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Jubilee、こんなくるりの音楽が聴ける歓び
Jubilee

歓びとは 誰かが去るかなしみを
胸に抱きながらあふれた
一粒の雫なんだろう

なんで僕は 戻らないんだろう

雨の日も風の日も


「NIKKI」、そしてベスト盤をリリース後の久々のくるりのニューシングル「Jubilee」にもう骨の髄まで蕩かされてしまっている。

最初に聴いたときにはそうでもなかった。
前評判どおりクラシック音楽の要素が多分に配されつつも自然なアレンジと、思わず息を飲むほどの美しいメロディに感じ入りつつも、素晴らしい名曲を生み出し続けてきたこのバンドの中で突出した1曲ではないような気がしていた。
ただ、なにか違和感があった。

特に気になったのは、アレンジの中でのリズムの比重だった。
昨今のダンスミュージックとかで使われるクラシックはどちらかというとゆったりと流麗な要素となり、そこにビートを入れるのはあくまで打ち込み、というのが基本形だと思う。しかしこの「Jubilee」のなかでのリズム隊は、メインで主張する弦や鍵盤に対してあまりにも静かに寄り添うだけなのだ。
いまどきビートを感じさせないポップミュージックはない。じゃ「Jubilee」はポップじゃないかというとそんなことはないと誰もが断言できる作品になっている。

メロディの中に、ハーモニーの中に、言葉にはできない音の移り行く時間の経過の中に、そういったものに内包されたビートを丁寧に掬い上げている、といえばいいだろうか。
とにかくメロディやハーモニーをどこまでも大事に、それに添ってリズムを組み立てた結果、とてもポップな音楽がここには生まれている。

くるりといえばリズムにはどこまでも気を使うバンドだ。
いつかのときには停滞する邦楽ロックにリズムの重要性とそこにこそ革新性が込められると知らしめたうちの一組でもある。ビートに新しい耳障りがあることが重要なことであることを啓蒙した一組でもある。
そんなバンドがこんなふうに表現のベクトルを切り替えたことが、なんだか違和感を感じた一因だったんだろう。

聴けば聴くほどにこの曲はたまらなく耳に優しい。もうここのところ口をつく鼻歌は95%越えでこの曲のサビのメロディ。とにかく病みつきなのだ。
この曲を聴いているときに、くるりというバンドやそのメンバーのビジュアルやこのシングルのオリコンランキングや、もっと言えば時代も目の前の風景も頭の中にない。音の世界以外の要素は関係なく音楽に浸って聴ける感じが強くある。
うどんでいえば素うどんである。(←微妙なたとえ)

そして思い返してみるとくるりといえばそういう作品を作ってきたバンドだった。
純粋な音楽的探究心のなかで、リズムやビートに寄り添った時期もあったけれど、本当の軸はとにかく広い意味での音楽対自分。それがくるりだった。
だからこの作品はそんなこのバンドの道程の先を示すものとしてなんら矛盾しないし、むしろ大納得な進化なんだ。結構何回も聴き倒して、やっと思い至った。

個人的な文脈で語らせてもらえば、メロディを塗りたくる世相の中で、リズムとグルーヴだけでいいだろと作品で示した奥田民生の「マシマロ」と同じくらい衝撃的に、「Jubilee」は今のポップ・ミュージックに対してカウンターを放てていると思う。
そして「マシマロ」と同様に「Jubilee」もパッと聴き全く持って最高のポップミュージックであるところが大変に素晴らしい。


ともすれば音楽以外の様々な要素に目を奪われがちな音楽シーンの中で、まっすぐに音楽を追求するくるり。
それはとても素晴らしいことであると同時にとても困難なことでもあるし、実際彼ら自身も軸がブレたことはあったように思う。
そんな中で届いたこの作品は、このバンドの未来だけでなく大げさに言えば音楽シーンの未来をも照らす一筋の光になるんじゃないだろうか。

