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COUNTDOWN JAPAN 0607 31日 レポート その3
急いで駆けつけたCOSMOから徒歩1分弱のEARTH STAGE。
すでにそれなりに会場には熱気が感じられたけれど、GARAXYのDOPING PANDA効果もあってか、前方もギチギチではない様子。サンキュードーパン!(←間違ってる)
いそいそと無理のない範囲で前線へ。

まわりのそわそわした空気が自分にも伝播し、そんな風にして会場全体に広がっていて、それらが熱のかたまりになってステージに注がれている気がした。
で、しかも今年もあと15分で終わるわけで。その瞬間はこれから出てくるロックスターのライブの最中なわけで。それは心拍数も上がるというものだ。

会場のどこからか拍手が巻き起こる。ビジョンに目をやると次のアクトの名前がビジョンに映し出されていた。

23時45分、吉井和哉
バンドメンバーがステージに登場し、それから少しばかり遅れてロックスターがいよいよステージへ。かなり長く伸びかけた金髪、白いフリルのついたシャツに白ジャケット、赤のパンツはキラッキラだ。
会場の声援に答えつつ、センターのマイクまでゆっくりと歩いていく。
「今日は精一杯最高のライブをやって、この会場を愛で一杯にします!最高の年越しにすることを誓います」
大声援に包まれ、それをがっちりと受け止める吉井。いきなりビジョンにKREVAが登場すると言う奇を衒った演出で会場を掌握したツアーのときより、余裕と貫禄が感じられるライブスタートだ。
背負ったロックスターという稼業を真っ当する覚悟と、それを貫けるだけの楽曲を手に入れた、という確信があるんだろう。
1曲目はALL BY LOVE。軽やかなアコギで始まり、たゆたうようなAメロから歌の持つグルーヴを一気に爆発させていく、スケール感の大きなミディアムロックチューン。
続いてはWEEKENDER。イントロのギターから一気に湧き上がる会場。この夏のロック・フェスのために作られたようなライブの高揚感を歌った爽快なロックチューンは早くもリスナーの熱い支持を集めていた。音源よりさらに疾走感を増す演奏が心地よすぎる。
「またギンギラギンになっちゃっててすいません!でもいま日本でこれができるの俺しかいないんです」
まったくそのとおり。というか、あなたがやらなきゃ誰がやるんだ。
そこにあのイントロが鳴り響く。
「あと7分で年が変わるぞー! 俺と君たちの、新しい旅立ちへの、FINAL COUNTDOWN!」
そしてFINAL COUNTDOWNへ! もう会場は爆発的な盛り上がり。イントロからしてスケールの大きな高揚感を持ったスタジアムロックは、つまり誰も置いてかない完璧でホットなロックショウだ。曲途中からステージ後方のビジョンには年越しへのカウントダウンが始まる。
そして1分を切ったころ曲が終わり、吉井の呼び込みですっかり普段着モードでKREVAがステージへ。片手にはシャンパンを。
KREVAと肩を組み、仲良さげにじゃれる吉井。そんな感じでいつのまにか10秒前くらいになりそこから会場全体で慌ててカウントダウン。
ゼロの瞬間、特効の花火が弾け、目がくらむ。スクリーンにはHAPPY NEW YEAR 2007の文字が。会場全体が湧き上がる中、演奏がスタート。
2007年最初に鳴った音はLOVE LOVE SHOW。シニカルで斜に構えているのにどこか夢見がちな、まさに吉井節な歌詞が最高にポップなメロとアレンジに包み込まれたイエローモンキーの名曲は、もう披露してくれることへの驚きはなくとも、掛け値なしに素晴らしい。とにかく曲の持つ力が圧倒的。
「あなたの~馬!」と叫び、四つん這いになり「乗りなはれ!乗りなはれ!」と言いながら自分の尻をペチペチと叩く吉井は間違いなく最強のロックスターであり、華麗なるパフォーマーである。
怒号のような歓声と拍手が鳴り止まない。凄い年の越しかただ。
「無事、年も越せたので、ここから少しゆったりといかせてもらいます」
とアコギを構えての一言から始まったのは人それぞれのマイウェイ。僕はこの曲のイントロがたまらなく好きだ。演奏そのものが歌っているように感じられ、淡々としているのに心地よくグルーヴィー。言葉的にも現在の吉井の気分がナチュラルに反映されている感じがする名曲。
次もゆったりかなと思っていたらいきなり黄金バッド。イントロのギターリフからじわりじわりと熱を上げていき、歌メロの温度が時間の経過の中で気持ちよく上がっていく。ステージ後方のスクリーンにはワンマンツアーと同様の映像がこの辺から入り始める。
そしてさらにギアを上げて39108最速の爆発ロックチューン、Hold Me Tightへ。つんのめり気味の爆裂ドラムとそこにゆったりと後ろ乗りで、といっても凄い疾走感で放射されていく吉井の歌唱が素晴らしすぎる。
39108はこれまでと違うベクトルとして、アコギメインの歌モノとこの吉井流ガレージというか吉井流パンクとでもいうべき新しい型が産まれていて、しかも音源以上にステージ上のほうが完成されているところが、凄まじい。
「凄くいろんなことを思い、考えていた時期があって、そんなYOSHIILOVINSONくんの歌を歌いたいと思います。・・・コール・・・ミー」
少しここ数年を振り返るようなMCがあった後、こんな言葉のあとCALL MEへ。この人の作品にはイントロからして魔法がかかっている曲が多数あるけれど、この曲もイントロが鳴った瞬間の世界の変わりようが凄まじい。理屈じゃなく、比喩でもなく、世界が変わる。底なしのディープネスと悲しすぎる「CALL ME」という悲痛な叫びのような願い。
続いてバンドははけて、吉井の弾語りによるTALIへ。けっして手足れた演奏ではないけれど、歌の持つメッセージをとてもクリアに伝える吉井の弾語りは、その場の磁場を完全に支配してしまう。「みんな仲良くね」という曲間の語りも、スクリーンのモノクロのPV映像と相まって、大きな意味を感じさせた。
「このフェスのためにカバー曲を用意してきました!東芝EMIに捧げます」
といって、アップテンポな演奏が始まる。誰もがめちゃくちゃ聞き馴染みのあるこのコード、このメロディ、なんとビートルズのイエスタデイの吉井によるスペシャル和訳バージョン。ツアーで披露されたPaint it blackといい、この曲といい、選曲も和訳もパフォーマンスも最高にいい。これだけでも十分商売になりそうな吉井の才能が怖い怖い。
そして曲頭の会場全体での合唱からバラ色の日々へ。泥臭くも美しい僕らの人生賛歌のこの合唱は自由をテーマにするロック・フェスには似つかわしくないくらいに連帯的で、ある意味旧時代の価値観かもしれない。まあだからどうしたという話。最高じゃないか。
そしてあの耳馴染んだきらめくようなイントロが鳴る。まさかまさかのパールだ。しかもツアーのスロウでジャジーなアレンジではなく、原曲そのままのバンドアレンジ。きらめきながら疾走するサウンドと叫ぶような歌メロがたまらなくかっこいい珠玉のロックチューン。
もうとにかく会場の熱気が凄まじかった。最高なパフォーマンスと絶妙な演出と快適なサウンドと様々な方向に感情を揺さぶる名曲たち。
下世話な話、コストパフォーマンスが高すぎるわけで。
そしてBLACK COOK'S HORSE。最新型吉井のガレージ・パンクモードにスタジアムロックなスケール感も付加したような高速ロックチューン。ため息も出ない。
そして何度か会場へ感謝の言葉を放ち、
「今年もたくさんの出会いと別れがあって、来年もたくさんの出会いと別れがあると思うんだけど・・・。突き進んでいきたいと思います」
的なちょっと感動的なことを話すのだけど、前方の観客から「今年!今年!」と突っ込まれ、苦笑。
「ごめんね~。もうボケが始まってんだよ(笑)」
というようなやりとりがあり、本編ラストはBELIEVE。悲喜こもごもの日常・人生をフラットに見つめながら確かな確信を持って明日を見つめるミディアムバラッドでライブ終了。

熱い熱いアンコールに答えて演奏されたのは楽園
これで盛り上がらないなんてことがあるんだろうか、いやない(即答)。
最後まで素晴らしいサプライズな名曲で、とんでもないロックショウの熱は上がりっぱなしのままライブ終了。それと同時にこのフェスのカウントダウンライブも終了。

