GOING UNDER GROUND tour 2007 TWISTER ダイアモンドホール
年中ひっきりなしにツアーをやり続けている彼ら、そしてそれをひっきりなしに観に行っている自分。このツアーへの参加は4月の浜松公演に続いて2回目。
常々、本当に好きなバンドの長めのツアーがあった場合、前半に1回とそこから期間を開けて後半に1回観られたら最高じゃないか、と思っている僕としてはとても理想的な観賞タイミングになった。

七夕の夕方、バーゲンセールの紙袋で手をふさがれたまま開場30分後のライブ会場へ到着。
段差下の最後方に位置取る。(紙袋は当然ロッカーへ) ダイアモンドホールでのこのバンドのライブは何度も観ているけれど、この日が一番動員が多いように思った。

※以下、絶賛公演中のライブについてネタバレがあったりなかったりします。ご注意ください。



客電が落ち、ステージが眩しく照らされると打ち込みのSEに乗ってメンバーがステージへ登場する。

流れる打ち込みのサウンドにメンバーの演奏が加わっていき、演奏が始まる。フロアから湧き起こる拍手。
1曲目はTWISTER。大胆に打ち込みを取り入れた最新曲でライブはスタート、4月の時点ではまだ未発表だったこの曲はそのときもやっぱり1曲目だった。柔らかく煌びやかな雰囲気と異様にパワフルに弾けるサビのメロディが不思議とポップなアップチューン。1曲目から演奏も松本素生の歌も抜群に素晴らしい。
音源で聴く以上に彼らの音楽的進化がビビッドに伝わってきた。
高鳴る心はきっと巡り合う
息を切らして名前さえも捨ててしまって
涙こぼしたらもっと分かりあう
どんな事を想ってもいいだろう?
あぁどうして僕らは願い続ける?


続いてグラフティ。沸々と上がってきていたフロアの熱が一気に爆発する。もう彼らのライブでは完全に定番曲なのだけど、イントロが鳴った瞬間、抗えない強力な引力がある名曲。
さらにはSTAND BY MEと立て続けのライブアンセムで会場の熱は一気に最高潮へ。

ここでMC。
「いいねー。名古屋! 俺分かったよ。今日はいいよ!絶対いい。今日はもっともっと盛り上がって、俺の体脂肪も燃焼するよ」
と自信満々の松本素生。以前のライブでは喉の調子が悪いときほどこういうことを言っていた気がするけれど、今回はほんとに言葉どおりなんだろうなと思えるほど出だしの3曲は素晴らしかった。
「今日は七夕だよね。次の曲は、ちょうどこんな梅雨のじめじめした夏の日に作った曲です。ランブル」
という曲前のMCになぜか背筋がゾクッとしてしまった。何気ないこのエピソードが、あまりにこの次に鳴らされる曲のある種独特の雰囲気と合点のいくものだったからだろう。まさにそんな曲だ、ランブルは。

ドラムとキーボードの静かな掛け合いが印象的なそれだけで胸を締め付けるようなイントロのフレーズからランブルへ。
綺麗な水を探してる魚 あれはいつかの僕と君だよ

と歌いだされるこの曲はどこか陰鬱で、でも壮大で、果敢で、とても切実で、胸を締め付けられる。このバンドの魔法がかった季節に生まれた珠玉のミディアムチューン。
走り出した光り そんで涙拭いて 心をいつだって
伝えなくちゃいけない でも忘れなくちゃいけない 今日が世界だった

さらにあまりにも優しく印象的なキーボードのイントロから、サンキューへ。旅立ちの曲であるこの曲は、いつもどこかシリアスに思い悩む曲のあとに鳴らされているように思う。そのドラマチックな展開は、本当に感動的だ。
そして爽やかな疾走感に溢れたVISTAで一気に開放的な熱を放射していくバンド。
そしてしばらくの静寂のあと、その静けさを切り裂くように唐突に歌いだされたのはミラージュ。これもランブル同様ひどく蒸し暑い夏の日の焦燥感を感じさせる1曲。ヒリヒリとしたサウンドと言葉が胸を突き刺す。苛立ちと焦燥が爆発しそうにポップなメロディとドラマチックに展開するサウンドの中にひしめいている。
もどらないミラージュ
さよならをしなくちゃ・・・


