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くるり ツアー2005 ~はぐれメタル純情派~ ダイアモンドホール
くるりワンマンはかなり前からの念願だったけれど、一体どんなライブになるのか、始まるまでほとんど想像もできなかった。

ダイアモンドホールに駆け込んだときはすでに18時50分をまわりフロアもぎっしりの人、人、人。年齢層は10代20代30代がほとんどではあるのだけど40代くらいの人も全然いるのがおもしろい。全体的には7:3くらいで女性が多めな印象だった。

アルバム発売前という微妙な時期のライブ、どんなセットリストになるのか、どんな雰囲気なのか、期待感が高まるなか客電が落ちた。


※この先ツアー中の公演についてネタバレがあります。ご注意ください。

※アルバム発売前の公演でしたし、いまも「NIKKI」未聴の状態で書いております。その点はご了承ください。

※セットリストは9割の記憶と1割の妄想でできてます。確証はありません(が、まあまあ自信あり)。



バンドメンバー5人がステージに登場するとグワッと熱い拍手と歓声が巻き起こる。

お祭りわっしょい(新曲)
いきなりギターの快音が鳴り響いて「おまつりわっしょい!」と歌いだす岸田。これで「お祭りわっしょい」という曲でないわけがない(はず)。なんだかコミカルなんだけどとてもかっこいい。きもちいいメロディー。曲タイトルだけ見たときは和な感じかと思っていたけど、想いっきりUKロックのノリがあった。
Superstar
ギターのソロからドカンと演奏が始まるとゾクリとした。「Superstar」だ。風通しのいいサウンドに、切ないような暖かいような、甘いようでシビアなような、岸田の歌声がポップなメロを耳に運んでくれる。演奏が抜群に気持ちがいい。そしてメロディーがあまりにも優しすぎる。穏やかなダイナミズムに心が弾む。
「今誰もがそんな風になって 忘れたこと思い出せるかな」
雨上がり(新曲)
さらに少しの沈黙のあとノリのいいロックサウンドがドライブする。歌詞で雨降りがどうとか言っていたので雨上がりかと想像。とてもオールドなロックの心地よさがある曲だった。

もうこの時点でたまらなくなった。演奏される音の粒ひとつひとつが気持ちよく、メロディーが包み込むようにポップ。ステージ上のたたずまいは穏やかなのにこんなにも気分が高揚するライブは初めてだった。
なぜか「ビートルズみたいだ」と思った。

ここで軽くMC。
「名古屋のみなさん、こんばんは。くるりです。今日はドラマーのクリフのバースデイです」
客席から割れんばかりの大拍手と祝福の声が巻き起こる。もちろん、あの曲への期待感もあり。そして始まる演奏。

Birthday
気持ちよく跳ねるリズムが穏やかに心に差し込んでくる。コーラスのフレーズで胸にグッとくるものがあった。ステージがキラキラと輝いてみえた。
ドラマーのクリフの演奏が素晴らしい。もの凄くパワフルなのに的確で繊細な表現。ハイハットのタイミングが最高すぎて心に響く。
花の水鉄砲
緩やかなテンポで始まったのは幻想的で浮遊感のあるくるりらしいこの曲。こういったゆっくりしたテンポの曲に16ビートを感じるのがこの世代のバンドのおもしろいところだと思う。後半のリバーブを効かせまくったパートの演出も素晴らしく、音の世界に陶酔してしまった。

ここでもちらっとMC。
「汗拭くから、ちょっと待ってな」
とか、岸田も穏やかなテンション。
そして始まるキーボードの音色に一気に湧き上がるフロア。

ばらの花
あのキーボードにベースとドラムが絡む。代表曲が多すぎるこのバンドにあって、その中でも最大公約数に響くだろうアンセム。くるりの曲にはイントロだけで胸がいっぱいになるようなセンスのかたまりのような曲が多くあるけれど、この曲は格別。
The Veranda
アコースティックな感触のこの曲でさらに穏やかな雰囲気に包まれる。最近のシングルのカップリングの中でもっとも好きな曲だったので聴けてとても嬉しかった。穏やかではあるけれど、「言いわけなんか通用しないさ」と、「そんなに人間は強いかな」と、フォーキーなメロでエモーショナルに歌われる厳しさもある力強い曲だ。こうしたオーソドックスなバンドサウンドも素晴らしく心を揺さぶる演奏。

