曲が終わり、
「名古屋―――!!名古屋―――!!名古屋―――!!」
といつものことながら素晴らしくよく通る声で何度も叫ぶ佐々木。その度にちょっと笑い声交じりに歓声で答える観客。そして両腕を豪快にくねくねさせながらあさっての方向を見つめて叫ぶ。
「踊れるもんならぁー!踊ってみやがれ―――!」
・・・なんなんだその煽り。勘のいい人には次の曲が分かる、佐々木流の曲紹介。
世界のエンドロール。言葉のリズムで曲のテンポをコロコロと変えていくAメロが衝撃的な疾走ロックチューン。普通に考えて確かに踊りにくい曲ではあるのだけど、1回曲の流れを覚えるとこんなに楽しい曲はない。しかも気持ちのいいサビのあたりは気持ちよーく自然な流れにできてるあたりが佐々木の人のよさを表していると思う。全然観客を置いてかない。
スケール感の大きなこの曲でまたもピークを迎えるフロア。

少しの静寂のあとMC。今度は下岡担当。
「ありがとう!名古屋で、このクアトロで僕らのライブにこんなに人がたくさん来てくれたのって、多分初めてなんだけど。ほんと楽しいね。ありがとう」
というような感謝の言葉を。
「なんか、街の中をドライブするのが僕は好きなんだけど、名古屋もそこの前の通りとか、あの上がうわっとなってるところとか(←全然意味不明)、走ってるとさ。大きかったり小さかったり、ビルがヒュンヒュンと通り過ぎてって、その中に小さく灯りが点いてたりして、あぁ、と思うんだよね。で、あの搭、テレビ搭っていうの? あれがニョキッと出てきたりしてさ。そういう街を走るのが好きですシムシティ」
なんだかまた不思議な話をはじめたぞ、この天才は、と思いながらよく分からないながらもふんふんと聴いている最中にいきなりの曲紹介(ほんとに前の言葉と数珠繋ぎだった)。戸惑いつつ、笑いつつ、観客が拍手するころには曲が始まっていた。

シムシティ
ゆったりともやもやとした始まりから、勢いを増していきなり爆発したり、また揺れ戻ったり、不思議だけど何だかとても心地いい、カラフルな脳内世界を一瞬でスケッチしたようなサイケでポップでちょっと危険な名曲。斉藤のドラムがめちゃくちゃに炸裂し、暴力的なまでに鼓膜を刺激する。珍しく思いっきり楽しそうに下岡が歌っているのが印象的。
というか、ライブ冒頭から下岡のテンションはいつになく高い感じがした。
そして曲終わりの決め部分がめちゃくちゃに上手くいき、あまりの素晴らしさに大歓声が巻き起こる中、快心のガッツポーズを作って煽る下岡。
しばらくゆらゆらとしたギターが鳴らされ、スパイダーへ。新作の中でも異色のちょっと童謡的要素もありつつアイロニーもたっぷりな実験的名曲。このワルツのリズムを演奏する斉藤のドラムが、もうほんとたまらなく素晴らしいことになっていた。しかし本当に斉藤は楽しそうに叩くなー。下岡の今までになくコミカルな絶唱も絶品。
そしてまたしばらくの静寂のあと、ゆったりと始まったのはIwashi。公平なワールドに続く新作の重要曲がこんなに序盤で披露されるとは意外だった。
どちらかというとポップに開けた部分が印象的な新アルバムの中で、リアルを歌っているこの曲の中にある虚しき現実と願いの感情は切実に胸に迫る。それぞれの楽曲が、その表現したい感情や映像をそれぞれのベクトルでくっきり音で描けたことで、このアルバムラスト曲はより強い存在感を持ってリスナーの胸を焦がす。
朝も昼も夜も ただただ泳ぎ疲れて眠るだけ
窓を閉め 横たわり 目を閉じると
時々そんな毎日を 思い描くけど

