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DEATH NOTE 原作/大場つぐみ 漫画/小畑健
このノートに名前を書かれた人間は死ぬ…。死神 リュークが人間界に落とした一冊のノート「DEATH NOTE」。ここから、二人の選ばれし者「夜神月」と「L」の壮絶な戦いが始まる!! かつてないスリルとサスペンス!!


微妙な駆け引きがあって、一筋縄では勝負がつかなくて、ある一つの些細な動きによって情勢が一変して、視点を変えてみるとまた違う見方が生まれて・・・・というような闘いを傍から見ることほどおもしろいことはない。

将棋やチェスなんかのテーブルゲームもつまりそういうところがおもしろいわけで、しかもその勝負の裏にそれぞれの欲望や野望や信念が透けて見えたりすると、それはこのうえなく感情的な熱さと機械的な冷たさを同居させた何ともいえない物語を産み出してくれる。

天才的頭脳を持つ高校生夜神月がDEATH NOTEを手にして凶悪な犯罪者を次々に殺害し、理想的な社会を実現しようという野望を抱く。それを阻止しようとする世界一の探偵「L」。その複雑なパズルのような頭脳戦とチキンレースのような心理戦が様々に様相を変えながら延々と繰り返される。

このやりとり、退屈な人には退屈だろう。しかしおもしろい人にはめちゃくちゃにおもしろい。もちろん思いっきりファンタジーなので、ルールは厳密ではないようにも感じられるけれど。そこも含めてたまらない人にはたまらないツボをつく闘い。

もちろん犯罪者であれば殺してもいいのか、そういう存在は許されるのか、というシリアスなテーマもこの物語の根幹にはある。でもいまのところそれについての深い言及は作品内ではされていないし、その解答はもちろん一つの答えなんて出ないものだ。

この作品全体のスピード感はかなり独特だと思った。
展開が普通の漫画の3倍速くらい早い。とにかくめまぐるしく状況が変化し、常に何かの仕掛けが作動しているような状況。普通これだけのアイデアがあったらもう1巻くらい引っ張れるというような大胆にして衝撃の展開が出し惜しみなく、特別大仰にもせず淡々と連発されていく。ずっとオフビート。
原作と漫画が別人だからそれぞれの仕事に没頭できるメリットはあるだろうけど、それにしても話の密度が濃い。作画も完成度が高い。

しかし基本的な構図はわりとシンプルなものだし、すでに夜神月 VS Lという図式も微妙に崩れているわけで、この先あまり長く物語を展開させ続けるのが得策だとは思えない。今はこのスピーディーで緊張感溢れるサスペンスにいったいどういうオチが用意されているのか、そこに一番興味がある。
もちろんこれを延々続けることで最終的に大きなテーマ性を提示するのかもしれないし、すでに気付かれずに仕込まれている大仕掛けでルールを大幅に改編してさらにひと悶着という方向に行くのかもしれない。
このあまりに複雑で読めないこの先の展開を考えてもきりがないけど、考えたくなる魅力がある。


今まで漫画作品でいうと「賭博黙示録カイジ」という作品の1~5巻で行われる賭博ゲーム「限定ジャンケン」が一番おもしろいと思っていたけど、「DEATH NOTE」も負けてない。

個人的にはもうちょっとだけキャラクタやセリフに魅力(個性)があると最高なんだけど。ちょっと類型的。
by kngordinaries | 2006-02-26 23:39 | 本、雑誌、マンガ


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