いやもう、最高。最高以外の何者でもない。
現在進行形で進化しているロックスターの、とにかく高品質で高濃度な珠玉のライブだったと思う。
名曲だらけなんだけど、それぞれの曲の持つ魅力がどれもこれも別の方向へベクトルが振りきれていて、1曲1曲がまったく別の気持ちいいツボを次々に押してくれているような快楽。
その振れ幅は吉井のミュージシャンライフの紆余曲折にも密接に影響しているわけだけど、それだけのダイナミックな精神や状況の変遷を経て、今の彼のライブを観ているとこれまでのキャリアの全てを肯定できるように感じられるし、吉井自身がどの楽曲も愛せているように思えるし、それでいて新しい音や世界観への飛躍的な成長も感じられる、という40歳のロック・ミュージシャンにとってこれ以上あるのか、と思うくらい最高の状態なのだと感じた。
しかもその作品群がこれだけ多くの観客に熱く受け入れられていることが素晴らしいと思うし、この人のいるべき場所はそこにしかないんだな、と印象を改めて強く感じた。

次の作品はいったいどうなるんだろう。次のライブはどう進化するんだろう。
楽しみに待ちたい。いや、待てない。

といったところでフェス終了。もう凄い眠かった。1時過ぎまでライブ観ることなんてまずないもんなー。
多分、オールナイトライブとか自分には無理なのではなかろうか、と考えつつ明日に備えいそいそとホテルへ。
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by kngordinaries | 2007-01-13 03:29 | ライブ
吉井和哉 THANK YOU YOSHII KAZUYA 名古屋市民会館
この夏のロックフェスでの吉井和哉のモードチェンジはとても劇的だった。
僕がひたちなかで観た吉井はタイトなシルエットの黒スーツに身を包み、切れ味鋭く立ち振る舞い、場を掌握していた。セットリストの半分ほどをまだリリースまで2ヶ月もあるニューアルバムからまだ誰も知らない楽曲を披露し、そのロック・ソングとしての強靭さとキャッチーさで確実にクオリティの高いステージを繰り広げてしまった。
終盤ではソロ以降では初めてイエローモンキー時代の楽曲も披露され、自身のキャリアに対しても真正面から向き合ったエンタテインメントなステージだった。

そんな夏を過ぎ、最新作にして会心の傑作「39108」リリース後のツアーとなるこのワンマンにリスナーがかける期待はとても大きかったと思う。
参加する名古屋公演はすでに終盤だったため、ネット上のレポ等で期待に違わない素晴らしい内容であることはなんとなく分かっていたけれど、吉井の体調不良による直前の公演の延期もあって、ライブ前の心境は不安と期待が入り混じるものになった。

会場はホール、入り口を入ってすぐに吉井和哉とバンドメンバーそれぞれ向けのプレゼントを入れる箱が置かれていた。今まで気付かなかっただけかもしれないけれど、ライブ会場でこういうものを観るのは初めてだった。旧型ロックスター。
人が山のように押し寄せる物販コーナーに大きく張り出されたパンフレットのポスターの吉井の写真がどう観ても96,97年くらいの見た目で、最近金髪になったとはいえここまで昔とそっくりになったか、とちょっと思ったけど、よく見ると30歳から40歳のこの10年をパッケージした写真集という内容のもので、やっぱり当時の吉井だったもよう。しかしこれが4500円て。そこいらの写真集よりお高いビッグロックスタープライス。

客層も幅広かったけれど、YOSHIILOVINSONのツアー時の雰囲気とは全然違い、若い層がわりと多く、かなり客層の新陳代謝が活発に行われていたように思った。

レッツゴー!レッツゴー!
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by kngordinaries | 2006-12-29 02:42 | ライブ
39108 吉井和哉
吉井和哉のソロとしては3枚目、”吉井和哉"名義では初のアルバムとなる「39108」は、これまでの”YOSHIILOVINSON”名義の「at the BLACK HOLE」「WHITE ROOM」(以下、黒白)を踏まえた集大成的なロック・アルバムとなった。

吉井以外全ての演奏はアメリカ人ミュージシャンが手がけている。ソリッドでドライなサウンドの強力なグルーヴ感、シンプルにまとまっているのに凶暴なビートが中毒性を持って聴き手の耳を刺激してやまない。
それでいてとてもクールな聴き心地でやかましくない、そんな高性能なロックンロールサウンドが素晴らしい。

言葉はさらに削ぎ落とされ、生きることや愛することというシンプルの極地のようなテーマしかなくなり、だからこそそこにはバランスよくユーモアとエロスもこれまでより健全な毒として配置されていて、とても抜けのいい爽快な仕上がりになっている。
黒白で深く深く徹底して向き合っていた自己の煩悩(39108の108は煩悩の数を表している)、そのテーマを終えたりやめたりしたわけではなく、どこまでも追求した結果として清々しくフラットな心情が浮かび上がってきたのだと思う。それはとても感動的な大きな物語を感じさせる。
どうでもいいことが
大事なことなんだ
BEFORE と AFTER の間で
立ち止まってみるマイウェイ
                             人それぞれのマイウェイ

アコギがサウンドの中心となるパーソナルな雰囲気の1曲目が象徴的なように、高性能なバンドサウンドに乗っているものの歌そのものは、アコースティックでの弾語りも似合いそうなエモーショナルな美しいメロディーのものが多い。吉井の歌唱も歌う喜びを感じさせる気持ちのいいものになっている。
LONELYALL BY LOVEのメロディーが持つダイナミズムは素晴らしい。
顔の皮剥いでみな
骸骨は黄金さ
                            黄金バッド

オレは足りない 何か足りない
生まれつき毛並みはベルベット
お前が欲しい 今すぐ欲しい
獣の匂い嗅がせてエヴリナイト

I WANT YOU I NEED YOU
I WANT YOU I NEED YOU
                    I WANT YOU I NEED YOU

黒白はディープな感触を持つ作品だった。しかしその収録曲の音楽的レンジは幅広く、アグレッシブなロックチューンにも素晴らしいものが多くあったけれど、今作ではこれまでで一番華美のないシンプルなサウンドで、しかしこれまでの作品にはなかった暴力性と破壊力を持ったロックチューンがいくつかある。
これはソロ吉井のキャリアの一つの極地といえるだろう。

そして”吉井和哉”名義として初のシングルともなったBEAUTIFULから恋の花、そしてBELIEVEへと続くラスト3曲で、聴き手は吉井自身の先へ進んで行こうとする強い決意を確かな実感として感じることになる。
バンド時代からの長いキャリアにがんじがらめになることなく、きちんと自身の表現を更新し続けてきた。その結果としてたどり着いた光景がここにはあるからだ。
その穏やかで静謐な世界に理屈抜きに揺さぶられ、ハッと何か大切なことに気付かされる。

そんな大きな感動を感じつつ、さらにこのミュージシャンの今後の更なる展望にまでおおいなる期待を抱きもする。一言で言えば、出来すぎた作品だ。

そしてこの作品が厄介なのは、このミュージシャンとして飛躍の傑作を作り上げた直後、まだ音源が世に出る前に、パフォーマーとしての吉井和哉が大きな変化をしてしまったことだった。
それは今夏の各地のロックフェスでのライブで起きたことだった。
稀代のロックスターが、久々にその歩を進める決意を見せたそのライブの熱のこもったモードと、このパーソナルな表現を突き詰めた結晶のような作品は、同じ一人の人間のものであるだけにある程度重なり合うものの、少しの時系列の差も相まって、ある程度違和感もあり、ファンとしては少々戸惑いを感じる部分もあるものとなった。

吉井はこのアルバムを持ってこの秋から年末にかけて「THANK YOU YOSHII KAZUYA」と題した全国ホールツアーを行う。そこでいったいどんなパフォーマンスをするのか、今から期待が高まる。
どんな変化をはたしていようと、聴き手にとってそれは幸福なものであるだろう、と気軽に信頼することのできる40代のロック・ミュージシャンはそうはいないんではないだろうか。

離れてもそばにいても
変わらない想いがある
人は皆 星になる そのわけは
その時わかる

I BELIEVE IN ME
風の中 花吹雪 舞うように
思い出が満開
I BELIEVE IN ME 振り向いても
後ろには通り過ぎた景色があるだけさ

I BELIEVE IN ME
どうにもならない
とは思わずに
今を駆け抜けたい
                                   BELIEVE

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by kngordinaries | 2006-10-27 01:59 | 音楽
ロックロックこんにちは! PIRATES of the 10RIBBEAN 泉大津フェニックス
泉大津はちょうど1年前の9月に初回のOTODAMAで来て以来だった。
ちょっと街を離れた海沿いの埋立地。わりと早めの整理番号だったため、開場の11時より30分早く集合するようチケットに書かれていた。