ここで佐藤MC。
「名古屋には美味しいもんいっぱいありますよね?(客席反応薄い)あれ、ありません?」
とやわらかい京都弁で超平熱な感じ。
「今日はまだ着いたばかりであんまり美味しいもん食べてないんですが、このあとはね、パーティーナイトですから」
とクリフをちら見。
ここで岸田に話をふると「聞いてへんかった」と冷たい反応。
「せっかく、せっかく頑張ってつないでんのに・・」
ととてもかわいらしい佐藤。そして岸田の曲フリでまたも大拍手。
「Baby,I Love You」

Baby,I Love You
もう言葉もない、優しすぎる名曲。少しアレンジがされているのかバンドの音が強く出ていたようだった。
ARMY
幻想的で不思議なレトロ感に酔った。穏やかなリズムに乗り、長尺なアレンジの後半は、目を閉じて、まわりの観客に倒れこまないことにだけ神経を払って、あとは音に身を委ねて蕩けてしまった。リバーブがかかった浮遊感のあるリズムに骨抜きだった。
新曲?
ここでまた新曲っぽい、聞き覚えのない曲を披露。気持ちのいいロックンロール。

ここでたっしんMC。
「僕が言うのもやらしいですけど、今度のアルバムは買わなきゃ損やと思います」
等々宣伝を。岸田は
「俺もまあまあええアルバムやと思うよ」
と少し微妙な発言を。その理由は音楽雑誌のインタビューとか読むとその真意がよく分かるところだけど。
「もう聴いた人おる?おらへんよな」
と岸田。後方に1人いたらしく
「ど、どこで手に入れたんや。裏から手ぇまわしたな」

Tonight Is The Night(新曲)
穏やかだけどキメが心地いいロックサウンドの新曲。歌詞でタイトルを言っていたような気がするので多分「Tonight Is The Night」。とにかくこのバンドのたたき出す音にずっと乗っていたくなる。
ワンダーフォーゲル
そしてここで原曲より大分ロックな音の4つ打ちが鳴り響き、湧き上がり飛び上がるフロア。クリフのざっくりと、しかしテンポ感抜群のリズムが気持ちよすぎる。少しの切なさと決意を歌った名曲。
「ハローもグッバイもサンキューも言わなくなって こんなにもすれ違ってそれぞれ歩いていく」
水中モーター
さらにきらめくようなサウンドとボコーダー大活躍のこの曲で盛り上がる。佐藤くんのボーカルも味があっていい。他の曲でのハモリもこの声であることがかなり重要な気がするくらい。
Morning Paper
さらにズドンとロックの醍醐味を聴かせるこの曲はとにかく演奏が圧巻の素晴らしさで、もう踊りまくるしかない。なんともいえない強い意志を感じる歌詞が抜群の演奏で心に響いた。やはりこのドラムは凄い。

ここでMC。
「みなさん万博は楽しいですか」
との岸田の確信犯の問いかけに笑う観客。「終わったー」と返されるとニヤニヤして「えっ?終わったんか」と岸田。
何が楽しかったか、という問いかけに口々に客席から返事が。
「ロボットー」「マンモスー」「ご飯ー」
「なるほどね。ロボット見てマンモスご飯か」
行った人調査では7割くらいが手を上げ
「うわっこんなにおるんかい。なにがおもろいの。アホか。・・・まあ俺も行きましたけど。・・・2回」
メンバー紹介では佐藤くんが万博行ってないと発言し、ブーイングが。
たっしんは「モリゾーとキッコロならキッコロのほうが好きかな」とNHK教育のお兄さん口調で。
クリフは年齢を聞かれて「Seventeen!」