というか、くるりといえばそういうバンドだったんだった。
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by kngordinaries | 2007-06-24 14:51 | 音楽
ROCK IN JAPAN FES.2006 1日目 その2
KREVA以降はまたまたのんびりと過ごす。
すでに売り切れも出ているアーティストグッズ売り場に行き、「くLabel【其の三】」をゲット。さらにROCKIN'ON LIBRARYをぶらつきパンフレットも購入。
そんな中でもm-floのサウンドがもの凄い距離を風に乗って耳に届く。これもフェスならではの楽しみ方だ。去年に引き続きcome againも聴こえた。スペシャルゲストのMINMIにびっくり。

さらにみなと屋のあさりご飯セットやらハム焼きを食す。ハム焼きの異常な美味しさにどうにも笑みがこぼれる。
そんな中でも平井堅のハイクオリティな歌が木陰をより涼しく彩る。聴こえてくる曲が全て大ヒットチューンというのが凄まじい。そろそろPUFFYを観に行かねばと移動を開始したところでピアノ弾語りのeven ifが始まり、心の中で大拍手。このヒットパレードの中では地味な曲かも知れないけれど、このどろっとしたラブソング系が平井堅の曲では特に好きなので。

17時30分、PUFFY
開演10分前くらいにスタンディングゾーンに行くころには、観客の入りはまだまだ余裕があったのだけど、開演直前になるとシートゾーンも立つようアナウンスがあったり、相当な混雑となる。
そしてPUFFYとバンドメンバーがステージに登場!
いきなりHi Hi渚にまつわるエトセトラで一気にアゲていく。スタンディングゾーンはちょっと危険なくらいの盛り上がり。
そして個人的に一番聴きたかった最新アルバムの最強ポップチューン、Shall We Dance?も披露。この曲のメロディー、歌詞、歌はちょっと完璧なポップ。
さらにモグラライクではダンサーも登場し、和やかな盛り上がり。
後半もサーキットの娘や個人的にPUFFYのベストソングだと思っているブギウギNo.5など、アップテンポのロックチューンでぐんぐん飛ばす。二人の歌唱も力強く攻撃的なのにきっちり揃っていて抜群に心地いい。そしてやっぱりしーたかさんのドラムはタメが心地よくて最高だ。
Tokyo I'm On My Way、GREENDAYのカバーBasket Case も披露し、最後はやっぱり不朽の名曲アジアの純真で「流れ出たら・・・ひたちなかー!」で締め。ボルテージ上がりっぱなしのロックでポップなライブだった。
ただ、少し残念に思ったのは、観客の反応で、明らかに最近の曲と過去の大ヒットチューンでの盛り上がりに温度差があったことだ。もちろんLAKEがぎちぎちに埋まるほどの数が入れば当然そうなるだろうし、PUFFYもそこを理解しつくしたセットリストで挑んで大正解だったと思う。Tokyo I'm On My WayやShall We Dance?の曲後半からだんだん盛り上がってくる会場の様子を観ても、間違いなくSplurgeの新曲群のクオリティは広く浸透する力を持っていると思うし、今夏の各地のフェス出演でいい効果があがればいいと思う。
それと同時に10年前の楽曲で、これだけの観衆をひとつに出来るPUFFYというポップアイコンの威力もやっぱり素晴らしいと思った。

