2005年 04月 02日 ( 1 )
パルプ・フィクション
凄く独創的で個性的な作品を体験したとき、それについての感想はなかなか言葉では表しがたい。

言葉は、多くの人がそれぞれの解釈を持って使っているようでいて、結局いろんな価値観の落としどころを探している。普通すんなりと感情を言葉にできることはまずなくて、すぐ出てくる言葉はそれを向けた相手や環境、時代や社会にべっとりと依存している。

だから知らなかった価値観や表現に出会うと言葉がみつからなくて途方にくれてしまう。

この映画はクエンティン・タランティーノという監督の作品だ。
彼の映画評に「タランティーノらしさが全面に出た傑作」とか「タランティーノ作品の中では駄作」等、彼の名前を使っているものはとても多い。
それは多分、彼の作品のような映画を評する言葉がなかなかみつからないからだと思う。

僕は数年前に「レザボア・ドッグス」を観た。いままで観た映画のなかでも5本の指に入るおもしろさだったけれど、やっぱり何がおもしろいか言葉にしにくいものがあった。
とにかくかっこいい作品だった。
主要なメンバーの一人一人も、練られたストーリーも、カメラアングルも、会話の一つ一つも、音楽も、ある種の価値観、センスで一つにまとめられて独特の魅力をはなっていた。

「パルプ・フィクション」の感想を端的に言うとすればやっぱりタランティーノらしいバイオレンスとブラックユーモアに溢れたよくできたストーリーが楽しい映画、というほかないかもしれない。でもそれだとタランティーノ作品を観たことのない人には伝わらない。

冒頭のレストランでカップルが強盗をたくらむシーンからタイトルバックに入る流れまでで、完全にその世界に入り込んでしまった。とにかく即効性のある導入部だ。あとはそのまま入り込んだ世界をまるまる楽しむだけ。これぞ娯楽。
時間軸をばらばらに構成したストーリーが、全体を包む大きな装置になって多様なおもしろさを作り出している。荒廃したハードボイルドでも突拍子もない喜劇にもならず、ただただパルプ・フィクション的なおかしみとあほらしさとスマートさに溢れている。過剰な演出はないのに、何かがとてもおかしい。奇妙な怪しさが全編を支配していて、刺激的だ。

実験的な精神と、娯楽としてのおもしろさのバランスをほんとに上手く作品にできる監督だと思うけれど、どちらかに寄った作品も観てみたいところだ。「キル・ビル」はなんとなく後者によっていそうな気がするけど。
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by kngordinaries | 2005-04-02 22:39 | 映画、ドラマ