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GRAPEVINE 'sweet home adabana' 名古屋ダイアモンドホール
開演ぎりぎりに会場に到着すると、当然ながら埋まりきっていた。



※この先ツアー中の公演内容についてネタバレがあります。ご注意ください。



BGMのバンドサウンドがボリュームを上げ、客電が落ちるとバンドメンバー5人が登場!

このバンドは今までフェスでしか観たことがなかったので、個人的にはなぜか野外のイメージになってしまっていて、ライブハウスのステージにいる彼らがとても新鮮だった。
1曲目は最新アルバムの1曲目である13/0.9。ギターのノイジーな音が会場を満たすと一瞬で空気が変わる。そして田中が繊細で力強い歌声を発するとそれがビリビリと震えていく。強靭な演奏と熱をもったボーカルが確かな感触をもって、こちらを侵食してきているような感覚。
サビで爆発するサウンドとシャウトが熱い。といっても音一つ、歌声一つとってみたらもっとハードなバンドはいくらでもいる。このバンドの確かな表現がどんな爆音より暴力的に耳を刺激して心を熱くする。
続いてのReverbの歌いだしに震えた。音源よりもテンポ早く、たたみかけるように観客を音に乗せていく。この性急なビートがバンドの今の瑞々しいコンディションを感じさせる。
まだ薄暗い照明にぼんやりと浮ぶ田中の細身のシルエットが妖しくもかっこよすぎる。
さらに軽くシャウト気味な挨拶をはさみ、シスター。この突き抜けるロックンロールが抜群にかっこよかった。サウンドのフォルムはビンテージなロックでありつつ、その衝動と苛立ちにも似た攻撃性はひりひりするくらいに「今」だ。早くも大きくうねるような盛り上がりを生んでいた。
少しペースダウンしていけすかない。よりぶっといグルーブ感と渋いギターリフが心地よすぎる。ここまでのパートは照明もオールドなロックショウの雰囲気でとてもクールだった。その照明に映し出されるバンドが美しい。

ここでMC。ため息がでるくらい素晴らしい高揚からホッと一息。
「愛知ー!!名古屋ー!!ダイアモンドホール!!」
とコール&レスポンスをしたあとフッと吹き出す田中。
「久しぶりに愛知に来ましたよ。またダイアモンドホールや。いっつもダイアモンド」
と言ってニヤニヤと笑う。
「前は、夏に、あれはZeppか。Zepp Nagoyaでアフロバンドと(観客笑)・・・・・あのアフロスイッチと、ライブしました。あれはめでたいライブやったな」
と言ってまたフッと吹き出す。全てを茶化すニヒルさがらしい。
「あのライブ来た人!」前方の半分近い人の手が挙がり「ほとんどやん!かぶりまくりや!今手ぇ挙げたやつ退場!」
とご立腹。
そして「少年を」と言って演奏が始まる。

憂いのあるイントロから少年が鳴らされる。田中のボーカルもさきほどとはモードが変わったようだ。祈るように目を閉じて歌う。最新アルバムderacineの中でも特に重要なこの曲の熱量は半端ない。
「照らしてほしいのは そんな遠くばかりじゃなくて 目の前の本当の世界だけ」
さらにそれを魔法と呼ぶのなら。ミディアムテンポなのに引き裂かれたようなズタズタなアレンジと、切ない願いを宿す歌詞が不思議な空間を作り出す。
前半のロックショウとは打って変わった切実でメランコリックな表現にフロアが静けさに包まれていると軽やかで温かなイントロが鳴った。
「『今年もあと少しだよ』と 他になんか言いたかったが」
公園までだ。ふいに心の奥のほうをググッと掴まれてしまったようで、ハッとして、涙が出そうになった。この曲の暖かさと、託された想いがこの曲順で鳴らされることにとても意味を感じてしまった。勝手な憶測だけれど、ボーカル田中の毎日の生活の中でのある強い意志を感じるセットだと思った。
突き抜けるようなポップチューン放浪フリークでさらに温かな世界が広がり、気持ちよく揺れる会場。ここまでの繊細なミディアムチューンの想いを力強く後押しするような強靭なポップに顔がほころぶ。
さらにリアリティー。ずしりとためのあるリズムに乗せて歌われる、一節一節が突き刺さる言葉。このシビアな世界もこの曲順で聴くと温かい叱咤のように感じられた。

ここでMC。「このしゃちほこ野郎!」などと罵声を浴びせニヤリと笑う田中。
「今回のツアーは、最初MCでちゃんとしたことを言おうと、いろいろと考えていたんですが・・・」
とだんだん口が重くなる。
「回を追うごとに・・・適当になってきてしまい・・・。(急に大声で)どうでもいいんじゃ!!」
驚きつつ笑う観客を見て満足そうな表情をみせる。

