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メカラ ウロコ・8
たったいま、DVD「THE YELLOW MONKEY LIVE AT TOKYO DOME」を観終えた。

これは2001年1月8日に行われたTHE YELLOW MONKEYのライブ「メカラ ウロコ・8」公演を収録したライブDVDだ。バンドにとって初の東京ドーム公演で、この時点では活動休止前のラストライブとされていたメモリアルなライブだった。

彼らの活動が活発に行われていたころ、僕はコンサートやライブに足を運んだことがなく、イエローモンキーのライブもSPRING TOURをNHKで特集していたものをビデオに撮って繰り返しみたことと、初回のRIJの映像をどこかでみたことくらいしかなかった。

もの凄く迫力のあるライブだ。ボーカルは、曲の伝えたいことに細心の注意を払いつつ、全力投球で、なおかつアドリブのようなメロディと歌詞をのせて、叫ぶように歌う。サウンドは、ガシッと芯が固まっていながらボーカルの温度と音頭に合わせてするりと変幻してペースを乱さない。1曲1曲のつながりや緩急のテンポもかっちり計算されていて、本当に完璧なライブだと思った。
曲の構成はアルバム「8」が中心だった。バンドにとって最後のオリジナルアルバムとなった作品で、このライブの半年ほど前に発売されながらこれを軸にしたツアーは行われていなかった。僕はこの作品がとても気に入っている。それまでのイエローモンキーからまた違うステージに上がったような表現を感じ、それがとてもかっこよかったからだ。しかしバンドの多くのファンからはこの変化は戸惑うものだったようだ。ただ、少なくとも吉井は過去の曲と変わらぬ情熱を込めて歌っていたし、「やりたい曲をやる」という選曲基準でバンドは活動停止前で過去の代表曲たちを期待する観客に「8」中心のセットを用意していた。

DVDを観ている間、いろいろと思い出してしまった。
初めて歌番組「POP JAM」でこのバンドをみて演奏されていた「追憶のマーメイド」のグルーブにすいこまれるように見入ってしまったこと。
バンド好きの友達たちの間で「TRIAD YEARS act1」が貸しまわされて全員ハマッてしまい、誰が一番このアルバムをよく聴いていたかイントロクイズで対戦したこと(始めの一音で全員が曲名もしくは何曲目か答えられた)。
「JAM」にとんでもなく勇気付けられ、励まされたこと。
どしゃぶりの雨の中のRIJでの「パール」の映像に衝撃を受けたこと。

今年7月にバンドは解散を発表した。全員が雑誌のインタビューで細かな事情までを話し、自分達選曲で再構成したベストアルバムも今月発売され、全国でビデオ上映を中心とした展示会を催し、今日12月26日には4年ぶりの東京ドームで同様の展示会が行われ、4人が集るという。なんといっていいか、バンドの解散でこんなに誠実で労力を惜しまないやり方をみたことがない。実際はフライングで今日DVDを手に入れられたけど、すべてのイベントが終わって、やっと28日にラストライブとなった公演のDVDが発売だというのだから。

映像のなかの吉井は楽しそうで、元気で、パフォーマンスも冴えまくっていて、「死んだら新聞に載るようなロックスター」そのものだった。舌を出して挑発し、身をくねらせ、バンドの演奏にすべてをゆだね、へんてこな踊りを踊り、にっこり笑って、「エマちゃーん!」と叫んでいた。キラキラの衣装に身を包み、やんちゃにやりたい放題やることが、そのまま観客の望みを叶えることになってしまう、という天性のエンターテイナーぶりを遺憾なく発揮していた。

本当に楽しいライブだった。
ときどき映る観客もほんとに楽しそうだった。ライブが後半になるにしたがい、その中にちらほら悲しそうな表情が見えるようになる。
アンコールで「悲しきASIAN BOY」が特効の爆発とともに始まって、ステージ後方にきらびやかな電飾で「THE YELLOW MONKEY」という文字がでかでかと輝いたとき、その最高潮に盛り上がるはずの瞬間、わっと泣き出す観客の顔がちらっと映された。僕も目頭が熱くなった。わかりきったことをあまりにリアルに再確認してしまったから。

こんなに楽しいこのバンドのライブを生で観ることが、もうできないのだということ。

初回限定版についている写真集にはこの公演をリハや楽屋や、もちろんステージの写真もたくさんつまっていた。僕はライブ映像と音源の彼らはよく知っていたけど、素の部分はあまり観たことがなかった。30代のおっさん4人+サポート1人なのに、とんでもなく無邪気で幼稚で仲良さそうな姿が満載。やんちゃな大人になりきれない困ったバンドマンたちだ。
イエローモンキーは一時期、ロックリスナーの期待を一身に背負うバンドだったし、いまも音楽シーンに重要な存在だし、その独特なバンドフォルムはフォロワーが決して現れない類のものだった。貴重な存在だったのだ。吉井が引っ張っていたものの、全然ワンマンバンドという印象がないのもそれを象徴しているし、吉井のソロが第2のイエモン的言われ方がこれっぽっちもされる気配がないことからもそれは明らかだ。
だけどそれとは別に、仲良し集団としてのバンドストーリーも素晴らしいものがあったんだと思う。

思ったことをつらつらと書いたけれど、どう終わっていいかわからない。

THE YELLOW MONKEYはほんとに最高のバンドだ!と強く思った。

一言で言っちゃえばそういうことなんだけど・・・。
by kngordinaries | 2004-12-26 23:47 | 音楽


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