PUFFY終わりでブログ仲間の方と対面。GRASS STAGEまで一緒に移動。いよいよ今宵のトリの時間だ。一体どんなライブになるのか、いまひとつ想像できない。

19時、くるり
厳かなBGMに乗って、くるりとサポートメンバーがステージに登場。全員が黒いマントに身を包み、黒い帽子を被っている。異様な演出に会場はざわめき、笑いが起こる。
そしてそれらをすぐに脱いでセッティングを始めるメンバー。全員半袖シャツにネクタイ。だからなんなんだと。
「くるりです」
と簡単な岸田の挨拶。
そして始まりの1曲はTonight Is The Night。ゆったりとタメのあるリズムに美しいコードで奏でられるメロディ。心地いい音楽空間がGRASSを満たす。
そして東京。岸田の感情のこもった歌声が胸に迫る。抜群の演奏がグルーヴを増して爆発していく。演奏のうねりと歌詞の物語の高ぶりが美しく合致して、最高に切ない。アウトロのファンファーレのようなコーラスがとてもとても胸に迫った。
そしてロックンロール。前の2曲のゆったりとしたテンポから少しテンポを上げ、開放的なバンドサウンドがステージから会場全体にきらきらと降り注ぐ。優しいメロディがどこまでも胸を締めつけ、熱く焦がす。
ここのところ出たばかりのベスト盤をよく聴いていることもあり、くるりというバンドについて考えるのだけど、とにかく思うのは、このバンドがずっといてくれてよかった、ということだ。ずっと曲を発表し続け、ずっとライブし続けていることに、感謝したくなるバンド。
「暑ない?」
「気持ちよくやらせてもらってます」
等々、MCではぽつりぽつりと喋る程度の岸田。
そしてイントロから大歓声が湧き起こるアンセム、ばらの花、切実なメッセージが胸に突き刺さるフォークソング、THE VERANDAと珠玉のナンバーを連発。というか、ベストを聴いているとほんとによく分かるけど、このバンドの曲は全部が全部素晴らしい。
そしてさらにアンセム、ワンダーフォーゲルで会場の熱は高まっていく。さらにはナイトライダーRing Ring Ring!というファンキーで渋いアップチューンで会場全体が波打つ。
ここで岸田のMCがあり、実はひどい風邪をひいてしまい急遽病院に行き、治療を受けたと話す。
確かにライブ開始から声の出はよくなかったけれど、そんなに厳しい状況にあったとは思わなかった。演奏は抜群だったし、それに乗って歌う岸田の歌はエモーショナルで、集中力高く、とても1曲1曲を丁寧に歌い上げていたからだ。いつも以上に胸に響く歌唱だった。
「先生にはシャウト系はあかん、言われてんけど。大丈夫です、全部バラードでやります、言うて来ました」
「最後、全力で歌います。皆さんの力を貸して下さい」
そう言って始まったのは。そんなMCのあとでは、声の揺れやかすれにこちらが敏感になってしまうところだけれど、そういう耳で聞くとやはりどこか弱々しい。が、異常なくらいの集中力と気迫がこもっているせいか、とても強く心を揺さぶるような力があった。
そしてラストは
曲頭のサビの高音から声が完全に割れている。絶唱だった。それでも基本的なところでリズムとピッチははずさない。とても意識的に体をリズムに乗せて揺れている岸田は、喉に全ての神経を集中させているように見えた。そういえば、ライブ最初から、ビジョンに映る岸田の顔は瞳孔開きっぱなしのような、ちょっと危険な表情をしていた。張り詰めた覚悟が漲った歌に圧倒される。
そして曲後半のブレイク。その刹那、いきなりギターを外し、ステージに叩きつける岸田。だだっこのように振り上げた腕をブンブンと振り落とす。それを指揮代わりにバンドの演奏が再び始まる。
「この街は僕のもの」
――演奏が終わり、壊れたギターが気持ちの悪い残響音を大きな音で響かせる中、会場に向けて両手を合わせて頭をひたすら下げ続けながらステージをあとにする岸田。スタッフが走り出てきてギターの音を切り、半ば呆然としながらもアンコールの拍手が湧き起こっていた観客を尻目に、夜空に終演を告げる花火が上がっていった。

