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フジファブリック KANAZAWA DAISUKE AID 名古屋ダイアモンドホール
去年の11月の浜松でのワンマンライブ以来、8ヶ月ぶり2度目ののフジファブリックのワンマンライブ。

その間にドラムの脱退や日比谷野音ライブを経て、クリップ集の発売はありながら音源のリリースはなし、という状態のこのバンドが今どんなライブを見せてくれるのか、とても興味があった。

遅い番号なので開場20分後に会場へ向かうと、すでにほぼ入場が終わっていた。
ダイアモンドホール、いつからこんなに入場がスムーズになったんだ、と思ったらドリンクチケットの引換えがなかった。その辺の関係かな。

会場に入るとぎっしり人で埋め尽くされている。
ほぼソールドアウトと言っていいくらいの人の入り具合だ。このバンドは存在が独特すぎて類似するバンドがいないのだけど、ざっくりメジャーで2nd出したくらいの他のバンドと比べても順調すぎる成功をおさめていると思う。

一応段差下のフロアの真ん中の一番後方に位置取り開演を待つ。
開演前のBGMはFLAMING LIPSとか結構メジャーどころの洋楽ロックが大音量で鳴っていて楽しい。

そして定刻、ライブが始まった。



※この先、公演中のライブ内容についてネタバレがあります。ご注意ください。

※曲順等、かなり自信がありません。





打ち込みの派手なサウンドを出囃子にサポート含む5人が登場。
志村はカラフルなストローハットを被っている。山内は流線形のグラサンをして、どこぞのパンクロッカーのよう。

しばらく音出しをし、志村が手を挙げて出囃子のサウンドを落とさせると演奏スタート。
爽やかに突き抜けるギターからSunny Morningが軽やかに始まる。
うきうきするような開放的なサウンドがライブの始まりにぴったりだ。音のキメどころがバシバシと気持ちよく決まって心地いい。フロアの熱はぐんぐん上がる。
「どこかに行くならカメラは置いて 新しい靴を履いたら オーケー 飛び込め!」
さらにTAIFUが鳴らされると爆発的な歓声が上がり、一気にボルテージが上がる。跳ねるようなリズムがバッキバキに強靭にツボを突く。志村の歌唱も歯切れよく、力強い。
どうにも奇妙な歌詞と変てこなアレンジになんでここまで高揚させられるのか、頭では全然理解できないところが、もの凄い。
さらにはモノノケハカランダとアップチューン連打。
ドラムがたたき出すバキバキのビートとずっしりとしたベースがどの曲でも展開されていて、どの曲もこれまでの数割り増しの迫力を持ち、より彼らの特異で気持ち悪いのに心地いいサウンドの魅力をくっきりと描き出している印象。
地平線を越えてのダイナミクス溢れる演奏でさらにその印象は強くなる。
僕はこのバンドのライブをそんなにたくさん観ていないので、以前からどう変わったかははっきり分からないけれど、このバンドのライブでここまでサウンドのみの迫力に胸が震えたことはいままでなかった。いまにも強靭なグルーヴを手に入れようとしているような感じがしてワクワクする。

「名古屋のみなさん、こんばんは。フジファブリックです」
との志村の挨拶。いつの間にか志村のストローハットは消えていた。と思ったら山内の流線形グラサンもない。なにがしたかったんだろう。

続いて桜の季節で少し落ち着いたモードへ。ミディアムテンポの楽曲になっても気持ちのいいリズムが主張しつつ、変に走ることもなく、この叙情的な美しいメロディーと和風なキーボードを際立たせている。
続いて歌われたギターのザックリとしたカッティングと腹の底に響くようなドラム&ベースが同じフレーズをループするようなサウンドに乗せて歌われた新曲が素晴らしかった。サウンドのダイナミクスと少年性と切なさを含んだ歌詞と優しいメロ。「FAB FOX」では少し陰をひそめていた志村のディープな作家性とポップセンスがブレンドされたような名曲だと思った。
そしてサボテンレコード。モダンで和風なサウンドが、歌に合わせて気持ちよく寄り添い、ころころとそのフォルムを変えていく。それは圧倒的に美しい世界を描き出していく。
曲のアウトロが一度終わったところで志村がアメリカ国歌をギターで奏でる演出が。どういう意味なのかよく分からず、フロアも微妙な拍手。

ここでMC。
「名古屋のみなさん、こんばんは。フジファブリックです」
と話始める志村。
「このツアーはKANAZAWA DAISUKE AIDという名前でやっていまして、その名のとおり、金澤くんへのチャリティーです。(会場笑) 9月から10月にかけて金澤くんが持病の顎関節症の手術のために入院するので、その前にツアーをやっておこうと、そういう意味が込められてるわけです」
なんだか結構大変そうなことをさらりと伝える志村。その手術により顔の印象も変わってしまうらしく、この顔もこのツアーで最後、みたいな話で盛り上がる志村&金澤。音楽同様、なかなか独特な雰囲気のあるMC。
「ベースの加藤くんのコーナー、加トークをいつもツアーではやっていたんですけど、今回は充電中ということでありません。彼には触れないであげてください」
という残念な(?)お知らせをいう金澤。

打ち上げ花火、中盤から爆発していくサウンドと強烈な照明の演出でもの凄い迫力を産み出していた。
消えるな太陽はここで初めて聴いた。BPMがころころ変わるこれもディープな1曲だったけれど、音源とはかなりアレンジが違うらしい。

茜色の夕日のイントロにフロアから歓声が沸きあがる。志村にとって思い入れの強い楽曲であると同時にリスナーにとっても強い吸引力を持つ1曲。美しいメロディと悲しいくらい切なく叙情的な歌詞世界が、志村の独特な歌唱と綺麗にマッチした名曲。

