タグ:アナログフィッシュ ( 31 ) タグの人気記事
ROCK IN JAPAN FES.2007 2日目 その2
monobrightの異常なハイテンションライブを観終え、LAKE STAGE方面に戻っていくと、ステージではエレファントカシマシのライブがスタートしていた。
しかもガストロンジャー!!この日本の現状を憂いながら自分の人生を鼓舞するようなアジテーションソングは、今になってこそその凄みがより実感できる。このタイプの楽曲がその後あまりフォロワーを生んでいない現状こそ、個人的には憂いたいところだ。
そんなエレカシを耳の端で聴きながら、LAKE STAGE近くの噴水のあたりで涼をとりながらしばし休憩。

ここから観たいアクトが連続する怒涛の後半戦。
まずはあの怪物を一目観ようと、GRASS STAGEへ移動。

16時35分ごろ、井上陽水
今年頭の井上陽水奥田民生のライブで初めて生の歌声を聴いたときの新鮮な衝撃が忘れられない。圧倒的に美しく、人間離れしたその歌声の力は、ちょっと他では聴いたことがないものだった。
正直、次のアナログフィッシュまであまり時間がないのだけれど、GRASSとLAKE側との往復は結構体力使うのだけど、1曲でもいいからまた観たいという思いで来てしまった。
そして、ステージにバンドメンバーとともにふらりとあらわれた御大にGRASSの大観衆からどよめきと歓喜が溢れる。Tシャツにジーパンというラフな格好で、いいお年らしいお腹ぽっこりもまた堂々としたものだ。
そして鳴らされた1曲目はなんとアジアの純真!!うねるように捲き起こる大歓声でもうほんと一瞬で場をかっさらっていく。その歌声が響き渡った瞬間、また大歓声。本当にもの凄い。
「いやいやいや、皆さん、ご機嫌よろしいようで」
と、これだけの狂乱状態にも飄々としたたたずまいで話す姿がどうにも面白すぎる。
井上陽水奥田民生のライブが脳裏に甦る。あのthe STANDARD、あの手引きのようなもの、もう恐ろしいくらいに美しかった。
2曲目はMake-up Shadow。ほんと出し惜しみなく名曲連発。
が、その歌声を背にこの辺でLAKEサイドへ移動の時間。うーん、この日のこのへんのタイムテーブルは個人的にほんとに厳しい。

陽水の歌声に名残惜しさを感じつつ、WING TENTに到着すると、すでにアナログフィッシュの面々がサウンドチェック中。
まず驚いたのは、下岡の眼鏡だった。オレンジの縁がとてもいかがわしいダテ眼鏡。やはり彼は独特のファッションセンスを持っている。
ほぼ恒例のようにアンセムの1コーラスなど、たっぷり曲も披露してくれる。
そして、
「なに観てきたの? (観客:「井上陽水!」) あーいいなぁ!俺らも観たかったよ!」
などと下岡が観客とコミュニケーションを取り、
「今日はおもしろい趣向を用意してるから、楽しみにしていて」
と意味深な発言をして一旦ステージを去っていった。

と、ここで最前スペースでライブ開始を待っているところで、隣の人に話しかけられる。関東の人で、3月のSTANライブとここで同一人物を見かけたことで、このブログの書き手だと認識したという。とても驚きつつ、いろいろと話をしているうちにライブがはじまった。


17時10分ごろ、アナログフィッシュ
「最初に言っておきたいことがあるんだけどさ。俺ら今日は全部新曲をやります。こういうフェスってみんな、あんまり関係なく楽しみに来てるでしょ。俺らもそれを信頼してるから」
というような下岡のいきなりのMCにどよめきと歓声が湧き起こる。
ナツフィッシュでポロッと言っていた「全曲新曲のフェス」はここだったか!ライブへの期待感が、さらにさらに高まる。
1曲目はダンスホール
メインボーカル2人が交互にボーカルを取って、さらに弾むビートを叩き出すドラムが合わさって、バンドが一丸となって「ダンスホール」へ強引に連れ去るようなポップチューン。
いきなりの大きな盛り上がりのあとに、いきなり手で音頭を取りながら恐ろしい言葉を連呼し始める佐々木、いわく、
「むりょく!むりょく!むりょく!むりょく!」
観客半分合わせて拍手、半分唖然。の状態のなか、演奏が始まる。当然、これも新曲無力のマーチ~僕らに愛を~。メインボーカルは音頭を取っていなかった下岡だった。超がつくほど覚えやすい童謡的なメロディに乗せて「無力~無力~♪」と歌われるシニカルなロックチューン。
「ROCK IS HARMONY」では、全体的にポップ化したなかで、特に言葉の棘が和らいだ気がしていたけど、これはなかなか強烈だった。
続いてはナツフィッシュでも披露されたマイ・ジェネレーション
「未来は白紙で!僕らは自由だ!」
という後半の叫びが印象的なまっすぐなポップチューンでぐいぐいギアを上げていく。
さらにはFackson Jive。軽やかなリズムが心地よすぎるダンスチューンで、熱を上げていく会場。抜群の演奏と、心地いい歌声とメロディがあれば、耳なじみのない楽曲だろうが、どこまでも楽しめる。フェスという場だから、ということもあるかもしれないけれど、もう天井知らずの盛り上がりだった。
ここで下岡の語りが始まった。Sayonara 90’s前の恒例の語りだ。なれてきたのかよりまとまりを見せながら、しかしより彼独自の中小的な世界への視点の説明になっていて、正直もう理解をはずれた言葉になっていた。
そしてSayonara 90’sへ。噛みしめるようなゆったりとしたメロディのうえを、突き詰めた思考のあとが見える重い言葉が歌われ、サビでそれがふわりと浮かび上がるような感じがする。軽やかにポップなのに、これまででもっともディープサイドの下岡曲だろう。
ここで新曲のみというぶっ飛んだ趣向のライブは全て終了、っぽい雰囲気を見せていたのだけど、最後のアウトロを弾き終えた下岡が袖のスタッフとなにやら会話をし、マイクの前に戻ってくる。
「これで終わろうかと思ったけど、時間まだ少しあるみたいだから、Helloやっていい?」
当然フロアからは歓声が湧き上がって、Helloが鳴らされる。波打つフロア、掲げられる腕。最後の最後で逆に嬉しいサプライズにぐしゃぐしゃな盛り上がりを見せてライブは終了。

最後にはHelloをやったものの、ほぼ全て新曲で貫くその心意気にまずは敬意を表したい。そして、それができるだけのほんとに聴覚にがつんと訴える力のある音楽なんだ、というバンドの自負が見えて嬉しかった。
新曲群もどの曲もそれぞれに魅力があって、特に初めて聴いた無力のマーチには驚いた。確実にさらに幅を広げてる。
ただ、個人的にはSayonara 90’s前の語りに顕著だったけれど、下岡がちょっと全開すぎた気がする。いや、全開はいいのだけど、ちょっと脳内そのまんますぎて伝わらないものになってしまっていたのが気になった。もっと精査してステージからミュージシャンが不特定多数に投げかけて受け止められる言葉に変換して発することができると思う。
非常に慎重に聴き手との距離を測ってきた下岡が徐々に徐々にここまで全開になってきたのだから、ここからの微調整はそんなに難しいことじゃないだろうし、それができたときまた凄いことになる気がする。楽しみだ。

ここで急いでGRASS STAGEへ移動。
タイムテーブル的にアナログを全部観てしまっては、どうしても次のアクトの最初には間に合わないわけだけど、それでもやっぱり急いでしまう。

18時前くらい、ASIAN KUNG-FU GENERATION
GRASSのエリアに入ったあたりでリライトのイントロが聴こえてきて一気にテンションが上がる。同時に怒号のような歓声も聴こえてきて、やっぱり熱く支持されているバンドなんだと実感する。
ぐるりとステージが見える位置にまわってスタンディングエリアに入っていくと続いてはループ&ループ。ぶっといギターリフとグルーヴたっぷりのメロディーが魔法がかったような力で気持ちを高揚させるロックチューン。いきなりの代表曲連発という出し惜しみなさ、フェスのメインステージという場の意味をよく分かっている。
「最近、俺の髪型がまわりに不評なんで、(会場笑) 今日のために美容院に行ってきました」
会場戸惑笑。正直言って「それでそれって・・・」という雰囲気が会場中に蔓延していた感は否めない。ゴッチ・・・。
続いては夏の日、残像。イントロから大きな歓声が上がる。つんざくギターと柔らかいメロディが溶け合った不思議な感触の名曲。
さらにはセンスレス。問答無用の最強ライブチューン。どこまでも飛翔するような曲構成が凄まじい。
大きな盛り上がりのなか、間髪いれずアンダースタンド!もうほんと、こんなセットリストありえない、というくらいの名曲連発に嬉しくなる。
そしてセッション的な音だしかと思ったら鵠沼サーフ。ルーズでグルーヴィーな雰囲気がかっこいいロックチューン。演奏の妙で聴かせる部分ばかりの曲なのだけど、こんな大会場でがっちりとそれができていた。
「今の曲知らなかったでしょ」
と一息ついて後藤が言う。確かにこの雑多な大観衆の中ではこれまで披露した曲の中で一番認知度が低いかもしれない。
「知らない曲だっていいんだよ。楽しんじゃえば。俺もよくフェスとかいくんだけど、知ってるとか知らないとか関係ないんだよね」
この辺の真っ当な音楽ファン感覚をいちいちレクチャーするように話すところが、後藤正史の正しさであり、このバンドの在りようなんだろう。
「次の曲は、みんな知らないと思う。・・・なぜなら新曲だから」
といって、新曲へ。太いリズムと強いメロディも持ったポップチューン、バンドの現在の充実っぷりが感じられる曲だった。
そしてイントロでここまで一気に熱が上がる曲はなかなかないだろうフラッシュバック!!一気に会場の熱を最高沸点まで持っていく。凄い凄い。
さらには遥か彼方!そしてラストは君という花!!もうとんでもない盛り上がりでライブは熱狂の中、終了。