きらきらと夜空を彩る花火を観て、やっと我に返る、くるりのライブはそんなとんでもないライブだった。

ここからはごく個人的な感想。
岸田は特別に歌唱スキルの高いボーカリストではないと思う。その曲の持つビートや音楽的ルーツを深く理解して、紡ぎだした言葉を集中力高く感情を目いっぱい詰めて歌う、そんなシンプルで繊細な歌を放つ歌い手だ。
その意味では今回の声が出ないというトラブルは、大きなアクシデントではあるけれど、このバンドにとっては致命的なアクシデントではなかったのだと思う。
それどころか、危機感を持ち、焦燥をつのらせた岸田の歌は、よりエモーショナルに炸裂していた。
僕は激情を叫ぶことが基調となっている歌はあまり好きじゃない。くるりの歌はそういう歌ではなく、「街」もたゆたうようなAメロBメロがあり、必然として感情の波が高ぶるサビがある、そんな優しい歌だ。そしてその優しい歌を、届けたいのにそれができない状況で、それでも届けたくて叫ぶこの日の岸田の歌は、やっぱり優しかったし、とても温かく胸に響くものだったと思う。


とにかく、ここ数年恒例のように参加しているなかでも、初めての気分で終演を向かえ、猛暑にへろへろになった体に、あと2日持つのか、というこちらは恒例の不安を持ちつつ、この日の帰路へ。



2日目以降へ続きます。近々、書きます。
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by kngordinaries | 2006-08-09 23:38 | ライブ
ソウル・サバイバー・フロム・キョウトシティ
リップスライムとのコラボはかなり世間一般も騒がせてたりするのでしょうか。
ベスト盤はこれまでの一般的大ヒットはないものの、そこそこ一般層にも知られる程度にチャートを長年賑わせてきたキャリアが功を奏してオリジナル・アルバムより広がるのでしょうか。

その辺がどうなるかは分かりませんが、またドラマーだったりキーボードだったり、メンバーさえどのように変遷していくか定かではありませんが、このバンドがいい音楽をロック・バンドとして作り続けていくことは、もう確定事項になってしまってるような気がする。
その信頼感がくるりの凄いとこだよなー。なー。なー・・・。

というわけで、いつもお世話になっているブログ「存在理由」の有香さんからバンドバトンをいただきました!指定されたお題はくるりです!

・・・まあ回答の中にも出てくると思いますが、くるりは難しいです。いろんな意味で。
ではさくさくと答えていこうと思います。

■一番好きなメンバー二人
正直なところ、くるりに好きなメンバーはいません。
というと語弊がありますが、バンドの在り方が純音楽志向だからか、もともと黄色い声援や、メンバーへの心酔が、一般的にも驚くほどないバンドだと思うわけで、個人的にもそんな感じなわけで。
なので、そんなに好きじゃないことを前提に(ひどい言い草)、3人から2人選ぼうかと(それも酷だなー)。

まず最近眼鏡復活の岸田くん。この人は面白いです。「赤い電車」という曲がシングルとして出て、メディアも音楽ファンも、みんなが鉄道好きの彼の願いが叶ったことを祝福していた光景は一歩引いてみるとそうとうに特異な現象だなと。
ロック・バンドのボーカルとして、これだけ本物感がある人もいないかもしれない。
一言で言ってクレイジーです、彼は。はぐれメタル純情派の名古屋公演のアンコールも凄かったけど、日常はもっと凄そうなとこが凄い。

続いて、えーと、たっ、いや、佐藤くん。
はんなりしてますね。喋りが。あと「水中モーター」とかの歌声もなかなかだと思います。
でもこの人も得体の知れない裏がありそう、と思ってしまうのは岸田に毒されてるんでしょうか。


■一番好きなメンバーに一言
え?好きなって、いや、だから・・・じゃあ、岸田で(めんどくさいのか)。
とにかくどんどんやりたいことをやってほしいと思います。
くるりというバンドは存在も表現も活動も全てが最初はちょっと異質に感じられるのに、すぐに周囲が影響されていき、さももとから音楽シーンがこうであったかのようにしてしまう、という意味で、今のシーンの功労者だと思います。
だからどんどんやりたいことをやってほしい。ただ、岸田くん個人のやりたいことではなく(ここ重要)、ぜひともくるりとしてやりたいことを。


■思い入れのある3曲と理由

ワンダーフォーゲル・・・くるりとの出会いの曲。たぶん「東京」くらいからなんとなく知ってたと思うんですが、これをレンタルして初めてガツンときた気がします。ちょうど中村一義「君ノ声」と同タイミングで出会って、自分内音楽ビッグバンが起こった感じがしました。
サウンドも面白かったけど、歌詞とメロディが革新的だと思った。

