去年3月のワンマン以来、2度目のスネオヘアーワンマン。
久々の平日ライブにいろいろとドタバタして、会場に到着したのは開演予定時刻の10分前だった。
会場に入ってみると、お客さんの入りが少なくちょっと驚く。段差よりステージ側の前方スペースも前方からゆったりと半分程度しか埋まっていない。平日ということもあるけどちょっと意外に感じた。
※この先、公演内容について記述があります。ご注意ください。セットリストは抜けがたくさんあるので話半分でお願いします。
ワルツのサビをサンプリングして、加工したようなSEが暗転した会場に響き、幻想的な雰囲気を作り出す中でスネオとバンドメンバーがステージに登場。
そして切り裂くようなギターから
悲しみロックフェスティバルでライブスタート。
いきなりのシングル曲にステージへ押し寄せる観客。スネオも冷めた表情ながらギターのストロークが力強く歌声も熱がこもっている。音源より早めのテンポでダイナミック。サウンドもざっくりとしたバンドサウンドで気持ちがいい。
さらに
アイボリー、
ワルツとたたみ掛けるようにアップテンポに攻めてくる。前方の観客に体を預けるような半ダイブ状態になったり、アンプの上からギターを振りかざすようにしたり、スネオの挙動がフロアの熱を上げる。
一息つくと、フロアから歓声が湧く。その中の「スネちゃま!!」という言葉に「お客ちゃま!!」とキレたような高いテンションで返していた。
中盤はカナシミのミディアムテンポの曲たちが相次いで披露されていた。
moon faceの冷たくも秘めた熱を感じるようなディープでエキゾチックなアレンジ。まっすぐなバンドサウンドなのにどうしようもなく切なく悲しいメロディが優しい
フューチャー。
スローなテンポで幻想的な音空間を作り出す中で、スネオの美声と美メロが存分に堪能できる
ランドマークは圧巻。その深くシリアスなメッセージも強く胸に迫る。
この辺のMCで、自らも着ている物販のTシャツについて語る。
「これ、THE PENDANTSって書かれてますけど、知ってるかわかりませんが。THE PENDANTS、1968年にデビューし、そしてわずか一年間の活動で姿を消した伝説のバンドです・・・」
観客失笑。
「あのときジョニー(←おそらくPENDANTSメンバー)が、あんなことにならなければ・・・」
とか言って、ステージ前の観客のTシャツをチェックし始め、以前のツアーTを、古い!と一喝していた。「物販買ってね」というメッセージをここまで歪曲して伝えるミュージシャンも珍しい。
ここで最新シングル
headphone musicを披露。
肩の力が抜けた優しく穏やかなメロディーのポップソング。歌い終わって拍手が巻き起こると「なんていうか・・・このポップさというか・・・天才だね!」
と言ってもう一度サビをアカペラで歌い、
「俺天才!・・・うん。俺天才!」
と繰り返し自画自賛。
「次の曲はできたばかりのやさしい歌という曲です。新曲です。リリースの予定はないです」
といって始まった
やさしい歌。これまでのスネオ曲にはないようなメロディラインが新鮮なミディアムチューン。headphone musicといい、また少し変化していっている今のスネオが感じられる1曲だった。
そしてこの辺のMCだったか、前回名古屋に来たときに勢いで買ったギターを道端でギターケースを開いて見ていたときの話へ。
「でも、誰も俺のこと気付かないんだよね。・・・むしろ危ない!みたいな近づいちゃいけない、という感じで」
とここでバンドメンバーが
「俺、ギターケースに小銭入れそうになったもん」
と言うと
「小銭なんていらねえよ!」
と叫ぶスネオ。
「お札?」
と観客から問いかけが飛ぶ。
「おさつ・・・おう!あれ、美味いよな!おさつスナック!あれな、あれ、甘くて美味いよな!」
と頭の悪い子供のようなキャラになり暴走を始める。
「お前も好き?後ろに立ってる人たちもほんとは好きなんだろ!おさつスナック!」
と無邪気に笑う。わけがわからないけど、流石だった。
そして後半は
ウグイス、
ストライク、
セイコウトウテイといったヒットパレードでまた一気に乗せていく熱いライブを展開。
ラストは
空も忙しい。不思議と穏やかなスローチューンでフロアを酔わせ、本編は終了。
アンコールでは
コミュニケーションをアコースティックセットで披露。
そして
訳も知らないで。音源とはかなりアレンジを変えて、ハードで分厚いサウンドを聴かせてくれた。個人的にとても好きな曲だったので、聴けて嬉しかった。
さらにハチミツとクローバーⅡのエンディングになる予定の新曲
スプリット。勢いのあるサウンドと優しいメロディラインが交差するアップチューン。
そしてラストは
スピード。
アルバム「カナシミ」のイメージからもっとサウンド的にロック色が増すかな、と思っていたけど、そうでもなく、スネオ独自のポップで悲しげな世界はさらに深まっていたように思う。ただ、楽曲がそうなのか、本人の年齢的なものなのか、ちょっとライブ全体にぬるさを感じる部分もあった。no trickやNo.1あたりがセットから外れていたのもちょっと気になった。
しかし、この人のMCはおもしろい。
どこのタイミングだったか忘れたけれど、ブッシュ大統領の形態模写のようなことをし始めて
「あいつもどうしようもねぇよな」
と過激なことを言い放った直後に
「ごめん!なんかめんどくせぇーとこに手ぇ出しちゃって!」
と舌を出しそうな勢いで豪快に謝ったときなんて、絶妙!と手を叩きそうになってしまった。なんか古い時代の意味でのロッカー気質があるんだよな。
そういう意味で(?)、彼は真っ当なシンガーソングライターだと思います。