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マトリョーシカ
5月に観た「コンフィダント 絆」の感動が忘れられない。
というか、それは作品に対するものだけでなく、初めて演劇というものを生で観た、という感動も含まれているわけだけど。

というわけで、それからしばらく舞台の三谷作品の中でもDVD化がされているものをどれから観賞しようかとパンフレットを眺めては頭を悩ませていたわけだけど(どれもこれもおもしろそうすぎ)、結局はこの作品になった。

「マトリョーシカ」、松本幸四郎が立ち上げた劇団シアターナインスに三谷幸喜が書き下ろした1999年の作品。
コテコテのコメディーというよりはどこかシリアスなミステリっぽいジャケット等のアートワークや書かれていたあらすじが決め手になった。「古畑任三郎」「笑の大学」等で10代の多感な時期に何度も本気で罪と罰や生と死について考えさせられる衝撃を受けた例を挙げるまでもなく、彼の作品は深遠なテーマの筆力ももの凄いものがある。

タイトルはロシアの民芸品で入れ子式に構造を持った人形の名前で、これはこの作品が入れ子構造であることを示している。
そういえば、最近三谷幸喜はJALのCMでマトリョーシカを手にマイレージのシステムについて説明していた。彼のファンはにやりとしていたんじゃないだろうか。

物語は非常にシリアスに、しかしどこか単調で分かりやすいミステリ劇として始まる。
いくつかの違和感がありながらも話は進み、始まって30分も経たない内にクライマックスを向かえる。松本幸四郎、市川染五郎、二人の役者の力量の凄さもあり、圧倒的な緊迫感なのだけど、まさかこれで終わりではないだろう、いったいこの先どう展開するんだ、という疑問が頭の中を駆け巡る。少し笑いの要素がないこともないところがまた憎いところで、本当に大真面目でやられていたら単なる振りとして捉えられるのに、絶妙な曖昧さで前半が進む。

そして、物語が一つのピークを迎えてからは、舞台転換も時系列の変化も何一つないままに、ステージの空気は一変して一気にテンション高いコメディへと突入していく。
そのしてやられた感、仕掛けを作動させる鮮やかな手際が心地いい。そこまでの前振りを隅から隅まで使ってオチをつけていく快感。それでいてシリアスなミステリとしての伏線はさらに静かに張られていくという、もう天才的としか言いようのないプロット。

何よりも特筆したいのは9代目松本幸四郎の演技だ。
エンタテインメントとして楽しませながら、複雑に入り組んだ脚本をはっきりと観客にその細かなキャラクタの心の機微まで伝えながら、それでいて観客や若き青年役者を欺き、終幕ではリアルな感情の爆発を魅せる。その圧倒的な技量と独特の洒脱な雰囲気は、本当に唯一無二なものがあると思う。
正直に言って、そのほかの出演者である市川染五郎と松本紀保との力量の差がとても大きく感じられてしまった。決してその2人が上手くないというわけではないのだけど。

いや面白い。こんなにも面白いものを今まで観てなかったのが悔しいくらいに面白い。
しかもこの作品はここで使ったら二度は使いづらい新鮮なアイデアが幾つも盛り込まれているわけで、その出し惜しみなさも含めて、ほんとに凄い。

次の観劇は「 恐れを知らぬ川上音二郎一座」を狙ってますが、異様に豪華キャストだしチケット取れるものなのかなー。
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by kngordinaries | 2007-07-30 00:22 | 演劇
アナログフィッシュ ナツフィッシュ!!! ハジマリッ! 渋谷CLUB QUATTRO
蒸し暑い曇天模様の夏の日に、3年目のナツフィッシュに初参加するために、東京は渋谷まで来てしまった。

アルバム「ROCK IS HARMONY」からもう8ヶ月、アルバムツアーが終わり、素敵対バンツアーが終わり、リリースの予定もないままに3ヶ月が過ぎた今、もういてもたってもいられなかったのかもしれない。
「Hello」以降のこのバンドは、いつも異様なくらいの成長期にあって、いつでも新鮮な驚きを与えてくれる。このバンドにとっても久々のワンマンライブ、これを見逃す手はなかった。