このバンドがこれまで実らせてきた果実の充実っぷりをこれでもかと見せ付けられたようなライブだった。
ただ、その中に一応最新シングルである「或る街の群青」や一応最新オリジナルアルバム「ファンクラブ」からの曲が少なかったことがちょっと気になったところ。バンド側の心情にどんなものがあったかちょっとだけ気になる。
あと、ここ3,4年で現われたバンドがここまで堂々とメインステージのアクトをこなしている様子に、シーンの移り変わりを感じたりも。

ここで怒涛のライブラッシュを終え、ようやく一息つき、食事タイム。
みなと屋のハム焼きの列に並んだり、いろいろしているあいだに今日の大トリのライブがスタートしてしまっていた。

7時過ぎ、BUMP OF CHICKEN
食事を終え、ようやく落ち着いてGRASS最後方で観始めたときにはライブは中盤、プラネタリウムが演奏されていた。すでに陽も沈み、ステージのライティングが眩しいなか、あの藤原くんの独特な歌声が優しく耳に届く。
こんなフェスの大トリは初めてじゃないだろうか。シンと静まりかえって、誰もがステージから紡ぎだされる音楽に言葉に神経を集中させているような雰囲気。
僕はこのバンドのそんなに熱心なリスナーではないけれど、この場で放たれる藤原くんの言葉の一つ一つがいちいち心に突き刺さっていった。やっぱり彼は詩人だなー。
特に煽ることもなく、丹念にしっかりと1曲1曲が演奏されていく。天体観測ガラスのブルース、そしてsupernovaといった本編ラストの畳み掛ける各時期のこのバンドの珠玉の名曲群は凄かった。
アンコールの1曲目は、ダイヤモンド。個人的にこのバンドとの出会いの曲であるこの曲が聴けて嬉しかった。
フェス的な享楽の大トリとは全く違う静かに深く心に響くようなライブのあと、上がった花火はまた新鮮で綺麗だった。

というような感じで2日目が終了。
[PR]
by kngordinaries | 2007-09-04 23:55 | ライブ
アナログフィッシュ ナツフィッシュ!!! ハジマリッ! 渋谷CLUB QUATTRO
蒸し暑い曇天模様の夏の日に、3年目のナツフィッシュに初参加するために、東京は渋谷まで来てしまった。

アルバム「ROCK IS HARMONY」からもう8ヶ月、アルバムツアーが終わり、素敵対バンツアーが終わり、リリースの予定もないままに3ヶ月が過ぎた今、もういてもたってもいられなかったのかもしれない。
「Hello」以降のこのバンドは、いつも異様なくらいの成長期にあって、いつでも新鮮な驚きを与えてくれる。このバンドにとっても久々のワンマンライブ、これを見逃す手はなかった。

さて、初めての渋谷クアトロは、名古屋のそれと同じようにパルコの上にあり、階段でずらっと地上まで並ぶパターン。
入場時に今回のライブの告知的なフライヤーともう一枚紙が渡される。「アナログフィッシュからのお願いでーす」と渡すときに謎のセリフをつぶやく係のひと。
そこには無骨で乱暴なカタカナがびっしりと並んでいて上のほうに「みんなで唄おう!!SUMMER TIME BLUES」と書いてあるので、これは歌詞なんだろう。

会場内に入ると、すでにかなりの人で埋まっていたので、下岡側7,8列目くらいに陣取る。わりとステージが高く観やすい印象。
800とか入りそうなわりと広いハコなのだけど、開演前にはかなりびっしりと後ろまで埋まっていた。久しぶりのワンマンへの期待の高まりが感じられる。

そして、客電が消え、ライブが始まった。

※この先、一夜限りのライブなのでネタバレもなにもありませんが、ご注意ください。(何に)

トトロ!
[PR]
by kngordinaries | 2007-07-25 01:48 | ライブ
アナログフィッシュ SPRING SCRAMBLE SESSIONS 名古屋 CLUB QUATTRO 
アナログフィッシュ、そしてクラムボン。

1月にこの対バンのアナウンスがあった時点では、クラムボンは存在をぼんやり知っている程度で、曲の一つも思い浮かばないバンドだったのだけど、予習がてら聴き始めてみて一気にハマってしまった。

きらびやかな鍵盤を中心に時にグルーヴィーに時にタイトに世界を彩るカラフルで豊かな3ピースのバンドサウンド。どこまでも穏やかで伸びやかな原田郁子の歌声と倍音がかったような低音が心地いいミトの歌声。的確で心を弾ませる大介のドラム。
もうなんでこれまで聴いてなかったんだろう、と思わずにはいられない、人生損してたみたいな衝撃。

一方のアナログフィッシュはというと、このライブを前にちょっと久々に「ROCK IS HARMONY」を聴き返してみたりした。
びっくりした。1曲1曲、恐ろしくいい。こんなにも名盤だったっかとメカラウロコ。そして「公平なワールド」という曲の強引なほどに強力な引力は、やはり飛びぬけていると思った。

そんな感じである。
何が言いたいかというと、つまり個人的にこの対バンがもの凄く素敵な素晴らしいものだと思っていて、半端なく期待を高めて臨んだということです。長々すいません。

ここのところアナログフィッシュの名古屋公演といえばここ、という感じになってきている名古屋クラブクアトロ。
開演30分前にフロアに出てみると、すでに多くの観客が入っていた。これまでの名古屋でのアナログライブの動員をこの時点であきらかに超えている。
下岡側の端のほうの3列目あたりで開演直前に振り替えったところ、フロア後方の入り口の辺りまでびっしりと人で埋まっていた。
いやあアナログフィッシュもついにここまできたか、なんて思うほど妄信的ではない私は、クラムボンありがとう、と心の中で呟きつつ、開演を待った。

ステージ左にはキーボード、真ん中にはMTR(?)、右にはドラムセットが置かれている。まずはクラムボンからスタートのようだ。初クラムボン、どんなだろう。

More
[PR]
by kngordinaries | 2007-04-22 15:42 | ライブ
アナログフィッシュ TOUR is HARMONY 名古屋クラブクアトロ
待望のアナログフィッシュのワンマンライブ。
思えば普通のワンマンライブとしては(ジョントポールは普通じゃないとします)、去年の4月の京都磔磔以来。といってもあれも未発表曲中心の特殊なライブだったわけで。となるとちょうど1年前の1月の名古屋以来か。というかライブの度に違った表情を魅せるバンドだから毎回新鮮なんだよな(脱線)。

事前に観客が並ぶパルコの階段のところの整理番号の札をチェック。
前回の去年の1月のときは「№200~」のあとがもう「当日券の方」だったのだけど、今回は「№250~」まで出ていました。凄い微妙な成長だコレ。

開演30分前くらいに会場入り。
フライヤーに4月の対バンツアーの会場限定先行予約が入ってるんでは、としげしげとチェックするが、当てが外れる。なんだか印象としては1月より人が少ないような、と思いつつロッカーに荷物を入れ、やや下岡側の6,7列目くらいに陣取る。結果的には開演直前には結構びっしりと人が埋まっていた気がする。
この会場はわりとステージが高くドラムまでしっかり見えるのが嬉しい。

ぐいぐいと期待感が高まる中、開演10分過ぎてかなり待ちきれなくなったところでライブは始まった。

※この先公演中のライブ内容について容赦ないネタバレがあります。ご注意ください。

昨日からずっとポカリスエット飲んでるんで!
[PR]
by kngordinaries | 2007-01-17 01:40 | ライブ
COUNTDOWN JAPAN 0607 31日 レポート その2
100sの15分前からMOONで行われているAPOGEEも観たくてしょうがなかったけれども、ここは潔く今回のフェスで個人的最重要アクトである100sに備えて、Tシャツを物販で購入した100sTに着替えて早めにEARTH STAGEへ。
OZツアーから1年以上ぶりのライブ、一体どんなモードでどんな選曲で挑んでくれるのか、期待が高まる。