10時半すぎ、ちょっと遅刻で会場へ行く。組ごとに列になって座っているその最後尾へ。
泉大津は会場自体はそれなりに広く、2万人以上収容可能なようだけど、入り口やその周辺に余裕がなく、混雑が恐いところだけど、ここまできっちり入場順が決められていたので、スムーズに11時15分ころ入場。

まずは手渡されたタイムテーブルをチェック。当日会場発表のためここではじめて見る。
トップの真心は順当、2番手が吉井和哉だというのにちょっと驚いた。中盤にブレイクタイムがあるのはちょっとホッとした。民生がミスチルとスピッツに挟まれているタイムテーブルなんて、一生観られないと思っていた。おもしろ。

PAより少し後ろ、ステージ向かって左手のシートゾーンに場所をとり、会場を散策。
ちょっと暑さがこわいけれど、気持ちのいい快晴。上に視界をさえぎるものが何もなくて、とても綺麗な空がどこまでも広がっていた。
早くも大盛況なグッズ売り場を眺めつつ、屋台で食べ物・飲み物をゲットし、シートに戻って食す。その間にも続々と人が入場し、だんだんどのお店にも行列が出来始める。早めに買っておいてよかった。

そしてなんだかんだで12時55分、ステージ左右の巨大モニターが映像を流し始め、ウルトラホストナビゲーターの越前屋俵太が登場。この会場を探して、外人や子供、動物にインタビューしてまわる、というロケ映像。これだけ大規模なイベントでこの感じ、さすがロックロックだ。
そして結局、はりぼての船をまとい、ステージに登場した俵太の紹介でアクトがスタート。

1時、真心ブラザーズ
このくらいの規模のイベントにしては少々小さめのステージにホーン隊やコーラス隊も配した大所帯の編成で真心ブラザーズが登場!この暑いのにNIKEの長袖ジャージを着込んだYO-KING。
コーラスが歌いだすと歓声が上がる。1曲目は拝啓、ジョン・レノン!僕はシートゾーンで観ていたけれど、周囲の観客もほとんどスタンディング状態で、ノリノリで楽しげな空間がどこまでも広がっていた。
この快晴の空にぴったりな空にまいあがれが最高だった。
特に大きく客席を煽ることもなく気持ちのいい歌声を響かせていくYO-KING。
MCでは観客からのおめでとうの声に、「あ~、どーもどーも」と軽くあしらって、話題を変えていく一幕も。
「今年の夏はいろいろありましたね」「甲子園とかね」「そうそう、甲子園でも流れてたこの曲をやるぜー」
と、台本ばっちりな桜井との掛け合いからどか~ん
そして後半は「親愛なる夏の友達へ送ります」というような紹介からDear,Summer Friend、そして不朽の名サマーソングサマーヌードへ。
伸びやかな歌声と、ホーンやコーラスも絡んだ豊饒なバンドサウンドがだだっ広い野外の会場に響き渡っていくのが、なんとも爽快。
そして最後はEVERYBODY SINGIN` LOVE SONG。ほんとにこのバンドはでっかいなぁと思う。あまりガツンとシャウトをしなかったYO-KINGは、本調子ではなかったのかもしれないけど、余裕のステージングのようにも見えた。トップバッターにして最高の盛り上がりを見せて、ここで40分くらいのライブは終了。

ここでシートゾーンからスタンディングゾーンへ移動を開始。
大きな混雑はないけれど、前方の観客が全くはける気配がなかったため、かなり後方の位置になった。やはり、大物アクト目当ての場所トリはかなり多いようだった。

13時55分ごろ、再びスクリーンに越前屋。ステージ裏をレポートして、アーティストようの遊び道具だというダルマ落としに挑戦するけど、全部落ちてきてしまい転ぶ越前屋にズームインするカメラ。越前屋の持つハンマーの柄には「吉井和哉」の文字が。

2番手、吉井和哉
大歓声の中、ステージに吉井とジンジャーという名前らしいこの夏フェスからの新編成のバンドが登場。吉井は黒Tシャツに黒のパンツ、上にカジュアルな赤のチェックのシャツ、と細身の黒スーツだったRIJFに比べてずいぶんとラフないでたち。
1曲目はアコギを手にして未発表の新曲、人それぞれのマイウェイ(多分)。ザクザクと気持ちのいいアコギのカッティングとそれに乗るシリアスに心に刺さる言葉。
「吉井和哉です。今日は素敵なイベントに呼んでくれてありがとうございます」
という挨拶があったような。
イントロから大歓声が巻き起こるCALL MEで一気に会場の空気は一変する。ドラマチックな曲展開にシリアスでダークで切実な思いを乗せた歌が、狂おしいほど熱くステージ上から放射されていた。圧倒的な吸引力。
さらに一気にテンポを挙げて、未発表の新曲黄金バッド(多分)。バッキバキのビートに乗って、撒き散らすように、でもしなやかに言葉をグサグサと連射していく、その乱暴さが最高なアップチューン。この曲は新たな代表曲になりそうだ。
マイクスタンドをぶん回しながら音に乗せて踊る吉井のキレ味は鋭く、RIJFでも見られたロック・スターとしてのモードであることは確実だった。「大阪ー!」というシャウト一つとってもその熱量がハンパじゃない。
「I WANT YOU!I NEED YOU!」
とのシャウトから未発表の新曲I WANT YOU I NEED YOU(ほぼ確実)。これもアップテンポな会心のロックチューン。これらの新曲群を聴くのは、RIJFに続いてまだ2回目なのにもうどの曲も耳馴染んでいて、そのメロディやその歌詞をもっともっと噛み締めたくなる。アルバムが待ち遠しすぎる。
「新曲をやらせてもらったけど、ここからは、あ、聴いたことある、っていう曲をやっていくんでよろしく」
と言って、Beautiful。前半バンドと歌のリズムがちょっとちぐはぐだったけれど、後半ぐんぐんとその世界へ引き込んでいく。なんて穏やかで静かで、でも深いラブソングだろう。世界へのフラットな視点があるからこそのこの美しい世界は、YOSHII LOVINSONという表現を通過したことの意味も、しっかりと感じさせてくれる。
さらにTALI。歌詞のアイデアから曲構成の巧みさまで、紛れもない超名曲だけれど、今回感じたのは、この曲の雰囲気が今の吉井和哉の新曲群と同じものだということ。開放的でまっすぐで、強靭な精神を持つ歌だった。
この曲でのバケツリレー等、いろんな歌詞でのパフォーマンスが今回特に多かったような気がする。曲の中でライブ向けにメロを変えて歌うパターンも増え、またそれがほんとに観客に刺さるように機能していて、ここに来て吉井はやっぱりステージングの勘というか、反射神経が一気に上がっているんだと感じた。とにもかくにもかっこよくて心地よくて熱くてしょうがない。
「週末に生まれ変わろうぜ!」
というような檄を飛ばしてWEEKENDER。このアグレッシブなサウンドと開放的な歌唱と人懐っこいメロディ、そしてやるせなさや退屈さや悲しさのなかにある日常とそれを乗り越えて進もうと歌う言葉は、間違いなく新しい吉井のアンセムとなっていくと思う。
そして、
「今日はどうもありがとうございます。最後まで楽しんでってください!・・・辛いこともたくさんあるけど、たまにはその手で自分を抱きしめてみてください!抱きしめてやってください!その両手は自分のためにあるんだぜ!自分を大切に、してやってください、イエイ!」
と叫ぶ吉井。なんて無骨で恥ずかしい言葉たち。しかし、これが吉井和哉というロック・ミュージシャンらしさだ。
このまま言葉少なくステージを終えれば、スタイリッシュでかっこいいのに、最後の最後でこういうダサくて、どうしようもなく本気のメッセージをオブラートに包まずモロ出しするしかない性分の、不器用な表現者。
「明日からのまた新しくなっていく君たちへ送ります」
というような言葉からFINAL COUNTDOWN。最高のライブアンセムに会場のボルテージは一気に最高潮へ。
そしてラストはLOVE LOVE SHOW。さらにヒートアップした熱い熱い盛り上がりをみせてライブは終了。圧巻の、でもとても暖かく心地いいライブだった。

吉井終わりでスタンディングゾーンから抜け、お手洗いを済ませたり、物販を覗いたりする。KREVAのブースのみ列がない。今年もアウェイ感満載のもよう。
ステージではジェイク・シマブクロのエキサイティングなアクト。ウクレレ1本とは思えない迫力の熱演や、女性ボーカルとの心地いい共演もあったり。他のアクトに比べると毛色が違うためか、持ち時間はかなり短めだったもようで、ちゃんと聴こうとシートゾーンに戻るころには終わってしまって残念だった。