ロックンロール・・・たぶん生まれてから今までで口ずさんだ回数ベスト5に入ると思われる大好きな1曲。OTで言えば「すばらしい日々」とか「イージュー★ライダー」のような、完全無欠の超名曲。とにかく優しい。

ロシアのルーレット・・・図鑑のクレイジーな曲がどれも好きなんですが、それを代表してこの曲。本当に苛立ってるロック。


■他に気になってる(よく聞く)バンドは?

気になるという意味では、APOGEE、Nirgilis、スパルタローカルズ、髭、ANA、SPECIAL OTHERS、あと先日レンタルしてきたCaravanがとても良いです。

最近はライブが最高だったのでアジカンとGOINGをよく聴いてます。

■回す人五人とバンド指定

虹色ディレイ kg-faさん → ASIAN KUNG-FU GENERATION
音楽で蕩けたい さつきさん → TRICERATOPS(あえて)
REAL or FAKE くみこさん → STAN
Hello Hello Hello さとこさん → GRAPEVINE
MONOSKY りょうこさん → GOING UNDER GROUND

指定したバンドは気にせず、ご自分の今一番熱いバンドとかでかまわないので、お時間がありましたらぜひ!
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by kngordinaries | 2006-06-26 23:33 | 音楽
くるり ツアー2005 ~はぐれメタル純情派~ ダイアモンドホール
くるりワンマンはかなり前からの念願だったけれど、一体どんなライブになるのか、始まるまでほとんど想像もできなかった。

ダイアモンドホールに駆け込んだときはすでに18時50分をまわりフロアもぎっしりの人、人、人。年齢層は10代20代30代がほとんどではあるのだけど40代くらいの人も全然いるのがおもしろい。全体的には7:3くらいで女性が多めな印象だった。

アルバム発売前という微妙な時期のライブ、どんなセットリストになるのか、どんな雰囲気なのか、期待感が高まるなか客電が落ちた。


※この先ツアー中の公演についてネタバレがあります。ご注意ください。

※アルバム発売前の公演でしたし、いまも「NIKKI」未聴の状態で書いております。その点はご了承ください。

※セットリストは9割の記憶と1割の妄想でできてます。確証はありません(が、まあまあ自信あり)。

とろけた・・・
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by kngordinaries | 2005-11-23 22:43 | ライブ
GRAPEVINEとくるりのワンマンを前に
あるバンドの初ワンマンライブに行くときというのは、なんでこんなに緊張というか高揚というか、不安というか。なぜかしら落ち着かないのだろう。特にそれがわりと長く音源と付き合ってきたバンドである場合は。

一つは自分の中で、ワンマンライブがそのバンドの表現の核心部分だ、と思い込んでいるところが大きいと思う。バンドに限らず音楽を商売にして食べている人たちは、いろいろな形で表現をしているし、それを総合的に評価されている。その中でそれぞれに押さえておくべきポイントがある。
テレビの歌番組でその曲のための衣装をまとってカメラ割りを計算して1曲の表現を研ぎ澄ますことに重きを置く人もいるだろうし、音源の音のブラッシュアップや音楽理論の新たな挑戦に身を粉にして頑張る人もいるだろうし、他メディアとの融合によるダイナミズムに力を注ぐ場合もあるだろう。
そんな中でロックバンドはやっぱりライブが生業だろうし、今はレコード業界の狂騒も鳴りをひそめて、興行が大きな収入源になってるわけで、よりその比重は増している。

もう一つはもうちょっと軽いところで、ファン層やライブのノリがはっきりと分かることへの好奇心があると思う。「このバンドを観るためだけに集った人々」というのを見るのはなかなかにおもしろい。特に活動歴の長いバンドは固定した年齢層か幅広い年齢層かとかでいろいろ感じるところもあるわけで。