21時、100s
ビジョンに次のアクトとして100sの名前が表示されると大歓声が沸きあがる。そんな中、なんともコミカルなBGMに乗っかって100s登場!みな軽い歩調で、中村くんや池ちゃんは会場を煽りながら飛び跳ねるようにしてアピール。
もうこの時点からOZの重厚で緊張感のある雰囲気とはまるで違う世界観を見せ付ける。完全なモードチェンジ。
ちなみにコミカルなBGMは「ガンバ」というフレーズが出てきたので100sが子供のころ好きだったんであろうアニメ「ガンバの冒険」の主題歌とかだったっぽい。僕は超分厚い小説版を小さいころ読んだことしかないけれど、冒険小説の傑作だった(余談)。
「100s(ひゃくしき)です!盛り上がっていってください!」
との中村くんの挨拶でライブスタート。そして1曲目はキャノンボール !!
イントロから怒号のような歓声、掲げられる腕、波打つ会場。「死ぬように生きていたくはない」「そこで愛が待つゆえに 僕は行く」というどこまでも簡潔なメッセージを躍動するバンド・サウンドに乗っけて叫ぶ、シンプルにして最高のロック・チューン。100sというバンドの結成のきっかけでもあり、バンドの名刺代わりであり、最もこの大観衆にアピールするだろう1曲でライブはスタート。
「こんばんは!100sです!もうあと少しで2006年も終わっちゃうよ。みんなやり残したことはありませんか? 俺たちはあります! 今作っている新曲たちをみんなにまだ聴いてもらってない!(会場拍手) 今日は新曲たちを聴かせたくてきました!」
と中村。期待はしていたけど、こうしてそれを宣言してくれるのが嬉しい。
「じゃあ次の曲・・・エース!」
と言ってA。またもアグレッシブなロック・チューンにして100sの代表的なアップ・チューンを。今のバンドのスタンスが、コア向けでない、オープンな状態であることが明確に伝わってくる。キレッキレなギターリフを奏でるギタリスト2人がめちゃくちゃカッコいい。「だろう だろう だろう なぁ みんな」の大合唱。
続いて新曲なぁ、未来(CDJオフィシャルより)。OZツアーを経てよりくっきりとクリアになったバンドアンサンブルが映えるアップ・チューン。相変わらず一聴しても歌詞は分からないけれど、メロディが綺麗で心にスッと入ってくる感じがした。
そしてしばらくの静寂。ふわふわとしたキーボードの音色がしばらく続いたあと、静かにイントロのギターが鳴り出しセブンスターへ。切実で真摯な、溢れるほどの願いと決意の感情に満ちた、温かいミディアムチューン。
見たい、見たい、見たい、見たい。
無茶な言い分だって? もう、いい。
本当の冒険を、見たい、見たい、見たい。
いたい、いたい、いたい、いたい?
そりゃ、そうだよ、当然、痛い。
心に本当でいたい・・・、約束だもんな。

「次のシングル曲です。希望」
というような中村くんの言葉があったような。
で、新曲希望へ。開放的で伸び伸びとしたサウンドとどこまでも飛翔するような爽快なメロディ。優しく心地いいポップ・ソング。バンドの再始動(本人達は休みなく制作してただろうけど)1発目にふさわしい感じがする文字通り希望に満ち溢れたような力強い1曲。
さらにいきるもの。アルバム「OZ」の中でシリアスな「扉の向こうに」「Oz Ⅲ」のあとの「光は光」のそのあとに配置された爽快なアップテンポのポップ・チューン。池ちゃんの曲間の煽りは年々アグレッシブになっている気がする。乱暴者で最高なアフロ。
そしてなんと1,2,3!中村一義名義の曲たちはどの曲も重要で素晴らしい曲ばかりだけれど、やっぱりこの曲は特別感がある。ダイナミックなブレイクビーツはライブで聴くとまた格別。素晴らしかった。
「最後にもう1曲新曲をやります。百年と書いて”ももとせ”と言います」
との中村くんの言葉からこのライブ3曲目となる未発表の新曲ももとせ。これも前2曲と同様のシンプルなバンドサウンドによるミディアムチューンだった。ダイナミックなギターがちょっとだけ新世界と似ていた気も。フラットで優しいメロディラインに乗って断片的に聞き取れる言葉たちを聴いているだけでグッとくるものがある。なんだか切ない名曲だった。
アンセム・新曲を交互に乱れ打ったようなスペシャルなライブはももとせでしっとりと終了。

とにかくその劇的なモードチェンジが印象的だった。
OZのあのモードからもう全然別の次元へ行っていた。キャノンボール、Aを冒頭に配置しているところからしても意識的なこの変貌っぷりは、でも新曲3曲を聴いた感じからするととても自然なものだったんだと思う。とにかく風通しよく優しく穏やかで光の溢れる季節を迎えようとしているんだろう。
今から予想するのもどうかとは思うけど、次作は中村くんの表現の変遷でいけばやっぱり金字塔、ERA、OZの流れではなく、太陽、100sの流れの先に位置するものになりそうな気がする。正直この2枚のアルバムがめちゃくちゃに好きな僕としてはとても待ち遠しい。

そんな100s素敵ライブを終え、しばし休憩。このあとのノンストップな連続ライブに備えて急いで食事を。

22時15分、木村カエラ
それでもライブ始まりには余裕で間に合い、会場最後方からこの稀代のポップ・アイコンを眺めることに。
「2006」の”00”が目の部分になったサングラスをかけたファンキーないでたちでカエラ登場。1曲目はTREE CLIMBERS。この大舞台でなんでここまでと思うくらい伸び伸びとしたパフォーマンスと力強い歌唱。
「もう少しで今年終わっちゃうよ。みんななんでこんなとこにいるの? 暇だねー」
と昨年のCDJで観たときと全く変わっていない歯に衣着せぬMCが凄い。
「いやそうじゃないよね。ここにいられることが最高なんだよね」
とのそのあとのフォローに少しの成長を感じてみたり。
続いてリルラ リルハ。ビートの効いたミディアムチューン。、まだリリースされて1年半程度だろうにみんなのうた的定番感が素晴らしい。
そして最新曲Snowdome。初めて聴いたけれど、これまでのどの曲よりもポップで歌メロがはっきりしていて、歌謡テイスト。これが広く受け入れられるようならまだまだこの人の躍進は続くと思う。
この辺でアナログフィッシュのためにCOSMOへ。

会場外にもサウンドチェックの音が聞こえる。
入っていくと、すでに斉藤が音チェックにステージへ上がっていた。しばらくして佐々木が登場。さらには下岡も。
MOONからCOSMOへ、微妙な昇進をしてもここは変わらないんだなと。
アンセムのサビをがっつりアカペラで披露したり、3人で音を合わせて夕暮れLOWを披露し拍手喝采を浴びていた。

23時、アナログフィッシュ
FLAMING LIPSのYeahYeahYeah Songがかかり3人がステージに登場!
音を鳴らし始めると下岡が口を開く。
「ハローハローハロー、アナログフィッシュです」
そしてなんといきなり
「Do you still need BGM?」(下岡)
「ノー!サンキュー!」(観客)
のコール&レスポンスへ。何回も繰り返し、叫ぶ下岡。下岡のテンションが最初っからこうも高いのはちょっと珍しい気がする。
そして1曲目はHello。もう2年以上前のリリース曲だけれど、今のこのバンドのモードにもリンクするメッセージを持った、というか、ずっとリンクし続けそうな重要曲にして最高のポップチューンでいきなりの盛り上がり。
続いてはアンセム。佐々木の力強い歌声とミュージシャンとしての想いを乗せた言葉が突き刺さる名曲。これまでとても綺麗に歌いこなすことが多かった佐々木が、最近歌メロ以外の部分でハミングやアドリブのシャウトを入れたりするようになっていて、この曲はそういう部分ののりしろが多くてとてもよかった。さらに自由な歌を聴かせていってほしい。
そしてmagic。イントロから曲間のアレンジからもうアイデアがぎっしり詰まった極上のポップ・ソングが楽しすぎる。曲後半どんどん勢いを増す演奏と、それなのに不思議と強まっていく切なさがこの曲の肝だと思う。素晴らしかった。
続いては
「スピード!」
との佐々木のシャウトからスピード。アグレッシブな中盤の演奏では下岡がドラムセットの壇上に上がって、佐々木と向き合って熱くプレイ。
KISSの楽曲とROCK IS HARMONYの楽曲がバランスよく配されていて嬉しい。そしてここにきて両ソングライターの作品のクオリティが拮抗していいところがほんとに凄いと思う。
続いてはSIM CITY。まったりとした導入から爆発するサビまでの流れ、そして脳内世界そのまんまのような幻想的な世界が描き出されていく。演奏によって自在に変わるリズムが最高だった。
そしてマテンロー。歌声がどこまでも伸びやかでどこか切ないメロディをもったスケール感のあるポップチューン。
「このままルールを無視してカウントダウンまでやってしまうのもありだと思うんだけど、僕らはそういうロックンロールなバンドじゃないんで。小心者なので。法令順守なロック・バンドなんで、時間通りに終わろうと思います」
「だからもう少しでライブは終わるんだけど、来年は1月21日に渋谷AXでワンマンライブがあります!ここにいる人たちが大体来てくれることを想定してるので(会場笑)、楽しみたい人はAXに来て下さい。また楽しもう」
などなど下岡がほとんど一人しゃべりで。もともと下岡は佐々木をいじるか、連絡事項か、本当に言いたいことしかMCで話さない印象があったし、今もその印象に変わりはないんだけど、きっと今は言葉に落としこめるくらい”伝えたいこと”がクリアになって、またその想いもどんどんつよくなってきているんだろう。そんな感じはこの次の発言でより強く感じられた。
「最後になるんだけど、ちっともこの世界が公平じゃないように感じていて・・・それがどうしても我慢できんくて。みんなでこの曲で楽しんで公平なワールドにしていこう」
とかなんとなくそんなことを言っていたような気がする(記憶曖昧)。
そしてジョントポールと同じくMTRからキーボードの音が流れて公平なワールドへ。イントロでの歓声から早くもこの曲が観客から熱い支持を受けているのが分かる。
そしてこの曲での下岡の歌唱・パフォーマンスが凄かった。マイクスタンドをぐるぐると動かし、ときにハンドマイクになりながら、眉間にシワを寄せ、地団駄を踏みながら叫ぶように言葉を放射していく。表現者としてのギアが上がっているのが強く感じられた。
いや、ライブ冒頭のテンションや、ドラムセットへ上がってのギタープレイ等もそんなモードチェンジの発露だったんだと思う。
最後に口々にありがとう、という言葉を残してステージを去るメンバー。ここで今年最後のアナログフィッシュのライブは終了。