この辺でMC。
ツアー先のホテルでメンバー+スタッフで集ってはいまごろマリオカートに燃えている話、風来坊という名古屋の手羽先で有名なお店で頼むつもりのない手羽先を感じの悪い店員に注文させられた話、などなど松本素生の舌鋒は今日もすこぶる快調。
そしてよういっさんの最近あてたというなんだか時代との距離の取り方が独特なパーマも素生とナカザにとことんいじられていた。確かにくるり岸田パーマに負けない衝撃度。
また、レコーディングが順調に進んでいること、アルバムを携えてまた秋には名古屋にくることなどを告げて、
「次はこないだできたばっかりの新曲をやります。カウボーイによろしく」
と言って、未発表の4月の浜松公演でも披露されていなかった新曲へ。

カウボーイによろしく(表記不明)ははっきりと言葉が届くメロディを持ったミディアムポップチューン。ステージの主役、というモチーフを扱って、自分の生き方・ストーリーを真摯に紡ごうとするような歌詞だったと思う。スクリーンの主役というモチーフを使っていたトワイライトとどこかテーマが似ている、ある種このバンドの王道な世界観が強く印象に残る名曲。
曲終わりで熱い拍手が湧き起こり、その後しばらく沈黙するステージ。
そしてあの印象的な電子音のイントロから静かに、しかしピリピリとした緊張感を持った演奏でシグナルが始まる。サビで爆発するダイナミックなアンサンブルと松本素生の狂おしく切実なボーカルが胸を震わす。このバンドの持つ独特な世界観のなかのあるベクトルを最大限に振り切ったような会心の1曲だと思う。
続いては4月の浜松公演でも披露されていた新曲。穏やかかつエモーショナルなメロディとフォーキーなアレンジ。とにかく松本素生の発する言葉がよく耳に飛び込んでくる。とてもスタンダードなポップソングの体裁をしつつ、その歌詞はこのバンド独特の純粋さと泥臭さと真摯さがないまぜになっていて、そのバランスが良かった。
続いてはシンフォニックなキーボードのイントロから南十字へ。流麗で穏やかなメロディーと包み込むような優しさとどこまでも広がっていくようなスケールの大きさを感じさせるアレンジ。
シリアスで穏やかなトーンに包まれたパートはここで終了。

そしてMC。
物販の話題から松本素生自身がプリントされたTシャツの話やGOINGの変態な部分を象徴する伊藤洋一がよく分かるパンフレットの話など、なかなか興味深い話が次々と。

そして、
「埼玉県桶川市から、ダイアモンドホールを経由して、ハート行きの、ハート行きの・・・汽車が出ます」
と、このツアーから復活した名文句も嬉しすぎるセンチメント・エキスプレス
一気に疾走するサウンドとそれによって一気に熱を上げるフロア。一緒くたになって衝動が爆発していくステージとフロア。もうライブでは定番過ぎる1曲なのだけど、どうにもこうにも褪せない。魔法がかったライブアンセム。
「もっと行こうぜ!踊れるスペースはありますか!」
というこちらも定番の煽り文句からステップへ。跳ねるリズムとスカっぽい松本のスキット、そして伊藤洋一の悪ノリの域まで行ってそうな振りきれたパフォーマンスでもうフロアの熱は最高潮へ。
そして切り裂くようなギターのフレーズがかっこいいメタルジャガーがワンコーラス歌われたかと思ったところでいつのまにか愛をちょうだいなへとなだれ込むメドレー的な展開がおもしろかった。
そしてここにきてナカザ曲、ショートバケイションへ。畳み掛けるアップチューンの連打の流れでこの曲を投下されては嬉しい悲鳴。
続いてはまたまた恐らく未発表の新曲であろうポップなアップチューン。レゲエ的なアレンジが端々に見られる夏っぽい印象のポップな曲だった。そのはっきりとした陽性の雰囲気からか、フロアの熱も高く早くもライブチューンとして機能していた。
と、完全にヒートアップした状態の中で、一息つくステージ。松本素生がジャララーンと何度かギターを爪弾く。段々とコード感からかあの曲が始まるんだという高揚がフロアに広まっていく。
そして鳴らされるトワイライト。湧き起こる歓喜の声と拍手。フォーキーなメロディの印象的な歌い出しから一気に炸裂するバンドサウンド、その中で紡がれていく感動的なストーリー。何度聴いても劇的に感情に作用する大名曲。
そして本編ラストチューンはきらめくようなイントロからいつまでたっても。大きな盛り上がりのあとのこの穏やかで揺るやかなダンスチューンの雰囲気はとてもしっくりきて好きな流れだ。
大団円な空気の中、本編は終了。