15時30分ごろ、レミオロメン
1曲目から南風でもうシートゾーンまで総立ち。軽やかな4つ打ちに心が弾む。どこまでもポップで柔らかく、誰も置いていかない音楽。
さらに1-2 Love Foreverで会場全体が踊りだす。キラキラとした音世界。
そして初期の名曲雨上がり。ずっしりとくるリズム隊の演奏がかっこいい。そして重力を感じながらも徐々に飛翔していくメロディが最高だった。
とにかくその開放的な空気感、全方位の観客に向けた壁のないポップが素晴らしかった。もう普通に「みんなのバンド」として存在できる大きなバンドだと感じた。
中盤は3月9日粉雪といったバラードの名曲で聴かせ、後半は明日に架かる橋スタンドバイミーで、軽やかに爽やかに盛り上げていき、最後は太陽の下で穏やかに締める、終始心地いい名曲だらけのライブだった。

ここで、ブレイクタイム。
アナウンスで40分の休憩が告げられる。また軽く食事を取り、コンディションを整えて、スタンディングゾーンへ。

驚いたことに、スタンディングゾーンのそこここにシートを広げ荷物を置き座り込む人たち多数。スタンディングゾーンへ向かう人たちの大きな妨げとなっていた。
ロックフェスの場所取りNGという原則に馴染みのない人が多かったのだろうけど、それが、大きな混雑と他の観客のストレスの要因になっているのだから、注意するなり、別の方向から観客をスムーズに誘導するなり運営側の対処が必要だったと思う。

なんとかそこを越えて、真ん中のスタンディングゾーンの一番後方へ。前方にも大きな荷物が散見されたけれど、飽和状態のあの密度ではライブ中どんなことになるか、想像しただけで恐い感じ。

そして、16時50分ごろ、KREVA

長くなってきたので続きます。ここからほんとに凄かった。
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by kngordinaries | 2006-09-04 23:48 | ライブ
ROCK IN JAPAN FES.2006 3日目 その2
早すぎるかな、と思いつつ開演15分前にSOUND OF FORESTに向かうと、すでに単なるサウンドチェックにしてはかっこよすぎる音が鳴っている。まさか去年に引き続き本人の音チェックか、と早足で駆けつけると、案の定3人が音チェック中。
このドラムとこのベースが重なるだけで気持ちいいな、と思いつつ、このサプライズを楽しんでいると、下岡の音頭で始まったのは、なんとLOW!が、一瞬で終わり観客から拍手が湧き起こる。そしてしばらくして、いきなり夕暮れ!こちらはしばらくやってくれて、大拍手。
「では、本番をお楽しみにー!」
とよく通る大声で佐々木が叫んで一旦退場。

15時50分、アナログフィッシュ
ものの数分で、3人が再びステージへ!斉藤は麦わら帽子なし。佐々木はこの暑い中、スーツをジャケットまでしっかり着込んでいた。
軽く音を確かめたあと、下岡が2人に目線と手で指示を送り、ジャランとギターを鳴らし、
「パ―――――――――」「パ―――――――――」「パ―――――――――」
と3つの歌声が綺麗にハーモニーを奏で、ピタリと止る。
Cityだ。きっとやらないだろう、と思いつつ、個人的に一番聴きたかった曲だ。もうどうしようもなく一気にテンションが上がる。下岡の「シティ」の声をゾクゾクしながら待っていると、下岡が口を開く。
「ロック イズ ハーモニー。ハロー、アナログフィッシュです」
ともうまさに今この瞬間を表す挨拶を。分かりやすい。分かりやすくて最高だ。
そして始まるドライブ感たっぷりでスカスカのバンドサウンド。もうなんだろうかこれは。もう大変なハッピーさ。音楽って、ライブって、なんて楽しいんだろうと思ってしまう。
さらにLiving in the City。イントロの温かみのあるサウンドがもう胸にグサグサと入り込み、たまらなく心地いい。緩やかに優しく広がりを見せるサビで視界がパーッと開けていった。凄く健全なドラッグのようにヤバイ楽しさ。
曲が終わり、少しの静寂のあと、佐々木が叫ぶ。
「夏だ――!プールだ――!ア ン セ ムだ―――!!」
え?何がどうなってるのやら。それでも会場から一斉に掲げられる腕、腕、腕。歓声が湧き起こる。わけが分からないけども、最高に楽しいのだからなにも問題ない。
そして始まるアンセム。この曲、佐々木にとってOTで言うところのCUSTOMなんじゃないかと思う。「つたえたい事は」という歌詞が被るからそう思うだけかもしれないけど、自分の表現欲求と真摯に向き合ったこの曲は、きっと当人にとって凄く重要なんだろう。そんな強いエネルギーを感じる。
このへんで佐々木が恒例の汗だくジャケット脱ぎを。なんだか一段とキレを増す変顔が、トラウマになるくらい恐い。しかも本人ストリッパー気取り。こ、恐いよー。
そしてHelloBGMスピード。もうこのバンド最強のキラーチューン3連発。王道すぎてちょっと逆に新鮮だし、やはり1曲1曲の強さがビシバシと感じられ、お約束のコール&レスポンスもテンション高く、もう会場は熱狂状態。スピードでの佐々木・下岡がギターとベースを寄せ合って演奏する間奏部分では、もうほぼお互いの肩にお互いの頬をこすりつけるような密着度。下岡、超笑顔。気持ち悪いくらいに楽しそうだ。
息つく暇も無い熱狂の嵐が過ぎ去って、ちょっと落ち着くと、斉藤が口を開く。
「なにか・・・ありましたかね?(告知とか)」
いつもどおりの言葉足らずな感じがほどよい。
シングルが出ているよ、というような話があって、アルバムの話へ。
「もうほぼ作業は終わってて、いつ出るかはまだ分からないけど、年内には・・・出ます。ほんと凄くいいアルバムができたと思うので、・・・聴いてください」
というようなことを下岡が言う。凄くいい、ということは何度も強調していた。ほんとめちゃくちゃ期待して待ってます。
そして最後は世界は幻。ずっしりとタメのきいた演奏が心地よく、佐々木の強靭な歌声が深く突き刺さる歌詞を届ける最高のミディアムバラッド。
どこをとっても大満足の最高ライブはここで終了。

予想を遥かに越える最高のライブ内容と、予想外に多かった演奏曲数に大満足、夢見心地でFORESTを後にする。
しかし、先ほどのYUIのFORESTでのライブも合わせて鑑みるに、今年のFORESTは持ち時間が去年の30分くらいから35分くらいに延びたんじゃなかろうか、とここで思い至る。WINGは30分っぽかったし、それとタイミングをずらす意味もあるのかも、と無駄な熟考を。

すぐにGRASS STAGE側に戻り、ハングリーフィールド近くの木陰の拠点でまた腹ごしらえ。
BEAT CRUSADERSの音が聞こえてくる。曲はランキング番組で聴く程度にしか知らず、どちらかというとキャラクタのほうがおなじみの彼ら。
あの有名なコールも初めて生で聞いたけど、笑いどころがよく分からなかった。スタンディングゾーンの熱狂の中ならおもしろいのかなー。それともエッジの効いた挑発なのか。難しいぞビークル。

そしてビークルの音が鳴り止み、ほんの一呼吸置いて、木陰を離れ、GRASS STAGEのスタンディングゾーンへ向かう。この3日間で、次のアクトに向けてここまで早く移動を開始したことはなかった。
スタンディングゾーン前方まで行くと、周りの様子が違うのが分かった。普通のライブ前とは趣きの違う、異様な期待感と切望感。
このフェスへの5年ぶりの登場となる吉井の、この5年間のことへなんとなく思いを馳せながらライブ開始を待つ。一体どんなライブが展開されるか、全然予測できない。