GRAPEVINEをきちんと聴くようになったのは、「ふれていたい」からだった。それまでもシングルはチェックしていたけれど、ヌケがよくグルーブを増したバンドサウンドとその弾けた表現に一気に心を掴まれた。それ以前の楽曲に関してはベスト盤等で耳にする程度だった。「ふれていたい」以前のシングル曲は息苦しいまでの切迫感とサイケデリックな陶酔感が印象的で、その重さと濃さに少しひいていたところがあったと思う。
今年発表された久々のニューアルバム「deracine」を聴いて、なぜか過去のアルバムを聴きたくなった。もちろんワンマンライブに行くための予習という意味もあったけれど、「deracine」がこのバンドのど真ん中をそのまま見せ付けたようなアルバムだったからだ。
「Circulator」以降、それまでにない表現をグリグリと抉るように切り開いてきたバインの、その表現のだだっ広いふり幅の中心的位置を示すようなその世界が提示されたことで、個人的に過去の音源に対する微妙な気後れが一掃された気がした。
結局ライブ前には「here」以外は聴けなかったけれど、5年前の自分が聴いても全然楽しめなかっただろうこのアルバムを今愛聴している。

くるりは「TEAM ROCK」からの付き合いで、出会いは「ワンダーフォーゲル」。ちょうど中村一義「ERA」を聴いた直後で、この辺の新世代ロックに耳を向ける一貫として出会った。その自由すぎる表現と、それなのにノスタルジックで叙情性に富んでいて、その切なさとトゲにはまった。
「アンテナ」で骨太なロックサウンドに、最近の一連のシングルでポップなメロに、回帰したサウンドを聴いていて、こちらも過去の音源を聴きたくなって「図鑑」を聴いた。
正直、現時点ではくるりの中で「図鑑」が一番好きだ、と言い切れるまでに最高のアルバムだった。いろんな音楽手法を取り入れているくるりが、異端なバンドではなく真っ当なロックバンドとして高い評価を得ている理由がよく分かる圧巻の世界があった。

さて、そんなリスナーとして長く付き合ってきた2組の初ワンマンライブが間近に迫ってきて、もうとにかく楽しみで不安で待ち遠しい。どちらも平日ライブなのでちゃんと参加できるか、集中して楽しめるかは未知数だけれども。


関連記事:GRAPEVINE
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by kngordinaries | 2005-11-13 16:43 | 音楽
COUNT DOWN JAPAN 0405 レポート 30日その2
16時30分ごろ、ほぼぶっ続けでアクトを見続けてついに力尽きてリクライニングエリアで横になる。まだこのあとにはACIDMAN、100S、くるりという最強のバンドたちが控えているのに絶望的なくらい体が疲労。ピロシキを食べ、仮眠まで取ってなんとかして体力の回復に努める。
17時30分ごろ、ちょっとクロークに戻りTシャツをチェンジ。前半のアクトでかなりいい汗かいたこともあるけど、買ったばかりの100S「SONG OF FREE」Tシャツで100Sのライブを迎えたくなったのだ。紫の100Sリストバンドもして準備OK。ここでGARAXYでスネオヘアーのステージが15分押しで始まったため同行者が行ってしまい別行動。スネオ、少しだけでも観たかったけれど15分遅れだとACIDMANに食い込みすぎるので諦める。ACIDMANまで多少時間があったのでまたリクライニングエリアで少しでも体を休める。残りのアクトは絶対すべて楽しみたいという執念のみ。

