人気ブログランキング | 話題のタグを見る
FREENOTE シングル「ピアノを弾いて」レコ発ツアー~またワガママを言う~ 名古屋ell. FITS ALL
待ちに待ったライブだった。

もう12月になっていやでも1年を振り返る気分になってしまうところだけど、今年はほんとに新しくいいバンド、好きな音に出会う機会が多くあった。その中でも特別なのがFREENOTEだったと振り返って思う。春発売の1stアルバムでずっぽりとハマり夏前からライブを観る機会をずっと狙っていた。そしてこの日が来た。

名古屋ell. FITS ALLは大須にある小さなライブハウス。隣接するELLは経験があったけれど、ここは初めてだった。
ワンマンライブではなくストレンジヌードカルトとの対バンであることは分かっていたけど、改めてチケットを確認すると、「オープニングアクト SAVE FREE」の文字が。出演3組だとFREENOTEの曲数がかなり少ないかもしれない。

連れの友人が大渋滞にハマって遅刻との報があったので、開演時刻直前まで待ったけれど、結局1人で入場。

びっくりした。ガラガラだ。

ell.FITS ALLは想像していたより広いつくりで埋まれば200~250人は入りそうな中バコだった。ステージはそのキャパに比べても立派なもので、観客フロアも後ろに段差がありとても観やすそう。そんなフロアに人が20~30人。・・・スペースの方が明らかに多い。断っておくと、開演時刻直前である。

とりあえず上着をロッカーに入れ、トイレを済ませてフロアに戻ると、既にオープニングアクトが始まっていた。

※この先ツアー中のライブについてネタバレがあります。ご注意ください。





チケットに書かれたSAVE FREEというオープニングアクトの人たちなのだろう。ステージ中央のキーボードがメインに歌い、隣のアコギがハモり、さらにもう一人キーボード、ベース、ギター、ドラムと6人編成での演奏。爽やかなポップスで、歌を大事に大事に歌っている印象。観客フロアは最前に10人くらいと段差の下には他数名くらいであとは段差上から高みの見物といった感じ。僕も前列に行くのがためらわれ、段差上の一番手前の中央から観た。こんなにステージの全てがはっきり見渡せるライブは初めてで少し嬉しい。
MCによるとどうやら歌っているキーボードとアコギの人たちがSAVE FREEで他はサポートとのこと。ベーシストが一回りは年上に見える、という謎はこれで氷解。
あとでHPなどをみて思い出すかぎり、ホームグラウンドスニーカー僕がサンタになる日といった曲を披露してくれたと思う。純粋まっすぐなメッセージを感じる優しくて綺麗なポップスばかりだった。歌が素晴らしく上手い。編成は違うけれど、コブクロやゆずの系譜といっていいかもしれない。30分で6曲ほど披露してライブ終了。

このライブ中、フロア後方を見やるとFREENOTEのボーカルとドラムらしき2人がじっとステージを見つめていた。楽しんでるというより、見定めるというか盗めるとこは盗もうとしてるというか、とにかくマジメで冷静な目線が印象的。あと最後の曲あたりで友人も到着。
ちなみに観客は少しずつ増え30~40人に。とはいえガラガラ。

続いてはストレンジヌードカルト。こちらもほとんど前情報なしだった。
ギター、ベース、ドラムのシンプルな3ピース。パワフルだけど優しい演奏が心地よく、気持ちのいいメロで、ボーカルも枯れた味わいがあってかっこいい。MCもドラムとボーカルギターの人たちの微妙な掛け合いの間が凄くうまくておもしろい。これだけ少ないお客さんにコール&レスポンスを迫り、きっちり乗せて
「その声が聞きたかった。という曲を聴いてください」
と流れるように曲にいく感じとか、ライブのおもしろさで客を掴んできたバンドという印象。曲紹介等によると他にモノクロカフェフューチャーハピネスといった曲が演奏されたと思う。40分で7曲を披露してライブは終了。
ちょっと音源を聴いてみたくなった。

いよいよ次はFREENOTE。ボーカルがギターもキーボードもこなすし、音のフォルムまでの全体性で聞かせるバンドだからかステージ転換にかなり時間をかけていた。メンバーも全員セッティング作業をしていた。
とそんな中後ろが少し騒がしいと思ったらストレンジヌードカルトの面々が物販に並び、ファンと談笑中。なんてフランクな人たち。
ここでドリンクチケットを引き換える。ドリンク飲みながら悠々とライブを観るのも初めてだった。空いてるライブハウスも悪くない。

心地よく跳ねるリズムの洋楽のBGMをバックにFREENOTEが登場。ギター&キーボードのボーカルと、ギター、ドラムにサポートのベースという編成。
BGMに合わせてボーカル秦千香子がギターを携えピョンピョンと飛びはねて気合を入れていた。まずはギターポップで飛ばしていくようだ。
キライチューン
気持ちのいいギターリフからシンプルだけどしっかりとしたボトムを感じるサウンドが弾ける。メジャーでの1stシングルであり、彼らのギターポップバンドとしての魅力を詰め込んだアップチューン。まずはそのCDの音源と差異を全く感じない演奏に驚く。CDのようにジャストでこぎれいにまとまっているわけじゃない。CDどおりにやんちゃでドライブしたライブ感のある音だった。
終電マスター
息をつく間もなくさらに切なくも疾走するアップチューンで乗せていくインディーズ期の名曲。音のバランスがほんとにいい。FREENOTEはもともとこうしたギターポップがメインだったらしいけど、すでにこのころの楽曲からその耳のよさを感じさせる音の構成と音色のチョイスのセンスのよさは発揮されていたんだと聴いていて感じた。
エアプレイン
さらにハードでソリッドなノリのポップチューン。この曲は未聴だったけれど、すぐにその心地いいメロディーに入っていけた。大きく広がっていくような爽快さ。