17時40分、吉井和哉
ビジョンに吉井和哉の文字が走ると大歓声が湧き起こる。それからステージへ吉井が現われるまでのタイムラグにジリジリする。せいぜい1,2分程度のことだったけれど。
バンドメンバーと一緒に姿を現した吉井は細見の黒のスーツ姿。身のこなし一つとっても異様にセクシーで、全身にエネルギーが漲っているような印象。圧倒的な存在感に会場の空気が一変する。
オーディエンスの大声援に軽く手を挙げて答えつつ、スッと緩やかだけどキレのある動きでバンドに演奏をスタートさせる。一つ一つの動きが、パフォーマンスになっている。まるで舞台役者のように見事に、魅せる。
1,2曲目は未発表の新曲。どちらもミディアムテンポのロックチューンだけれど、穏やかにドライブする開放的なバンドサウンドがモダンな雰囲気で心地いい。吉井の歌声も抑制を効かせながらもスーッと夕暮れの空気に乗せてどこまでも伸びやか。
ガソリンの給油をしている風景を人生になぞらえて歌った歌詞が耳に残った。パーソナルで深いテーマ性とジョークとも暗喩とも思える多重構造のメッセージも感じられた。
そしてCALL ME。イントロが鳴り出すと大きな歓声が湧き起こる。ここ数年で一気にロックの、ライブの、もっとも現場的な場所となったロックフェスのステージから、ついに真打ロックスターのアンセムが鳴り響いた、という歓喜。
今回新たに編成したというバンドの音はパンチが効いていながら、繊細な表現も行き届いていて、とても心地いい。そして吉井の歌声は当然素晴らしいし、なによりそのパフォーマンスがキレまくっている。派手なアクションはまったくといっていいほどないけれど、その立ち姿は手足の先端まで神経が張り詰めているようだ。
ここでMC。
「やっとここに来ることが出来ました。今日は新しい曲も、それからちょっと古い曲もいろいろお聞かせしようと思うんで楽しんで言ってください!」
ちょっとギラついた声音でそう語る吉井。
未発表の新曲のアップテンポなロックチューンで、ついにステージを左右に動き始める吉井。YOSHII LOVINSONの楽曲で新たに発明されたリズムに乗って言葉を連射する、吉井流のラップとも言えるスタイルがさらにソリッドに消化されたパートがあり、鳥肌が立つほどかっこよかった。が、がなり立てるような荒くれたパートもあくまでしなやかでスタイリッシュなパフォーマンス。
さらにアップチューンの新曲。「I WANT YOU!I NEED YOU!」というコーラスを観客に歌わせるあたり、次のアルバムの収録曲I WANT YOU I NEED YOUだと思われる。この明快にしてキャッチーな言葉。明らかに音楽ファンに向けて全方位に放射されたロックだ。1対1でじっと向き合うようなパーソナルなYOSHII LOVINSONの表現とはベクトルが明快に違う。そして余裕の表情でコーラスを歌う観客たちに向けてマイクを向ける吉井の姿もまた、ステージに立つロックスターの振る舞い100%で、そこにTシャツにジーンズ姿で少しでも素なミュージシャンとして観客と対峙しようとしたかつての姿は微塵も感じられない。
ここでMC。
「ここに来てる人たちも、いろんなやなことがあると思うんだよ。明日から仕事だって人もたくさんいると思う。そんなフェスに楽しみに来ている人たちの応援歌になったらいいな、と思って作った曲をやります!WEEKENDER」
と言って、WEEKENDER。疾走するサウンドと歌い放つようなメロディがどこまでもいけそうな万能感を感じさせる無敵のアップチューン。先ほどのMCを頭に入れて聴くと、歌詞に込められたメッセージも一層グッと胸に迫る。
そしてTALIBEAUTIFULとシングルチューンを連続で。演奏も歌もどこまでも最高だった。BEAUTIFULでは吉井はアコギを演奏。
そしてここで何度か檄を飛ばす吉井。
「やっぱりこのフェスは最高ですね。まだこのあとにも素晴らしい、ほんとに素晴らしいアーティストが待っています。この最高のフェスと、このあとのアーティストに敬意を表して、俺なんかじゃ微力かもしれませんが、力の限り盛り上げさせてもらいます!」
というようなことも叫んでいたような。
そうして一気に会場のボルテージを上げていき、FINAL COUNTDOWN!最強のライブアンセムにスタンディングゾーンはぐしゃぐしゃの盛り上がり。吉井もステージの左右目一杯の位置を越え、サイドの鉄パイプが組みあがっているジャングルジムのようなところに入り込むほど横へ移動して盛り上げたり、狙ってくるカメラマンを邪険に扱ったり、やりたい放題で最高に奔放なパフォーマンス。
さらにLOVE LOVE SHOW!きっと、ここまでのライブに気のない感じでいたオーディエンスも含め、この会場にいる誰もが聴き馴染みのある、イエローモンキーの最強アンセム。とんでもない熱狂状態が巻き起こる。
そして当代随一のロックスターの最強ライブはここで終了、と思いきや、曲が終わりしばらくざわめきがおさまらない会場に向けて口を開く吉井和哉。
「ありがとう。俺を育ててくれたロッキング・オンとこのフェスに感謝します」
と言って、始まったのはバラ色の日々。歌い出しから大合唱が巻き起こる。深読みすればどこまでも当時の吉井の切実で深遠な想いが感じられる、ディープなイエローモンキー末期のアップチューン。
未発表の新曲を中心に、ソロの代表曲とバンド時代の名曲をも満遍なく披露した最高のショウはここで終了。

感想として何を書いていいか分からない。少なくともこのライブから数日は、凄かった、ということ以外の感想が出てこなかった。
とにかくセットリストは今の最新の吉井和哉をダイレクトにぶつけつつ、フェス対応型の代表曲もあり、最後にはサプライズのイエローモンキーのカバーもありと、このうえなく最高だった。未発表の新曲も一聴しただけではあるけれど、どれも素晴らしいものだったし。
ただ、それだけではなかった。というかそれも含めて、確実に吉井の変化が感じられるアクトだったところが衝撃的だった。
誤解を恐れずに書けば、今の吉井のライブにおける表現のベクトルはYOSHII LOVINSONよりイエローモンキーのころのそれに近いのだと思う。服装は、地味でラフだったYOSHII LOVINSON期にテイストは近いけれど、吉井の表現したいことは全然別物になっている。細見の黒スーツにナロータイという今回の衣装は、イエローモンキーで言えば、化粧やギラギラのジャケットやジャージと同じ、ロックスターに変身するための装置になっていた。
素の自分を求め、パーソナルな表現を標榜したYOSHIIではなかった。
エロもグロもどろどろの欲望も、鮮やかで生臭い血の匂いも、ぐちゃぐちゃに全身に纏い、這いつくばってでも道化を演じるロックスターとしての吉井和哉の復活だった。

それが、あのライブから10日以上経って、なんとなく自分の中に見えた結論だったのだけど、実はこれと同じようなことを、YOSHII LOVINSONの2005年のツアーパンフレット内のインタビューにて全部吉井本人が語っていた。
素の吉井は本当の吉井とはいえない、別の名前を借りてそういう自分を演じずにはいられなかった時期もあったけれど、エンタテインメントも素も全部混ぜこぜにしたややこしい存在がリアルな自分だし、今後はそれをやっていく、いう話。そして「吉井和哉は、どこでも行ける」とも。
実は1年半前からこのニューモードに自覚的だった吉井は、そのあとこのソロ初ツアーで披露し切れなかったYOSHII LOVINSONの曲たちをちゃんと鳴らすためのツアーを行い、きっちりその時代の作品たちを救ったあと、最良の音でニューモードの楽曲をレコーディングするべくアメリカへ飛んでいたわけだ。
全てに律儀に落とし前をつけ、遂に開陳された本当の吉井和哉は、本当に素晴らしかったし、このことによりこれまでの彼のイエローモンキーから続くストーリーがまた解釈しなおされることになると思う。「39108」待ち遠しすぎる・・・。


熱狂の最前ゾーンを抜け出して、急いでLAKE STAGEへ向かう。このフェス3日目の最後にきてのジョグはなかなかしんどい。歩道はほとんどがグラス方面へ進む集団で、自分と同方向に行く人はほとんどいない。
吉井ライブの興奮も全然冷めないなか、息を切らし、なんだか大変な状態でレイクに到着。
いけすかないが鳴っているなか、とりあえずペットボトルを買って、息を整えつつ、水分補給しつつ、スタンディングゾーンへ。
YAZAWAの影響か、最前ゾーンも密度はゆるく、サイドはスカスカ。その最後尾へ。