18時ごろ、GRAPEVINEあたりから少し押していたので開始予定ぎりぎりにEARTH STAGEへ。予想通りなかなか始まらず時が過ぎる。
18時15分ごろ、ACIDMAN
ツアーと同じく0=ALLでメンバー登場。早くも盛り上がるオーディエンス。当然の如くFREAK OUTが鳴らされる。サビに向かってのぼりつめていき熱のこもったコール&レスポンスが起こる。
赤燈、やさしいドラムとせつなさを掻き立てるベースにいつもグッとくる。バンドの音楽に対するロマンチックな宣言とも祈りともいえるこの曲は、その時々の世界の情勢によって平和への祈りや、被災者への祈りとして受け取れる間口の広い優しさがあっていつもたまらなくせつなく熱くさせる。そしてイコールリピートと名曲が連続する。
飛行の爆音で最高潮に盛り上がったあと最後の曲として鳴らされたのは廻る、巡る、その核へ。ちょっと意外だった。この激的にヘビーでディープな曲をこういったフェスティバルのステージでラスト曲として披露するとは。荒れ狂いもうほぼ巨大なノイズとしかいえない塊と化したギターに対し、冷静に時を刻むドラム。衝撃的な音世界にただただ圧倒される観客を残し、バンドはステージを去った。ワンマンのツアーと同じ光景だった。
激しい曲から落ち着いた曲までそのレンジはとても広いのに、どれも彼らのメッセージの熱さは一緒だ。ツアーだろうが、イベントだろうが、フェスティバルだろうが、彼らは必要なメッセージを放ち、一音一音を大切に演奏し、熱さを失わないステージを繰り広げる。その揺ぎ無さ、誠実さ、シンプルさはこの日も多くの人の心を打ったと思う。

19時ごろ、ACDIMANのライブ後、突如として場所取りの集団が後ろからもの凄い勢いで押し始める。フロントスペースの真ん中あたりにいた僕はその場を維持したかったのだけど、結局、何度も転びそうになったり肘でおなかを打たれたりしながら最前から3列目くらいまでいってしまった。かなりまわりとの密着度が高く、呼吸も苦しいほどの状態に。冷静に見回すとライブなれしていなさそうな女性が大半。こういった人達からロックリスナーまで、中村一義の音楽の凄さが良くわかる光景だった。
19時30分ごろ、100S
ついに100Sがステージに登場。また後ろから力いっぱい押されてその反動で揺り戻され、訳のわからない混乱状態に。そしてボコーダーの「1.2.3」というサンプリングから鳴らされた1曲目はA。100Sにとって始まりの曲はやはりこれだった。正直、もみくちゃの状態が続いて苦しかったけれど、笑顔になってしまった。1.2.3の部分では無理やりでも腕を上げた。
「だろ、だろ?だろ、なぁ、みんな。」
さらにハッピーなヴァイブスに満ちたB.O.K。この曲途中からやっと落ち着いてステージの様子を観ることができた。バンドが一丸となっている姿がそこにあった。中村くんの歌声はいい調子とはいえないけれど、言葉を届けようとする集中力が凄まじかった。
そして次の曲はなんと!1.2.3!!
どの程度中村一義名義の曲がいまの100Sから鳴らされるのかというのが今回のライブの注目点の一つではあったのだけど、これが答え。
「『もう、何にもない』って、前に、あいつは言った。
そうじゃない。
光景、刻む心が、ここにあった。
そして、何か感じて、この先どこかで会おう、会おう。」
MCでは博愛博のような脱線や気の緩むトークは特になく、シンプルにバンド名や近況を言う程度。
次は新曲という言葉から生きるもの。OZからの楽曲は明るく弾むような曲調だった。聴きとれたはしばしの言葉に心を打たれる。
そしてセブンスター。ここで交わされる小さいけれど切実で真摯な約束は、今の100Sの萌芽のようなものがあると思う。中村くんの、歌詞の意味に合わせて手をかざしたり胸の前でぐっと拳を握ったりする動きの一つ一つに、伝えたい気持ちが感じられる。
「いたい、いたい、いたい、いたい?
そりゃ、そうだよ、当然、痛い。
心に本当でいたい・・・、約束だもんな。」
そしてなにやら英語のナレーションのようなサンプリングとともに始まったのはHoneycom.ware。セブンスターとどこか地続きのメッセージ、4つ打ちの耳なじみのいいここちいいビート、しかし誰も聴いたことのないような新鮮な音世界が会場に広がる。そしてハンドマイクを大切に抱え込むようにして言葉を音に乗せていくボーカル。時に目を閉じ、シリアスで深遠なメッセージを出来る限りの声で伝えようとする剥き身のパフォーマンスに感動しない人がいただろうか。
「君が望むのならしな、しな、
君が望むのなら、
君がやれるのならしな、しな、
それで死ねるのなら。」
続くOZからの新曲は「大切な曲です」とのMCから扉の向こうに
「同情と嘘になれた世界はもうやめよう
うん、そして始めからやり直せばいい。」
JAPAN記事内で発売に先駆けて掲載されていた歌詞がメロディーを伴って耳に届く。どこか中村一義のデビュー曲「犬と猫」と似ている。彼にとってリセット、再スタートというテーマはいつまでも答えを探し続けるべきテーマなのだろう。OZナイトに行ったらしき人からは曲の紹介だけで歓声が上がっていた。きっと100Sにとってロックリスナーにとって大きな曲になって行くことと思う。
そしてラストはこのバンド結成のきっかけとなったキャノンボール。ここに来てやっとバンドがアグレッシブに動き出す。このままロックンロールもやってくれちゃうかと思ったけれどさすがにそれはなし。というか体がもちません。
一言で言って最高のライブだった。2年前のライブとはMCや演奏の姿勢がずいぶん違っていたけれど。完全に信頼できるメンバーをもった中村一義が、バンドの先頭にたってリスナーに全部を惜しみなくぶつけてこようとしていた。中村くんの表現は深遠すぎてシリアスすぎていつも慎重さが必要だったし、時々緩める必要があった。それが個人から集団に変わり伝え方に大きな変化が起こったのだと感じた。