ロックンロール
ここでロックンロールをやってしまうのか。感動的すぎる展開だ。最高のバンドサウンドに乗った抜群に切なく力強く朴訥としたグッドメロディが鳴り響くと、世界がキラキラと輝くようだった。
「進めビートはゆっくり刻む 足早にならず確かめながら 涙を流すことだけ不安になるよ この気持ちが止らないように」
「晴れわたる空の色 忘れない日々のこと 溶けてく景色はいつもこんなに迷ってるのに」
そして本編ラストチューンが鳴った。
東京
ここで東京。この初期の名曲にしてライブの定番ソングを聴いていたら、さまざまに変化してきたこのバンドの歴史は今全部一つの太い道に繋がってるような感じがした。純度の高い、まっすぐに聴き手に届くバンドサウンドを鳴らすこと。それを大事に大事にしているバンドだと思った。
熱い熱い拍手に包まれて本編は終了。

凄かった。ため息が出るほど美しいライブ空間だった。1曲1曲が素晴らしく全体を包む雰囲気がたまらなく心地よかった。「NIKKI」からの曲は誰もが馴染みがないからこそ正当な評価がされるところなのだけど、どの曲の後も大きな声援と拍手が沸いていた。実際素晴らしい曲ばかりだった。

熱くやむことのない拍手の中、かなり長い時間のあとに5人がステージに再登場!
青い空
イントロから爆発するサウンドが観客をさらに熱く乗せていく。岸田の歌声もいい具合に壊れている。

さらにこの曲でも大歓声。ベスト的な選曲にフロアも笑顔笑顔。サビのどこまでも広がっていくような壮大なメロディが心に響く。
そして最後の曲が凄かった。
WORLD'S END SUPERNOVA
ここにきてまたも最高のアンセムが鳴る。生で聴くとダンス的な要素よりもその歌に引きこまれる。くるりの曲にはジェネレーションソングとカテゴライズしてもいいものが多い気がするけれど、この曲もとてもある世代特有の感覚が鳴っていると思う。
「DO BE DO BE DA DA DO スタンバイしたらみんなミュージックフリークス」
「絶望の果てに希望を見つけたろう 同じ望みならここでかなえよう 僕はここにいる 心は消さない」
「いつまでもこのままでいい それは嘘 間違ってる 重なる夢 重ねる嘘 重なる愛 重なるリズム」
「ラフラフ & ダンスミュージック 僕らいつも考えて忘れて どこまでもゆける」

「どこまでもゆける」

「どこまでもゆける」

あれ?心地よく音に乗っていて気付かなかったけれど、知らぬ間に曲はどんどんその姿を変え、怒涛のインプロに突入していた。「ゲロッパ」「DO BE DO BE」「ピンピンピン」等々、他にもわけの分からない言葉や思いついた言葉を駆使して歌い、バンドを乗せていく岸田とそれに反応してまた流れを作り出していくメンバー。それぞれのソロも素晴らしくクリフのソロでは世にも恐ろしい岸田の変てこなダンスが炸裂。
4つ打ちにもロックンロールにもR&Bにもブルースにもメタルにも歌謡曲にも。自在に変化してカオティックなはちゃめちゃな空間が繰り広げられる。
とにかく岸田が解き放たれたように自由に泳いでいた。観たことないけど、噂に聞くハヤシDJをなぜか思い出した。
そしてそれが最高に楽しかった。これが楽しい、というよりはここまでの本編の素晴らしさがあってのこれが最高なんだ。

やっぱりくるりは今を生きるど真ん中のロックバンドだった。最高の笑顔を会場にバンドは肩を組みステージ最前でおじぎをした後、ステージを去った。

ほんとにどこまでも行けそうなバンドだ。

終演後、別々に観ていた連れと合流し、ライブの感想を語りあった。僕が「なんかビートルズみただった」と言うと「うん。それは思った」と当たり前のように返された。
ほんとにそんな感じのライブだった。


やっぱりベタすぎだけど書いとこう。





「すごいぞ。くるり」
by kngordinaries | 2005-11-23 22:43 | ライブ


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