さて、初めての渋谷クアトロは、名古屋のそれと同じようにパルコの上にあり、階段でずらっと地上まで並ぶパターン。
入場時に今回のライブの告知的なフライヤーともう一枚紙が渡される。「アナログフィッシュからのお願いでーす」と渡すときに謎のセリフをつぶやく係のひと。
そこには無骨で乱暴なカタカナがびっしりと並んでいて上のほうに「みんなで唄おう!!SUMMER TIME BLUES」と書いてあるので、これは歌詞なんだろう。

会場内に入ると、すでにかなりの人で埋まっていたので、下岡側7,8列目くらいに陣取る。わりとステージが高く観やすい印象。
800とか入りそうなわりと広いハコなのだけど、開演前にはかなりびっしりと後ろまで埋まっていた。久しぶりのワンマンへの期待の高まりが感じられる。

そして、客電が消え、ライブが始まった。

※この先、一夜限りのライブなのでネタバレもなにもありませんが、ご注意ください。(何に)

トトロ!
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by kngordinaries | 2007-07-25 01:48 | ライブ
個人的2007年上半期ベストミュージック
人一倍湿気にメンタル面を左右されることを知ったここ1ヶ月(あまりの湿気に何かの瀬戸際まで行った気がする)、気付けば今年も半分が終了し、一旦振り返ってみたほうがいいのかどうなのかという時期が来ました。

前世紀末くらいから情報化社会がどうたらということをよく耳にするようになっていたけれど、ここ2,3年はそれがほんとに普通の生活レベルにまで定着した感じが凄くします。
音楽もいろんな付加価値を付けつつソフトとしてデジタルな情報と化して、それはもう多岐に渡るかたちで生活に張り巡らされるようになったし、そのいつでもどこでも同様の最新情報(音楽)が手に入る状況が、新たな可能性を産んでいい方向にも悪い方向にも発展していっていると思う。

とかいう僕は、音楽をダウンロードで購入したことはないし、テレビは地上波しか観られないし、その他もろもろの新しいメディアなんてパッと思い浮かびもしないわけですが。
それでも日本の片隅でこつこつといい音楽を作っているミュージシャンを、その人が毎日の生活にも困るほどの収入しかなかったとしても、知ることができ、その音楽を楽しむことができるわけだ(特定のミュージシャンのことを言ってるわけではありません)。

さて、そんな台風のような(←タイムリーな時事ネタ)音楽情報の嵐の中で、それが流れていく情報で終わらず、なにかしら自分のなかに留まって作用を起こす何かがあったものを選んでみたいと思う。
今年前半に自分が新たに聴いた作品から、まずは去年と同じ方法でベストソングを。