20時20分ごろ、水分補給に一度エントランスの通路へ出る。なんとか興奮を静める。
20時45分ごろ、くるり
戻ってみるとフロントスペースがぎっしりだったので少し後ろ目でくるりを待つことに。
全員がYシャツに黒ネクタイ、岸田にいたってはサングランスをかけてくるり登場。少し笑う。そして時折マイクチェックとか声を出しながらの音出し。それだけで曲を聴いているようないい具合のセッションが繰り広げられる。
そしてワールズエンド・スーパーノヴァがいきなり始まる。少しアレンジが加えられていて楽しい。後半それぞれのソロもあり音楽的な気持ちよさに溢れていた。
そしてこれでもかの名曲連発。くるりを聴き込んでいるわけではない僕も、予想外のセットに上がりまくる。新曲BIRTHDAYは明るくテンポのある感じで、かなり歌モノっぽかった。ちょっと予想外だったけれど、とてもいい展開だとも思った。
ばらの花ワンダーフォーゲルHOW TO GO、まさか全部聴けるとはという名曲たち。一つ一つの演奏のダイナミズム、岸田のタイム感抜群のボーカルはほんとに凄い。そしてロックンロール。どこまでも行けそうなみんなの歌的名曲をこの年の瀬にこういった場で聴けることがとても感動的な光景だった。
「晴れわたる空の色 忘れない日々のこと 溶けてく景色はいつも こんなに迷ってるのに」
アンコールは東京。本当に出し惜しみなしなくるりのライブだった。

EARTH STAGEの終演は押していたこともあり22時過ぎ。体は疲労しきっていたけれど、なんだか顔がにやけてしまう。とっても満ち足りた気分。

帰る道中。スネオヘアーのMCが最高に面白かったこと、YO-KINGのライブはバックをサンボマスターがつとめていてこれまた最高だったことを同行者から聴いた。僕もそれぞれのアクトについていろいろ語った。楽器ごとのベストプレイヤーや、ベストアクト、これからワンマンに行きたいのはどのバンドか、疲れきっているのに語り合った。

夜更けの首都高をCOUNT DOWN JAPANを終えた騒がしい2人組を乗せた自動車が西に向かって駆け抜けていった。

・・・ってこんな終わり方でいいんだろうか?
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by kngordinaries | 2005-01-04 21:52 | ライブ