そして熱いアンコールの拍手が続き、メンバーがステージに再び登場。
アンコール1曲目は胸いっぱい。TUTTI以降の楽曲のなかでは最も初期のサウンドに近い雰囲気を持ったアップチューンだけれど、この未発表の新曲たちも多く披露されたライブの中で聴くと確実に新しいバンド感も感じられる曲だと思った。
続いて民族的な音色が鳴り、一つ前のツアーのタイトル曲でもあったまだ未音源化の新曲パレードを披露。この完全にシンガロング用にあつらえた様な、このバンドにとってのツアーとは、という問に対する答えをそのまま曲にしたようなこの曲もこのバンドの到達点を感じさせる。
テーマがどんどんシンプルになっていき、どんなことでも曲になっていく、というバンドのコンディションが非常にいいことが伝わってくる。
そしてここでまた秋にはまたツアーで戻ってくる宣言が飛び出し、ラストチューンはまたまた観発表の新曲愛の歌(表記不明)へ。シンプルでど直球な曲タイトルが紹介された時点でとても驚いたけれど、曲自体もほんとにど真ん中ストレートなミディアムチューンだった。
暖かい拍手に包まれて、客電が点いてもしばらくやまないほど熱い熱を残したままライブはここで本当に終了。最後の丈さんの一言もアルバムに期待してほしいということと次のツアーの宣言だった。


とりあえずこのバンド、異様な成長期の最中だということは間違いない気がします。TWISTERという曲で本人が言ってることそのまんまだけども。
4月の浜松公演ではそこまで思わなかったけれど、今回の未発表の新曲の連発と、その1曲1曲の新鮮なアイデアやストレートで迷いのない表現を聴くとどうもそんな気がする。
どの楽曲もはやく音源として聴いてみたい曲ばかりで、今後への期待は高まる。

年に2回以上のロングツアーをこなし続けるバンドなので、ライブの定番曲等、多少セットリストが固定的になってきていたここ数年のライブとは今回のツアーは明らかに違う新鮮な世界が現れ始めているように思う。
サウンドはどんどんなんでもありに表現枠を広げ、逆にテーマや言葉は削ぎ落とされシンプルになっていき、メロはガツンガツンにポップになっていっている感じで、それはつまり潔く躊躇なくポップフィールドにズブズブにのめりこむ覚悟ができたということだろう。

やっぱりTUTTI、そしてハミングライフは大きな転換点になっていたんだと思う。
ただ、このバンドが素晴らしいのは、それでいて原点であるかよわきエナジーの世界もホームの世界も、ワンマンライブの2時間の枠内で決して気休め程度ではなくちゃんとバンドの重要な構成要素として熱っぽく生モノとして差し出せることだ。
ベスト盤も出るほどキャリアを積んできたバンドとなった今だからこそ、ほんとうに彼らがどの時代の曲も大切にしていることが伝わるライブになっていることが、とても重要でとても嬉しい。


秋の次のツアーが今から待ち遠しい。
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by kngordinaries | 2007-07-13 01:51 | ライブ


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