ギミギミック/RAD WIMPS
めちゃくちゃ新鮮だった。自分が思う究極のポップ・ソングにとても近い。楽しすぎ。

オイ!/RHYMESTER
なんでもうちょっと早くこのグループの素晴らしさに気付かなかったのかと。この曲を聴くと悔しい。

アンセム/クラムボン
問答無用に楽しい最強ポップチューン。ポップ・ソングの万能感が満ち満ちている。

指先/GRAPEVINE
狂おしくもどこか冷めた情感と、煮え切らなくもポップなメロディ。バインの真骨頂。

希望/100s
虹色の光が降り注ぐような眩い世界観がバンドの新しい扉を開いた。

Flavor Of Life/宇多田ヒカル
なんでこの人のラブソングだけは、何のフィルターもなしに心に入り込んできてしまうんだろう。

How Crazy/YUI
とにかく凄まじく「今」を切り裂く。まだまだ巨大な才能の片鱗なのだろうと思わせる。

ももとせ/100s
こんなに力強くて優しい曲を他に知らない。夕暮れと夜明けの情感、両方が感じられる大きな1曲。

泥棒/マボロシ
もの凄くIQが高いのに、それを下世話なくらいポップに炸裂させているのがお見事。

マボロシのほし(Earth-go-round)/マボロシ
ちょっと先進的なのにめちゃくちゃポップ!しかもアイロニーたっぷり。

まんまる/100s
このバンドのはっちゃけきった曲にはどうにも抗えない。もう祭りだ。

もしこのまま/100s
切実で純粋な願いをそのまま結晶化したような、そんな優しさに胸を締め付けられる。

jubilee/くるり
音楽と真摯に向き合い続けてきたバンドに、また大切なものを教えてもらったような。

HARDCORE HIP HOP STAR pt2/マボロシ
サウンドの構築感。人を食ったようなあいうえお作文的自己紹介リリック。最高。


といった具合です。
ここに「未完成ライオット」か「紅色ver.2」を加えたくなりますが、彼らには7月1日に出会ったので、ぎりぎり対象外。

そしてベストアルバム。結構豊作だったといえる気がします。


RADWIMPS 4 ~おかずのごはん~/RADWIMPS
MADE IN JAPAN~THE BEST OF RHYMESTER~/RHYMESTER
てん、/クラムボン
記念ライダー1号~奥田民生シングルコレクション~/奥田民生
記念ライダー2号~オクダタミオシングルコレクション~/奥田民生
ワルダクミ/マボロシ
ALL!!!!!!/100s
ワルツを踊れ/くるり

と書き出してみて、半分以上がベストアルバムやこの半年間以前の作品であることに気がつきました。
しかしRADWIMPS4は最近もちょくちょく聴いてますが、本当に名盤。何年後かに振り返ったときに時代のロック盤となっていそうな完成度と独自性がある。

今年後半の注目は、何と言っても、さすがにそろそろ、いいかげんに、待望のオリジナルアルバムを届けてくれるであろう奥田民生氏です、個人的には。というか、出してもらわなくては困ります。
そして、近年ペースが上がりに上がっているもう一方の雄、吉井和哉氏の新作は9月に確定してますが、こちらも楽しみすぎる。

STAN、アナログフィッシュにも新譜のリリースを大期待したいし、ここのところとてもハマっているマボロシの新作には本当に期待しています。
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by kngordinaries | 2007-07-18 01:15 | 音楽
吉井和哉、アルバムリリース決定!!PUFFY!STAN今西!他
吉井和哉、ニューアルバムリリース決定!!
吉井和哉のニューアルバムのリリースが決定しました!発売日は9月5日、タイトルは「Hummingbird in Forest of Space」。初回限定盤はDVD付き。さらに8月22日リリースの2007年第3弾シングルのタイトルが「シュレッダー」に決定しました。
きた!早い!予想を越えて早いです。前作「39108」から見ても11ヶ月弱というこれだけのキャリアのある、自作自演のソロミュージシャンとしては破格のスピードではなかろうかと。いやとにかくここ1年の吉井和哉のスピード感というか新陳代謝は半端じゃない。ロックフェスでのパフォーマーとしてのモード革新も、ツアーでのロックスターも、「WINNER」を聴く限りではもう過去のものになり、確実に新しいモードを掴んでる感がありありだし。次のシングル「Shine and Eternity」そして「シュレッダー」もタイトルからしてなんか新鮮。そしてアルバムタイトルも今までにない感じで楽しみすぎる。さらにはアリーナツアー!大期待。

PUFFY、ニューシングルは吉井和哉プロデュース!!
PUFFYが吉井和哉作詞・作曲・プロデュースによるニューシングル「くちびるモーション」を9月5日にリリースすることが決定しました。“Kanebo Lavshuca”のCMソングのタイアップもあるとのこと。
こっちもきた!凄い!夢のようなコラボ!おもしろそう!吉井にとってこれが初プロデュースであるわけだし、いろんな才能の触媒となってきたPUFFYの新たな実験としても非常に興味深い。ただ吉井の洋楽ロック感と昭和歌謡的湿り気のバランスによってはPUFFYとの相性が気になるとこではあるかなと。ちなみにPUFFYといえば7月18日リリースの「boom boom beat」がめちゃくちゃいいです。ロックっぽいPUFFYの「海へと」とか「Shall We Dance?」に匹敵する傑作かと。「Splurge」も良かったけど、この感じでいくと次のアルバムこそ本命作かもしれないなー。しかしPUFFY、12年目にしてこのピーク感、ここまでくるとある意味恐い。

ちなみにアミゲでは吉井氏はこう評されてました→「でも、さすが吉井さん。口を開けば古めのことをおっしゃる、民生先生ちゃんと同類項な方でした。」 なるほど、そこ(親父ギャグ)が吉井と民生の共通項かー。
そして曲については「この曲、本当に素敵です!吉井和哉にしか書けない曲と詩になってます!(敬称略) 必聴!」とのこと。もちろん絶対聴きます。