ROCK IS HARMONYをリリースして、ようやく今のアナログフィッシュをフェスという場でも全開で出せている感じがして、とても爽快なライブだった。
その中でも楽曲としてのスキルアップだけでなく、佐々木の歌い方の変化や、下岡の表現衝動の変化など、パフォーマンスにも進化が観られ、それらがより開かれた分かりやすいライブに結実していることが素晴らしかったと思う。

それにしてもこのライブでの公平なワールドは出色の素晴らしさだった。
より冷静な批評性と生活の中で感じるこの世界への違和感や怒り、それらを特別大仰にもより暗黒にもせず、そのままに音楽に変換できているこの曲は、結果的にアナログフィッシュ史上でみても最もポップな部類の楽曲になっているし、街や自分の身の回りの世界というこれまでの楽曲の領域を飛び出し、一気に国境を越えた世界=ワールドへ向けた曲としてしっかりとした手応えが感じられるものになった。
これまでの楽曲にも内在していた社会性がくっきり浮かび上がり、それと同時にロックの獰猛さとどうしようもない衝動までが一気に噴出しているのだ。
この楽曲には無限の可能性が内在している。それはこのバンドをさらにさらに高みへ、広い地平へ誘うものだと思う。その一端がこのライブの最後に、この年の最後に観られたことが嬉しかった。


さて、この素敵ライブに、会場では熱い熱いアンコールを求める拍手が巻き起こり、時間的にも予定のライブ終了予定の23時45分まで5分以上残っていてなんとかもう1曲披露してくれそうでもあり、できれば僕もそこに参加したかったところだけれど、ロックスターの年越しライブはどうしてもオープニングから観なければ!というところで断腸の思いでCOSMOを後にし、急いでEARTHへ。



長くなってきたので、また続きます。あとはこの日は吉井和哉のカウントダウンライブを残すのみなんですが。1日分まで書き終わるのはいつになるか・・・。
[PR]
by kngordinaries | 2007-01-07 20:09 | ライブ
アナログフィッシュ コウタロウ・オータム・コレクション ライヴジョントポール ジョンデイ 京都磔磔
よくよく思い返してみると、ワンマンライブ2daysに両日参加したことなんて、今まで一度もなかった。
というか、このジョントポールに関してはこの2回のライブがそれぞれ同じバンドとは思えないほど披露される曲に表現の違いがありつつ、演奏のアンサンブルや歌声のハーモニーは紛れもなく一つのバンドとして同一であり、なんだかよくわからないけれど、どう考えてもワンマン2daysではないし、別バンドのライブに2日連続で参加してるわけでももちろんなく、独特なものがある。
「ジョントポール」というライブに参加した、としか言いようがないものなんだと思うし、その独自性がアナログフィッシュだな、とも思う。

ポールデイにもらった缶バッジを身につけ、昨夕と同じ順番で入場。
当然、前日同様かなり後方になってしまったけれど、前日の反省を生かし、ぐっとジョン側の壁際に移動したところ、なんとかポールの姿も確認できそうな位置につけた。

ポールデイは次々にビートルズの曲がかかっていたけれど、ジョンデイは全くの無音。そういえば前回のジョンデイは蝉の声で始まったんだった、と回想したり。

そんなこんなで客電が消え、ライブが始まった。

タオルで拍手取れるようになった
[PR]
by kngordinaries | 2006-10-18 22:23 | ライブ
アナログフィッシュ コウタロウ・オータム・コレクション ライヴジョントポール ポールデイ 京都磔磔
2人のソングライターがそれぞれ作った曲のメインボーカルを取る、ちょっと変わったバンド形態のアナログフィッシュ。
それぞれ片方のメイン曲のみのライブ2daysというちょっと変わったライブ形式はこのバンドにとっては必然の産物だった。そのライブの名はジョントポール。

5月の新宿ロフトに続いて2度目となるこのライブの今回の会場は京都磔磔。
個人的にはこの会場は3回目にしてその全てがアナログフィッシュライブなので、もう磔磔といえばこのバンドのイメージになってしまった。

開場10分前くらいに到着。かなり早い段階でソールドアウトしただけあって、すでに人だかり。
ジョントポールは1枚のチケットで2公演見られる、逆に言うと2日連続ライブに来なくてはいけなくなるし、片方のソングライターのファンもワンマンより参加しにくいかもしれないもの。その中でのこのソールドアウトは、それだけ濃いファンの多いバンドだということの証明になっているのでは。

開場してチケット確認後に缶バッチが2つもらえた。
黄色とピンクでそれぞれJ(ジョン),P(ポール)と整理番号が書かれていて、その数字はメンバー直筆とのことで、翌日のジョンデイにはこの缶バッチを身につけてチケットの半券も持ってくるというシステム。

遅めの番号だったので、もう前方はぎっしり埋まっていたため、佐々木側のうしろに陣取る。フロアの真ん中の柱で下岡が全く見えない位置になってしまった。
磔磔のスタッフの人が事前の注意を促す。この人が開場のときも仕切っていたのだけど、なんだかいいキャラクタをしていて、独特の口調で、かなり場を持っていっていた。
「ここはまわりが住宅地です。今日はポールデイということで、ライブのあとはもう、『ポール!・・・ポール!』、・・・ってなってると思いますけど、(観客笑) ここを出たらグッと我慢していただいて、四条河原町の通りまで出てから、『ポール!・・・ポール!』、(観客爆笑)・・・って思う存分やってください」
とか、いろいろと。

そしてビートルズの名曲がガンガン流れる中、その特別なライブの始まりを待った。

※曲順・MCの順序など、あまり自信なしです。雰囲気で書いてます。

なんか全部もってってごめん
[PR]
by kngordinaries | 2006-10-17 22:12 | ライブ
Re:mix 2006 その2
地下にあるアポロシアターから地上へ出てきて、さてMO'SOMEへ、と行こうとして道端の機材車が目に止まる。そこで荷物を運び出している見覚えがある3人組。
それはアナログフィッシュでした。
下岡氏は茶色のニットを被り、斉藤氏はキャップ、佐々木氏はハット。斉藤氏はハーフパンツ。それぞれがギターケース等の荷物を持ち、佐々木氏にいたってはステージ衣装のスーツが入ってると思われるクリーニングしたての荷物も。
「あーやっぱりクリーニングとか出すんだ。ライブ続くと次の公演に間に合わないだろうし、何着か予備があるんだろうな」と思いました。ステージに立つスターの裏の現実を観てしまった、というほどのショックは別になかったけど親近感が増しました。
数分間ガン見してしまいましたが、他の方数名がするように声援を送ることもせず、関係者入り口に消えていくまで見送ってダイアモンドホールへ向かうことに。

そして5階のダイアモンドホールにたどり着くと、ちょうど目の前の関係者用のエレベーターが開き、出てきた見覚えがある3人組。
それはアナログフィッシュでした。
おおっと思っていると、フロアから去っていく3人。

会場に入るものの、MO'SOME TONEBENDERのライブはすでに中盤で、当然びっしりの観客に会場内にもギリギリは入れるレベル。まだイベントは長丁場で後半もあるし、空腹を感じたため、ここは早めの食事休憩といこう、と思いフロアを出る。

そしてダイアモンドホールを出て階段を下りようとしたとき、なにかの気配を感じて後ろを振り向くと、僕についてくるように階段を下りようとする見覚えのある3人組。
それはアナログフィッシュでした。
え?と思ってちょっと固まると、3人も後方に振り向き、係りの人にアーティストはエレベーターで的な注意を受けて戻っていきました。短時間に3度アナログと遭遇とは。びっくりでした。

食事を取りおえ、まったりと長い休憩を取り、19時過ぎに会場へ戻り、休憩・物販スペースを物色し、さきほど目をつけていたチケットを購入。先行販売のため整理番号が早い早い。

そしてPOLYSICS待ちでダイアモンドホールのフロアに入ると、その場に座り込んでライブを待つおびただしい数の人、人、人。若手の勢いのあるバンドのライブアクトがこれだけ立て続けに行われる長丁場のライブ、相当消耗してぐったりの人も多かったもよう。
しかしPOLYSICSが登場し、
「行くぞ!ラスト8曲!!」
とハヤシが叫ぶと一気に湧き上がるフロア。一瞬にしてもの凄い盛り上がり。
カジャカジャグーでひとしきり壊れたように踊り狂って、このへんでキャプテンストライダムに向かうため、フロアを出る。