キーボードのイントロが鳴った瞬間、うおっ、というような妙などよめきが起こって始まったのは
唇のソレ。この風変わりなバンドの曲の中でも特に異彩を放つ、でも超ポップなアップチューン。曲終わりは終わったかと思わせて、何回も繰り返される演出。

このへんでメンバー紹介などがあったような。
金澤氏による
「イエーイ!」「Ah~ha?!」というコール&レスポンスで盛り上がる。「Ah~ha?!」は昨日から金澤氏の中で盛り上がっているフレーズだそうでバスガイドがこちらをご覧くださいというときのような手の形で思いっきり腕を挙げる、という動作までフロアが一体となっていた。
顎関節症の話題では客席から
「しゃくれー!」
という歓声も飛んだりしていた。ステージ上、苦笑い。

新曲が2曲相次いで披露。
1曲目はなんとなく銀河やTAIFUを想起させるような早口のよくわからない語感重視で突っ走る志村節がありつつ、幻想的な音使いが新鮮な印象をもたらす不思議と心地いい曲だった。
もう1曲は金澤作曲との紹介があった。爽やかに疾走するアップチューン。このバンドには珍しいくらいの爽やかさと繰り返されるギターフレーズが印象的な1曲。
そしてNAGISAにてからダンス2000へと怒涛の展開でフロアの熱が上がっていく。とにかくがっちりと噛み合った演奏が心地よかった。キーボードソロが最高にかっこいい。
そして本編ラストは銀河。イントロから疾走するサウンドがさらにフロアの熱狂を生み、大きなうねりを感じるような迫力。これだけ特濃な独特で奇妙な表現なのに、誰もが拳を挙げるようなアンセムになりえていることが、不思議でしょうがないけれど、これがこのバンドなんだ。
熱狂の中、本編は終了。



熱いアンコールの中、再びメンバーがステージへ。
「志村くん、今日最初帽子被ってたよね。あれどうしたの」
との金澤の問いに
「あれね。最初いけるかなと思って被ってたんだけど、頭が入ってなくてだんだん上に上がってきちゃって脱げちゃって。もう途中から諦めた」
と志村。会場笑。
「今回のツアーは札幌2daysから始まったんですけど、なんでかっていうと、あの、前回のツアーで良かったのが、札幌とあと名古屋だったんですよね。で、今回も名古屋凄くよかったんで、次のツアーは名古屋から!とかになる、かもしれません」
と志村。
「俺の手術が無事終わったらね」
と金澤、会場笑。
そしてスタッフ八重樫くんが登場し、物販の説明を
「どうも!どーもどーも!(ザたっちのあれ風に) 八重樫です」
会場爆笑。「え?なになに今の?」とザたっちを知らないっぽい金澤氏がとてもキョドる。客席や山内の「ザたっち」という言葉にも「タッチ?タッチなの?」と多分漫画のほうと勘違いし、理解できない様子の金澤氏を無視して物販紹介をする八重樫くん。最後には
「Tシャツの背にはKDAと書いてまして金澤(K)、ダイスケ(D)、アゴ(A)を意味しています」
と言い放ち、ステージを去る八重樫くん。
「彼はああ見えて(少々老け顔でした)、21歳なんですよ。その彼にアゴ呼ばわりの26歳・・(笑)」
と志村の解説で会場爆笑。
そして奏でられたアンコール1曲目は。抜群に風通しのいいサウンドにポップなメロディなのに、こってりとこのバンドらしいアンセム。
「遠く彼方へ 鳴らしてみたい 響け!世界が揺れる! 
言わなくてもいいことを言いたい まわる!世界が笑う!」
さらに陽炎。この名曲が前回のライブではもの凄くリズムが走っていて残念だった記憶があったけれど、今回は疾走感はありつつ、気持ちのいい安定した演奏で素晴らしかった。

客電が点いたものの、熱いアンコールが続き、3度メンバーがステージへ!・・・と思ったら金澤氏のみ。
「えーと、メンバーが来ませんね。ちょっと!早く!・・・え?つなげ?」
などとステージ袖と話し、場を持て余した金澤は「Ah~ha?!」のやりとりを数回やけくそのように繰り返していた。そしてやっとメンバーがステージへ。
「今回のライブで、フジファブリックは間違いなく名古屋が好きになりました!」
と志村がリップサービスを。
そして最後の曲は線香花火
ファンクっぽいアレンジがとてもグルーヴィーで心地いい。キーボードが流麗なフレーズで軽やかに乗せていく。ボーカルもここにきてもとても伸びやか。
心地よく柔らかい盛り上がりの中、ライブは全て終了。


このバンドはどこまで行くんだろうな、というのが一番の感想です。というか現在地点がどこなのかも分からない。彼らの魅力がなんなのか、いまだにはっきりしないとこが凄い。

今回のライブは演奏のクオリティが素晴らしく、どの曲もよりその持ち味が発揮されていて、このバンドの独特でつかみ所のない魅力の絶大な吸引力を増大させていた。もう抗えないような絶対的な力を持ち始めている気がする。
そしてこのつかみ所のない魅力は、言い換えれば他に例がないということで、多分新しい価値観を持っているということなんだと思うけれど、今後そのスタイル、メッセージがより解像度高く表現されていけば、より孤高の存在になっていくだろうし、それはとさらに大きな状況を作るんじゃないかと期待してしまう。

新曲たちもまた新味を感じさせてくれたし、これまでにも劣らないスピード感で変化と成長を続けていってくれそうなバンドの姿にほんとにワクワクした。

やっぱり、この音の快感はこのバンドのライブでしか絶対観られない。そういうものを持ってるバンドは行けるとこまで行ってほしい。
by kngordinaries | 2006-07-03 03:59 | ライブ


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