STAN、今西ライブ欠席します!
STANの公式サイトにてあの今西からメッセージが更新されていました。以下、まるまる引用→「こんにちは今西です、湿っぽいですね。さて突然ですが、私は八月下旬にスペインでの国際会議に出席するため日本を離れます。なので下記日程の公演のベーシストはサポートとして「Mちゃん(中嶋幸志)」に出演してもらいます。Mちゃんめちゃうまいです。一味違うスタンを楽しんでいただきたいと思いますのでよろしくお願いします。」
えええええ!? スペインでの国際会議!?(まずそこか) いやSTANの公式にいつもどおりに行って、liveとnewsが更新されてたんで、自分内優先順位的にliveから見て名古屋でのライブ決定はないことを確認し、次にnewsを見てみたら・・・。いやぁ、いいコメントが見つかりませんが、なんか凄いなと。いろんな意味で。さすがSTAN。何者だ今西。あと今西がHPで発言をしたという事実も全国に推定数百人はいるであろう今西ウォッチャーには大トピックかと!(何を熱く) 「湿っぽいですね」だけで的確に簡潔に季節の挨拶(大人の基本)を済ませる手際のよさが素晴らしい(無理に誉めてみる)。とにかくRe:mixでのSTAN without 今西Ver.をしかと見てきます!で、Mちゃんて誰だ。

奥田民生が8月29日にZepp Nagoyaで行なわれるアコースティックイベント「endless summer breeze」への出演が決定。スガ シカオ、Caravan、さらにオープニングアクトで秦 基博も、と素敵イベント。
これ行きたいけども、メンツからいって相当チケット入手困難だろうなー。特にスガ氏にZeppは狭すぎるんじゃないかなー。いやOT氏にも狭めではあるけども。


いよいよ来週に迫ってきたナツフィッシュのオリジナル手拭のデザインと各種夏グッズのデザインも発表されてました。
毎年指をくわえて参加した方のライブレポを見ていましたが、今年は行ってしまうことにしましたので、もう楽しみでしょうがないです。ライブMC等でリリース予定とかも発表されるといいなー。

excite musicでmonobrightのインタビュー&コメント映像が。
「monobright zero」と「未完成ライオット」は最近かなりヘビロテです。もう黒ぶち眼鏡と白ポロシャツとか全然関係なく、ほんとに曲がいいなと。ガツンとくるリフと自在なグルーヴがあって、それでいてはっきりとしたメロとちょっと新しい言葉を持っていて。それらが焦燥と衝動というわかりやすいロックの心臓部を表すために上手く機能している感じです。

ロッキンオンが運営するウェブサイトRO69というのが始まってますね。洋邦のロックについての情報発信サイトとでも呼べばいいのか。
振り返ってみるとオフィシャルなウェブサイトでロック系のニュースやインタビューがまとまったサイトってあんまりなかったかなと。即日ライブレポとか取材早出しとかいい感じです。

くるり「ワルツを踊れ」もヘビロテ中です。最初のうちは穏やかな作品だな、何曲か超名曲があるな、くらいの感じだったのですが、じわじわと全体的に気にいってきたし穏やかなだけではないなと。しかしストリングスやホーンが多くの曲で使われてるわけで、これをライブでどう表現するんだろうという心配も。
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by kngordinaries | 2007-07-15 01:49 | 音楽ニュース
GOING UNDER GROUND tour 2007 TWISTER ダイアモンドホール
年中ひっきりなしにツアーをやり続けている彼ら、そしてそれをひっきりなしに観に行っている自分。このツアーへの参加は4月の浜松公演に続いて2回目。
常々、本当に好きなバンドの長めのツアーがあった場合、前半に1回とそこから期間を開けて後半に1回観られたら最高じゃないか、と思っている僕としてはとても理想的な観賞タイミングになった。

七夕の夕方、バーゲンセールの紙袋で手をふさがれたまま開場30分後のライブ会場へ到着。
段差下の最後方に位置取る。(紙袋は当然ロッカーへ) ダイアモンドホールでのこのバンドのライブは何度も観ているけれど、この日が一番動員が多いように思った。

