ROCK IN JAPAN FES.2007 1日目 その2
100s後、すぐにSOUND OF FORESTに移動、したのだが、もうここはステージのエリア範囲内なのか疑わしいあたりまで黒山の人だかり。
去年の時点でも十分LAKE STAGEを埋められただろうし、いまや普通にヒットチャートのトップアーティストの一人に数えられているだけに、ちょっと明らかにステージの大きさに見合ってない感じがする。アーティストの意向なのかなー。
人気とステージがあまりにアンバランスなのは、双方にとって不幸である。

14時50分、YUI
結局、遥か彼方にステージがあるであろう位置から音だけ聴いているような感じに。拍手が起こったので、ステージに登場したのかな、という感じでなんとなく状況を把握していく。
1曲目はMy Generation。2ndアルバムから強まってきたロック色が色濃いアップチューン。
さらにHighway Chanceでぐいぐいとボルテージを上げていくステージ。
「みなさん、盛り上がっていきましょー」
という全然盛り上げ力のない、弱々しいMCも1年前に比べたらかなり成長してるように思う。楽曲にあらわれているとおり、よりダイレクトに観客と関わりたい姿勢がみえる。
でも、幾多のミュージシャンに比べたら全然だ。で、それがこの人の場合、むしろ信用がおけると思う。
不特定多数の「みなさん」に、早々心は許せないしさらけ出せない。ただ、歌と演奏では絶対に圧倒してやる。そんな繊細でありつつ異常に攻撃的でたくましい、作品まんまの性格の人だと思うからだ。
と、この辺でちょっと場を離れ休憩。後半、現時点で最大のヒット曲だろうCHE.R.RY。そしてバンドメンバー先にはけさせて、アコギ1本で情感たっぷりの熱唱でGood-bye daysを歌い会場をシンと静まらせて去っていった。
まだまだこの人が世界との距離感をジャストに取れるまでは時間がかかると思うけれど、その慎重さによっていつかぴったりとそのピントがあったとき、どれだけ凄いことになるか、どんな名曲が生まれるか、とても楽しみだ。

ゆっくりとまたGLASS STAGEに移動し、軽く食事を取って続いての御大に備える。今年に入って井上陽水とのユニットは観ていたものの、ソロとしてはかなーり久々である。ひたちなかの陽射しのせいではなく、喉はカラカラ。

