GOING UNDER GROUND tour 2007 TWISTER 浜松窓枠
小雨がパラつく浜松駅前の大通り、見た感じ立体駐車場にしかみえないその建物の前に並ぶ人だかりに、そこが目標のライブハウスであることに気付かされた。

ハートビート、h.o.p.sの開けたポップへ飛躍していった充実期を過ぎ、ある種完成をみたTUTTIという作品とそれに続くシングル「VISTA/ハミングライフ」の名曲っぷり、そして昨夏のベスト盤発売直後の日本武道館公演を終え、しばらくリリースが止まっていたGOING。
明らかに今過渡期を迎えているバンドが年をまたいで行ったツアーgoing on paradeは底抜けに明るく朗らかなライブだったと思う。

そのなかなかにロングなツアーを終えてシングルを1枚リリースしてまたツアーを開始する、という生き急いだような活動ペースで突っ走るこのバンドが今度はどんなライブを見せてくれるのか、とても楽しみだった。


会場は少し地下に降りたような場所だった。ロッカーもなく、段差もない、少々横に広いつくりでキャパは300人程度だと思われるハコ。
ソールドアウトしたらしいけれど、思ったより密度は薄くゆったりといっさんよりの前から10列目あたりで開演を待った。


※以下、絶賛公演中のライブについてネタバレがあったりなかったりします。ご注意ください。

※毎度のことながらMCが多すぎて長すぎて位置や順序等、かなりあやふやです。




キラキラとした音色の弾むような打ち込みのSEに乗って、メンバーがステージに登場。
1曲目からいきなり耳慣れない曲が始まる。まっさらな新曲だ。打ち込みのSEからの流れるように始まる弾むリズムとわりと平熱なポップさのある耳心地いいポップチューン。
ちょこちょこと聴き取ることができた歌詞からしてもしかしたらTWISTERという曲じゃないかと推測。
そして音が鳴り止まないまま緩やかに音が移り変わっていき、あの胸を締めつける様なギターのイントロが鳴りへ。
若き青年のどこまでも蒼く澄んだ心情を、そのまま音像化したようなサウンドとメロディ、それを歌うのが世界一似合う松本素生の朴訥とした歌声、このバンドが「かよわきエナジー」のころにどれだけ奇跡的な音楽を紡いでいたか、が改めてよく分かってしまう。切ない名曲。
そしてグラフィティのイントロがなった瞬間、一気にフロアの熱が上がっていく。初期のこのバンドの間違いないキラーチューンは、いつ聴いてもとても熱く切なく、そして凛々しい。

まっさらな最新曲と初期の名曲が違和感なく溶け合った最初のパートが終わりMCへ。
「やっと来れたよ、浜松!静岡はちょこちょこ来たことがあったんだけど、浜松はライブするのは初めてなんだよね。こんないいハコで出来て嬉しいです!」
との松本素生の言葉に会場拍手。
「でも、今日最初ここ着いたときは、うってなったよね。湿気が凄くてさ、すぐ空調効かせてくれていまは全然だけど。なんだろうね、あの湿気」
と中澤。
「いや、雨でしょ」
と松本。
「それだけ?さっきからそれしか返してくれないよね。この湿気なんだろうね、って言ってるのにさ、『いや、雨でしょ』って。そればっか」
と中澤。
「いやいや、雨でしょ。なに、お前ここのハコの作りにケチつけるのかよ!」
と松本。
「いや、そんなこと言ってねぇじゃん」
と中澤。
などなど、ライブ始めからよく喋る。