アポロは入場規制もありえるので、開演の大分前に行って、かなり後方ながら観やすい位置に陣取る。思えばキャプテンストライダムのライブは初。なんだかもう何度か観てる気がするくらい妙に親近感のあるバンドだ。
ステージでは音チェックをメンバー自身でしていた。僕がよく観るバンドで自ら音チェックをしているバンドというとアナログフィッシュとSTANで、どちらもセッションしまくるタイプ(その内容は大分違う)だけど、このバンドはそれぞれが音を確かめている感じだった。それぞれのバンドでいろいろなかたちがある。
なんだか憎めない顔をしたサポートのギタリストがマイクチェックをしていて
「ヘイ、ヘーイ。ヘイ。アー」
と普通にやってるな、と思わせておいて
「ヘイ、へ・・イェエエ~~イ!!」
とおもむろにいきなりをテンション上げて、片手でガッツポーズを突き上げながら叫ぶ。会場爆笑。
その後、他のメンバーがステージを降り、一人残った永友くんが同じことを3、4回、しつこいほど繰り返すので場内は笑いの渦に。

しばらくして定刻になりキャプテンストライダムが再び登場。
「みなさん、今日のことを絵日記に書きましょー!」
と叫ぶ永友くん。梅田くんも手拍子で煽ったり、とにかく最初から陽性で開かれた、エンターテインメントな立ち振る舞いが楽しい。
ヤルキレスフランクフルトと、ゴリッとしたサウンドにどこまでもポップなメロが乗る感じがとても心地いい。永友くんの熱いけどすっきりとした歌いっぷりがとてもいい。
MCでは、サポートのギタリストも含めて全員で絶妙な掛け合いをしていて、仲が良さそうでとてもいい空気感。夏の思い出話では菊住くんが実家に帰ったら母親の部屋にペ・ヨンジュンのポスターが貼ってあった、という話を。
「ショックでしたよ。別にペ・ヨンジュンが好きとか嫌いとかじゃないですよ。ただ、、自分の母親の部屋にポスターが貼ってあるのは、ねえ」
とかなんとか言ってました。
後半はマウンテン・ア・ゴーゴー・ツーやU・I・R・O(ウイロー)のコール&レスポンスで盛り上げ最後はやはり最強ダンスチューンキミトベ
どこまでも観客を楽しませるツボを知っていて、全力で尽力するというちょっとGOING UNDER GROUNDのライブにも似た印象の最高ライブはここで終了。かなりギュウギュウのアポロが熱く盛り上がった。

そしてライブ終了と共にかなりハケていく観客。
このぐらいのハコはキャプテンストライダムにとっても、アナログフィッシュにとっても、全然小さいだろうけれど、それでもこうして観客がごっそり入れ替わって、開演前に到着すれば十分観られる状況になるのは、ダイアモンドのアクトも後半より強力なメンツになっているからだし、出演バンド数が多いことによる観客の多様性が生まれていることもあると思う。その辺の計算が、このイベントはめちゃくちゃよくできている。

夏フェスなんかに行っていても「こんなにいいバンドが今ここでやってるのに、なんで別のステージに行くかな」とか前は思っていたけど、今は逆にその価値観の多様性を理解できてきて、逆にそれを信じて行動したりするし、それが感じられることが一つの楽しみになってもいる。
自分的に音源を聴いていて評価が今ひとつだったバンドも、ライブを観て、そこでの観客の盛り上がり方やポイントを見ていると、途端にそのよさが分かったりもするし。
その辺がワンマンとはやっぱり全然違うし、複数ステージ・複数組登場するこのイベントもそういう楽しみ方を提供してくれるものだと思った。

アナログフィッシュ、本番前のサウンドチェックには今回は珍しく斉藤のみしか出てこず、ベースとギターはスタッフによるチェックが行われていた。
ほぼ定刻にアナログフィッシュの面々がステージに登場。佐々木がステージ前方までせり出してきて変顔で煽る煽る。怖い。
そしていきなりHello前のお約束セッションでスタート。いきなりこの曲でスタートするとは思わなかった。一気に湧き上がるフロア。
「ハロ――――!!」
下岡のシャウトからHello。最初から演奏のテンションは最高で、勢いよく音をぶつけてくる。さらにBGMスピードと、ここのところの鉄壁のセットで畳み掛ける。スピードの間奏での下岡佐々木のスクラムは、もう定番なのだろうか。
このへんでMC。
「こんばんは。アナログフィッシュです」
と斉藤。
少し間を置いて
「こんばんは。アナログフィッシュです」
と斉藤。
さらに少し間を置いて
「こんばんは。アナログフィッシュです」
と斉藤。
なぜか3回繰り返す。
そして名古屋でのライブは久しぶりであること、次のライブは「ROCKS」のイベントであることなどなどをまったりとトーク。
「それじゃ、次はLiving in the cityという曲をやります」
との下岡の言葉からLiving in the city。温かく穏やかなイントロからもう最高だった。今ここで生きているということ、生活をしているということをシビアに見つめながらも肯定的にとらえたその世界観は、今まで誰も表現したことのないものだ。画期的だけれど、今まで無かったのが不思議なくらい普遍的な楽曲。「イージュー★ライダー」や「LIFE」のようにエバーグリーンな僕らの歌的な大きさを感じる。
「Living in a city 退屈さ今日も」
「僕らは今日も 暮らし続けるのさ」
そして最新シングルアンセム。狂おしいほどの葛藤や焦燥をどう消化するか、というのが佐々木のずっと変わらないテーマだと思うけれど、この曲はこれまでの作品の中でももっともタフに穏やかに歌うことでその答えを探し続ける決意を歌っている。
「ハミングが溶け出す 地球の午後 Say hello 悲しみもためらいも 追い越せる様に 歌を唄う」
「僕の体を駆け巡った 世界を彩るメッセージを 探してるよいつも 探してるよいつも」
そしてここでMC。今年に入ってからずっとレコーディングをしていて、それももう終了したことが語られる。
「多分、11月か12月には出ると思うので、ぜひ買って聴いてください」
と下岡。
そして新曲をやります、というような前置きからmagic
曲紹介からもの凄くテンションが上がってしまった。昨年末から未発表の新曲をガンガン披露していたけれど、そのほとんどを一度は耳にしていたのに、1曲だけ聴けていなかったのがこのmagicだった。
曲調は明るく開放的なアップテンポ。「ちっちゃなころに間違った魔法にかかって」と歌われる歌詞はQueenやハーメルンに通じる白昼夢のような幻想感もあり、イワシのような物語性もあり。とにかく曲の展開を追いながら聴いてるだけで笑みがこぼれる最高のポップチューン。メロディもアレンジもとても心地よかった。こんな曲を聴いてしまうと、まだまだこのバンドへの期待が無限大に広がってしまう。
また、演奏のアンサンブルと歌唱の細やかなニュアンスに集中力を研ぎ澄ませている感じも素晴らしかった。最近のライブでは、特に冒頭の3曲のように勢いや盛り上げ重視の曲の場合、細やかなこだわりよりざっくりとドライブ感を重視していると思うので、このピリピリするくらいの音のせめぎ合う感じが嬉しかった。
そしてラストは世界は幻。このライブ唯一のスローチューンは、会場の空気を一変させ、そのずっしりとしたロックの快感で魅了する。佐々木の力強い歌声が胸を震わせる。
短時間の中で、このバンドのいろいろな魅力を凝縮してみせたような最高ライブはここで終了。

アポロシアターのアクトはアナログフィッシュでラスト、そうなかなか大役を仰せつかっていたのだ。この最高のライブに当然、アンコールの拍手が巻き起こる。
と、なにやら中央にマイクスタンドを持ってきたりいろいろとセッティングを開始するスタッフ。佐々木弾語りか、アコースティックか、とこの後の展開に期待がつのる。

そして再び3人がステージへ。
「ありがとうございまーす!」
と佐々木。
「じゃあ、ここで3人でアカペラを披露したいと思います」
と下岡を横目で見ながら斉藤。観客、戸惑い気味に拍手。
「・・・そんな目で観ながら言うから、どうしようかと思ったよ(笑)」
と下岡。どうやらジョークだったもよう。
「じゃあ健ちゃん」
と佐々木にふる下岡。
「はい、え・・・僕らこの前、キャプテンストライダムと対バンを回っていて、一緒にセッションをしたりしていたんですけど、今日このイベントでもこの前がキャプテンストライダムだっていうことで・・・ちょうどいいんじゃないか、という話になったんです」
と佐々木。会場大拍手。
「えっと、じゃあキャプテンストライダムです!」
そしてキャプテンストライダムの3人が登場!会場大拍手。
「ちょうどいいって(笑)」
と永友。そして会場を煽って観客全員で「ちょーどいい!」コールを。
「皆さん、今日のこのアンコールのことを絵日記に書きましょー!」
と永友。さすがにライブの盛り上げはアナログより全然上手。すでに場を掌握している。そして
「このメンバーで、みんな誰でも知ってる名曲をやります!」
との言葉からギター下岡、ベース梅田、ドラム斉藤の演奏で始まった曲は、なんとPUFFYの渚にまつわるエトセトラ
会場中、笑顔笑顔の最高セッション。大きな盛り上がりをみせてアポロシアターでのライブは全て終了。

大きな満足感に浸りつつ、もうこのまま帰ろうかとちょっと思ったものの、the pillowsを覗きにダイアモンドホールへ。途中、物販・チケットスペースへ寄る。
数組のバンドのグッズに対して一人の販売員、みたいな中、STANグッズの前にはSTANTシャツを着た明らかにSTANグッズのためだけにいるおじさんがいた。STANの出番の時間から考えてももう購入者はいないだろうに、その頑張りに心の中で拍手。
チケット売り場を見ると、さきほど購入したチケットが先行分はもう売り切れたようで、さっき買っておいてよかった、と胸をなでおろす。