16時20分、奥田民生
いつもの力の抜けた風情で奥田民生がGRASS STAGEに登場!観客の歓声に軽く手を振って答える姿はかなり機嫌が良さそうである。ゆっくりと音を確かめてから、演奏スタート。
1曲目はイナビカリ。ガシガシとしたリフによってぐいぐいとドライブするアップチューン。初めて聞いたのだけど、キャッチーなリフとメロディのポップさがとてもよかった。
そして続いては2曲目にしていきなりイージュー★ライダー!これフェスでのOTをよく観てる方々には驚きの展開。大体最後まで引っ張ってさすらいとセットのように披露するはずなのだ。が、よくよく考えてみると普通の大物はライブ前半から代表曲を出し惜しまないはずで、その意味では今回こそとても真っ当な曲順なのだった。
当然のように大会場のボルテージは一気に高まる。4ピースでの骨太なイージューはグルーヴィーで最高に心地いい。
続いてはスカイウォーカー。こちらもざっくりとした演奏が異常に心地いいポップチューン。美しくゆったりとしたメロディーが伸びやかに歌い上げられ、その言葉と音で作り出される世界に包まれるような感覚。
この辺でMC。
「えー、今年もまたやってまいりました。やってまいりましたじゃないな。出させていただきまして!・・・ありがとーございます」
と心にもないことを言う。
「毎年毎年出ていますと、だんだん楽屋とかでも微妙な感じにね。なってくるわけですよ。大物が来たら、まあそれなりの雰囲気が漂うんですよ。・・・逆に若手が来てもね、これがそれなりの雰囲気をね。中途半端なんですよ」
と自虐的なことを言う。多分、事実は違うと思う。
「あっ、これは言っておかないと。曲をね、去年くらいからいっぱい作ってるんですよ!もうめちゃくちゃ作ってますよ!出てないけど(会場笑) これ言っておかないと遊んでると思われるんで。全然ずっと作ってますから。・・・・またこれが凄いドンドンできるんですよ。今日出てる人たちに1曲ずつあげたいくらい。今日はやりませんよ!でもすっごい作ってますから!すっごいいい曲ばっかり!」
とここで、今回のフェスの中でも特に印象深く残る名言が飛び出す。
「今、42歳。・・・むしろピーク!」
会場大拍手。
「ピークですよ。すっごいいい曲ばっかできてるんで。てことは来年はダメってことです。その辺を理解していただいて、みなさん残り少ない時間を楽しんでいただければと・・・」
とオチがあったものの、本当に驚きの発言だった。
制作について、基本的にOTは異常に口が重い。いつかインタビューで、この曲を作るのにどれだけかかったとかこれだけ苦労した、なんて語るのはかっこ悪いし音楽の邪魔になる、言っていたけれど、裏返せば実は相当苦しんで時間をかけて作っているということだ。これ以外でもいろんなところでの発言の端々に制作の苦しみを暗に感じさせる発言は多々ある。けして声高には言わないけれど。
だからこそ、この「むしろピーク!」の突き抜けた発言にはほんとに驚いた。新作が楽しみだ。
そして
「あ、これは新曲か」
とかいう感じの一言から未音源化の新曲愛のボートへ。こちらも初めて聞いたのだけど、イナビカリ同様にキャッチーなリフ主体のポップでメロディの強い楽しい曲だった。
続く海の中へでずぶずぶとサイケの波に沈めていき、The Standardで美しいメロディーを聴かせ、直球のラブソングっぷりにうっとりさせる。
そしてKYAISUIYOKUMASTER。野太くかっこいいギターリフと迫力満点のバンドサウンド、コーラスとのかけあい、さらに後半リフでグイグイと上げていく展開。MTR&Y結成によって実った果実的名曲じゃなかろうかと。
ここでMC。ワカ天の話もちらっとしたんだったか、ここで突然マイクの調子がおかしくなる。
「なにこれ? なんかおかしいよ? 大丈夫?」
とかなりのリバーブっぷりでなかなかのトラブルだろうに、全く動じないOT。
そしてそのまま演奏スタート。快楽ギターをめちゃくちゃな音環境のなか、無理やり歌っていく。しかし観客的には演奏から半小節くらい遅れてリバーブ付きでボーカルが届くのだから聴くに耐えなかった。1コーラス終わったあたりでこのマイクトラブルは復旧し、あとはもうノリノリのロックンロールに身を任せればよかった。
あのまま、演奏せずぼんやりと時間が流れたらライブ的にもタイムテーブル的にも影響が大きかったところを、なかなかうまいこと処理したものだと思う。かなり力技だったけど。
そしてラストは大名曲さすらいで終了。
新曲がありつつもベスト盤リリース後ということもあってか、わりとリスナーフレンドリーなフェス向けセットだったと思う。「むしろピーク!」発言も含めて相当に状態がいいことはビシバシ伝わってきたし、もうこうなったら一刻もはやく新作を出してもらうしかないなー。もう十分待ったよ。

ここでまたまたLAKE側へ移動。かなりの往復率だけれど、台風の影響か風が強く曇り気味のため、そんなに体力奪われ感はない。

LAKEに行くとZAZEN BOYSのライブが終盤に、相変わらず独特なMCが耳おもしろい。カキ氷を食したりしながら大トリのコーネリアス前にふらっとWING TENTへ。

18時20分、9mm Parabellum Bullet
静と動のダイナミズムが凄まじい。以前観たときと変わらずとにかく圧倒的に熱を放射しまくる怒涛のライブ空間。いくつかのメッセージが届く曲もいいけれど、やはりこのはちゃめちゃな異物感というか化け物的な狂乱の感覚がこのバンドの真髄なのかもしれない。
数曲だけ観て、大トリのアクトを待ちにLAKE STAGEへ。

入場規制がかかるんじゃないかと心配で仕方なく早く戻ったのだけど、どちらかというとスカスカな感じで逆にびっくりしてしまう。
今年のLAKEはどのライブ前もわりとこんな感じで、開演予定時間にはきっちり人が集るようになっていた。それだけ場所取り感覚が薄れて観客のフットワークが軽くなったということだろう。

そして開演15分前くらいからコーネリアスをただひたすたに待った。
ステージにはなにやら上に組みあがっていたはずの鉄骨の一部が降ろされ、多くのスタッフが集ってなにか準備をしている。

開演予定時間がきても音チェックもはじまらない。ひたすら待つ。

開演予定時間20分超過でついに機材トラブルとのアナウンス。特に会場の苛立ちとかはなく、夏の夕闇の涼しい風を感じながらゆっくりと時間がすぎる。

降ろされていた鉄骨がまた上に上がっていき、そこから垂れ下がった白い幕がステージを隠す。白幕には黄色/白/赤/青のトリコロールに似たsensousのデザインがプロジェクター的な感じで映し出されていた。
その白幕の裏で音チェックがようやく始まる。