次の曲のイントロが鳴った瞬間、どうしようかと思った。シンドロームだ。
GOINGの楽曲にはイントロの一音目から完全なる作品世界を作り出してしまう曲がたくさんある。逆によくあるエイトビートや、お決まりのアルペジオ始まりみたいな作品はほとんどない。5つの楽器で出来る限り、イマジネーションを刺激する音を創造しようといつも躍起になって取り組んでいるバンドだ。
この曲も確実にそんな1曲で、そして「かよわきエナジー」の蒼き魔法がかった一時期を過ぎた青年の成長を感じさせる憂鬱さとシリアスさと、そして視界が開けたことでかたくなな心が少し柔らかくなったそのささやかな変化を感じさせる「ホーム」のキーとなる名曲だ。
曲が終わり、少ししてフロアに広がる拍手の波。それも静まったあと、静かに優しく奏でられる伊藤洋一のキーボード。
サンキュー。シンドロームのナイーブな世界とリンクしつつ、確実に力強く足を踏み出した世界観。メロディの高まりと共に丁寧に丁寧に折り重ねられる繊細なアレンジ。
シンドロームとサンキュー、どちらもとてもライブで聴きたかった曲なので、本当に嬉しかった。

ここでMC。
「俺ら昨日岡山でライブがあって、で今日もライブだから俺なんか打ち上げも参加しないで。で、今朝新幹線で浜松に来たんですよ。普通ツアーで岡山行ったらさ、大体次は近いところで大阪とかなんだけど、俺たちはなぜか浜松。(会場笑) なんなんだろうね、これ」
「でも俺思ったんだけどさ、俺らはツアーとか大体2,3箇所やって戻ってレコーディングしてって感じなんだけど、結構他のバンドはツアーに出たら出っぱなし、とか多いんだよね。それでさ、MCとかで何話すんだろうとか思ったんだよね。何のドラマもないよね。何話すんだろう」
と松本。
「話さないんじゃない?(会場笑) 俺らくらいだろ、こんな風にベラベラベラベラ」
と中澤。
「そうか!話さないのか・・・。ボソッと呟くくらいでいいんだよな」
と言いながらここからも延々と新幹線の前の席のカップルのいちゃつきにイラッときた話など、思いつくままといった感じで話しまくる。「あ、俺もう一つ言いたいことあったんだ」という言葉を何度聴いたことか。会場失笑。

そして久々の演奏はランブルからスタート。
個人的に一番好きなアルバム「ホーム」からシンドロームに続いてのこのシリアスな名曲が聴けたことが嬉しすぎた。不確かにゆれ動く気持ち、ある種の諦観のなかで見つける確かな希望。美しすぎるキーボードのアレンジが、心を揺さぶる。
そして素生がエレキからアコギに持ち替え、ゆったりと歌いだされるion。とてもポップで人懐っこいメロディが伸び伸びと歌い上げられ、平熱の暖かさがフロアを包む。
そして静かに歌いだされるグッバイベイビー。緊張感のあるメロディとドラマチックなアレンジが、言葉をしっかりと届けるミディアムチューン。
そして、ここでまたイントロで飛び上がるほど驚いた。なんとシグナルだ。シリアスにストイックに真夜中に自分と向き合って自問自答するようなタイプの楽曲が松本素生作にはアルバムに必ず1,2曲あり、それは揃いも揃って名曲だったりする。そしてこの曲はそんな楽曲群の中でも、特別にヒリヒリとしたシビアさと狂おしいほどの切なさと真摯さに溢れた1曲。心に突き刺さる。
と、そんなシリアスなトーンから一転、ワルツのリズムで耳慣れない楽曲が始まる。またまた未発表の新曲だ。そのどちらかというと陽気なサウンドから歌われる言葉は、それとは裏腹に毒っ気のある泥臭い強さを持っていたように思う。そのバランス感がとてもよく、一聴して気に入ってしまった。
そして曲終わりから流れるように南十字のイントロへと繋がる展開が美しかった。早くもライブの定番曲として、強く印象付いた珠玉のミディアムチューンで、この6曲に渡るシリアスで静かなトーンに包まれたパートは静かに、しかしエモーショナルに終了。
強く暖かい拍手がフロアに長く長く響き続けた。

そしてMC。
松本素生、ダイエットを決意。(3サイズ、100、100、100だったのが、悪いほうに変化したらしい)
ロックンロールダイエット(食べるときは食べる、その代わり次の日から断食、という松本いわく「nonnoとかの1日15分で気軽にダイエット!とかやってる女子とは違う、ハードなダイエット法」。中澤いわく「単なる気分屋」)でやせるとのこと。
しかし浜松に来るなりうなぎ弁当をがっついていた。
等々、ここもとにかく話まくる。(長いので割愛)