朝も昼も夜も ただただ波が水面を揺らすだけ
窓を開け 顔を洗い コーヒーをいれ
とにかく今は無性に泳ぎたいだけ

朝も昼も夜も

朝も昼も夜も

続いては佐々木MC。ぜいぜい言うくらいの勢いでハッスルしていた佐々木がなんとか息を整えつつ喋りだす。長い髪はバッサバサで汗は滝のようだ。
「え、今回のツアーのために新曲を作ってきました!」
会場大拍手。
「年明けに、ライブ終わったあと近所の飲み屋で朝9時くらいまで飲んでたんですけど、もうみんなわけわかんなくなって、もう帰ろうってなって、地下の飲み屋だったんですけど。そこから階段を上がっていって、外に出たときにブワッと。ドア開けたとき、凄く綺麗で。輝いてたんですよね」
なんていうか、日の出のことを言ってるんだろうけど、分かりづらい。下岡とはまた違う意味で。
「そんな瞬間の感じの曲です。サン!」
と言って、SUN(表記不明)。ギターの野太いリフが冒頭から印象的な爽快なロックチューン。明るく開放的で爽快な、去年前半からの佐々木曲に多く見られるトーンを踏襲しているのだけど、この曲も素晴らしかった。特に「ヘイ!ブラザー 調子どうだい」などといろんな相手に話しかけるように歌う歌詞は、今まで以上にグッと開けた印象でかなり新鮮。早くもライブの人気曲になりそうな気配。
続いてはマテンロー。どうしようもない不安感をぶち破ろうとする気持ちが美しいメロディに乗ったミディアムチューン。この人の喉はなんでこんなにいつでもグッドコンディションなんだろう。
そしてこの気持ちは僕のものへ。ギター一本の伴奏による歌いだしはいかにも弾き語り風なのだけど、実際弾いてるのは下岡で語っているのは佐々木。この画がなかなかにかっこいいし、逆にとてもバンドっぽい。そしてなんだかとても仲がよさそうに見える、これをコブクロ効果とでも名づけようか。
自分自身の内側にある感情、特にどろどろやもやもやとした部分をを美しいメロディにして高らかに歌わなきゃいられない佐々木にとって、かなり多くのニュアンスを1曲に閉じ込められただろうと思える、注がれた感情がいまにもコップから溢れ出しそうにゆらめくロックバラッド。

ここで下岡MC。
「みんな凄い元気ですね。僕らはもうバテバテなんだけどさ」
会場笑。
「そんなことないです。まだまだ元気だよね」
と佐々木にふると
「あの、」
と言って飲んでいたペットボトルを掲げて指差して
「昨日からずっと、ポカリスエット飲んでるんで!まだまだ元気マンマンです!!」
会場爆笑。
どういう意味だ、それは。わけがわからなくて面白すぎる。佐々木には絶大なポカリへの信頼があるのだろうか。
個人的にあまりにツボにはまりすぎて、次の曲の前半までこれをひきずって笑ってました(恥)。いや次の曲が好きすぎるということももちろんあるんだけど。
そして
「みんなが盛り上がってる感じを観てるのが、好きなんだけど。・・・まだ盛り上がれる感じですか?」
と言っていわゆる「死刑!」みたいなあのポーズに似たポージングをして会場に問いかける。歓声で答える観客。
「まだ盛り上がれる感じですか!」
と、もう2,3度繰り返してそのたびにポーズを取る、そしてそんなおどけてる自分に吹き出す下岡。うむむ、地味ながら昔の下岡から(と言っても2年前)すると大きな変化だ。どんどんオープンになってる。なってるのに、1つ前の下岡パートを観れば一目瞭然で、ディープにもダークにも格段に進化してる。この人凄い。

そしてそんな下岡の煽りで始まるHello
このバンドの目を見張る進化はずーっとひたすらハイスピードに続いているけれど、その始まりはやっぱりこの曲だったと思う。曲前のインプロからもう全てが心地いい至上のポップチューン。イントロのいかれたアンサンブル、通低音のようになるベース、音の全てが遊び心に溢れていて心地よく、明快なメッセージはいつ聴いても心を貫く強さがある。
そして多分ここでまた佐々木による
「名古屋―――!!名古屋―――!!名古屋―――!!」
があり、上がりっぱなしのテンションのままエナジーへ。3人の音が固まりになってステージで疾走する。情けない日常をそれでもとことん進むしかないというのた打ち回りながら前進するパワフルなロックチューン。
さらに続いてはスピード!イントロの熱っぽいギターがフロアに完全に着火したように、爆発的な盛り上がり。ライブ後半にいたっても佐々木の強靭な喉からは一点の曇りもない歌声が大迫力で放射され続ける。早口なパートの前のダンシングも最高だった。曲間のギター&ベースの絡みも素晴らしく心地いい。
この曲だったか定かでないけど、ステージ隅っこのアンプの裏に隠れては佐々木の方にひょっこり顔を出しては引っ込めつつギターを掻き鳴らす下岡が自由すぎて面白かった。
そしてアンセム。怒涛のアップチューンの連打のあとにホッとするような心地いいテンポで演奏が始まると、ステージ佐々木側より無数のシャボン玉がステージに放射され始める。照明にキラキラと反射しながら、爽快なハーモニーと佐々木の歌声と三人の演奏に乗って、ときおりフロアの方までふわりふわりと飛んできていた。
泣き笑いがない交ぜになったような切ないミディアムチューンをちょっと感動的に彩る好演出。