※この辺から曲順が曖昧です。

「名古屋コーチン野郎!」
どんな流れだったか覚えてないけれど、明らかに理不尽な罵倒を合図に演奏スタート。
MetamorphoseREWとズブズブと深みにはまっていくような構成に、曲間でさえもフロアが物音一つ立てないような異様な空気に包まれていた。
薄暗いブルーの照明にそまるステージ。不穏なキーボードのリバーブがかった音が響き渡り、それに絡みつくようの他のパートが重なっていく。重力が強まったような重苦しい雰囲気からderacineの最強ディープソングVirusへ。
「永遠を頬ばった 排泄を行った」
「原宿にウイルスを流した」
「ああ忙しいよ 眠る間もない」
音源のあの底なしのディープさが恐ろしいほどきっちりと表現され、その迫力に打ちのめされた。サビではステージは赤に染まっていた。
しばらくの静寂のあと、ギターのカッティングから厳かにしかし軽やかに始まったのはKINGDOM COME。田中の歌声が響く。そして徐々に熱を上げていくサウンドはシャウトするサビで爆発する。そしてスピードも上がっていき爆音のセッションが繰り広げられる。圧巻の演奏が楽しすぎる。
ただ、ダイアモンドホール備え付けのミラーボール大回転は個人的に微妙ではあった・・。

ここで濃すぎる中盤戦を終えMC。
「よく来てる名古屋ですが」
と最初のMCと違うことを言う。
「これで最後のライブです」
「えー!?」と観客。
「今年のね」
にやりと笑う田中。こういうパターン好きだな、この人。
そして忘年会がどうとか話したあとに
「来年もいいアルバムを作って名古屋に来ようと思います」
と嬉しい約束を。
「・・・じゃあ後半!ファンキーチューン!」

ポリゴンのクライストで先ほどまでの静まりと打って変わって盛り上がるフロア。さらに曲終わりで間髪入れず叫ぶ田中。
「ア! ダ! バ! ナ!」
アダバナで一気に疾走するバンド。原曲よりテンポを上げて一気に盛り上がりは最高潮へ。
さらにノリノリな100cc!ステージもフロアも笑顔で踊る。演奏ががっちりと固まっていて心地いい。
そしてここでアンチ・ハレルヤ!さらにさらにギアを上げる会場。ポップに弾けたサウンドが無尽蔵にエネルギーを放射してるかのようだ。楽しすぎる。
ノイジーなギターからここで鳴らされたのはGoodbye my world 。ありえないくらいの名曲の連続に驚く。ここにきても田中のボーカルは高音も素晴らしく伸びやかでバンドの演奏とがっちりとスクラムを組み、ダイナミックにこちらの心を震わせ、体を躍らせていた。
「今しあわせ? 問いかけた くだらない」
そしてさらに間を空けず、このバンドの新たなアンセムともいうべきその未来へ。ゴツゴツとしたロックから流麗なメロディへ、という構成が確かな演奏で行われるともう盛り上がるしかない。田中の怒号のようなシャウトがかっこよすぎる。
「ありがとう!じゃあラスト!GRAVEYARD!」
本編ラストチューンはGRAVEYARD。怒涛の盛り上がりからこの雄大なミディアムチューンで柔らかい大団円の空気が生まれる、という感じとはちょっと違う。ざっくりと刺すような悪意が満ちた歌詞がかなでる美メロに、気持ちよく心をかき乱され、痛快な盛り上がりをみせライブ本編は終了。

他のライブに比べ運動量は少ないのに一息つくととても疲れた感じがした。内側を酷使するライブだった。

アンコールに答え5人が再びステージへ!
「アンコールありがとう。ちょっと懐かしい曲を」
といって始まった曲は望みの彼方。初期バインの名曲にイントロから歓声が巻き起こる。切なくポップなアンコールにふさわしい1曲。
さらに「懐かしシングルから」とBREAKTHROUGH。ここにきてまたギアを上げるのか!嬉しすぎる。ポップなメロにザラッとしたサウンドと毒気のある歌詞が素晴らしいアンセム。気持ちのいい疾走感。飛び跳ねる観客。
さらになんとここでミスフライハイ!予想外にイデアからの名曲が多く嬉しかった。最高のアッパーチューンでさらに飛び跳ねるフロア。軽くインプロも披露され最高潮の盛り上がり。最高だった。
そして本当のラストチューンはやはりスカイライン。ずっとずっと続いていく道を突き進むことを軽やかに告げるこの曲で、ライブは終了した。


何回かフェスでは観たことはあったのだけど、今回のライブで見えたこのバンドの新たな面が無数にあって、最高に楽しかった。deracineの曲の破壊力はやはり凄かったし、イデアからの曲も多く、過去曲からのセレクトもほんとに全てがうまくはまっていたと思う。曲数多いのにだれることなく、もっともっと延々と聴いていたくなった。

田中氏のSな感じの立ち振る舞いもかなりツボ。亀ちゃんもときどきコミカルな動きをみせていたっけ。バンドの雰囲気のよさも演奏そのものも素晴らしかった。
あと照明を含めた演出がよかった。しかしミラーボールは・・(略)。

今のバインは独自の高みに到達してしまっている気がする。だってイデアの時も思ったけれど、今のようなセットリストでまたライブが観たいから次のアルバム出さなくても、と思ってしまうバンドなんてなかなかないわけで。


※セットリスト、多分ちょっと違います。確実にもう1曲はやってますが、曲順とか全く自信がないので省略してます。
by kngordinaries | 2005-11-18 05:01 | ライブ


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