開演予定時間から約40分が過ぎ、チャララーンというあのsensousを象徴するような金管の音が流れ出す。

そして、驚愕のアートパフォーマンスが始まった。

19時30分ごろ、The Cornelius Group
セッションのような演奏でスタート。
セッションといってもバラッバラの音象が次第に一つのサウンドを構築していく、コーネリアス独特のスタイル。そして幕はまだステージにかかったまま、4つのカラーはその位置に幕の後ろにいるプレイヤーが音を出している瞬間だけ色があらわれそこにシルエットで演奏者が映し出される、というドリーミーな演出付き。
どれだけ複雑に音が絡まっていっても正確に色の発光と同期が取られている。
そして、
「エイチ。イー。エル。エル。オー。」
と無機質な音声でアルファベットが発せられると同時に幕に横からスライドするように文字が現れ「Hello」と挨拶の言葉があらわれる。続いて「The Cornelius Group」とアーティスト名が表示され、そこでプツッと幕が落ちる。ついにステージが現れる。
「お待たせしました」
小山田くんの一言。ジャーンという決めの音が鳴り響く。カッコよすぎ。
思わず階段ゾーンから立ち上がりスタンディングゾーンへ。
シンセのイントロから1曲目はBreezin’
感覚的で不思議な映像がステージ後方の巨大スクリーンに映され、その手前に平行線上に並んだメンバー4人の姿も現実感がなく浮き立って見える。確実に生演奏されているし、構築的ではあるものの呼吸するように有機的に響きあう演奏ではあるのだけど、それが映像とぴったりと同調している。
聴覚と視覚、それぞれに強烈な刺激を両者が重なりあうようなかたちで与えられると、何ともいえないトランス状態に陥らされる。凄い。
続いてはGum!昨年のSoft BankのCMの印象が強いバッキバキのロックチューン。母音と子音の組合せの妙を遊びながら、一語一語を発音していく歌の構成と合わせて、ビジョンには無数の口があらわれる。それは増殖し、回転し、爆発し、散開する。もう目がくらむような爆音のビジュアルサウンドアート(意味不明)。
続いてはDrop、コポコポとした水の音をコラージュしたオーガニックで爽快なサウンドスケープが心地よすぎるポップチューン。音の絶妙な緊張と緩和がこんなにもモダンに繰り返されるとその快感に抗うことなんてできない。
さらにPoint Of View Point。音響的な耳心地のよさを追求したシンプルで穏やかな水のような音楽。無駄なものを削ぎ落としたポップミュージックとダンスミュージックの結晶のような美しい音の芸術。
「Point」のリリースから6年、ついに初めて生でこの音楽を体感できて、嬉しかった。
Wataridoriはシルエットの鳥が優雅に高速で山や街を駆け抜けていく、その映像と音の異常なまでの体感スピードに飲み込まれてしまう。映像の印象が強いのかもしれないけれど、ケミカルブラザーズのStar Guiterを聴いているときの感覚に似ている。
ほぼMCらしいMCはなく次々と披露されていく名曲と、それに完全にシンクロしためくるめく映像世界にどこまでも酔いしれた。
そして終盤、攻撃的でデジタルなロックチューンCount Five Or Sixのあとだったと思うけれど、あのお馴染み過ぎるイントロが鳴り、Star Fruits Surf Riderが!
もう穏やかな中にドラムンベースっぽいリズムが感じられる前半のトラックからたまらない。映像もどこかノスタルジックでおもしろい。
最後はまたあのライブ前から鳴っていたチャララーンという音からsensous。どこか不穏な美しさのある静かに広がりを見せる音世界。何ともいえぬ深い深い精神世界に落ちていくような感覚。そこで、ライブは終了。

とんでもなかった。
想像を超えた素晴らしさだった。
「Point」を聴いた6年前からいつかどこかでこの音を生で聴いてみたい、と思っていてついに念願が叶ったのだけど、聴けてよかった、とかではなくまた新しい衝撃を受けるライブだった。
もちろんあのイマジネーションの泉のような音楽がただ普通に演奏されるだけのライブパフォーマンスになるなんて思ってはいなかったけれど、こんなにもさらに豊かに次元を広げるようなものになろうとは。

そんな感じで、実はCrneliusライブ中盤でステージ後方にちらちらとGLASS STAGEの花火が見えていたので、ここがこの日の大トリのようなことになってしまっていた。
恐ろしく素晴らしいライブのあと、半ば放心状態ながら翌日に備えて大混雑のなか、そそくさと会場をあとにする。
といったところで初日は終了。
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by kngordinaries | 2007-08-16 00:39 | ライブ


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