演奏が終わると湧き上がる大拍手。文句なく素晴らしいライブ。
メンバーが口々に感謝の言葉を口にしたあと、本編ラストチューンへ向けて下岡が語りだす。
「毎日こう生活していて、なんか全然公平じゃないような気がしててさ、まー公平じゃなくてもいいっちゃいいんだけど。俺は凄い腹立たしくて。公平じゃないことに対して。・・・ここで僕らが演奏して、みんなが楽しんで、っていう、この感じはわりと公平なほうじゃないかなって思うんだよね。・・・だからさ、楽しんでってください!」
会場拍手。なんとなくこれまでのライブのMCでの彼の語りは、観客をシンとさせる印象があるのだけど、今回はどの場面でも最後にちゃんと、ふっと緩めていて、それは些細なことではあるけど、素晴らしいことだと思った。
そして公平なワールドへ。
3人の生音以外をライブにも導入した。という意味でもバンドの新たな世界を感じさせるこの曲。透明感のあるキーボードっぽいその音色は、この曲の持つ世界を十二分に広げ、中盤の機械音、そして警鐘のようなめざましのベルは、鋭利なナイフのように心を突き刺す。
「泣かないで」というフレーズも曲後半に登場するけれど、これは今の時代を生きる人々の心の奥底に押し込められたなすすべもなくハラハラと零れ落ちる涙を、本気で止めようとする音楽だと思う。
この曲は視界の外の世界を見ようとしない、想像しようとしない事に対して叱咤しているし、この世界の矛盾へのアイロニーがこもっているし、ともすれば社会的なメッセージを強く感じさせる言葉も登場する。しかし、それこそが真摯に、まとわりつく諦念を振り払って世界を肯定しようとするポップ・ミュージックだし、こんな曲がどうしても必要なのだと思う。
下岡の歌唱はCDJのときほど怒りを強く感じさせるものではなく、むしろ丁寧に大切に歌い上げているように感じられた。大きくポップに踏み込んで、またこれまでとは少し違う新たなバンドマジックが産まれはじめているように思えるこの日のライブにふさわしい感じがした。


熱いアンコールの拍手に呼び戻されて、3人が再びステージへ。
「ありがとう!」
と下岡のマイクスタンドで行って片手を上げる斉藤。
「ありがとう!」
と佐々木のマイクスタンドでも片手を上げる斉藤。元気だ。
そして始まった演奏はなんとラジオ。かなり久々感がある、初期の佐々木の名曲。この前聴いたのはもしかして東京でのジョントポールでの下岡版ではなかろうか。
「今回のツアーのアンコールはその日ライブハウスに入って、セットに入ってないまだやってない曲を選ぶ、という趣向でやっております」
と下岡。
「だからツアーが進むに連れて、だんだんもうやった曲ばかりになってきて、新鮮味もなくなっていくんだけど。まだ新鮮です。(会場笑) 新鮮なうちに名古屋でやれてよかったよ」
各会場違うということかー。次の曲にもの凄く期待がかかってしまう。ROCK IS HARMONYは素晴らしい名盤だけれど、このバンドにはまだまだ腐るほど名曲があるわけで。
そして4月にはまた対バンツアーで来るんで、的なことや、グッズの出来がいいんで見てってよ、的なことをそれぞれが口々に言ったあとの次の曲はTOWNだった。
こちらもちょっと久々感のある名曲。ゆったりとしたイントロでもうやられてしまう、どこまでも胸を締め付ける強力な引力を持ったミディアムチューン。後半に進むに従いバンドのアンサンブルがじわりじわりと熱を上げていき、最終的に爆発していく様はやはり圧巻。
大満足のアンコールはここで終了。