※以下、絶賛公演中のライブについてネタバレがあったりなかったりします。ご注意ください。

高鳴る心は
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by kngordinaries | 2007-07-13 01:51 | ライブ
Said and Done Vol.1 池下CLUB UP SET
このライブハウスにはいつもSTANを観に来ているような気がしてならない。
というか、間違いなくそうだ。そして今回はそのこれまでの中で、一番観客が多い。

開演予定時間の直前になって、5階のライブハウスへの階段を上がっていくとまだ入場が終わっていなかった。誘導の方の説明によると開演は20分ほど遅れるらしい。
フロアは約200弱の人で緩く埋まっていた。今回出演の5組のバンドはそれぞれがそんなにマイナーなわけでもないし、5組の客層が入り乱れているんだろう。

個人的にはSTAN以外の4組はライブは初見、音源もほんとに耳にしたことがあるかないかというところ。ただ、それぞれメディア等で評判は聞いているバンドばかりだったので、楽しみだった。

1組目はUNCHAIN
ボーカルギター、ギター、ベース、ドラムの4ピース。リフ中心のハードめなロックでありつつメロディはR&Bっぽい柔らかな雰囲気もありなかなかかっこいい。
歌詞はほぼ英詩なのか、一部日本語も聴き取れたけれど、あまりよく分からなかった。

2組目はmonobright
白ポロシャツに黒ぶちメガネ、が4人の4ピース。
ここのところ頻繁に音楽メディアで見かけていて気になっていたバンドである。なぜならその紹介記事の中で「ユニコーンっぽい」とか「民生的なメロ」というような言葉があったからである。そう書かれたら、無意識のうちに食いついてしまうのがOTファンの悲しい性なのだ。
音源はまったく聴いたことがなく、ここが完全な初見。だったのだけど、ちょっとねじれた勢いのあるバンドサウンドと親しみやすいメロディがいきなり好感触だった。ボーカルを中心に変に動き回るパフォーマンスは音と相まって、衝動や焦燥感の表現として分かりやすいし、なかなか凝った曲構成を無理なく聴かせられる演奏力もなかなかのものだと思った。
しかしそんなことよりもMCに入った途端に分かるボーカルの強烈キャラクタが印象的だった。立川談志やエレカシ宮本や爆笑問題太田を足しこんで割らない、みたいなカオスでめんどくさいそのキャラは、かなり面白い。
「1対大勢!1対大勢!1対大勢!1対大勢の会話は、やっぱり成り立たないんですよ!」
と何を言い出すかと思えば
「1対大勢の会話は無理なんですよ。うん、だからこれまでの3曲はなかったこととしてですね (観客驚笑)、残り3曲!残り3曲でもう1も大勢もなくぐちゃぐちゃに混ぜ込んで(激しく身振り手振り)、それを僕は持って帰ってですねぇ!・・・明日の朝食にしますから」
という理解に苦しむ素敵なロックMCをかましてくれた。
ライブ後、物販でCDを買いました。じわじわ気に入りそうな予感。というかとりあえずまたライブが観たいなー。

3組目は6eyes。
グラムロックというかサイケというか、巻き舌系の洋楽然としたロックサウンドで独特な味がある。MCにより、30過ぎのバンドであることが分かり、なんとなくその世代感覚と音の印象があってすっきりした。今の若いバンドにこういう雰囲気は出せない。
このボーカルもなかなか強いキャラクタを持っていて、最前のお客さんをしつこくいじっていた。この辺はかなり好みが別れるところだと思う。