18時45分ごろ、GRAPEVINE
曲はdiscordへ。重厚なのに開放的で攻撃的なサウンドが最高に気持ちいい。テンポはゆったりなのに、素晴らしく音がドライブしている。
そして放浪フリーク。きらめくようなイントロから少しテンポを上げた開放的なポップが陽が沈みかけたレイクステージの熱を優しくあげていく。田中の歌声がどこまでも気持ち良さそうに伸びる。
このへんでMC。
「こんばんは!いつも大御所の裏で演っているGRAPEVINEです。今年はあの矢沢永吉!」
と早くも恒例のチクリと刺す田中MC。
「いやー、永ちゃんに行かずに俺らを観に来ている、その君たちのもの好きっぷりっちゅーか、天邪鬼ぶりには・・・本当に呆れました」
と笑う。いや天邪鬼もなにも、普通にGRAPEVINEが観たかったわけで。
「それじゃあ、、想うということ」
と言って、想うということへ。ノイジーなサウンドとどこまでも沈み込むようなたゆたうような深みをみせるメロディがどこまでも美しい。曲タイトルの言葉とどこまでも真摯に向き合ったメッセージが、胸を締め付ける。
そしてアッパーなロックチューンの新曲を披露し、続いてはKINGDOM COME。もう素晴らしい名曲の連打に言葉も無い。圧倒的な破壊力でしびれさせる。
プレイヤーそれぞれのソロも披露され、最高の盛り上がり。
このへんでMC。
「毎回このレイクに呼んでもらっていて、今年はついに一番最後になってしまって。来年はもうフォレストのド頭でやるかな」
とまたニヤリと笑う田中。
「朝キツイな。起きられへんかったら、したらレイクでやらせて貰うわ」
って。意外とレイク気に入ってるんじゃなかろうか。
「あと、来月、新曲が出ます・・・」
とどうも宣伝になると控えめな田中。歓声で答える観客。
「ここにいる人全員が買ったら、チャートに入って、来年はグラスでやれるな」
って。やっぱり、グラスでやりたいようです。
そして新曲FLYへ。王道感あふれる疾走するロックチューンがしびれるほどカッコいい。耳慣れた曲ではなくても、曲が進むにつれ、会場の熱がどんどん上がっていくのが分かった。会心の1曲だと思う。
さらにReverb、狂おしくも切ないメロディと突き刺すような撫ですさるようなサウンド。最高にヤバいポップチューン。
そして本編ラストはその未来。じりじりと上がっていた会場の熱が一気に爆発し、緩急自在のダイナミックな演奏に波打ち、田中の爆裂するボーカルに拳を挙げる。ロックの快感を凝縮したような最高ライブはここで終了。

熱いアンコールの拍手に、再びメンバーがステージに登場。
「じゃあ、1曲だけやらしてもらいます」
とのMCからEveryman,everywhere
いつかこの想いを
涸らしたくない衝動を
その勝手なイメージを
やがて忘れてしまうのに
いつか

Everyman,everywhere
Everyone,anyone

音に飲み込まれ、現実を忘れそうになる。陶酔の波の中をたゆたう。とんでもない感情の渦の中心へと落ちていく感覚。
心地いい風が頬をなでる。ステージで音を奏でるバンドが目に入る。すっと戻ってくる現実感。内から湧き起こる感情をどうあらわしていいか。
「ありがとう!・・・永ちゃんに急げー!」
と言って田中退場。と思ったらアンコール登場時に広げて置いておいたタオルを取りに戻ってくる。観客失笑。
今考えられる最高のセットリストと最高の演奏を披露したGRAPEVINEのライブはここで終了。「FLY」から始まるこのバンドの次の季節がほんとに楽しみだ。

終わってからしばらく呆然としてしまう。もう永ちゃんはいいかな、などと少し思いつつも、グラスへ移動。
近づいてきたところで、「ロッキン・オンに感謝しようぜ!」という永ちゃんの声が。おーほんとにやっているみたいだ、と実感する。

グラスの観客のエリアが壮観だった。
数万のタオルがまばゆいステージからのライトに照らされながら舞い上がっている。その光景に感嘆のため息をもらしつつ、ステージが観える位置まで移動したころにはYAZAWAはすでにステージを去っていた後で、すぐに夜空に花火が打ち上がる。
YAZAWAが観られずなんだか残念な気がしつつもバインで終われてよかったような気も凄くする。上がる花火に拍手しながら、3日間をなんとなく思い出す。音楽と自然に囲まれた祝祭空間を今年も満喫できたことがとても嬉しかった。

今年も暑かった。

3日間のいろんなアクトの思い出にグルングルンになりながら帰途へ。
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by kngordinaries | 2006-08-18 01:39 | ライブ
吉井和哉 'MY FOOLISH HEART' Zepp Nagoya
初めて乗ったあおなみ線をささしまライブ駅で降りて会場に向かう。

18時35分、すでに入場の混雑はなくなっていたのですんなりと入場。とりあえずロッカーに荷物を預け、すでに人で埋め尽くされたフロアへ。
前回も感じたけれどやはり普段行くライブとはずいぶん客層が違う。でも前回はほとんど見受けられなかった10代っぽいお客さんも散見された。

前回のツアーのようなステージ上からではなかったけれど、場内にライブ中の注意事項のアナウンスがされ、しばらくしてライブは始まった。

※この先、公演中のライブ内容についてネタバレがあります。ご注意ください。

え?これ本番?
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by kngordinaries | 2006-01-28 22:54 | ライブ
吉井和哉
ああまたやられてしまった。吉井に。

2006年1月25日現在、そう思っている音楽ファンがどのくらいいるだろう。
恐らく吉井和哉として初のシングル「BEAUTIFUL」を聴いたリスナーの8割はなんらかのかたちでもやもやとした思いを抱えさせられているんじゃないだろうか。
吉井和哉がいたずらな目で満足げにこちらを見ていることに薄々気付きながら。

アコギの優しいカッティングと静かな歌唱でタイトル曲「BAUTIFUL」は始まる。
その音像の息をのむ美しさと、ゆったりとした流麗なメロディラインに乗って歌われ、すっと耳に届く言葉の一つ一つの凛々しさに、一瞬にして心を鷲掴みにされる。
そして音そのものに込められた意味と、演奏者の息遣いが感じられるような高水準のサウンドをまとった新しい吉井和哉に打ちのめされる。

吉井和哉名義での第一弾シングル、という響きからもっとガツンとしたバンドサウンドが鳴らされていると思っていた。
しかしここにある音は、優しく穏やかでまさにBEAUTIFUL。

2曲目「HIKARETA」はそれとは一転、開放的なロックチューンだ。テンポはミディアムだけど楽しそうに弾むリズムと言葉遊びと「君にひかれた」その瞬間のシンプルな清々しい感情をそのまま音符にしたようなメロディが優しく響く。

そして3曲目「MY FOOLISH HEART」。どこまでもパーソナルな心情を吐露した歌詞は、深読みすればいくつもの吉井の人生のストーリーが読み解けるだろうけれど、それ以前に自分自身の心にビリビリと共鳴してしまい、まっすぐに曲と向き合わずにはいられない。吉井和哉という個性的なロックスターも関係ないこの曲と自分という世界で。

「TALI」や「CALL ME」が初めて世に放たれたときの衝撃のようなものが今回のシングルにあるのかどうか、分からない。少なくとも分かりやすく刺激的なサウンドフォルムは持っていない。
ただ、言葉にはできないけれど、ここには確かにハッとさせられるような新鮮で驚きに満ちた表現がある。

それは、とにかく水準の高い名曲揃いだからかもしれないし、エイミー・マンのバンドメンバーによる演奏だからかもしれない。YOSHIILOVINSONで獲得したパーソナルな表現がさらに深化されたからかもしれないし、アコギで作曲したという息の長いメロディが美しく新鮮だったからかもしれない。

少なくとも「BEAUTIFUL」は、今までよりずっと広い範囲のリスナーに届く表現になっているし、このシングルの吉井和哉はソロになって以降、一番迷いがない。

それだけははっきり言える今回のシングルだけど、それ以外の要素がきっとたくさん詰まっている。複雑にひしめいている。それを分かりたくて繰り返し繰り返し聴きたくなる。もしかしたらただただこの素晴らしい曲たちをずっと聴いていたいだけかもしれないけれど。

多分、吉井和哉の中では次の確かな世界観が、メッセージが、表現方法があるんだろう。そして、「MY FOOLISH HEART」の中で歌われるように、震えながら怯えながら「生きるべきか 死ぬべきなのか」を自問しながらも彼はそれを掴み取る決意ができている。
だから余裕たっぷりにその序章のようなこのシングルを出せるのだ。いや、もしかしたらこのシングルが核心で、その序章をすっ飛ばしたから分かりにくいのかもしれない。
とにかく吉井は楽しんで、全貌を明かすことをあせらずに、落ち着いて新章をスタートさせた。今は聴き手はまずはそのスピードに目をならすところから始めなきゃいけない。
出なきゃあっという間に置いてかれる。そんな印象を受ける3曲だった。


まずは今夜すでに初日を終えたライブツアーに期待したい。
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by kngordinaries | 2006-01-26 01:20 | 音楽
吉井和哉のマル秘おセンチ日記
イエローモンキー本?
ロビン本?
いえ、これは
吉井和哉本です