再度のアンコールの拍手にまずは斉藤がステージへ。
「ありがとう!」
と下岡のマイクスタンドで行って片手を上げる斉藤。
「ありがとう!」
と佐々木のマイクスタンドでも片手を上げる斉藤。デジャブだ。
と思っているところへ、もの凄い勢いでステージに走りこむ影が。
それは瞬く間にダイナミックにぐるりと側転をかましてステージの隅から隅へと瞬間移動していく。佐々木だった。場内驚愕爆笑。
そのあとに、よっと、という感じで側転するフリだけやる気なくみせて下岡登場。ステージの隅でなぜかもじもじしている佐々木。
「アンコールありがとう!あと1曲だけやらせてもらいます」
と斉藤。
「なんか、側転したのはいいけどそのあとが地味だよね。あれで5分は盛り上がれたのに」
とチクリと下岡。もじもじする佐々木。
「なんかお客さんも増えて、こんなに盛り上がってる名古屋は初めてじゃないかな。ユメのようです(笑)」
と微妙なリップサービスをしたところに会場から「もっと増えるよ!」との声が。
「ありがとう。今の言葉はちゃんとしまったから。俺いつもニット帽被って片耳出してるんだけど、いい言葉はこっちから入って、(反対側が塞いであるから)こっちで止るようになってるのね。だから今の言葉はしっかり止ったから」
と下岡。かなり上機嫌なのは間違いない。
「じゃあ、俺のいつも言ってることは大体反対の耳で聞いてるんだ」
と斉藤。
「ん?いや、こっちから来てこう抜けてく(耳に入る直前でふにゃふにゃと頭上や首のほうへそれていく)感じ」
とかなんとかいう話でひとしきり盛り上がる。
「こんなに盛り上がってほんとに嬉しかったので、最後は大団円で締めたいんでよろしく!DO YOU STILL NEED BGM?」
待ってましたのコール&レスポンスに一気に湧き上がるフロア。そして何度かのやりとりのあとイントロの痛快なギターが鳴り響いてBGMへ。
シンプルこの上ない演奏が、だからこそ最高なダンスチューン。最後の最後にきてまた爆発的な盛り上がりを見せてライブは大団円で終了。

もうほんと最高な素敵ライブだった。
いままでのこのバンドのライブも、新たな新曲に期待が高まったり、ディープサイドにとことんやられたり、あまりの脱力MCになごんだり、いろんな意味で素晴らしく楽しんできたけれど今回はまた格別に最高だった。

去年一年、このバンドが模索していたオープンでポップで優しい音世界が結実したROCK IS HARMONYがリリースされて、やっと観客にちゃんとその世界観を共有された状態でライブが出来たことが大きかったんじゃないかと思う。本当に伸び伸びとした演奏とパフォーマンスだったと思うし、そこまで見せたい世界が具現化できたことで、逆にMCと曲の流れとか、ショウとして楽しませるための計算も素晴らしく機能するようになっていた。
もちろんある程度ワンマンの経験値が積み重なってきた何度目かの全国ツアーということも大きかったと思う。

2年前とかのとにかく演奏に集中力を使い切って、MCはシンと静まり返ってグダグダみたいなことはなく(それだって素晴らしいことなのだけど)、余裕もサービス精神も出てきていたし、それは結果的にその前後に披露される曲の持つメッセージを、変に仰々しかったり神妙な雰囲気にせず、水のように自然に観客の心に浸透させる中間体として気持ちよく機能していた。
また「ROCK IS HARMONY」がそういうアルバムであるし、まず表現があって、それに合わせてライブが変化するというのはとてもミュージシャンとして真っ当だと思う。

そういえば、KISS期のころに一番よく見かけた下岡の見えないタクト振りが今回は大復活していた。時にはシャドウボクシング並みにダイナミックな動きにまでなって一心不乱にアンサンブルの強化に励んでいた。
やわらかく暖かい雰囲気のサウンドも増えているのにまったく持ってゆるくないのは、その辺にも理由があるかもしれない。

とにかくどこかしら大いなる助走チックだった季節はもう完全に終わって、このバンドはこのツアーからまたネクストレベルへ歩を進めた感じがした。しかも今まで以上の大きな歩幅で。
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by kngordinaries | 2007-01-17 01:40 | ライブ


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