そしてthe pillows
かなり長いキャリアがあること、多くのミュージシャンに愛されてること、ドラムがO.P.KINGのしんちゃんであること、そして長いキャリアの中で今が一番状況が盛り上がっているというとても幸福なバンドであること、等々いろいろ知ってることはあるのに、一度もちゃんと曲を聴いたことがなかったこのバンド。
ぎっしり埋まったフロアの一番後ろで観たけれど、もの凄く真っ当に素晴らしかった。
がっちりと固まった熱く上手い演奏と、卓越したメロディーと、まっすぐ突き刺さるボーカルの歌声。必要以上にラウドでも速くもないけれど、十分に衝動的で攻撃的。それでいてポップ。
中盤のMCでは今度のミスチルとの対バンについても
「俺らにとっても、まあ厳しい戦いになると思うんだけど(笑)、みんなもチケット取るの大変だと思うし」
とここで一人の観客から「もう取ったよ」との声。
「え?もう?どうやって」
と聞く山中。それにちゃんと答えようと話す観客に山中が
「うん・・うんって誰だよ、お前!」
会場笑。いい感じにフレンドリーだけど遠慮なく乱暴で、そこがよかった。
これは一度ちゃんと聴いてみないと、と思いつつアンコールまでしっかり観てしまった。
時間は22時15分、開演から7時間以上に渡って行われた長丁場のライブイベントはここで全て終了。


いやもうお腹いっぱい。多数のロックバンドのライブをこれでもかと堪能できた素敵イベントでした。
出演者数やタイムテーブルの組み方や会場の動線、スタッフオペレーション等々もとても慎重に考えられていて、素晴らしかった。
ただ、これも上手くイベントが進行した要因ではあるけど、ある程度ジャンルが限定されていた感があって、そこはもう少し広げても楽しかったかな、と思った。倉橋ヨエコくらいしかロックバンド以外がいなかったし、パンク・エモ系もポストロック系もなしというのは、少し狭すぎる気がちょっとした。
あと今回ばかりは名古屋という土地柄にも感謝感謝。当然だけどこの規模でこういうイベントは東京や大阪では絶対に出来ないし、逆に地方都市でもしかり。妙に観客の客層が偏ることもなく、遠征組も多かったけど、夏休みの楽しみできた風の学生や、お祭りごとだからという感じで普段ライブを見なそうな感じの人もかなり見受けられたし。


まあ結論としては、もうなにがなんでも来年もやってください、ということです。出来れば次は土日で!(←自分勝手)
[PR]
by kngordinaries | 2006-08-27 23:29 | ライブ
ROCK IN JAPAN FES.2006 3日目 その2
早すぎるかな、と思いつつ開演15分前にSOUND OF FORESTに向かうと、すでに単なるサウンドチェックにしてはかっこよすぎる音が鳴っている。まさか去年に引き続き本人の音チェックか、と早足で駆けつけると、案の定3人が音チェック中。
このドラムとこのベースが重なるだけで気持ちいいな、と思いつつ、このサプライズを楽しんでいると、下岡の音頭で始まったのは、なんとLOW!が、一瞬で終わり観客から拍手が湧き起こる。そしてしばらくして、いきなり夕暮れ!こちらはしばらくやってくれて、大拍手。
「では、本番をお楽しみにー!」
とよく通る大声で佐々木が叫んで一旦退場。

15時50分、アナログフィッシュ
ものの数分で、3人が再びステージへ!斉藤は麦わら帽子なし。佐々木はこの暑い中、スーツをジャケットまでしっかり着込んでいた。
軽く音を確かめたあと、下岡が2人に目線と手で指示を送り、ジャランとギターを鳴らし、
「パ―――――――――」「パ―――――――――」「パ―――――――――」
と3つの歌声が綺麗にハーモニーを奏で、ピタリと止る。
Cityだ。きっとやらないだろう、と思いつつ、個人的に一番聴きたかった曲だ。もうどうしようもなく一気にテンションが上がる。下岡の「シティ」の声をゾクゾクしながら待っていると、下岡が口を開く。
「ロック イズ ハーモニー。ハロー、アナログフィッシュです」
ともうまさに今この瞬間を表す挨拶を。分かりやすい。分かりやすくて最高だ。
そして始まるドライブ感たっぷりでスカスカのバンドサウンド。もうなんだろうかこれは。もう大変なハッピーさ。音楽って、ライブって、なんて楽しいんだろうと思ってしまう。
さらにLiving in the City。イントロの温かみのあるサウンドがもう胸にグサグサと入り込み、たまらなく心地いい。緩やかに優しく広がりを見せるサビで視界がパーッと開けていった。凄く健全なドラッグのようにヤバイ楽しさ。
曲が終わり、少しの静寂のあと、佐々木が叫ぶ。
「夏だ――!プールだ――!ア ン セ ムだ―――!!」
え?何がどうなってるのやら。それでも会場から一斉に掲げられる腕、腕、腕。歓声が湧き起こる。わけが分からないけども、最高に楽しいのだからなにも問題ない。
そして始まるアンセム。この曲、佐々木にとってOTで言うところのCUSTOMなんじゃないかと思う。「つたえたい事は」という歌詞が被るからそう思うだけかもしれないけど、自分の表現欲求と真摯に向き合ったこの曲は、きっと当人にとって凄く重要なんだろう。そんな強いエネルギーを感じる。
このへんで佐々木が恒例の汗だくジャケット脱ぎを。なんだか一段とキレを増す変顔が、トラウマになるくらい恐い。しかも本人ストリッパー気取り。こ、恐いよー。
そしてHelloBGMスピード。もうこのバンド最強のキラーチューン3連発。王道すぎてちょっと逆に新鮮だし、やはり1曲1曲の強さがビシバシと感じられ、お約束のコール&レスポンスもテンション高く、もう会場は熱狂状態。スピードでの佐々木・下岡がギターとベースを寄せ合って演奏する間奏部分では、もうほぼお互いの肩にお互いの頬をこすりつけるような密着度。下岡、超笑顔。気持ち悪いくらいに楽しそうだ。
息つく暇も無い熱狂の嵐が過ぎ去って、ちょっと落ち着くと、斉藤が口を開く。
「なにか・・・ありましたかね?(告知とか)」
いつもどおりの言葉足らずな感じがほどよい。
シングルが出ているよ、というような話があって、アルバムの話へ。
「もうほぼ作業は終わってて、いつ出るかはまだ分からないけど、年内には・・・出ます。ほんと凄くいいアルバムができたと思うので、・・・聴いてください」
というようなことを下岡が言う。凄くいい、ということは何度も強調していた。ほんとめちゃくちゃ期待して待ってます。
そして最後は世界は幻。ずっしりとタメのきいた演奏が心地よく、佐々木の強靭な歌声が深く突き刺さる歌詞を届ける最高のミディアムバラッド。
どこをとっても大満足の最高ライブはここで終了。

予想を遥かに越える最高のライブ内容と、予想外に多かった演奏曲数に大満足、夢見心地でFORESTを後にする。
しかし、先ほどのYUIのFORESTでのライブも合わせて鑑みるに、今年のFORESTは持ち時間が去年の30分くらいから35分くらいに延びたんじゃなかろうか、とここで思い至る。WINGは30分っぽかったし、それとタイミングをずらす意味もあるのかも、と無駄な熟考を。

すぐにGRASS STAGE側に戻り、ハングリーフィールド近くの木陰の拠点でまた腹ごしらえ。
BEAT CRUSADERSの音が聞こえてくる。曲はランキング番組で聴く程度にしか知らず、どちらかというとキャラクタのほうがおなじみの彼ら。
あの有名なコールも初めて生で聞いたけど、笑いどころがよく分からなかった。スタンディングゾーンの熱狂の中ならおもしろいのかなー。それともエッジの効いた挑発なのか。難しいぞビークル。

そしてビークルの音が鳴り止み、ほんの一呼吸置いて、木陰を離れ、GRASS STAGEのスタンディングゾーンへ向かう。この3日間で、次のアクトに向けてここまで早く移動を開始したことはなかった。
スタンディングゾーン前方まで行くと、周りの様子が違うのが分かった。普通のライブ前とは趣きの違う、異様な期待感と切望感。
このフェスへの5年ぶりの登場となる吉井の、この5年間のことへなんとなく思いを馳せながらライブ開始を待つ。一体どんなライブが展開されるか、全然予測できない。

