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倒れた自転車
今日も暑い。

残暑の強い日差しが降り注ぐ。
台風が近づいているせいか、風も強い。思わず漕いでいる自転車の車体もぐらつくくらいだ。

交差点手前の自転車置き場に自転車を止める。暑さに顔をしかめながら鍵をかけ、目的の本屋に足を向けた。隣の自転車は風に煽られ、さらにその隣の自転車に倒れかかっていた。

空調が効いていて快適な店内は、色とりどりの情報と雑多な感情と多くの時の流れを内包する紙と文字列に溢れている。
ほっと一息。涼を感じながら店内を物色する。
日差しも風も消え、湿気も失せた。

新鮮な情報というご馳走をほおばり、ある種の満足を得るとまた無駄に不快な世界に足を踏み出す。自動ドアが開いた瞬間吹き付けた風に髪を乱される。

自分の自転車が風に倒され、隣の自転車に倒れかかっていた。ハンドルとサドルを抱えおこし、ふと隣の自転車も立て直しておこうか、と思いつく。しかしポケットから鍵を取りだし、錠を外し、また仕事場へ向かうべくペダルを漕ぎ出す。

音楽を聴き街を走りながらあの自転車のことを思い浮かべる。無駄な干渉だろう。もしかしたらああいう置き方かもしれない。まさか。

そういう作法の民族だったら?歴史は恐ろしい。価値観は多様すぎる。立て直したりしたら、そこには何らかの因果が生まれ、廻りまわってよくないことが起こるかもしれない。

少し笑い、騒がしい音に耳を向ける。快適なメロディー、快適なサウンド。いつでも快適な音を探しているからだ。

快適な空間への場つなぎである不快な空間を、適当にやり過ごし仕事場へ僕は向かう。

なんだか、とても大切なことが頭に浮んだような気が一瞬したけれど、音に身を任せて不快をやり過ごしているうちに、忘れた。

あと何日、残暑は続くのだろう。
by kngordinaries | 2005-09-08 01:21 | 生活


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