2005年 04月 24日 ( 1 )
心暖まる光景
よく晴れた土曜日の午後6時を過ぎたころ、自転車で大きな通りの歩道を走っていた。

昼間の穏やかな春らしいぬくもりが残る夕暮れのオレンジの中、前方のケーキ屋さんから家族連れが出てきた。父親と母親と小学校に通い始めたくらいの男の子とまだ通っていなさそうな女の子の4人。

父親はチェックのシャツを着て眼鏡をかけたふくよかな人で、慢性的な疲労を顔にはりつかせながらも、穏やかに子供2人を目で追いかけている。子供2人をはさんで反対側にいる母親は春らしいピンクのセーターを着て片手に小さなバッグを持ったほっそりとした人で、男の子に注意の言葉をかけながら笑っている。

女の子はお兄ちゃんにまとわりつき、お兄ちゃんはそれにかまうことなく目の前のものに集中している。
彼が大切そうに抱えているのは、小さな箱だ。切り分けたケーキが3つ4つ入っていそうなそれを、抱きしめるようにして持っている。

僕がすれ違うあたりで、男の子はその箱がまるでとてつもなく重いものであるかのように顔をしかめググッと腰を落とすパフォーマンスをしてみせ、心配する母親をよそにまた踏ん張りなおすと少しスピードを上げて気丈に歩き出した。

ちょうど夕食時だ。これから何かのお祝いをするのだろう。それは多分男の子以外の誰かのお祝いで、とても大切で大事なことだと思うから、彼の持つケーキの箱は彼にとってとても重たく持つのがしんどいものに感じられたんだろう。それでも自分でしっかり家まで持ち帰りたいと思うその子がとてもかわいらしかった。

ほんとうの物の重さなんて関係ない。大事なことは自分の考え方一つで決まる。

小さな男の子にはニュートンの万有引力なんて関係ないのだ。

4人の家族を1回だけ振り返ってから漕ぎ出すペダルは、すれ違う前よりずっと軽かった。
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by kngordinaries | 2005-04-24 18:57 | 生活