2005年 04月 03日 ( 1 )
戦争論争戦 小林よしのり 田原総一朗
本書は、「ゴーマニズム宣言」や「戦争論」で言論界を騒がせる小林よしのりと、「朝まで生テレビ」や「サンデープロジェクト」でテレビでタブー視されていた問題に切り込む田原総一朗の対談本だ。対談というにはとても熱がこもったもので口げんかにも近い部分もあるものの、語られている内容はとても複雑な現実社会の問題ばかりだ。

この本を僕は文庫で読んだ。対談自体は1998年10月~11月に3回に渡って行われたものだ。ちょうど「戦争論」が発売された直後なので、それが論争の中心になっている。

僕は、イラク戦争に自衛隊が参加する、というニュースにショックを受けるまでそんな論争への興味がなかった。しかし否応なく日本がそういったフェーズに突入していく中で、興味を持った。いや持つしかなかった。のだけど、そういったことを考えるにはあまりに材料が頭の中になくてとても消化不良だった。大体、ニュースを観てもその裏にある背景を知らないのだから理解できない。で、やはり本を読もうと思うものの、無駄に難しい言葉の羅列してある本が多いし、高校レベルの日本史・世界史の知識ですら今はいずこな人間にはどだい無理な話だった。
それでも、日常の中で少しはそれまでよりニュースを観るようになったり、気にするようにはしている。特にこの本に登場する2人は一般の無知な若者(僕)にまで届くような配慮のある表現活動をしているので、ありがたく勉強させていただいている。

この対談の中で語っている内容の核は、今後の世界はどうなっていくのか、我々はどういう世界を目指していくべきか、ということだと思う。といっても世界は広く人種も考えも様々だ。だから国単位で考えようという話になっている。
つまり日本の今後について、ということが主題になってくる。日本の今後を考えるときにこの2人が大きく分かれるのは大東亜戦争を肯定するか否定するか、というところだ。基本的に日本は、アジアのいくつかの国にひどいことをして、勝てない戦争に踏みきったために原爆を落とされた最低な国だ、という考えがあった。それは時が経つうちに多少弱まったけれど、根強くその考えはいまも多くの日本人の根っこにあるものだと思う。

その根本から考え方の転換をはかったのが「戦争論」。僕は2年前に出版された「戦争論3」しか読んだことがないのでその詳細は分からないけれど、小林よしのりの考えは一貫している。この戦争はやむをえないものだったのだから、日本人は当時の国のために戦死した日本兵を誇りに思い、アジアの国々にいつまでも謝り続けるな、ということだ。日本が戦争しなければアジアは白人の植民地として近代国家として自立は不可能だったし、日本もそうなりたくないのだから戦争はやむをえなかったし、アジアの未来を背負って闘っていたのだから、という考えだ。
この思想は、保守的な考えを持つ人からすれば過激すぎるものに感じるだろう。田原総一朗は保守的な人ではないと思うけれど、このあたりに話が及ぶと対談は熱を帯びている。

もう一つ重要なこの対談のポイントは「個」と「公」のあり方についてという部分だ。「公」のためにという心の欠如が今の日本をだめにしているという考えは、両者ともかなり近似している。それは「自由」や「民主主義」に対するアンチテーゼともいえる提言だと思う。ほんとに「自由」な「民主主義」には「公」心はいらない。しかしそれで果たしていいのか、個人主義は国家という体制を崩壊させるんじゃないか、という思いがあるようだ。
国家というあり方はそんなに長く続かないんじゃないか、という思想がある、という話には驚いた。僕は生まれたときから安定した国家の中で生まれて、その存在があまりに自然で空気のようだったからそれが別のかたちになることなど考えたこともなかった。当然、空気のような国家のために、何かするという考えもないわけだから「公」心の欠如した日本人とはまさに僕のことだ。「公」がないのだから「個」がふわふわしている今の若者たちは問題だ、と彼らのいう若者そのものだった。

この本によってまた考えさせられたことはほんとうにたくさんある。あるけれど全く整理できない。問題が大きすぎて深すぎて自分なりの意見を持つことができないでいる。日本はアメリカ追従のままでいいのか。日本は軍隊を持つべきか、核を持つべきか。中国と日本の関係は今後どうなるか。首相の靖国参拝は是か非か。等々・・・。
率直な意見としては僕はアメリカ追従はあまりよくない気がする。自衛隊はほぼ軍隊であるけれど、核は持つべきじゃないと思う。靖国参拝するべきだと思う。中国とは仲良くすべきだと思う。でもそれが現実的に可能なのか、多分無理だろう。

こんなことを考えずに世界が平和に向かうのであれば、それはそれでいいんだと思う。でも、そうもいかなそうな雰囲気がある。危機感を感じる。とても悩ましい。

知識ゼロの僕でも理解できるようなやさしい言葉で書いてあるおすすめ本があったら、ぜひぜひ教えてください!
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by kngordinaries | 2005-04-03 18:04 | 本、雑誌、マンガ