17時40分、吉井和哉
ビジョンに吉井和哉の文字が走ると大歓声が湧き起こる。それからステージへ吉井が現われるまでのタイムラグにジリジリする。せいぜい1,2分程度のことだったけれど。
バンドメンバーと一緒に姿を現した吉井は細見の黒のスーツ姿。身のこなし一つとっても異様にセクシーで、全身にエネルギーが漲っているような印象。圧倒的な存在感に会場の空気が一変する。
オーディエンスの大声援に軽く手を挙げて答えつつ、スッと緩やかだけどキレのある動きでバンドに演奏をスタートさせる。一つ一つの動きが、パフォーマンスになっている。まるで舞台役者のように見事に、魅せる。
1,2曲目は未発表の新曲。どちらもミディアムテンポのロックチューンだけれど、穏やかにドライブする開放的なバンドサウンドがモダンな雰囲気で心地いい。吉井の歌声も抑制を効かせながらもスーッと夕暮れの空気に乗せてどこまでも伸びやか。
ガソリンの給油をしている風景を人生になぞらえて歌った歌詞が耳に残った。パーソナルで深いテーマ性とジョークとも暗喩とも思える多重構造のメッセージも感じられた。
そしてCALL ME。イントロが鳴り出すと大きな歓声が湧き起こる。ここ数年で一気にロックの、ライブの、もっとも現場的な場所となったロックフェスのステージから、ついに真打ロックスターのアンセムが鳴り響いた、という歓喜。
今回新たに編成したというバンドの音はパンチが効いていながら、繊細な表現も行き届いていて、とても心地いい。そして吉井の歌声は当然素晴らしいし、なによりそのパフォーマンスがキレまくっている。派手なアクションはまったくといっていいほどないけれど、その立ち姿は手足の先端まで神経が張り詰めているようだ。
ここでMC。
「やっとここに来ることが出来ました。今日は新しい曲も、それからちょっと古い曲もいろいろお聞かせしようと思うんで楽しんで言ってください!」
ちょっとギラついた声音でそう語る吉井。
未発表の新曲のアップテンポなロックチューンで、ついにステージを左右に動き始める吉井。YOSHII LOVINSONの楽曲で新たに発明されたリズムに乗って言葉を連射する、吉井流のラップとも言えるスタイルがさらにソリッドに消化されたパートがあり、鳥肌が立つほどかっこよかった。が、がなり立てるような荒くれたパートもあくまでしなやかでスタイリッシュなパフォーマンス。
さらにアップチューンの新曲。「I WANT YOU!I NEED YOU!」というコーラスを観客に歌わせるあたり、次のアルバムの収録曲I WANT YOU I NEED YOUだと思われる。この明快にしてキャッチーな言葉。明らかに音楽ファンに向けて全方位に放射されたロックだ。1対1でじっと向き合うようなパーソナルなYOSHII LOVINSONの表現とはベクトルが明快に違う。そして余裕の表情でコーラスを歌う観客たちに向けてマイクを向ける吉井の姿もまた、ステージに立つロックスターの振る舞い100%で、そこにTシャツにジーンズ姿で少しでも素なミュージシャンとして観客と対峙しようとしたかつての姿は微塵も感じられない。
ここでMC。
「ここに来てる人たちも、いろんなやなことがあると思うんだよ。明日から仕事だって人もたくさんいると思う。そんなフェスに楽しみに来ている人たちの応援歌になったらいいな、と思って作った曲をやります!WEEKENDER」
と言って、WEEKENDER。疾走するサウンドと歌い放つようなメロディがどこまでもいけそうな万能感を感じさせる無敵のアップチューン。先ほどのMCを頭に入れて聴くと、歌詞に込められたメッセージも一層グッと胸に迫る。
そしてTALIBEAUTIFULとシングルチューンを連続で。演奏も歌もどこまでも最高だった。BEAUTIFULでは吉井はアコギを演奏。
そしてここで何度か檄を飛ばす吉井。
「やっぱりこのフェスは最高ですね。まだこのあとにも素晴らしい、ほんとに素晴らしいアーティストが待っています。この最高のフェスと、このあとのアーティストに敬意を表して、俺なんかじゃ微力かもしれませんが、力の限り盛り上げさせてもらいます!」
というようなことも叫んでいたような。
そうして一気に会場のボルテージを上げていき、FINAL COUNTDOWN!最強のライブアンセムにスタンディングゾーンはぐしゃぐしゃの盛り上がり。吉井もステージの左右目一杯の位置を越え、サイドの鉄パイプが組みあがっているジャングルジムのようなところに入り込むほど横へ移動して盛り上げたり、狙ってくるカメラマンを邪険に扱ったり、やりたい放題で最高に奔放なパフォーマンス。
さらにLOVE LOVE SHOW!きっと、ここまでのライブに気のない感じでいたオーディエンスも含め、この会場にいる誰もが聴き馴染みのある、イエローモンキーの最強アンセム。とんでもない熱狂状態が巻き起こる。
そして当代随一のロックスターの最強ライブはここで終了、と思いきや、曲が終わりしばらくざわめきがおさまらない会場に向けて口を開く吉井和哉。
「ありがとう。俺を育ててくれたロッキング・オンとこのフェスに感謝します」
と言って、始まったのはバラ色の日々。歌い出しから大合唱が巻き起こる。深読みすればどこまでも当時の吉井の切実で深遠な想いが感じられる、ディープなイエローモンキー末期のアップチューン。
未発表の新曲を中心に、ソロの代表曲とバンド時代の名曲をも満遍なく披露した最高のショウはここで終了。

感想として何を書いていいか分からない。少なくともこのライブから数日は、凄かった、ということ以外の感想が出てこなかった。
とにかくセットリストは今の最新の吉井和哉をダイレクトにぶつけつつ、フェス対応型の代表曲もあり、最後にはサプライズのイエローモンキーのカバーもありと、このうえなく最高だった。未発表の新曲も一聴しただけではあるけれど、どれも素晴らしいものだったし。
ただ、それだけではなかった。というかそれも含めて、確実に吉井の変化が感じられるアクトだったところが衝撃的だった。
誤解を恐れずに書けば、今の吉井のライブにおける表現のベクトルはYOSHII LOVINSONよりイエローモンキーのころのそれに近いのだと思う。服装は、地味でラフだったYOSHII LOVINSON期にテイストは近いけれど、吉井の表現したいことは全然別物になっている。細見の黒スーツにナロータイという今回の衣装は、イエローモンキーで言えば、化粧やギラギラのジャケットやジャージと同じ、ロックスターに変身するための装置になっていた。
素の自分を求め、パーソナルな表現を標榜したYOSHIIではなかった。
エロもグロもどろどろの欲望も、鮮やかで生臭い血の匂いも、ぐちゃぐちゃに全身に纏い、這いつくばってでも道化を演じるロックスターとしての吉井和哉の復活だった。

それが、あのライブから10日以上経って、なんとなく自分の中に見えた結論だったのだけど、実はこれと同じようなことを、YOSHII LOVINSONの2005年のツアーパンフレット内のインタビューにて全部吉井本人が語っていた。
素の吉井は本当の吉井とはいえない、別の名前を借りてそういう自分を演じずにはいられなかった時期もあったけれど、エンタテインメントも素も全部混ぜこぜにしたややこしい存在がリアルな自分だし、今後はそれをやっていく、いう話。そして「吉井和哉は、どこでも行ける」とも。
実は1年半前からこのニューモードに自覚的だった吉井は、そのあとこのソロ初ツアーで披露し切れなかったYOSHII LOVINSONの曲たちをちゃんと鳴らすためのツアーを行い、きっちりその時代の作品たちを救ったあと、最良の音でニューモードの楽曲をレコーディングするべくアメリカへ飛んでいたわけだ。
全てに律儀に落とし前をつけ、遂に開陳された本当の吉井和哉は、本当に素晴らしかったし、このことによりこれまでの彼のイエローモンキーから続くストーリーがまた解釈しなおされることになると思う。「39108」待ち遠しすぎる・・・。


熱狂の最前ゾーンを抜け出して、急いでLAKE STAGEへ向かう。このフェス3日目の最後にきてのジョグはなかなかしんどい。歩道はほとんどがグラス方面へ進む集団で、自分と同方向に行く人はほとんどいない。
吉井ライブの興奮も全然冷めないなか、息を切らし、なんだか大変な状態でレイクに到着。
いけすかないが鳴っているなか、とりあえずペットボトルを買って、息を整えつつ、水分補給しつつ、スタンディングゾーンへ。
YAZAWAの影響か、最前ゾーンも密度はゆるく、サイドはスカスカ。その最後尾へ。

18時45分ごろ、GRAPEVINE
曲はdiscordへ。重厚なのに開放的で攻撃的なサウンドが最高に気持ちいい。テンポはゆったりなのに、素晴らしく音がドライブしている。
そして放浪フリーク。きらめくようなイントロから少しテンポを上げた開放的なポップが陽が沈みかけたレイクステージの熱を優しくあげていく。田中の歌声がどこまでも気持ち良さそうに伸びる。
このへんでMC。
「こんばんは!いつも大御所の裏で演っているGRAPEVINEです。今年はあの矢沢永吉!」
と早くも恒例のチクリと刺す田中MC。
「いやー、永ちゃんに行かずに俺らを観に来ている、その君たちのもの好きっぷりっちゅーか、天邪鬼ぶりには・・・本当に呆れました」
と笑う。いや天邪鬼もなにも、普通にGRAPEVINEが観たかったわけで。
「それじゃあ、、想うということ」
と言って、想うということへ。ノイジーなサウンドとどこまでも沈み込むようなたゆたうような深みをみせるメロディがどこまでも美しい。曲タイトルの言葉とどこまでも真摯に向き合ったメッセージが、胸を締め付ける。
そしてアッパーなロックチューンの新曲を披露し、続いてはKINGDOM COME。もう素晴らしい名曲の連打に言葉も無い。圧倒的な破壊力でしびれさせる。
プレイヤーそれぞれのソロも披露され、最高の盛り上がり。
このへんでMC。
「毎回このレイクに呼んでもらっていて、今年はついに一番最後になってしまって。来年はもうフォレストのド頭でやるかな」
とまたニヤリと笑う田中。
「朝キツイな。起きられへんかったら、したらレイクでやらせて貰うわ」
って。意外とレイク気に入ってるんじゃなかろうか。
「あと、来月、新曲が出ます・・・」
とどうも宣伝になると控えめな田中。歓声で答える観客。
「ここにいる人全員が買ったら、チャートに入って、来年はグラスでやれるな」
って。やっぱり、グラスでやりたいようです。
そして新曲FLYへ。王道感あふれる疾走するロックチューンがしびれるほどカッコいい。耳慣れた曲ではなくても、曲が進むにつれ、会場の熱がどんどん上がっていくのが分かった。会心の1曲だと思う。
さらにReverb、狂おしくも切ないメロディと突き刺すような撫ですさるようなサウンド。最高にヤバいポップチューン。
そして本編ラストはその未来。じりじりと上がっていた会場の熱が一気に爆発し、緩急自在のダイナミックな演奏に波打ち、田中の爆裂するボーカルに拳を挙げる。ロックの快感を凝縮したような最高ライブはここで終了。