このエッセイは当時イエローモンキーのボーカルだった吉井和哉が92年秋から96年春までの3年余にわたって雑誌連載していた文章を単行本化したものだ。
帯にもあるようにイエローモンキーというバンドがほとんど無名だった時代から堂々たる「死んだら新聞に載るようなロック・スター」になっていく過程で綴られている。

これをROCK IN JAPANのロッキング・オン ライブラリで発見して思わず購入しました。高校の頃あまりお金がなく、ほとんど全部立ち読みしていたのだけどやっぱり手元に欲しくなってしまったので。

ここには吉井和哉の多くの構成要素が密に詰め込まれている。トレードマークであった寒い親父ギャグ、無駄にエロ過ぎる言葉使い、洋楽ロックバカ、イエローモンキー、生活にドラマを見出すロマン、社会問題への関心、父親、自問自答、涙、闘争心、等々、溢れる創作意欲や一つ一つのライブ・レコーディングを命懸けでこなす日々の緊張感が、文章を小気味よく、ときにサイケデリックにドライブさせ、そこから一人の人間の多面的な魅力を放出している。

毎年恒例のイエローモンキー杯ボーリング大会での下手すぎる吉井の心のうちを描きながら投げられる渾身の1投の行方なんてそこらの映画のクライマックスよりずっと気になるし、連載している雑誌ロッキング・オン ジャパンをその連載でバッシングした妙な本気さは鳥肌がたつほど微笑ましい。吉井は歌詞だけとっても恐ろしくぶっ飛んだ才能があるわけだけど、それはかなり初期からこういった文章でも十二分に発揮されていたわけだ。

iPod miniを聴きながら夢中になって読みふけった。かかっているのは「MOTHER OF ALL THE BEST」のDISC-1。RIJ直後だったこともあって頭の中に浮んできたのは、ロックフェスで演奏するイエローモンキーの姿だった。フェスで彼らのライブを観られたら最高だろうな、と何の気なしに思い、想像を巡らせてしまったのだ。

しばらくしてどうしようもなく苦しくなった。悲しくもなった。

どうしていないんだろう。
どうしていまこの楽曲はデジタルでしか鳴らないんだろう。
悔しいよ。だってこんなバンド他にいないじゃないか。
泥臭くかっこいいホンモノのロックスターだったのに。
ダークでまっすぐで血まみれのキラキラ輝くバンドだったのに。
「JAM」がこれから一切鳴らなくていいわけない。
「楽園」が響き渡るライブハウスがないなんて嘘だろ。
代わりなんていない。似た存在なんてない。
かけがえがない大切で重要なロックが歩みをとめてしまうなんて、嘘だ。

上に書いた何倍ものもやもやとして鬱屈した想いが溢れ出た。どこかでしっかりとせきとめていたはずだったけれど、ついうっかりといった調子でぽろぽろと。

やっぱりイエローモンキーは特別だった。それは認めなきゃいかんと思った次第。

とにかくエッセイとしてめちゃくちゃおもしろいです、この本。音楽ともバンドとも切り離してみてもおもしろエッセイとしてレベル高い。今も吉井はオフィシャルで月一コラムを書いているけど、文筆業もたまには希望したい。
やっぱりホンモノは考えていることも日常で起こったことへの解釈も、一味違うという話。

もちろん吉井和哉の新譜も切実に待ってます。
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by kngordinaries | 2005-08-24 02:22 | 本、雑誌、マンガ
YOSHII LOVINSON 'AT the WHITE ROOM' Zepp Nagoya
ついにYOSHII LOVINSONのライブの日となり、Tour 2005 AT the WHITE ROOMの名古屋公演2Daysの2日目に行ってきた。

先週のアジカンに引き続きのZepp Nagoyaに開演15分前に到着。
ブロックごとにアルファベットが割り当てられていて、Eブロックだったのでスタンディングのフロアの最後方から観ることになった。ステージが遠い。

ほとんどステージが観えない位置ながら、もうすぐ吉井和哉がステージに上がるのだと思うと期待感でうずうずしてしまう。ここにいる多くの人がそうだろうけれど、待っていた時間がとてつもなく長かったわけだし。

いきなりBGMがとまりステージに登場した人にピンスポがあたる。何者かと思ったらライブ中の注意事項のようなことをいくつか話してその人はステージを去っていった。普段ライブハウスでこういった前説は聞いたことがなかったので驚いた。

そしてそれからあまり間を置かずライブは始まりを迎えた!

※この先、現在公演中のライブについていろいろとネタバレますのでご注意ください。
(ツアー終わったのでMore機能外しました)

※最後方からの観戦のためほとんどステージが観えず、セットリストもうろ覚えですので信用しないようお願いいたします。


吉井和哉とサポートメンバー4名がステージに登場。
待ちに待っていた会場から熱い声援と拍手が巻き起こる。
20 GO
1stアルバム「at the BLACK HOLE」の1曲目、穏やかなのにそのシリアスな宣言が心に突き刺さる名曲からライブはスタートした。吉井の歌声は慎重に、しかしダイナミックにこちらに届く。
「空に向け 指を立て 空を飛べ 夜に飛べ」
欲望
一転、ダークなギターリフからどろどろのまさに曲タイトルそのものを表現したサウンドが勢いよく観客を一気に乗せていく。吉井の歌声も怪しく絡まり、とてつもない迫力を生んでいた。
ほんとに初めてのツアーなのかと思うほど完成されたバンドサウンドが凄い。
そして歌の節や発声の強弱のつけ方少しで観客を熱狂させる吉井のパフォーマンスのキレッぷりが恐ろしいほどに輝いている。ハンドマイクで歌う吉井は白いプリントTシャツにジーンズというカジュアルこの上ない服装で、まっすぐに歌を放っていた。
TALI
「欲望」から少し曲間を取っていきなり始まった1stシングル「TALI」。
2年前のこのシングルがずいぶん昔のことのようだ。やっと、ついに、生で聴くことができた。とてもプライベートな祝祭の雰囲気を持つこの曲は明らかに新しい一歩を刻むもので、やっぱりそれはステージで歌われてこそ意味がある。
「”辛かった” ”楽しかった” 積もうね積もうね BABY I LOVE」

ここで軽いMCがあった。
「YOSHII LOVINSONとして初のツアーで初の2daysです。つまり名古屋ね・・・愛してるってことですよ!」
と誰が誰をなのかよく分からないけどとりあえず盛り上がる客席。
ここでずっとハンドマイクだったYOSHIIがアコギを手にした。

WANTED AND SHEEP
ざっくりとしたアコギを中心に渋めのサウンドが抑えたトーンで鳴らされる。それにのって圧倒的な歌声が鋭利な歌詞を武器にこちらの心に入ってくる。
RAINBOW
歌いだしから、これが観客の欲しているものであると確信しているかのように挑発的でエネルギー全開。曲が展開し、テンポが上がるとステージを端から端まで動き腕を振り回して煽り、フロアを7色に染め上げていく。光速の切れ味と満ち溢れる瑞々しさ。アウトロでバンドのサウンドが爆走すると吉井も嬉しそうにはしゃいでいた。
こんなにのびのびと自由にステージをこなす人間を初めて観た。
PHOENIX
そして、ここでアルバム「WHITE ROOM」の1曲目。初めてこのアルバムを聴いたとき、この曲が耳に飛び込んできた瞬間の込み上げる嬉しさが忘れられない。躍動する音と突き抜けるように風通しのいい疾走するグルーブ、そして真正面からリスナーを見据えたメッセージ。「at the BLACK HOLE」で音楽シーンに帰ってきた彼が、さらに階段を上がり、ステージに帰ってきた瞬間だと思った。
CALL ME
そしてアルバムの曲順どおりのこの曲。ドラマチックな曲展開と熱いロックサウンドが映える名曲。感動的なこの曲は、しかし途中で思いっきり歌詞を間違えていて残念だった。このシリアスな曲の始まりに妙に盛り上がった歓声が送られていたりしたことが一因かもしれない。
BLACK COCKS HORSE
さらに音源よりテンポを上げて疾走するこの曲。「死ぬ時は一人だ」といった歌詞が象徴するように、そのノリのよさとは裏腹にアルバム「at the BLACK HOLE」でもトップクラスのダークさを持つこの曲が、ライブで鳴らされるとこんなに胸を熱くさせるとは思っていなかった。
「少女になり少年になり老人になり老婆になる
オレの歌はオレの歌君のものじゃないぜ」
というともすればリスナーを突き放すような歌詞が僕は大好きだ。それは、真摯に馴れ合わずにこちらと対峙する熱を彼が持ち続けていることを象徴しているからなのかもしれない、とふと気付いた。
MUDDY WATER
熱く盛り上がるステージをさらに一段押し上げるような挑発的パーティーチューンが炸裂。この曲もそうだけど、このバンド、ベースのかっこよさが妙に強く伝わってくる。音源以上にリズムが気持ちよさを生むライブは実はあまりないわけで、最高だ。
そしてこの曲のキメの部分。
「ど れ が オ レ の は か 」
ここで、ピタリ、と止るサウンドとステージ上のミュージシャンたち。
まったく動かない。

