Said and Done Vol.1 池下CLUB UP SET
このライブハウスにはいつもSTANを観に来ているような気がしてならない。
というか、間違いなくそうだ。そして今回はそのこれまでの中で、一番観客が多い。

開演予定時間の直前になって、5階のライブハウスへの階段を上がっていくとまだ入場が終わっていなかった。誘導の方の説明によると開演は20分ほど遅れるらしい。
フロアは約200弱の人で緩く埋まっていた。今回出演の5組のバンドはそれぞれがそんなにマイナーなわけでもないし、5組の客層が入り乱れているんだろう。

個人的にはSTAN以外の4組はライブは初見、音源もほんとに耳にしたことがあるかないかというところ。ただ、それぞれメディア等で評判は聞いているバンドばかりだったので、楽しみだった。

1組目はUNCHAIN
ボーカルギター、ギター、ベース、ドラムの4ピース。リフ中心のハードめなロックでありつつメロディはR&Bっぽい柔らかな雰囲気もありなかなかかっこいい。
歌詞はほぼ英詩なのか、一部日本語も聴き取れたけれど、あまりよく分からなかった。

2組目はmonobright
白ポロシャツに黒ぶちメガネ、が4人の4ピース。
ここのところ頻繁に音楽メディアで見かけていて気になっていたバンドである。なぜならその紹介記事の中で「ユニコーンっぽい」とか「民生的なメロ」というような言葉があったからである。そう書かれたら、無意識のうちに食いついてしまうのがOTファンの悲しい性なのだ。
音源はまったく聴いたことがなく、ここが完全な初見。だったのだけど、ちょっとねじれた勢いのあるバンドサウンドと親しみやすいメロディがいきなり好感触だった。ボーカルを中心に変に動き回るパフォーマンスは音と相まって、衝動や焦燥感の表現として分かりやすいし、なかなか凝った曲構成を無理なく聴かせられる演奏力もなかなかのものだと思った。
しかしそんなことよりもMCに入った途端に分かるボーカルの強烈キャラクタが印象的だった。立川談志やエレカシ宮本や爆笑問題太田を足しこんで割らない、みたいなカオスでめんどくさいそのキャラは、かなり面白い。
「1対大勢!1対大勢!1対大勢!1対大勢の会話は、やっぱり成り立たないんですよ!」
と何を言い出すかと思えば
「1対大勢の会話は無理なんですよ。うん、だからこれまでの3曲はなかったこととしてですね (観客驚笑)、残り3曲!残り3曲でもう1も大勢もなくぐちゃぐちゃに混ぜ込んで(激しく身振り手振り)、それを僕は持って帰ってですねぇ!・・・明日の朝食にしますから」
という理解に苦しむ素敵なロックMCをかましてくれた。
ライブ後、物販でCDを買いました。じわじわ気に入りそうな予感。というかとりあえずまたライブが観たいなー。

3組目は6eyes。
グラムロックというかサイケというか、巻き舌系の洋楽然としたロックサウンドで独特な味がある。MCにより、30過ぎのバンドであることが分かり、なんとなくその世代感覚と音の印象があってすっきりした。今の若いバンドにこういう雰囲気は出せない。
このボーカルもなかなか強いキャラクタを持っていて、最前のお客さんをしつこくいじっていた。この辺はかなり好みが別れるところだと思う。