そしてギターをジャランと鳴らし、静かに歌いだし、
「浜松のさびしんぼ―――!!」
とのシャウトからさびしんぼうへ。これまた「ホーム」からの1曲で嬉しすぎる。タイトルからして恥ずかしすぎる、青臭い青春疾走系ビート炸裂のロックチューン。ただ、どこか諦観と憂鬱が張り付いているところが「ホーム」収録曲らしい。
そして
「踊れるスペースはありますかー!」
という定番の煽りで一気にフロアの熱が爆発し、ステップへ。
心躍るダンスチューン、波打つフロア。
そしてさらにお決まりの流れでナカザ曲、ショートバケイション
よういっさんがツアータオルを振り回し、それに合わせてフロアもタオルを振りかざす。ぐわんぐわんと振られるタオルとともに会場の熱気は最高潮に高まっていく。もの凄い盛り上がり。
そしてその熱気の中、音楽ジャンルレスな最近のこのバンドの志向が爆発した突き抜けたParadeへ。陽気で高揚感のある笛の音色と鼓笛隊のようなリズムが心地よくフロアを音に乗せていく。この曲順、素晴らしくよかった。
大きな盛り上がりをみせたあと、しばらくの静寂。そして、
トワイライト
もう説明不要のアンセムが鳴り渡る。この魔法のような1曲にどれだけの人が勇気付けられ、胸を締め付けられたことだろう。劇的な名曲。
そしてきらめくようなイントロからもう飛び上がらずにはいられない、どこまでも爽やかで暖かなポップチューンいつまでたってもで大団円といった雰囲気のなか、本編は終了。

そして熱い熱い拍手とParadeのコール&レスポンス「ライラライラライライ」の大合唱の中、メンバーが再びステージへ。
「浜松は初めてだったけど、楽しかったよ。静岡は広いから、またいろんなところにライブをしに来れたらと思ってます。次はアルバムを作って戻ってきます」
というような感じの宣言が松本からあったような。
アンコール1曲目は胸いっぱい。最新にして会心のロックチューンでさらに熱を上げるバンドの音とフロア。PVのあのダンスがフロアのそこここで。
さらにイントロのキーボードの気高い響きから拳を突き上げずにはいられないSTAND BY MEへ。もう完全にこのバンドを代表するライブアンセムとして定着した感のあるパワフルな名曲。
さらになんと
「埼玉県桶川市から、浜松を経由して、ハート行きの、ハート行きの・・・汽車が出ます」
と激懐かしくも定番の前口上が炸裂してセンチメント・エキスプレスへ!もう止まらない。疾走するサウンドに乗って、うねるフロア。切なさと勢いと蒼い衝動が爆発するロックチューン。
そしてそんな初期の名曲から、ラストはいまのところの最新作「TUTTI」からパスポート。この輝くようなスタートの歌で、ライブは全て終了。


このバンドはどこまで行くのか、どこまで行けちゃうのか、というちょっと信じがたいくらい可能性が広がるライブだったと思う。
セットリスト的には「かよわきエナジー」や「ホーム」からと「TUTTI」以降からの選曲が多めだったわけだけど、ずっと変化してきたバンドにも関わらず、それらの曲に妙なギャップは感じられず、むしろそれぞれの曲がより威力を増しているように感じられた。

特にまっさらの新曲たち、TWISTERやParade、そしてシグナルのあとに披露されていた曲はどれも明らかに新しい扉を開いているし、それはとても即効性ある音楽的魅力に溢れている。


過渡期だからこそ今のGOINGは面白い。
7月の名古屋公演にまた行く予定があるのだけど、一つのツアーの中で、といっても3ヶ月の時を経過して、彼らがどんな変化をしているか、それが今から楽しみでしょうがない。
もちろん、6月に出るシングルも、今年中に出るというアルバムとそのあとまわるツアーも。




GOING UNDER GROUND石原聡の一日一善「2007年4月23日 岡山&浜松」にトラックバックさせていただきました!
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by kngordinaries | 2007-04-26 02:52 | ライブ


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