そして4組目はSTAN
ステージ転換中の明らかに彼ら(というかkyg?)自作のSEは、ULTRAMAGNECTICSTANSの一節やOGRE YOU ASSHOLEや山下達郎やArctic Monkeysや黒人系のヒップホップやビートルズまで、なんだか幅広い選曲で、それも楽しい。どれもがSTANの構成要素だし。
セッティング完了後、一旦掃けてからずっしりとグルーヴィーなギターリフのSEに乗って、3人がステージへ!
いつからフロント2人の立ち位置が変わったと思うのだけど、今はもうこれがしっくりくる。
1曲目はS.T.An。未音源化だけどもう間違いなく彼らの新しい名刺代わりの1曲だろう。繰り返すトラックがぐいぐいとグルーヴを産むファンキーなダンスナンバー。いきなり楽しすぎる。
続いてはULTRAMAGNECTICSTANS。唄い出しからハンドマイクのkygがくねくねと踊りだし、一気にフロアの熱を上げていく。STANのユーモアと毒っ気とタイトなサウンドの魅力を凝縮した超名曲。ほんと何度聴いても独特で楽しくてカッコいい。
そして
「新曲やります。名古屋でやるのは初めての曲です。アメジストという曲で、結構売れそうな感じなんすけど、・・・歌詞はそうでもねーな、みたいな曲です」
というkygのMCから新曲アメジスト。STANの「天使のメロディ」サイドを見せつけるような素晴らしくポップなメロディ、隙間の多いアレンジ。これ絶対名曲だ、と一聴して気に入ってしまった。早期音源化を激しく希望します。歌詞があまり聴き取れなかったのが残念。
「次の曲は・・・・・・・・・ちょっと刺激が強いというか・・・・・・引いちゃう人もいると思うんですけど。・・・・・・でもちゃんと聴いてほしい曲です」
というような感じだったか。kygの曲前MCとしてはちょっと今までにない感じに驚いた。大体、刺激的な曲の前には、これでも食らえ的にツンツンするのが常だったはずだ。明らかに、優しかった。
そして鳴らされたのはALL BLUES。「手足がとれている 子供を埋めている だけど気にしない 笑顔忘れない 木陰で泣いている 彼女は両目がない だけど気にしない 笑顔忘れない」という歌い出しから衝撃的なこのミディアムチューン。
この曲を収録した1st「STAN」の歌詞カードにはこう記されている「※戦争における、枯葉剤被害を憂う」。STANはそういうバンドである。そしてそれを前置きにして歌い出せば引く観客も減るかもしれないけれど、ただ、引くくらいのショックも与えたいと考えるバンドでもある。そんな厄介なバンドではあるけれど、今回のkygの曲前MCはその両方のバランスを取れる絶妙なものであったと僕は思う。
曲が終わり湧き起こる拍手。静かに息を整えるメンバー。
「やべ、これMCやる間だ・・・。なんか喋らねぇと。・・・でもなーんも喋ることねーや」
と言ってまたしばらく沈黙するステージ。しばらくしてSEX PISTOLS Tシャツを手に話し出すkyg。
「これ、SEX PISTOLSっていうバンドのTシャツなんですけど。多分ここにいるほとんどの人が知らないバンドだと思うんですけど(会場笑)。今日これ着てライブしようかとも思ったんだけど、やめました。・・・なんでかっていうと、俺これ着るとすげぇ毒舌吐いちゃうんですよ(にっこり)」
会場笑。
「試しにちょっと来てみましょうか? (ギターを外しTシャツを着るkyg) ・・・(いきなり声色を低くして会場を睨みつけ)名古屋、超ファック!!(会場笑) ・・・ウイローなんてぜってぇ食わねぇよ!」
とかましていそいそとTシャツを脱ぐと
「(びっくりするくらいはしゃいだ感じで)名古屋、サイコー!!ウイロー美味しいよね!(にっこり)」
会場笑。
「(脱いだTシャツを持って)これあげようかな。・・・いややめとこう。またこういうネタでMCで使えるし。昨日の大阪はスベッたんだけどね。今日はよかったね」
とメンバーに向かって言ってこのミニコントは終了。
そしてここでいつもの今西と49によるインプロへ突入。ステージど真ん中へ出てきてグイグイとボルテージを上げていく今西。出演時間の短いイベントでもこれをガッツリやってくれるのは嬉しいかぎり。
そして「あと2曲」という一言からKYGのイチゴジャムへ。びっくりした。残り2曲と聴いて当然THE SONG→I KNOWの流れだと思っていたので意外すぎた。
あまりライブで聴けないコンパクトでポップでロックなミディアムチューン。跳ねるようなメロディラインがとても好きだ。
そしてラストはTHE SONG。何度も何度も音源でライブで聴いている曲だけど、やはりこのメロディと言葉は強く心に訴える力がある。珠玉のポップチューン。
そして最後は今西にギターをあずけてドラムスティックを持ち、ドラムを叩きまくるkyg。アンプに乗っかってアンプを倒したり、やりたい放題やって、ライブ終了。
「これ、俺の自前のアンプだから大丈夫なんです」
と言って、ステージを去っていった。