そして4組目はSTAN
ステージ転換中の明らかに彼ら(というかkyg?)自作のSEは、ULTRAMAGNECTICSTANSの一節やOGRE YOU ASSHOLEや山下達郎やArctic Monkeysや黒人系のヒップホップやビートルズまで、なんだか幅広い選曲で、それも楽しい。どれもがSTANの構成要素だし。
セッティング完了後、一旦掃けてからずっしりとグルーヴィーなギターリフのSEに乗って、3人がステージへ!
いつからフロント2人の立ち位置が変わったと思うのだけど、今はもうこれがしっくりくる。
1曲目はS.T.An。未音源化だけどもう間違いなく彼らの新しい名刺代わりの1曲だろう。繰り返すトラックがぐいぐいとグルーヴを産むファンキーなダンスナンバー。いきなり楽しすぎる。
続いてはULTRAMAGNECTICSTANS。唄い出しからハンドマイクのkygがくねくねと踊りだし、一気にフロアの熱を上げていく。STANのユーモアと毒っ気とタイトなサウンドの魅力を凝縮した超名曲。ほんと何度聴いても独特で楽しくてカッコいい。
そして
「新曲やります。名古屋でやるのは初めての曲です。アメジストという曲で、結構売れそうな感じなんすけど、・・・歌詞はそうでもねーな、みたいな曲です」
というkygのMCから新曲アメジスト。STANの「天使のメロディ」サイドを見せつけるような素晴らしくポップなメロディ、隙間の多いアレンジ。これ絶対名曲だ、と一聴して気に入ってしまった。早期音源化を激しく希望します。歌詞があまり聴き取れなかったのが残念。
「次の曲は・・・・・・・・・ちょっと刺激が強いというか・・・・・・引いちゃう人もいると思うんですけど。・・・・・・でもちゃんと聴いてほしい曲です」
というような感じだったか。kygの曲前MCとしてはちょっと今までにない感じに驚いた。大体、刺激的な曲の前には、これでも食らえ的にツンツンするのが常だったはずだ。明らかに、優しかった。
そして鳴らされたのはALL BLUES。「手足がとれている 子供を埋めている だけど気にしない 笑顔忘れない 木陰で泣いている 彼女は両目がない だけど気にしない 笑顔忘れない」という歌い出しから衝撃的なこのミディアムチューン。
この曲を収録した1st「STAN」の歌詞カードにはこう記されている「※戦争における、枯葉剤被害を憂う」。STANはそういうバンドである。そしてそれを前置きにして歌い出せば引く観客も減るかもしれないけれど、ただ、引くくらいのショックも与えたいと考えるバンドでもある。そんな厄介なバンドではあるけれど、今回のkygの曲前MCはその両方のバランスを取れる絶妙なものであったと僕は思う。
曲が終わり湧き起こる拍手。静かに息を整えるメンバー。
「やべ、これMCやる間だ・・・。なんか喋らねぇと。・・・でもなーんも喋ることねーや」
と言ってまたしばらく沈黙するステージ。しばらくしてSEX PISTOLS Tシャツを手に話し出すkyg。
「これ、SEX PISTOLSっていうバンドのTシャツなんですけど。多分ここにいるほとんどの人が知らないバンドだと思うんですけど(会場笑)。今日これ着てライブしようかとも思ったんだけど、やめました。・・・なんでかっていうと、俺これ着るとすげぇ毒舌吐いちゃうんですよ(にっこり)」
会場笑。
「試しにちょっと来てみましょうか? (ギターを外しTシャツを着るkyg) ・・・(いきなり声色を低くして会場を睨みつけ)名古屋、超ファック!!(会場笑) ・・・ウイローなんてぜってぇ食わねぇよ!」
とかましていそいそとTシャツを脱ぐと
「(びっくりするくらいはしゃいだ感じで)名古屋、サイコー!!ウイロー美味しいよね!(にっこり)」
会場笑。
「(脱いだTシャツを持って)これあげようかな。・・・いややめとこう。またこういうネタでMCで使えるし。昨日の大阪はスベッたんだけどね。今日はよかったね」
とメンバーに向かって言ってこのミニコントは終了。
そしてここでいつもの今西と49によるインプロへ突入。ステージど真ん中へ出てきてグイグイとボルテージを上げていく今西。出演時間の短いイベントでもこれをガッツリやってくれるのは嬉しいかぎり。
そして「あと2曲」という一言からKYGのイチゴジャムへ。びっくりした。残り2曲と聴いて当然THE SONG→I KNOWの流れだと思っていたので意外すぎた。
あまりライブで聴けないコンパクトでポップでロックなミディアムチューン。跳ねるようなメロディラインがとても好きだ。
そしてラストはTHE SONG。何度も何度も音源でライブで聴いている曲だけど、やはりこのメロディと言葉は強く心に訴える力がある。珠玉のポップチューン。
そして最後は今西にギターをあずけてドラムスティックを持ち、ドラムを叩きまくるkyg。アンプに乗っかってアンプを倒したり、やりたい放題やって、ライブ終了。
「これ、俺の自前のアンプだから大丈夫なんです」
と言って、ステージを去っていった。

とてもいいライブだった。
何度も聴いていた曲たちが新鮮に感じられ、新曲はまた今後に大きな期待を抱かせられるような素晴らしいものだった。

というか、今回はkygのMCの変化が最大のトピックだったと思う。ALL BLUES前の曲紹介ひとつ、Tシャツのくだりひとつとっても、これまでのMCとはちょっと感じが違った。
そして、その方が、実は違和感がなかったというか、これこそが本来のSTANというバンドのライブのかたちじゃないかと思わせられるものだったことが面白かった。

そう。僕が初めて観た昨年5月のライブなど、「STANⅡ」リリース以降あたりの彼らのライブは、彼らにとって全国をまわってライブを始めたばかりであり、彼らを値踏みするように観る観客の多いライブだったわけで、その中で彼らは身を堅くし、どこかピリピリとした苛立ったモードでのライブだったんじゃないかと思う。
「I Know」をリリースし、ワンマンもこなし、ここに来てSTANというバンドの理解が少しは観客側にも広まり、バンドとしても余計な緊張がなくなり、本来のユーモアや優しさがステージに現れてきたのが、今回のライブだったんじゃないかと思う。そしてそれは今まで以上に曲や彼らの魅力が伝わりやすい雰囲気を持っていた。
確実にバンドがステージを上げたライブだった。

5組目はhare-brained unity
こちらは結構前からよく名前は目にしていたバンド。なんとなくダンスビート系かなという予測はあたっていた。
爽やかな4つ打ちとキラキラしたエフェクトに乗っかりまっすぐでポップなメロディが降り注ぐような感覚。とても心地いいし、そのバンドサウンドと打ち込みの融合感に全く違和感がないとこがいいと思う。ダンスビート×ポップな歌メロで切なさを出していく感じはオーソドックスだけど、やっぱりいい公式だ。
ただ、今回のライブで披露した数曲がほぼ同じBPMでほぼ同じ曲調だったのは、非常に残念。もう少しいろんなアプローチの曲を聴くことが出来ればハマッた気がする。(ないのだろうか)


といった感じで、大満足なSTANはもちろん、monobrightという収穫があり、hare-brained unity等他のバンドもまずまずよくて、3時間半の長丁場ながら非常に楽しめたライブイベントでした。

Re:mix2007でSTAN、monobright、hare-brained unityがまた観られるのが楽しみです。

しかし、STANの新譜はいつになるんだろう。待ち遠しすぎる…。
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by kngordinaries | 2007-07-05 02:24 | ライブ


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