フロアから笑い声と拍手が巻き起こる。

しばらく拍手が続く。



まだ動かない。





動かない。







まだ。


















「ば!!!」
途端に動き出すステージ上の時間。一気に熱を帯びるフロア。子供っぽい演出だろうがなんだろうがそれが最高だった。

名曲&上げ曲の連打が一息つき
「ここでメンバー紹介します!」
まずはドラムス。
「RIZEから来てくれました。あっくん!24歳ですよ」
若いなー。
続いてベース。
「よく知ってる方も多いかもしれません。渋ーいベースを弾いてくれてます。ネギ坊!」
はい。よ――く知ってます。
続いてギター。
「名古屋のエレクトリックレディランド、あのぼったくりライブハウスのハコバンでした!バーニー!」
e.l.lのハコバンか。親近感。
「以上のメンバーで・・」
と、お約束をやったあともなっかなか次を紹介しない。エマコールが巻き起こる。
「つれてきちゃいました。エマちゃーん!」
やっぱりこのギタリストは必須でしょ。

そして再びアコギを手にする吉井。
「僕とある友達との出会いの曲です。JUST A LITTLE DAY」
JUST A LITTLE DAY
「出会いの曲」と紹介したことの意味は大きい。20歳前で死んだ親友に逢いに行く男の歌。究極にパーソナルなことを歌いながら多くの人に突き刺さってしまう構造はポップの見本のようでもある。ステージでのカジュアルな装いに象徴的なように、ほんとに虚飾のない生身の歌を歌うミュージシャンがそこにはいた。
「just a little day just a little day ほら悲しみを拭い去れ」
「just a little day が集って just a little day just a little day 僕達の大きな絵になる」
HATE CALIFORNIAN RIDER
さらにシリアスなHATEから疾走感溢れるCALIFORNIAN RIDERへ。
NATURALLY
「WHITE ROOM」でも重要な位置を担っているように、これも裸をさらけ出したまっすぐな1曲だ。もちろん批評性や本音の裏返しのようなどぎつい表現は吉井の得意とするものだし、それを効果的に使うことでより自分を裸にしてきたわけだけど、YOSHII LOVINSONではよりストレートな、シンプルで研ぎ澄まされた表現を選択している気がする。
FINAL COUNTDOWN
裏声のコーラスからグワッとフロアが沸きあがる。最強パーティーチューン。少し声を枯らしながらもステージを動きまくる吉井。気持ちのいい祝祭のムードで本編はあっけないくらいサクッと終了。

熱い手拍子のアンコールが、いつの間にか「YOSHII!」チャ!チャ!チャ!というスポーツ応援さながらの声援に変わっていた。ごく一部の人ではあったけれど。
そして5人が再びステージへ!
「もともと弾き語りの曲なんだけど、このツアーではバンドでやっています。それがとてもよくって気に入ってます」
「スティル アライブってどういう意味?って英語できる人に聞いたら、『まだ、生きてる』って意味だって言われて・・・俺にぴったりだな、って思いました」
スティル アライブ
強く美しい歌声と力強いバンドサウンドで、このはかない曲が力強く響いた。
FOR ME NOW
そしてポップな爽快感と皮肉な歌詞がご機嫌にマッチしたこの曲で盛り上がるフロア。
トブヨウニ
「歌える人は一緒に歌ってください」との言葉で始まった気持ちのいいミディアムテンポの歌謡ロックでライブは爽やかな余韻を残して幕を閉じた。

とりあえず生の吉井和哉は大きかった。存在もサイズも。もしアジカンのライブだったらこの日のように最後方からではゴッチがチラッとも観られなかっただろう(失礼)。なんとか吉井の姿をちらちら観ることが出来て嬉しかった。

アルバム2枚の完成度の高さからかなり期待していたけれど、完全に予想を超える素晴らしさだった。ステージでのたたずまいがかっこよすぎるし、その表現力は豊かすぎるし、その身のこなしは切れ味よすぎる。スターの輝き。

ただそのスター性ゆえかもしれないけど、前述のわざわざの前説に象徴されているようにちょっと微妙にライブマナーを守れない人たちがかなり多くいた。
実際、ライブハウスの中にいる人たちの光景は、僕のいままでのライブ経験にない新鮮な印象を受けるものだった。もちろんそれは広く届く音楽をやっているという証明でもあるけれど。

もう一つ、後ろ向きな感想になってしまうけれど、僕のように遅すぎたイエローモンキーファンにとっては、吉井の表現がすでに新しいベクトルに切り替わっていて、イエローモンキーを感じさせないものだったことは、とても嬉しいと同時に少しの寂しさがあるものだった。

あ、これだけは言っておかなくては。アンコールあたりで「名古屋!また来年!」的なことを言ってくれてました。僕はえー今年はもうないのかい、とか思って笑ってしまったけど。
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by kngordinaries | 2005-06-25 02:48 | ライブ
WHITEROOM YOSHIILOVINSON
軽い。

風をきって、というか吹きぬけていく風そのもののように、重力お構いなしのスピード感と浮遊感。

そしてタイトルの印象が強いせいか、視界は白い。まばゆい光なのか、色が重なって、相殺して、ぼんやりとした白い世界。

あれだけ重苦しく響いていた「CALL ME」を含めた数曲が、かろうじて地に足をつけさせてくれるけれど、基本的にふわっふわのなんとも爽快な世界できれいなメロディーに酔う。
まるで成長期の中学生のように無尽蔵な、つまらないこと全てを蹴散らしていくしなやかなビートに心がまず躍りだす。

「風の広場で魂が鳴いてるヒョー ヒョー ヒョー」
「ハートに火なんか点けないでくれドントタッチミーだ」

RAINBOWという曲の強烈なイメージが僕のアルバムの印象を偏らせている。曲自体、世の中のほかの曲とどう違うのか説明できないし、大きな特徴があるわけじゃない。歌詞だってかなりシンプル、リフレイン多し。でも信じられないドライブ感に心を奪われた。そしてきらきらとしたレインボウなホワイトに世界は塗り替えられていく。
意味がわからない?僕もです。でも他に言いようがない。

「風もペイント 雲もペイント 雪もペイント 空もペイント
音もペイント 光もペイント 涙ペイント 言葉もペイント」

そしてJUST A LITTLE DAY。20歳前で死んだ親友に捧げたというレクイエム。
しかし爽快な決意とささやかな幸せ感が満ちている。ちっぽけな毎日を積み重ねて大きな絵を描こうだなんて、YOSHIIも成長したもんだ(何様)。感心して、涙腺緩むよ。
親友の「描いた白い大きな花の絵」は歌詞カードに載せるはずだった、らしい。

NATURALLYも新しい視点を感じさせる世界観に聴くたびにハッとさせられる。
これを聴いている人もYOSHIIも皆、競技中。貫け自己流。

トブヨウニはこちらのバージョンのほうが断然いい。イエローモンキーの後期に手に入れたかったクールなビートの完成形かもしれない。

そしてラスト2曲。限りなくまっすぐな表現がいまのYOSHIIが完全に自由に自分の表現をぶん回せていることを雄弁に物語っている。

「ごめんなさい ごめんなさい あと何がある? 大地に返す言葉って少ないもんだな」

「回るブランコでGO!!」

WHAT TIMEの確信がこめられた力強い言葉たちは、このアルバムのしなやかなスピード感がやっぱりトップアスリート並みの努力に裏打ちされたものであることを物語る。
控えめながら今の自分に万能感すら感じてるんじゃないかと思うほど自信満々な印象がある。そんな自分に対して、さらにはリスナーに対してレコードの中から語りかける。
走れ、と。

最後にこうしたシビアにも思える決意を感じさせる曲が入ったアルバムが好きだ。「トロフィー」「素晴らしき世界」「峠」・・・。「厳しいので有る」なんてまんまなタイトルの曲もあったな。
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by kngordinaries | 2005-03-24 22:38 | 音楽