熱いアンコールの拍手に、再びメンバーがステージに登場。
「じゃあ、1曲だけやらしてもらいます」
とのMCからEveryman,everywhere
いつかこの想いを
涸らしたくない衝動を
その勝手なイメージを
やがて忘れてしまうのに
いつか

Everyman,everywhere
Everyone,anyone

音に飲み込まれ、現実を忘れそうになる。陶酔の波の中をたゆたう。とんでもない感情の渦の中心へと落ちていく感覚。
心地いい風が頬をなでる。ステージで音を奏でるバンドが目に入る。すっと戻ってくる現実感。内から湧き起こる感情をどうあらわしていいか。
「ありがとう!・・・永ちゃんに急げー!」
と言って田中退場。と思ったらアンコール登場時に広げて置いておいたタオルを取りに戻ってくる。観客失笑。
今考えられる最高のセットリストと最高の演奏を披露したGRAPEVINEのライブはここで終了。「FLY」から始まるこのバンドの次の季節がほんとに楽しみだ。

終わってからしばらく呆然としてしまう。もう永ちゃんはいいかな、などと少し思いつつも、グラスへ移動。
近づいてきたところで、「ロッキン・オンに感謝しようぜ!」という永ちゃんの声が。おーほんとにやっているみたいだ、と実感する。

グラスの観客のエリアが壮観だった。
数万のタオルがまばゆいステージからのライトに照らされながら舞い上がっている。その光景に感嘆のため息をもらしつつ、ステージが観える位置まで移動したころにはYAZAWAはすでにステージを去っていた後で、すぐに夜空に花火が打ち上がる。
YAZAWAが観られずなんだか残念な気がしつつもバインで終われてよかったような気も凄くする。上がる花火に拍手しながら、3日間をなんとなく思い出す。音楽と自然に囲まれた祝祭空間を今年も満喫できたことがとても嬉しかった。

今年も暑かった。

3日間のいろんなアクトの思い出にグルングルンになりながら帰途へ。
[PR]
by kngordinaries | 2006-08-18 01:39 | ライブ
アナログフィッシュ タワレコ名古屋パルコ店インストアライブ
4月からFM AICHIでアナログフィッシュがDJをしているラジオ番組「ROCKS」の公開録音&アナログフィッシュ初のアコースティックライブを観にタワレコ名古屋パルコ店に行ってきました。

10分前にイベントスペース(普段はエレクトロニカやJ-JAZZのあるコーナーを一つ二つ退かして作られた小さな空きスペース)に着くと、どうやらサウンドチェックで3人がすでに出ていたもよう。すでに100人前後の人だかりがあったんですが、いちおうアンセム購入時の優先券の効力で5列目くらいに入れてもらいました。その時点で一旦STAFF ROOMに去っていく佐々木の後姿とまだギターをチェックしていた下岡を確認。

イベントはROCKSのスタッフの方々が進行。爽やかで憎めない感じの方々で、進行とかはなれてないせいか多少ラフではありましたが、これだからあの番組はいい空気なんだなと思った。

しかしとにかく異様なまでに3人が近い。
もともとかなり小さいライブハウスやフェスの小さいステージで、何度も近距離で観てるバンドなわけですが、5列目でもステージ(階段1段分の段差もないけども)まで3m弱、ライブハウスよりも断然明るいし、普通にそこにいる人物として観えました。リアル。けして妖精(フェアリー)ではなかった。(←もともと思ってもいなかったけど)
下岡氏は長袖の紺のカットソーの下にTシャツを着ていて、暑くないのかと気になる。ニットキャップは紫。斉藤は短パンにキャップ。佐々木は髪が長い。全盛期の江口洋介を超えている(←気に入ってる言い回し)。

前半は今年リリースした音源のことを中心にスタッフ進行によるインタビュー。
曲の方法論がわりと固まってきていたので、今年のシングルあたりからは、意識的に変えている、とか、明るく楽しい感じの音楽をやりたかった、とか、アルバムの曲はもうできている、とかいろいろと。
とにかく次のアルバムへの下岡氏の自信の凄いこと凄いこと。レコーディングした曲を全部入れると60分を越え、どの曲も濃いため聴きづらいので、収録する曲数をちょっと絞る方向で一番聴きやすい曲順を練る作業をしているとのこと。
とにかく凄くいいんだそうで、めちゃくちゃ期待。 時期はまだ年内だろう、という以上のことは聴けず。

中盤はラジオ番組「ROCKS」のコーナーの収録。前情報なしに曲をかけ、感想を言い、感じた一言をスケッチブックに書く、というもの。
このコーナーでは基本的に下岡がよく話していた。斉藤も合いの手を入れる感じで参加していたけど、佐々木がほぼ黙り込み。振られてもどもりにどもった結果「・・・でもこれいい曲ですね」くらいしか言わない。
下岡は各楽器の音色の好き嫌いを即座に判断しつつ、音の感じから年代をすぐに割り出す。とはいえたまに間違えることもあり。
「このドラムの感じ、俺好き。タムのドタドタした感じとかいいよね。州のドラムと似てる」とか、ちょっといい発言だと思った。
そして「恋は桃色」(中村一義ver.)がかかると、下岡が大いに反応。
「これ、俺らの青春だよ!」と興奮気味に佐々木に言う。「この歌ってる人だよ、分からない?」「え・・・うーん、あ・・・」「え?ほんとに?声、声」ともどかしそうな下岡。だいぶ曲が進んだあたりで佐々木もようやく気づく。
そこから2人の思い出話へ。(おそらく長野の)実家の佐々木の部屋は壁にびっしり格言みたいなものが書かれていて、それが「みみなしほういちみたい」で「怨念部屋」と呼ばれていたそう。そこで、2人で音楽を聴きつつ、当時「天才」と各方面から絶賛されていた中村一義の話題から、「天才とは」という話へ。佐々木は天才と自分を比べて「俺は天才じゃない!」と言うが、下岡は「お前は天才だよ!」と反論。結果、何時間にもおよぶ討論のすえ、喧嘩になったという。会場爆笑。

そして最後はバンドにとって初めての試みだというアコースティックライブ。
セッティングの最中に下岡が名古屋に車で向かうときに渋滞に出くわしてしまい、到着が遅れた事実を明かす。
立ち位置はいつものライブと同じ並び。サイドの2人は向かい合うように椅子に座りアコギ、斉藤は立って、片手にタンバリン、片手にゴーヤ型のマラカスという編成。
ライブ直前、「緊張する」と言って発声練習をする斉藤。
曲はLiving in the city、ガールフレンド、アンセム、歌の4曲を披露。
この地方ではガールフレンドと歌は初披露だったと思われ、とてもお得な気分だった。
アコースティックだとより歌がサウンドより前に出てきて、その素晴らしさが伝わってきた。それぞれの声の重なりや組み立ての骨までクリアに見えるようで、かなりおもしろい。
アレンジはバンドバージョンを素直にアコースティックに変換したような感じで、原曲と大きく印象が変わるような曲はなかった。
佐々木は前々からライブでも弾き語りをしていたし、今回も安心して聞ける感じだったけれど、下岡の独特の歌いまわしは、アコースティックと合っていないのか、佐々木に比べて声量がないのか、なんだか隙間の多いちょっと変わった感触を感じる部分があった。バンドサウンドでこその曲&歌い方というか、前からなんとなくOTと近い印象だったのを今回は特に強く感じた。だからこそOTの弾き語りは普通の弾き語りと違ってグルーヴやリズムが最重視されてるわけで。
とにかく今までのアナログライブにない新鮮な発見と、このバンドのハーモニーとメロディのよさの再認識ができた素晴らしいライブだった。

といった感じでトータルで70分くらい。無料イベントとしては大満足ではないかと。最後には3人の直筆サイン入りROCKSステッカーをもらいました。

本人達も緊張すると言いまくっていたけれど、最後には斉藤がアコースティックまたやりたいとも発言して、楽しんでたもよう。

明日はOTODAMAとも繰り返し言っていた。
もうほんとOTODAMAに参加する方々が、羨ましすぎる。


Re:mixまであと2週間かー。ジョントポールまではあと2ヶ月。先過ぎる…。
[PR]
by kngordinaries | 2006-08-12 03:31 | ライブ