ここで軽くMC。ギター坂本が挨拶している間にボーカルはギターを置き、ハンドマイクに。そして
「遥かへのスピードランナーという曲を聴いてください」

遥かへのスピードランナー
ドラムのゆったりしながらもタイトなリズムからのグルーヴィーな演奏で酔わせるミディアムチューン。それにのって歌われる遠距離恋愛の張り裂けるような切ない想いを歌った歌詞は、その蒼さ純粋さが少し聴いていて気恥ずかしいけれど、そのドロリとしたリアルな感触は心を刺す。
Re:チャンネル
シンとする会場。ボーカルがキーボードの椅子に移動し、あの胸に迫るイントロが鳴る。彼らの瑞々しい音楽的感性とボーカル秦の純粋な想いが爆発したバンドのターニングポイントとも思える名バラード。そのメランコリックに浮遊する音世界と吐き出すように歌い上げるボーカルにやられた。ほんとにCDで何回も聴いたあのエモーショナルな楽曲がそのままに表現されてるのが、凄い。
「でもありがとうじゃ伝わらない ごめんじゃ伝わらない だから何度も 何度でも 大きな声でまた 歌うよ」
ピアノを弾いて
ホーンセクションも導入し、さらに新たな世界をみせる行進するようなリズムが心地いい最新のミディアムチューン。ここではもちろんホーンセクションはなし。暖かく柔らかな雰囲気が会場を包む。

ここでMC。この後に控えた東京と大阪のワンマンの告知。そして本編ラストチューンへ。

ウォークメン
この曲が聴きたくてライブに来たようなものだ。変拍子のリズムがダンスチューンのようにも感じさせるモダンなサウンド。煌くようなキーボードのイントロはくるりの「ばらの花」にも匹敵する心地よさ。目をひく奇抜さはないけれど、そのサウンドの立体的な音世界は明らかにかつてない新感覚のポップスだと思う。エレクトロニカの影響も感じられ一時期のスーパーカーのようなフィーリングもある。
それを生で体感した。これもまたライブでちゃんと再現できるのかと思ったけれど、肝であるドラムの超絶ビートを中心に、しっかりと再現されていて最高だった。
「レールはなくならないよ やさしくなっていけるから 自分のために歩いていこう」
曲が終わると会場から大拍手。といっても40人弱の。
「ありがとう。FREENOTEでした」
とここで本編終了。

この人数では絶対にアンコールなんておきないと思っていたけれど、どうしてももう少しこのサウンドを聴きたかったのでメンバーが退場しても拍手を続けてみた。他に数人の人も続けていて、しばらくすると一旦手を止めた人たちのほぼ全員拍手し始め、アンコールの拍手の波が起こった。どちらかというとストレンジヌードカルトファンが多いようだったけれど、このライブでFREENOTEの音に触れて感じることがあった人が多かったのかもしれない。

そしてFREENOTE登場!
「名古屋の人はライブしにきてもシャイなんで・・シャイって言いますよね? 自分らもシャイなバンドだから。でも頑張って気持ちを表現してくれて嬉しいです」
と秦。いや、この状況で盛り上がるのは難しいだけだと思うけど。
Dance Love
ギターポップ、エレクトロニカ、バラードと多彩な魅力があるこのバンドのもう一つのキラーコンテンツである4つ打ちディスコチューン。バンドサウンドでしか表現できない4つ打ちの心地よさをよく分かった演奏が最高だった。甘く切なくでも突き進むこの鼓動のような優しいビートがたまらない。気持ちのいい余韻を残してアンコールも終了。

ライブ後、帰ろうと準備をしていたらストレンジヌードカルトの面々が物販に並び、またファンと談笑中。なんてフランクな人たち。
多分、FREENOTEのMCのときにうしろで爆笑していたのもこの人たちだったと思う。フランク。

いいライブだった。
このバンドが持つ多彩な魅力の全部を出し切るのはこの持ち時間では難しかっただろうけど、きっちり大事な部分をアピールするセットだったと思う。それと個人的にこのバンドの今後はギターポップや4つ打ちは捨てて、エレクトロニカやバラードやブレイクビーツみたいなちょっと間口の狭い路線にいくことを危惧していたのだけど、今回のライブを見る限り、ポップな魅力も大事にしていってくれそうで嬉しかった。

1stアルバム後の最新チューン「ピアノを弾いて」は音楽を演奏する楽しさを表現した曲で、これから売り出していくバンドとしての押しは弱い曲だったけれど、次は「ウォークメン」のさらに先の世界を期待したい。とにかく今後への期待がさらにさらに募るライブだった。

そしてさらに個人的な問題として名古屋でのこの驚くべき不人気ぶりが挙げられる。東京大阪は中バコのワンマンがSOLD OUTすることもあるらしいけれど、名古屋含め地方はまだまだなんだと思う。この調子だと近いうちに名古屋でワンマンライブを観られる可能性はほぼゼロだ。それは辛い。

ライブを観て、このバンドのポテンシャルは本物だと確信できたので、微力ながらこのブログで推していくぞ、と心に誓った熱い冬の夜・・・。(なんだその締めは)
by kngordinaries | 2005-12-11 22:31 | ライブ


<< 廻る輪の上の点に乗って、考える... 博士の愛した数式 小川洋子 >>