とてもいいライブだった。
何度も聴いていた曲たちが新鮮に感じられ、新曲はまた今後に大きな期待を抱かせられるような素晴らしいものだった。

というか、今回はkygのMCの変化が最大のトピックだったと思う。ALL BLUES前の曲紹介ひとつ、Tシャツのくだりひとつとっても、これまでのMCとはちょっと感じが違った。
そして、その方が、実は違和感がなかったというか、これこそが本来のSTANというバンドのライブのかたちじゃないかと思わせられるものだったことが面白かった。

そう。僕が初めて観た昨年5月のライブなど、「STANⅡ」リリース以降あたりの彼らのライブは、彼らにとって全国をまわってライブを始めたばかりであり、彼らを値踏みするように観る観客の多いライブだったわけで、その中で彼らは身を堅くし、どこかピリピリとした苛立ったモードでのライブだったんじゃないかと思う。
「I Know」をリリースし、ワンマンもこなし、ここに来てSTANというバンドの理解が少しは観客側にも広まり、バンドとしても余計な緊張がなくなり、本来のユーモアや優しさがステージに現れてきたのが、今回のライブだったんじゃないかと思う。そしてそれは今まで以上に曲や彼らの魅力が伝わりやすい雰囲気を持っていた。
確実にバンドがステージを上げたライブだった。

5組目はhare-brained unity
こちらは結構前からよく名前は目にしていたバンド。なんとなくダンスビート系かなという予測はあたっていた。
爽やかな4つ打ちとキラキラしたエフェクトに乗っかりまっすぐでポップなメロディが降り注ぐような感覚。とても心地いいし、そのバンドサウンドと打ち込みの融合感に全く違和感がないとこがいいと思う。ダンスビート×ポップな歌メロで切なさを出していく感じはオーソドックスだけど、やっぱりいい公式だ。
ただ、今回のライブで披露した数曲がほぼ同じBPMでほぼ同じ曲調だったのは、非常に残念。もう少しいろんなアプローチの曲を聴くことが出来ればハマッた気がする。(ないのだろうか)


といった感じで、大満足なSTANはもちろん、monobrightという収穫があり、hare-brained unity等他のバンドもまずまずよくて、3時間半の長丁場ながら非常に楽しめたライブイベントでした。

Re:mix2007でSTAN、monobright、hare-brained unityがまた観られるのが楽しみです。

しかし、STANの新譜はいつになるんだろう。待ち遠しすぎる…。
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by kngordinaries | 2007-07-05 02:24 | ライブ
100s 百来来!!!!!! ダイアモンドホール
100sのワンマンライブ、もうそれ自体がとても貴重なものだ。中村一義名義だった2002年の博愛博、2005年のTour Of OZ、そしてそれから1年半ぶりとなるまだ3度目のツアー”百来来!!!!!!”。

そして100sのライブといえば、他の幾多のライブとはまた異なるものになっていて、どうしてもそこでしか味わえないものがある特別なものだ。
それはツアー自体が希少なものであることも一因だろうけれど、その楽曲や作品がそれだけ熱い想いをもってリスナーに聴き込まれているからだと思う。

そんなこんなもあり、2年半ぶりの新作「ALL!!!!!!」のとんでもない名盤っぷりもあり、異常なほど期待を高めつつ、梅雨の大雨のなか会場へ向かう。

ダイアモンドホールにしては珍しく早い番号だったので、早々に会場に入るとすぐにフロアへ。
ステージセットはそこここにお祭っぽい赤い提灯が吊り下げられていて賑やかだ。ステージ背後には「ALL!!!!!!」のジャケのデザインがでかでかとある。
中央より少し豊夢、まっちぃよりの5列目くらいに陣取り開演を待つことに。

開演時間を5分ほど過ぎて、ライブは始まった。


※この先、ツアー中のライブについて思いっきりネタバレしてます。ご注意ください。あと個人の記憶なので事実と異なる部分が多々ありそうですが、ご容赦ください。

マゲ!
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by kngordinaries | 2007-07-03 00:04 | ライブ